2017年10月01日(日) ◆やあ!みなさん!吟遊詩人と織田信長と沢田研二。

やあ!みなさん!北浜にて猫のひたいのように小さな店。画廊喫茶フレイムハウスを版画家の柿坂万作と経営する阿守です。


さて、昨日のこと。


秋の万作祭という、よくわからない祭りを開催している画廊喫茶フレイムハウス。昼にヒゲの男が店へ行くと、万作は舞台を作るためにバーカウンターを解体作業する。ヒゲの男より早くに店へ到着していた、星師匠は店の掃除を開始して、そのあとに厨房で何やら手伝わされる。


ヒゲの男は昨夜、酩酊しながらなんとなく音響屋で福岡出身の浩司ばいから教えてもらったとおり、ミキサーという機械の電源を入れる。「すごい、音が出たぜ」と感動するヒゲの男であったが、この程度のことは誰でもできる範囲のことであろう。


しばらくすると、吟遊詩人の女がハープとギターを持ってやってくる。小柄な彼女の場合はギターとハープに抱えられてるように見えるのだが、よくこの階段をのぼってこれたなと感心する。


ヒゲの男は慣れない手つきでサウンドチェックなるものを始める。音の質はわからないので、取りあえず音さえスピーカーから出ればいいやという、なんとも音楽に従事していた人間とは到底思えないような心意気なのが、実にけしからん。


ヒゲの男が音楽家の時代、「あれ」といえばタッキーがしてくれた。「これ」といえば浩司ばいやテリーのような専門家がしてくれた、「できん」といえばステージ隣にいつも座っていたギター弾きの男がしてくれた、「わからん」といえば大きなコントラバスをわざわざ横倒しにして、電気工事士の山本さんが助けにきてくれた。


そして出来上がったのが、この電源のONとOFFにするだけの作業を奇跡のように思えるヒゲの人間なのである。


ナウルという国の人間が、「リン鉱石」という天然資源に恵まれた土地のおかげで働かずに暮らしていた。働くのはいつもその財力によって呼び寄せられた近隣諸国からの出稼ぎ労働者である。しかし、その資源が尽きたとき、自分たちの文化を教えるナウル人もいなければ、料理ができるナウル人もいなくなっており、なにもかも立ち行かなくなったというではないか。


ある程度の苦労はしておくのがよかろうということだ。


吟遊詩人の女のハープの音に多少、雑味が入るので、マイクの位置をどうにかしてみようと二人は試行錯誤する。


「あ、阿守さん、すいませんけど9Vの電源ありませんか。スーファミのやつです。私、忘れてきたみたいで」


吟遊詩人の女が愛用しているギターの音を豊かにする装置、エフェクターにそれを使って電源供給するのであるが、残念ながら画廊喫茶フレイムハウスにはない。ただ、9Vの電池ならばヒゲの男のがあるので、それを入れようということになる。


エフェクターを右往左往しながらこじあける、見てみると中には新品の9V電池がプラスティックビニールをかぶったまま、役目もなさそうにボンヤリと入ってる。これがそのまま使えるんじゃないかと考えた二人は、買ったときのままの姿でエフェクターに入っていた電池を使ってリハを続行する。


リハを再開して2分ほどで、電池の短い寿命は、途切れることとなった…。


それならばと、ヒゲの男の持っている電池に入れ替えてスタンバイは整った。


そしてこのヒゲの男の電池も、本番がはじまった途端に、短い寿命を終えることとなった…。


イベントは来客者の愛顧によって満員御礼となり、厨房では万作が忙しそうに「次は…、アレとコレと…、ああ、そうやった、ロイヤルミルクティーや!忘れとった」と、ブツブツいいながら二階と三階を行ったり来たりする。


そしてこういう日でも、やっぱりアラタメ堂は新しいカードゲームを持ってきていた。聞くところによると、ホリエモンがプロデュースした「人狼」なのだとのこと。オーストラリアの男と、泥酔しているSHEENAのやっちは延々とテクノミュージックについて論じあう。


会計事務所オーナーの男は、万作の目玉焼きがいかに予想を超えて見事なものかを、隣の席にいる女たちに力説をする。論より証拠だということで、早速、目玉焼きを気前よく注文していく。


オルガン側に陣取った一団(舞台からみて右翼側)と、正面側、そして入り口側の一団(舞台からみて左翼)は、それぞれに何やらてんでわからぬ話しをしたり、吟遊詩人の歌声に酔いしれたりしている。とにかく音さえなっていれば、自分は何かに包まれて守られているという安心感が生じるのを、人でごった返す厨房脇にてヒゲの男は感じていた。


吟遊詩人の女は宣言どおり、昭和歌謡と自身が作詞作曲した、本人以外が誰も歌わない曲をいったりきたりする。誰もが口ずさめる曲、誰もが未聴である曲、この両極が彼女を媒介として音となりブレンドされて発せられる。それはあたかも、吟遊詩人自身のルーツについて、ほんの少しのぞかせてもらったような気がするものであった。


吟遊詩人からみて、右翼側は神秘な静かなる深い海のようであり、織田信長を境界線として、正面側は太陽の日を沢山浴び、その自然の恩恵を一身に受けているようである。左翼側はとにかくやかましい。


ゆらゆらと干されたそうめんが風でなびくように踊る、ガチャガチャと鳴り物は出てくる、一緒に歌いだす、それは、我が世の春を謳歌せしめんという気焔を感じるようであった。


そう、昨夜は織田信長公がマルチリンガルの女を随行して、猫のひたいのような小さな店にご来場くださったのだ。最後に店にある切子のグラスを大いにお気に召されたようで、ひとつくれとご要望賜ったが、遺憾ながら代えの効かないものだったので、ヒゲの男は大いに笑いながら断った。


このブログをお読みのかたには、筆者が一体何を書いているのか、さっぱりわからないであろう。そもそも筆者すらわからないのだ、しかし、作り話しでもなんでもなく、起きた現象をそのまま書いているだけである。


いつまで続くか誰にもわからないが、ヒゲの男はこの場所が好きだ。


コーヒーを一杯で一日いられるような場所。


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Commented by セロー at 2017-10-01 17:32 x
明日、遠征できるかの分かれ目の予約入れます♪
素敵なことにお休みなので。そのために週末仕事だったのかも!予約出来たらいいなあ♪今度は泊まりで行くぞ♪
Commented by amori-siberiana at 2017-10-03 11:54
> セローさん

はい、遠いところ来ていただけたとき、「やっぱり来てよかった」と思っていただけるような、お店であるように尽力いたします。
by amori-siberiana | 2017-10-01 13:34 | 雑記 | Comments(2)


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