こんにちは、北浜にある猫のひたいのように小さな店。画廊喫茶フレイムハウスにて、救急救命士をしている阿守のブログです。


今日の北浜は雨。雨の日に限って手元に傘がないという日が多く、なんのために傘を持っているのか、雨の日はいつも釈然としない印象を持っています。39年間、天気と上手にお付き合いできた試しがない男なので、天候に左右される先物取引などに手を出したことはありません。


さて、昨日の話し。


ヒゲの男は昼に店で経理を済ませて、そのまま歩いて酒類を買い出しに行く。つい先日まで夏の暑さを背中に感じながら歩いていた堺筋も、今ではめっきりと秋の風が吹いている。夏の暑さよ、また、一年後までサヨウナラ。となるのであれば、もう少し夏が続いてもよかったかなと名残り惜しく考えていたヒゲの男であるが、夏に使い込んだ電気代の請求書が、版画家の柿坂万作より渡されたとき、もう二度と夏など来るな、と怒気に駆られたものである。


酒などの水ものは、重量があるので店に運び入れるため、星師匠に手伝ってもらう。夏の折にはバイオリンの王子や、ギター弾きの男、小説家もビールケースを抱えて運び込みを手伝ってくれたのである。


画廊喫茶フレイムハウスの今日の催しは、女将軍の第二幕ということで、ガハハの女が歌い散らすとのこと。


女将軍というタイトルは、ヒゲの男が大河ドラマから着想を得たかどうかは知らないが、昨シーズンの「真田丸」に一年を捧げていたヒゲの男は、真田丸ロスをいまだに引きずっていて、他のドラマに見向きもしない偏屈なのである。


草刈正雄を見に行くため真冬の大阪城へ行った。長野の上田城にも行き、真田親子が蟄居させられた和歌山の九度山にも行った。真田の六文銭が掲げられた旗を見るたびに、胸がときめくミーハーぶりであった。あまりに心酔して、登場人物のセリフを覚えて真似するうちに、ヒゲの男の会社でのしゃべりかたは、知らず知らず、いつしか戦国時代のようになっていた。


仕入れから戻ってきたヒゲの男はそのまま青山ビルのギャラリー「遊気Q」へ遊びに行く。


昨日、電源をONにしただけで鳴りだした複雑怪奇なる舞台音響は、そのまま何も触らずにOFFにしただけなので、またONにすれば勝手に鳴りだすだろうという安心感もあった。ヒゲの男の電気系統への理解は、ファミコン時代から発達していない。


すぐに電気系統を理由にしてリタイヤする鈴木亜久里なるF1レーサーと同じ心境で、電気系統だけはどうにもならないのだ。


そういえばヒゲの男が若い頃に熱狂したファミコンは、今のテレビゲームやスマホアプリのように洗練されておらず、その映りの具合は各家庭のテレビごとの個性が如実に出るものであった。旧友でマッドサイエンティストのパキスタンなる男の家のテレビなどは、ゲームの映りが悪くて、輪郭はぼんやり、色彩は曖昧模糊としており、どのゲームをしてもそれは印象派の画家クロード・モネの「ルーアン大聖堂」のようであった。


ヒゲの男は、オルセーやメトロポリタンなる美術館でルーアン大聖堂を目の当たりにしたとき、いつもパキスタンの家でやったファミコンを思いだすのであった。


北浜のクリニャンクールに行くと、ギャラリーの女が近づいてきて、品のいいイントネーションでこういう。


「あのね、今晩なんですけれど、お店はやってらっしゃいますの?」


「ええ、今日もやってますよ」


「それでしたら、後でお伺いしようかと考えてるんですけれどね」


「いや、来られないほうがいいです。今日は何が起きるかわかりませんから」


「来ないほうがいいなんて、どういうことなんですか?」と、ギャラリーの女は驚いたような目をしながら笑う。


実際、ヒゲの男には何が起きるかわからないのだ。いつまでたってもイベントに出演するはずのガハハの女はまだ店に来ないのである。


ヒゲの男はガハハの女から今日のイベントの概要を耳にしてはいたが、よくわからない部分が多々あった。二部構成で前半はガハハの女が自身の曲を演奏する。それはいい。ところが、後半はヒゲの男と一緒に小惑星を作るというのだ。ヒゲの男は「?」が頭をよぎっていたが、思い悩んでも仕方がないので、すぐにCocopelienaのギターの山本を招聘することにした。


ガハハの女と山本は長く一緒に同じバンドをやっていたので、ガハハの女とヒゲの男の中和剤としては最適である。もしやもすると、ガハハとヒゲは「混ぜるな危険!」の化学反応を起こすことも予期しておくことで、備えあれば憂いなしなのだ。


店がオープンする。オープンしてしばらくすると、入り口からガハハと笑い声が聴こえる。いよいよ御大の登場である。どうやら店がオープンする時間を知らなかったようである。


ファゴットの男、いろんな音楽イベントで目にする男などがそぞろにやって来る。後者の男が京都の日本酒をもってきてくれ、みんなで飲もうと酒を勧めてくれる。さすがは宴会、これではどちらが店で、どちらが客なのかわからないが、ヒゲの男も漏れなくいただく。


「いやぁ、こら、うまい酒でんなぁ」と、声を上げたのは大酒のみで版画家の柿坂万作であった。


この日も前日に引き続いての盛況にて、猫のひたいはぎゅうぎゅう詰め。万作は厨房で調理をしながら目が泳いでいるという状態であった。ヒゲの男も目を泳がせながら調理補佐をする。星師匠にいたっては、買い出しのために何度も同じコンビニへ行くので、しまいには店員に笑われながら、「大変ですね」と同情されたそうだ。


絶滅寸前~~~~~っ!」とガハハの女が唐突に叫びだす。これはもう演奏が始まっているのか?それともいよいよキレたのか…。そうしてイベントは前半はスタートした。まるで唐十郎の演劇の開始のようであり、不意を突かれた。


ガハハの女の世界へいきなり突き落とされた猫のひたいは、ガハハの術中にはまっていく。万作だけは、「ええと、オムライスが、あと何個やったっけ。ひとつ、ふたつ、みっつ…。ほんでピザ!ピザや!」と忙しさのおかげで術中にはハマらずにいる。


すると、ギャラリーの女が友人を連れてやってくる。


「あのね、来るなっていわれたらね、どうしても来たくなるものなんですよ」と、イタズラっぽい愛嬌のある目をして、ヒゲの男に自分がここへ来た単純明快な理由を伝える。


そして、ガハハの女の歌を聴きながら、ギャラリーの女は静かにこういう。


「昔はこういうところあったんですよ。行けば何か面白いことしてるっていうところ。ここは昔のような場所ね」


ヒゲの男はその一言が嬉しかった、「そういう店にしたかったのです」とだけヒゲの男は答えて、一心不乱に氷をグラスに詰め込んで、ジンジャーエールを注ぎ、客のところへ持っていく。


前半も終了するという頃、ガハハの女の曲「ミドリキミドリフカミドリ」を愛する男。ハイタッチの男こと冷泉が結婚式か葬式のどちらかの帰りというような格好でやって来る。訊いてみると前者であったとのことだ。


実は、冷泉は先ごろより体調を崩している。東京と大阪を往復しながら、仕事と飲みを苛烈に繰り返しているのだから無理もない話しであるが、客席一番前でウーロン茶を飲む冷泉の姿はチャーミングであり、笑いを誘うものであった。


そして訳も分からないままにギターを持って店へ来るようにとヒゲの男から要請された、Cocopelienaの山本も到着する。これで役者は揃ったのだ。


「えっ!?僕が弾くんですか?」と驚く山本であったが、本人以外の来場者の誰もがそうなるであろうことを予測、期待しているのであったから仕方がなかろう。


イベントの後半では、来場者よりお題をもらって、それをインスピレーションの源泉として曲を作るというものであった。出されたお題は小惑星とはまったく関係のなさそうな「うつぼのテールスープ」とか、「トレハロース(化学式:C12H22O11)」とかである。


そう、画廊喫茶フレイムハウスから「クント・コロマンサ」に改名する記念として、コロマンサのテーマ曲も作った。


先日、いちげんさんとしてやってきた笛の妖精もフェラーリに乗ってやってきては、自分のリコーダーを取り出しステージへ上がり、とても微妙な拍子解釈でジブリの曲を吹き出す。もうこの混沌とした享楽から抜けられない、ヒゲの男はこういうカオス事態に終始、頬は緩みっぱなしであった。


ガハハの女は笛の妖精にきく。


「絶滅したことありますか!?ガハハハ!」


笛の妖精は、即座に「ありますよ」と恥ずかしそうに答える。どうして、即答できるのか…。何のどの部分が共鳴しているのか、まったくわからない。共鳴してるのか乱反響しているのかもわからない。


誰が収拾をつけるとも知れない、ガハハの女の宴会は、一応の終了宣言を半ば強制的にして幕を下ろしたが、そこから宴会が何時まで続いたのかは、よくわからない。


ガハハの女を囲む宴会に参加された諸氏の行方は、誰も知らない。


次は女将軍三部作、ラスボスのアハハの女の登場である。それまでにはMPを復活させておかなければいけないと考えるヒゲの男であった。


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by amori-siberiana | 2017-10-02 13:26 | 雑記 | Comments(0)


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