2017年8月26日(土) ◆美しい日、こんな日を逃さないで

こんにちは、北浜にある猫のひたいのような小さな店。画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


本日より、9月02日(土)のイベント【天上の宴 甘美なる宮廷音楽】の予約受付を開始いたしました。インドの楽器、シタールの音色というものは一度聴いたら忘れられないインパクトがあります。なかなか聴こうと思って聴く機会のないものですから、まだ生で聴いたことがない人は、是非、画廊喫茶フレイムハウスまで足をお運びください。


さて、昨日は版画家の柿坂万作さんの厨房でのお召し物を朝から買いに行きました。


万作さんは、そのずんぐりむっくりな体躯にサイズが合っていない、誰かからもらったシャツを毎日着ており、そのいでたちは「POP」を出した頃のU2のボノみたいです。「厨房に立たれるのだからもう少し清潔感があったほうがいいんじゃない?」という意見をお客さまからいただいたからです。


南船場のパン屋「き多や」さんから、そういった服は道具屋筋で売ってるよと教えてもらい、案外近くにあったがこれまで立ち入ることのなかった道具屋筋に行ってきました。昨日は朝から相当な暑さで、アーケード街も容赦のない熱気であふれていました。


そのまま酒屋へ行き、コーラとジンジャーエール、そして炭酸水とウイスキーをしこたま買ってランチで開店したばかりの店に顔をだし、北浜のオフィスへ戻る。


北浜のオフィスでは会議室から絶えず笑い声がきこえてくる。人の笑いかたは様々だが、どのような笑いであったとしても、泣いているよりは随分と魅力的だ。


お昼を食べるために近くの青山ビルにある喫茶店へいき、帰り際に同じく青山ビル内にあるギャラリー「遊気Q」に寄って雑談をする。ギャラリーの女がいうには、アトリエの一角(猫のひたいのように小さな一角)が空いたので、誰か使ってくれる人はいないか相談に乗って欲しいとのこと。


見どころ満載の大正時代に建てられたスパニッシュ様式の青山ビル自体にファンがおり、そんなところでアトリエを構えられるとは、自分がなんらかの作家であれば一考の余地もありだなと思ったが、僕がアトリエをもっても今のところ大した利用価値が見つからないので、興味がある人を探してみるとギャラリーの女に言い残して帰る。


もし、これをお読みのかたでどんなところなのか興味があるかたは、阿守までご連絡をください。


満腹となりオフィスへ再度戻ると、ミーティングルームでの談笑が「子育てカウンセリング」の講義だったことを知る。主催をしていたのは心理カウンセラーの女。


ちょうどタイミングもあったので名刺交換をさせていただく。するとオフィスで働くママさんたちも集まってきて、知り合ったのも何かの縁、これからフレイムハウスへ行こうということになる。


事前に万作さんに「これからお客さまを連れてお店へ行きます」とメールをしておき、多少、フライング気味の時間にママさんたちを連れてフレイムハウスへ到着すると、すでに声の大きな男が先客としてきている。


その男がいうには、店が開いていたから入ってきたとのこと。万作さんとは古い飲み友達ということはわかったが、こういうのは勘弁していただきたい。店のなかで大声で電話をするわ、変なタイミングで話しに割り込んでくるわで、うっとうしいことこの上ない。


せっかくのいちげんさんのママさんたちも早々に退散する。


この店は客を選ぶのか?といわれれば、答えはイエスである。ふざけるな、バカ野郎。


万作さんとその男が旧知であるということもあり、追い出すこともできそうにないので、お店は万作さんに任せて、外へご飯を食べに出る。


そろそろよかろうと外で時間をつぶして、店に戻ってくると大声の男は帰っており、常連の不思議な女と、素敵な帽子かぶったグラフィックデザイナーの男とアリスの女が来てくれていた。それに続いて宗教画のモデルの女も店にやってくる。


不思議な女が足踏みオルガンで不思議な音を弾きだす。


それに合わせて歌ってみると「アモアモ、そういうのじゃないの」とダメ出しを受ける。不思議な女から「ふわっと消えるような音楽を弾くのよ」と不思議な指令をいただいたので、言われるようにやってみる。


不思議な女が不思議なことをいうのは、別段、なんら不思議なことではない。魚が水を欲しがるように、鳥が空を欲するように、それは普通のことなのだ。


なんとも例えがたい音楽をオルガンで演奏していると、いちげんさんがやってくる。万作さんがいうには「ワシ好みの男」とのこと。不動産関係のグラフィックデザイナーをしている彼のことを、最近ヒゲを剃った男と名付けることにする。


そして北浜のペット・ミドラーことエイリアンもやって来る。


エイリアンは僕の顔を見るなり「あなたのブログ読んだ、私は、まだ還暦じゃない!それとブログなんですけどね、全然つまらない!」と痛烈なクレームが入る。いつかのブログでエイリアンのことを還暦と書いていたようで、失礼いたしました。


「でも、四捨五入すれば還暦ですよね?」と問うと、少し考えたあとエイリアンは「そうだ」という。


エイリアンは文章のコツとして「僕とか私とかの一人称を抜け、それが入ってるだけで読む気にならない!」とアドバイスをくれた。早速、試してみているのが今回のブログだが、なかなか難しいものである。


アリスの女が問いかけてくる。


「阿守さんのしていた音楽ってどんなジャンルなんですか?エイリアンさん、興味があるそうです」


「そうだな…、言葉にすると…」と言おうか言うまいかのタイミングで、エイリアンが口を挟んでくる。


「そんなことはどうでもいい!知りたくもない!」と両手で拒絶するジェスチャーで言葉をさえぎる。いやはや、なんという威圧感であろうか。エイリアンの異名は伊達ではない。彼女の会話の勢いたるや、溢れる才気の核融合と分裂を一身では抑えきれず、メルトダウンしているようだ。


そのままエイリアンはアリスの女や、不動産デザイナーの最近ヒゲを剃った男を巻き込んで、マンションビジネスにおける問題点や今後の展望を語る。いや、吐きだす。


「私のギャラリーを勝手にしていいっていってんだから、なんでもかんでも好きにやりゃいいのよ!」とエイリアンは僕を指さしていう。


「その、なんでもかんでもっていうのが難しいんですよ」と返答して、最近ヒゲを剃った男に助けを求めると、ヒゲのない男はヒゲのない半笑いの顔でこういう。


「それは、自由にすればいいってことですよ」


そのパーフェクトな言葉に大笑いしてしまった、サンキュー、これぞ、他人事!


ガゴッと音がする、扉の方を見てみるといちげんさんが来ている。


「すいません、加藤さんは来られてますか?」


加藤というのはここではハイタッチの男の俗名で、つまり、冷泉さんのことだ。よくある苗字なので念のために聞いてみる。


「それはもしかして、黒ずくめの男のことですか?」


「ああ、その人です」


「そろそろ来られるかと思うので、こちらでお待ちください」と彼を席に案内するやいなや、締まりの悪いガラス戸がまた開く、ハイタッチの男こと冷泉の登場である。


ハイタッチの男(冷泉)、会計事務所のオーナー、スーツケースの男、そして今、来られたいちげんさんの病院経営の男が奥のテーブル席へ行き、酒盛りがはじまった。後から遅れて仕事途中だったはずの人材派遣の男も加わる。


ハイタッチの男がギターを弾いてくれというので、ちょうどいい機会。エイリアンにも言葉で説明するより実際に聴いてもらうがよかろうと、ギターを取り出して弾いてみる。


演奏が終わり、一同の拍手を受ける。見渡してみるとエイリアンは、さっさと帰っていた。


そこからジャズの歌手、書道家の男の一団も来店して、猫のひたいは全てが埋まりあちらこちらから届く喧噪は心地のよいものだった。


宗教画の女が冷泉を殴って蹴りとばし、その勢いで会計事務所のオーナーも蹴り飛ばし、ヒゲのない男とアリスの女、ジャズシンガーも冷泉の腹をおそるおそるパンチする。


そうして、世間のプレミアム・フライデーの雰囲気とは、多少かけ離れるであろう画廊喫茶フレイムハウスの夜は更けていく。


万作さんの白いコスチュームに黒いエプロンは愛嬌が増して、なかなか素敵だった。


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by amori-siberiana | 2017-08-26 13:39 | 雑記 | Comments(0)


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