こんにちは、これは大阪は北浜にて、猫のひたいのような小さな店、画廊喫茶フレイムハウスに集う人たちのグダグダ話しを克明にとらえたブログである。


最近、北浜の画廊喫茶フレイムハウスに出入りするヒゲの男は悩んでいた。


北浜には本屋とたこ焼き屋がない。厳密にいえばどこかにはあるのだが、ヒゲの男が好んで入れるような店は今のところない。いつもなら昼の暇な時間には、版画家の柿坂万作が料理の腕をふるっているのを見に行くのだが、今日にかぎっては版画家はデッサン教室をしているので入れない。


朝には冷涼な気候であったが、昼には突き刺すような日差しが頭を照らし、外をウロウロするのもはばかられる心持ちであった。だが、秋に近づいていることには変わりはなさそうだ。


ヒゲの男は、オフィスから近くにあるスパニッシュ建築の青山ビルに入る。青山ビルの一角にはギャラリー「遊気Q」があり、暇なときに行けば、大体は時間を潰せるのだ。ギャラリーに入ると、先日まで大量にあったアジア風の服や雑貨がなくなっており、また次の展示の用意がはじまっていた。


ギャラリーのオーナーの女はヒゲの男に問いかける。


「阿守さん、あなた、クリニャンクールはご存知?」


「ええ、もちろんです。パリ観光の醍醐味のひとつですから」


クリニャンクール(Clignancourt)の蚤の市は、約3000軒の露天商がひしめき合うパリで最大の胡散臭いマーケットだ。たまに圧倒的なガラクタの中から、とんでもない逸品が見つかったりしたときは、パリの新聞を騒がせたりする。


「私はね、このギャラリーをクリニャンクールのようにしたいんですよ。ほら、あそこ行くと露天商が足元に数点の商品をね、ただ、並べて腕組んで突っ立ってるだけじゃないですか。買いたいなら買ってみるがいいという、なんだか偉そうな雰囲気でしょう」


「確かにそういう風情のところ、ありましたね」


「でも、いろんなものがあってね。私はあそこの雰囲気が大好きなのよ」と落ち着いてはいるが、ギャラリーの女は抑揚の効いた声色で楽しそうな顔をする。


ヒゲの男は蚤の市ときいて、あまり良い思い出がない。いや、あまりではなく、ひとつもない…。だから、蚤の市で他人が手に入れた逸品などを見せられたときには、どうして自分はハズレばかりを引いてしまうのかと、自身の運命と目利きのなさを呪うことが多々あった。


はるか、以前、とんでもなく美しい石が土台にはめ込まれた指輪を買ったことがあった。結構な値段はしたが、それこそ一目惚れ。それを購入しては太陽の光に照らして、悦に浸っていた。なんと神秘的な色だろう、宇宙から地球をみたときは、こういう色合いに見えることだろうと、心は高揚感で満たされた。


どこかからどこかへ向かう飛行機の中。いつものように指輪を古代の呪術師のように、指でなでていたら、石の表面がはげた。というか、めくれた。


「…えっ!?」


ヒゲの男が恐る恐る、めくれた石の表面をつまんで、どんどん剥ぎとってみると、それは神秘的な色をしたカッティングシートが貼られていただけの、ただの石だった。


「畜生!」とヒゲの男は憤怒したが、それ以来、その石はどこへ行ったのか行方はわからない。多分、日本ではないどこかの国で、再び石に戻って憮然と空を見上げていることであろう。


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ギャラリー「遊気Q」が主催するイベント。


青山ビル巴里祭は9月4日(月)~21日(木)まで。※定休日は10日、17日。
昼の12時から夜の19時まで開催中とのことです。


9月5日はタロット占いの先生が1000円で占ってくれるので、ヒゲの男も人生初めての占いに行って来ようと考えています。


パリのクリニャンクールの蚤の市が、青山ビルにやってくる!


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画廊喫茶フレイムハウスに行くと、版画家の柿坂万作がイーゼルを片付けしていた。店にはペルノ(アニスのリキュール)の匂いが溢れていて、つい先ほどまでデッサン教室をしながら版画家と生徒が飲んでいたのだということがわかる。


同じタイミングで店にやってきた求職中の女が黄色いケトルを熱心にデッサンしだす。ヒゲの男は昨日の続きでギターの練習をして、万作は上の階へ行き、ガタガタと何かをしている。この時点ではここが何をするところなのか、他の人の目から見て、まったくわからないだろう。


常連の不思議な女、ガルパンの男がやって来る。それに続いてグラフィックデザイナーの男もやって来る。店内には手拍子が激しめのロマの音楽がかかっていた。


不思議な女が口を開く。


「前にクラップの音の素材を探して、音を重ねていたとき、自分のミスで少しズラして重ねてしまったの。そしたら、予期せぬ素晴らしいグルーヴが出たの」


ヒゲの男はその話しを聞いて、すぐさまスティーブ・ライヒの「クラッピング」を思い出し、その着想が故意かどうかは抜きにして、同じような手法で作られた曲があるということを説明する。


するとデッサンに必死の女以外、みんなで手拍子をしだす。四人が四人とも好き勝手にクラッピングを開始する、不思議な女の手拍子の音はウッドブロックのような音がして、特異であり、それを真似てみるがなかなかできない。


当分のあいだ店には、パンパン、パシパシという音が充満して、さらにこの店が何をするところなのか見当がつかなくなる。


随分と夜が更けてきて、そろそろ帰ろうかと思った頃、ゴガッという音とともにガラス戸が開けられ、アニメーターの男と、ナースの女が迷い込んできた。


これも縁と一緒に長渕剛を歌いだす、ギターを弾くのはヒゲの男。


「順子」のイントロを弾いているとき、またドアが開く音がする。


ギョロリと店内を見回し、ニヤニヤとしている姿が目に入ってきた。男の格好は全身が黒で統一され、ETROのデザイナーが好みそうな柄が、これまた黒で入ったスーツ。


そう、東京の出張から戻ってきたばかりの冷泉(ハイタッチの男)であった。


冷泉は誰に促されるともなく、宴の輪に加わり、長渕を熱唱する。それにつられて次第に他のメンツの歌声も大きくなる。


冷泉は最後、ヒゲの男にリクエストをしてくる。


それは、加藤登紀子の「時には昔の話を」だった。


ヒゲの男は、確かこの曲をつい最近ギターで弾き、その伴奏にのせて号泣しながら歌っていた、とある経営者の太った男を思い出した。


歌に翼があるといったのは、メンデルスゾーンというお坊ちゃんであっただろうか。




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by amori-siberiana | 2017-09-01 13:22 | 雑記 | Comments(0)

第一回で予想外の大勝利を収めたタッキー国王。


モノポリーが初めてだという一般参加の女にも容赦のない言葉を浴びせかけ、ライバルが用を足しに行っているあいだに、ゲーム内容をあまり理解していない異国人に調略をかけて篭絡し、自己の利益を貪り専横の限りをつくす様は、世の終わりを暗示するかのようであった。


誰もがタッキー国王の独裁政権の猛威に心底ふるえていた。


そんなとき一人の英雄が現れる!


第二回モノポリー大会 「地獄の沙汰も金しだい」


銀河の歴史が、また1ページ・・・。


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【画廊喫茶フレイムハウス 今後のイベント】全イベント、入場無料。

◆9月02日(土) インド宮廷音楽演奏会  19:00から ※予約受付中
◆9月10日(日) タッキー国王杯 モノポリー大会 19:00から
◆9月15日(金) ジプシー・スウィング・ジャズ演奏会 19:00から
◆9月19日(火) ガエル・ガルシア・ベルナル四重奏団 19:00から  ※9月12日より予約開始

◆10月08日(日) 【〓SECRET〓】 /王子の帰還 (前編)
◆10月09日(月) 【〓SECRET〓】 /王子の帰還 (後編)
◆10月10日(火) 【〓SECRET〓】 /待望のあの日がやってくる!

お問い合わせは takaoamori@yahoo.co.jp まで

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by amori-siberiana | 2017-09-01 11:20 | イベント | Comments(0)


北浜のビジネス街にある、昭和レトロなカフェのブログです。            大阪市中央区淡路町1丁目6の4 2階上ル