2017年 08月 19日 ( 1 )

こんにちは、北浜にある猫のひたいのような小さな店。画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


今日の画廊喫茶フレイムハウスは18時30分から20時00分まで、公用語が英語(English)になりますので、ご興味があられるかたは怖いものみたさついでにお越しください。


そして明日はアイリッシュバンド「Cocopeliena(ココペリーナ)」さんの演奏が19時頃からあります。こちらも当日、若干の席がありますのでフラリと遊びに来てください。入場は無料です。


さて、昨日は北浜のオフィスへコーヒーを飲みに立ち寄ったあと、その足でオフィスにいた同僚をつれてエイリアンさんのギャラリーに再訪いたしました。何かアイデアがあったわけではなく、魅力的なギャラリースペースを自分の身体に染み込ませておきたかったというわけです。


エイリアンさんと同僚と僕の三人で昼間からビールをあおりながら、具体的なプランや抽象的なプラン、北浜戦略、世界戦略、どうしようもないプランなどいろいろなことを談笑する時間、僕にとって愉快で実入りの多い時間でした。


そのまま一旦、千鳥足でオフィスに戻り、隣の席の男から「阿守さん、もしかしてお酒を飲みましたか?」といわれるので、無論イエスだと答えるとどうやら日中のオフィスには場違いなアルコール臭が漂ってて、非常に目立つとのこと。


なるほど…。では、さようならですと言い残して僕はそのまま北浜の青山ビルにある別のギャラリー「遊気Q」へ向かいました。時間にして17時頃、画廊喫茶フレイムハウスがオープンするのは18時~19時のあいだなので、まだ早くても1時間ほど暇があるのです。


さっさと店に行って掃除でもしてるがいいと思われるでしょうが、版画家の柿坂万作さんがフレイムハウスのシャッターを開けるまでは、合鍵を持っていない僕は入れないという顛末なので、知り合いのギャラリーで時間をつぶそうというハラ。


ギャラリー「遊気Q」に入ってみるとアジアのエキゾチックな服や雑貨、異国の匂いを封印したままのアクセサリーがところ狭しと飾られており、ギャラリーオーナーの女と托鉢僧のような女、そしてフェルト作家の女が談笑をしていました。暇を持て余している僕も談笑に加えてもらい、麦茶を飲みながら気になった服を試着しては脱ぎ、試着しては脱ぎを繰り返し遊ばせていただきました。


◆https://www.keimi.jp/yukikyu (ギャラリー遊気Qのホームページ)


現在の展示販売は8月16日~26日まで開催中です。是非、足を運んでみてください。


随分と居心地のよい空間だったので予想以上に長居をしてしまい、少し遅めにフレイムハウスに到着。万作さんは奥のテーブルで一心不乱に工作をしていました。


「ああ、阿守さんやったんですか、よかった。これの存在を知られたらワシ、国家権力によって殺されますよってね」と。


そのうち、偶然「遊気Q」で出くわした青いカーデガンの女、そして20年近くフレイムハウスに通い続けてくださるガルパンの男、万作祭のときに椅子を貸してくださったグラフィック・デザイナーの男が来店してきて、落ち着いた雰囲気の店内にてみんなで酒を飲んでいました。


僕がみんなで共有しているウイスキーボトル(タッキーが支払いをした小野さんの所有物)からショットグラスに酒を注ぎ込むと、ボトルが空になる。


さて、どうしようか。取り急ぎタッキーに電話をかけてみる。


「もしもし、阿守ですけれど、毎晩お疲れ様です。タッキーが主催する27日のモノポリー大会に参加したいという人が沢山いるけれど、タッキーの予定は大丈夫ですか?」


「はい!今のところ大丈夫です!いや、めっちゃ忙しくて今日も徹夜になるかもという勢いなんです」とはタッキーの返答。


「そうかそうか、いつもご苦労さんです。それで…、タッキーがお金を出した小野さんのボトルが空いてしまって、みんな飲むものが無くなって困ってるんだよ」


「…ごめんなさい、ちょっと意味がわからないです。つまり僕が自分で飲みもしないボトルをおろすということですか?」


「簡単にいえばそういうことになるね」


「あなた、絶対、最初のモノポリーの話題とかどうでもよかったでしょ」


「いやいや、あくまでモノポリーが用件の主題であって、ボトルの件は副産物のようなものだよ。これ以上、話しあってもラチが明かないから、もうボトルをおろしとくよ」


「ちょっと待ってください!あなたね、商売の根本原理からかけ離れてますよ。消費者が自己消費しないものに対して強制的に支払いを迫られるなんて、誰がどう考えてもおかしいじゃないか!」


「万作さん、タッキーからOKが出たのでボトルを下ろしてください!交渉成立です」


「畜生!このクソ野郎!」


この一連のやりとりによってフレイムハウスの店内は爆笑の渦に包まれた。念願の新しいボトルから注がれた酒は、バッカスの寵愛を受けたであろう甘美な香りを漂わせていた。これが勝利の美酒の味か。


少しすると、ドンドンドン…。


万作さんが「おっ、誰か来たな」と口を開く。


ガゴッ。建付けの悪い半締まりのガラス戸が開く。今、階段を上ってきたであろう外の男が恐る恐る店内を見まわして、こう言う。


「●●さん、いらっしゃいますか?」


●●というのは日本でそこいら中にある苗字であるが、この店の場合においてはそれは「ハイタッチの男」を指す。だが、一応確認のために僕が来客者に聞いてみる。


「それは全身黒ずくめの●●さんのことですか?」


「ああ、そのかたのことです。ここで合流するように連絡があったんです」とスーツケースを抱えた男は返答する。


「まだ来られてないので、奥の席で待たれたらどうですか?」と僕は促すが、彼は一旦店の外にでてハイタッチの男に連絡をする。どうやら、もう近くまで来ているとのこと。


5分後…。


ハイタッチの男、スーツケースの男、薬局の男、元プロサッカー選手の男が店にやってくる。それはそれはとんでもないテンションで入ってきては、壮絶な酒盛りがはじまる。


薬局の男が店にギターをあるのを見て、自分が弾くという。そしてギターを持ち、一般的なコードを弾くが、思っているような音が出ない。「あれ?チューニングが随分とズレてますね。俺、チューニングを合わします」と薬局の男がいう。


ハイタッチの男がそれを制する。


「お前、勝手に阿守さんのギターのチューニングを変えるな。これは阿守さん独自のチューニングになっているのだ」


「ええっ!そうなんっすか!?マスター、俺と一緒にセッションしてください」


マスターというのは多分、僕のことであろう。清水健太郎の「失恋レストラン」の歌詞を思い出して、少し笑えてくる。


♪~ねえ、マスター作ってやってよ、涙忘れるカクテル~


そのままギターのセッションへと流れ込む、これがなかなか面白かった。


「このマスター、だいぶヤバイっす、だいぶヤバイっす、これヤバイ感じの人っす」と薬局の男は連呼する。


「当然だ、お前のような奴が勝負できるような人ではないのだ」とハイタッチの男は薬局の男を容赦なくビンタする。なぜ、ビンタ?一体、何なのだこの男たちは?と腹がよじれる。


「痛っ!でも、俺、●●さんに殴られたっす!これ皆に自慢できるっす!ここまで飲みに付き合ってよかったっす!」


その言葉をきいてハイタッチの男は薬局の男に優しくこういう。


「よし、次は俺の腹を殴れ」


薬局の男はハイタッチの男の腹を殴る、次に元サッカー選手の男がハイタッチの男に促されて、黒ずくめの腹を殴る。薬局の男はそのままステージの上に半分、土下座の格好で酔いつぶれてしまう。


元サッカー選手の男は「俺も体育会系です、先輩を殴ったままでは気が済みません!だから次は俺の腹を殴ってください。そうしないと気が気じゃないんです」と妙な男気を見せる。さすがはサッカー選手だけあり、鍛え抜かれた筋肉は美しいものであった。


ハイタッチの男が遠慮なくサッカーの男の腹を殴る。ハイタッチの男が次は俺を殴れとサッカーの男にいう。延々と繰り返される酔っ払いの茶番劇にシラフで付き合うことはできないが、何度も何度も繰り返されるミニマリスムの寸劇に、バカバカしさと愚かしさを超えた、何かがあるような気がする。ハイタッチの毒が僕にも回ってきたのだろうか。


スーツケースの男はソファに腰掛け、その光景を微笑ましそうに見ながら静かに酒を飲む。家は箕面にあるらしいが、すでに帰る手段はタクシーだけとなっている時間。


常連の不思議な女が遅めにやってきた。その異様な光景をものともせず、普段のままに白ワインを飲む姿には女王クレオパトラの風格があった。


すると遅くにも関わらず、いちげんのジュエリーデザイナーの三人組も店にやってくる。


ステージには酔い潰れて万作さんの創作オブジェのようになった薬局の男。来客者など気にもせず延々と殴り合いをして笑いあう二人。


いちげんさんが、この光景をみてここの店をどう思うのかと、僕の好奇心はそそられて三人組の反応を待つ。


ジュエリーデザイナーの一人が連れに向かって口を開く。


「ね!やっぱり私の鼻は利くのよ、こんな面白いお店があったなんてね!間違いないと思ったのよ!」と。


おいおい、一体ここに迷い込んでくる人たちは、どういう感覚をした人たちなのだろうかと北浜の奥深さを改めて勉強させていただきました。まるで百鬼夜行である。


その夜、僕とハイタッチの男は腕を組んで途中まで一緒に帰った。


男同士で腕を組みながら、大切なものは何なのか、明日はどっちだと探して、彷徨っているのだ。


僕たちの後ろからサッカー選手の男と薬局の男もやってくる。彼らの会話が聞こえる。


「前を歩く二人は、いろんな意味でバケモンですよ」と。


とうとう僕も百鬼夜行の仲間入りと見なされたようである。


奈良県の天川村には特異な色をしたガーネットが発掘できる場所がある、僕はその場所を知っているが、まだ誰にも教えていないのである。

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by amori-siberiana | 2017-08-19 13:49 | 雑記 | Comments(0)


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