2017年8月23日(水) ◆コーヒーを一杯で一日の方法

こんばんは、北浜にある猫のひたいのように小さな店。画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


昨日は何をしていただろうか…。毎日、同じ場所でいると昨日のことなのか、それ以前のことなのかわからなくなります。


そう、オフィスでブログとメニューを考えてからお店へ行きました。お店に行くと珍しく、すでにお客さまが二名きておられました。ひとりはシベリアン時代のファンのかたで、東京でも名古屋でも大阪でも博多でもお見掛けした女性で、ぎっくり腰の女。


もう一名は、先の20日に画廊喫茶フレイムハウスで行われたアイリッシュイベントにお越しくださっていた女性で、吟遊詩人の女。


ぎっくり腰の女のカラシニコフ銃のようなしゃべりは止まらない。ほんに頭の回転の速い女で、またいちいちしゃべることが面白い。僕も本来、寡黙とは無縁のたちなので知らぬうちに早口になってしまう。


そのうち、ガルパンの男と温泉マニアの男が来店されたが、ぎっくり腰の女は止まらない。すさまじい速度で写経するように、ことばが編み出されてくる。ことばで十二単が織れそうな勢いに敬服する。吟遊詩人の女といえば、僕とぎっくり腰の女のしゃべりに挟まれてるのに、「やかましい!」と二人を引っ叩くことなどせず愉快に聞いてくれている。


気がつくと吟遊詩人の女のグラスに入ったコーヒーが氷が溶けだして、二層になっている。僕はコーヒーが水で薄められて二層になっているのと、ブドウを乾かしてレーズンとするのには我慢がならない。


なので、彼女のこういってみる。


「そろそろコーヒーを追加で頼んでみてはどうか?」


「いえ、これで構いません」


「もう、コーヒーと水がグラスのなかで分離してるぜ?」


「私、給料日前でお金が900円しかないんです」


なるほど、そういうわけなら仕方がない。そういえば、吟遊詩人の女は歌をうたっていたのだと、先日のイベントの日にチラと聞いていたことを思い出した。


「すいませんが、何か一曲歌ってくださいませんか?オリジナル曲で」


僕のそうした無茶な願いに彼女はギターをもちステージにあがる。ステージというほどのものではないが、ここでは誰がなんと言おうがステージなのだ。


数秒、ギターのコードの確認をした彼女は歌いはじめる。


僕とぎっくり腰の女のしゃべりは止んだ。ガルパンの男はガルパンのゲームを停止にした、版画家の柿坂万作さんは全身の鳥肌がたった。


約束の一曲が終わったが、四人の聴衆はまだ興奮が冷めない。


「すいませんが、もう一曲、いやできるだけお願いできますか?」と四人を代表して僕が彼女に伝える。


四人ともが歌を聞くにふさわしい位置に陣取る。唐突だったので不意を突かれたのかも知れない、次はしっかりと聞こうという姿勢だ。


そこから彼女は歌い続ける。


いや、参った、四人の心に響く歌を彼女はスキルとしてもっていたのだ。万作さんがいう、「ええと…、彼女、歌をうとうた瞬間にいきなり別人がおりてきたような感じでしたわ。ワシ、全身に鳥肌が立っとりますもん」。


ぎっくり腰の女は「音楽ができるってええな!」と嫉妬と敬意の入り混じった、ご機嫌なのか不機嫌なのかわからない反応をする。


しまいには、フレイムハウスの歌(仮)まで歌ってくれたのだ。


【Em】→【G】→【Cmaj7】→【B7】※グレゴリオ聖歌のように


万作はメシを食う
万作はメシを食う
万作はメシを食う
万作はメシを食う


マンサク、マンサク、マンサク、マンサク…


柿坂万作 Say I Love You
柿坂万作 I Need You
柿坂万作 Say I Love You
柿坂万作 I Need You


「阿守さん、はやくここで彼女にライブしてもらいましょう」


僕はガルパンの男からはじめて、そのようなセリフを聞いた。吟遊詩人の突然の登場に沸き上がった夜だった。常連の不思議な女が不在だったのが、とても惜しかった。


吟遊詩人の女は小型のハープも、弾きながら歌えるのだそうだ。見たい。
是非、「Bard's Song」とか歌って欲しいものだ、僕の知り合いの新進気鋭の小説家などは歯をガチガチさせながら狂喜することだろう。


時系列が前後するが、ランチは保険の外交員のおばさまたちが、時間つぶしに昼間っからビールをあおってくれたおかげで、売り上げは順調でした。





[PR]
by amori-siberiana | 2017-08-23 17:59 | 雑記 | Comments(0)


北浜のビジネス街にある、昭和レトロなカフェのブログです。            大阪市中央区淡路町1丁目6の4 2階上ル