カテゴリ:雑記( 38 )

こんにちは、北浜にある猫のひたいのように小さな店、画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。朝遅くに「き多や」さんへ表敬訪問に行きまして、バゲットを抱えて北浜のオフィスへ出社し、今しがたパンを版画家の柿坂万作さんのところへ届けてきました。黒猫のジジも一緒です。


さて、昨日の夜のこと。


万作さんはいつものように工作に明け暮れて、テーブルの下は削られた木屑が散乱。ガルパンの男はスマホに目を落としたまま、ビールをあおり、僕は僕でギターの練習をしていました。お店というよりは、毎年のようにインターハイ出場など夢のまた夢という状態のなんらかのクラブの部室。


今日はこのまま来客もなかろうと思っていたが、そうではなかった。


まず、温泉マニアの男がやってくる。そしてその後、久しぶりに顔を出したのが、ギャラリー経営者で作家のエイリアンである。このあたりの人は彼女に敬意を表して「エイリアンさん」と敬称をつけて呼ぶ。その風貌は溢れる才気が抑えられずに、とても異質なオーラを放っており、地獄を見学して爆笑しながら帰ってきたようなふてぶてしさがある。


エイリアンさんが原案を出したドキュメンタリー映画は各方面で絶賛され、今でも日本のどこかを巡回上映している。


そして、順序が逆になっているかも知れないがギタレレの女が来店。ギタレレの女は「阿守さん、借金返済、おめでとうございます」との祝辞とともにミニマムサイズの給料袋と天の川ようかんを差し入れしてくれた。


さらに斥候の男もやってきて、エイリアンさんがボルネオのジャングル奥地へ行ったときの話しをみんなで聞くことになる。


「ジャングルの夜はやかましいのよ!ガッタンガッタン、キキキキー!そりゃあここらの工事現場のような音がするのよ」


ガルパンの男がいう「それって、金の採掘とかしてる作業音じゃないんですか?」


万作さんが口を挟む、「いや、ボルネオやったらルビーと違う?」


エイリアンはその全てをスルーして話しを続ける。


「それでね、ボルネオのジャングルの奥地にどんどんどんどん進んでいくでしょう!そこになにがあると思う?なんと、リーガロイヤルホテルがあるのよ!」


一同から「おお…」という声があがる。中之島にあるリーガロイヤルが商魂たくましく、ボルネオの奥地にまで触手を伸ばしていたことに呆れるような感嘆の声。


僕が口をひらく、「野獣なんかに遭遇はしなかったのですか?」


エイリアン、「ジャングルでは遭遇せんかったな、ジャングルに野獣なんておらんの違う?」


いやいや、あなたが遭遇しなかっただけで、絶対いるでしょうという反応を皆がする。


エイリアンはその反応を無視して続ける、「でも、そういえば夜になってジャングルを歩いたら、そこいら中で生き物の目が光るのよ。そりゃ光るってレベルじゃなくて、まるで都会のネオンのよう。町があるんじゃないかって光りなんだから!」


ボルネオの話しの途中で僕は自身のたばことミネラルウォーターが切れたのでコンビニに買いに出る。数分後、お店に戻ってくると話しはいつの間にか「豊田商事会長の刺殺事件」になっていた。ボルネオから豊田商事へと、どのような経路を辿ったのか僕は知る由もない。


全員を巻き込んでの話しは留まるところを知らない、夜も更けて、ギタレレの女が名残惜しそうに店をあとにする。エイリアンさんの話しは止まらない。


キッカケは北浜にできた射撃バーだった。


エイリアンがいう、「あそこの射撃バーで、何かの商品を撃ち落としたら100万円くれるっていうイベントをすればいいのに、そしたら行列よ!行列!」


温泉マニアの男がいう、「それって、法律に触れて取り締まりの対象になるんじゃないですか?」


僕がアイデアを挟む、「なら、発想をそのままに応用を考えましょう。パチンコ屋のように三点方式を用いるのはどうでしょうか」


一同がなるほどと、うなずく。


僕は話しを続ける。


「まず、射撃バーで撃ち落とした景品をもって、隣の喫茶店リヴォリで違うものと物々交換します。リヴォリで受けとった何らかをサロン喫茶フレイムハウスに持ち込んで、お金で買い取ってもらいます」


ガルパンの男がいう、「最終的な引換所には、古物商の認可が必要になるかも知れん」


エイリアンが僕のアイデアを推し進める、「サロン喫茶フレイムハウスで何らかのものをもらって、その足で画廊喫茶フレイムハウスにきて、万作さんの絵と交換する。絵なんて値段があってないようなもんだから、最終的にその絵を100万円で転売するという口実で100万円を受け取れるんやない?」


僕がいう、「万作さん、収入印紙が必要になりますね」


一同が爆笑となる。


それで最終的に交換した万作さんの絵を100万円で誰が引き取るのかということに関しては、誰も言及せずに話しはそこで終わった。…かのように思えた。


笑いも落ち着いたあと、ひと呼吸おいてエイリアンさんが口を開く。


「ヒリヒリと焼けつくような町にしたいな、歴史もある、暇を持て余した金持ちもおる、見どころも沢山ある。なのに北浜に足りんもんはなんやの」


僕が即答する、「英気を持て余した、金のない若者」


エイリアンは僕を指さし、口角を上げながら「正解!じゃあ、どうする」という。


僕は答える、「あらゆる事象において、その価値をつけるのは言葉です。文化や歴史や人生を記録するのも言葉であれば、有象無象の美醜云々に先駆けて必要なのがそれらについて語られる言葉です。言葉を失えば、人間は一秒前の自己の存在証明すら誰かに伝達することができません。なので、これからの若者や今の世代に北浜の文化を作らせるため、まずは言葉を編むにふさわしい土壌を提供するのが上策です」


エイリアンは爆笑しながら、「その先は!」という。


僕は「はい、北浜は大阪市から独立して、文芸的な立ち位置では自治州としての確固たる地位を築きます。大阪という地名を知らない外国の人たちでも、キタハマという地名は知っているという状況を将来的に作るのです」と答える。僕は自己のなかに長年あたためていたわけでもない、北浜自治州にむけての構想を一同に伝える。


エイリアンが「よし、資金提供を募ろう、この界隈でA社とB社が大きな資本を持っとるけど、そのどちらを調略する?」


僕が答える「A社とB社のどちらかを選ばないといけないのですか?」


ガルパンの男と斥候の男が「同業者やねん、どっちもいうんはなかなか難しいんやないかな」


僕はそれを聞いて答える「であるなら…、その同業者を結ばせるのです。薩長同盟のように似たもの同士は反発もしますが、結託すれば強い。船中八策については僕に任せていただければ結構です」


エイリアンはいう、「あんたビジョンが見えとるな、見えとるな、おもしろいな、それ、やろか!私のギャラリーをあんたにあげるわ!人脈もなんでも使うたらええわ!」


ええっ!?と一堂が顔を見合わせる。


エイリアンはその仰天を無視して続ける、「こんな面白い話しをな、飲みの席だけのことにしたらアカン、私は作家一本に転職いたします!」と宣言をした。


まず、その場にいる全員で北浜自治州の範囲を決める。


《東》:東横堀川
《西》:御堂筋
《南》:本町筋 ※タッキーの大好きなHOOTERSは残念ながら除外された
《北》:土佐堀


北と東を攻められたとしても、橋を切り落とすことで時間は稼げます。兵力は西の御堂筋側に集中させておきます、南が手薄になりますが、これは段階的に船場センタービルを要塞化することにより、難攻不落の防衛を実現することが可能です。と僕が発言する。


ガルパンの男が「第二次、大坂夏の陣やな」と吹き出しながら、相槌をうつ。


自治州の範囲内に大阪証券取引所がありますので、そこがこちら側にひっくり返るタイミングで独立の宣言日とすることにしましょうと、僕が発言する。


「初代の自治領主は船場吉兆の女将にお願いしませんか?」


「ダメだ、あの女将は今、北新地の住人となった」


エイリアンが「食糧はどうする?」と質問をする。


温泉マニアの男が答える「自分は八尾の人間なので、このパルチザンには加われませんが、農協にツテがあるので食糧の供給はいたしましょう。八尾の枝豆は絶品です」


「兵站は戦略において最重要課題ですので、ありがたいです!」とは、僕の謝辞。


僕も続ける「まず、北浜に住む人たちの意識において「自主独立の気運」を潜在的に盛り立てていくことが重要です。そのためにはいつまでも谷崎潤一郎にしがみつくのではなく、あらたな北浜文学が必要なのです。さも、元々あったかのような北浜気質を作るのです」


エイリアンがいう、「北浜についてやったら、私がこれまでに何冊も書いとる」


「それは例えばどういう話しなのですか?」と訊ねる。


「北浜のタワーマンション同士の住人がな、のぞきあいする話しや。ありとあらゆるところで、こっちとあっちのタワーマンションの住人同士がのぞきあいする話しや」


エイリアンの説明をきいて笑いが止まらなくなった。


「僕は香川県人なんですが、自分の知らないあいだに『うどん県』と言われ続けて、いつの間にか自分は『うどん県』の出身だと無意識に思い込むようになっていました。言葉というのは恐ろしいものです、なかったことをあったことのように記憶や意識を改竄するのですから」


僕がそう説明すると、別府生まれの斥候の男も同調する。


「俺も他人から温泉、温泉といわれて、そのうち自分が温泉に詳しいんじゃないかという気になっとるわ」と。


エイリアンが僕に問う、「自治州の東側、東横堀川を歩いたことがあるか?」


僕は「まだ、歩かない」と答える。


「東横堀川の河川敷には、ここに勝手に植物を植えるなと看板に書いてあるんやけれど、みんなが色んな植物を勝手に植えるから、そりゃあ多彩な植物が野生化して育っとる」


ガルパンの男が合いの手をいれる、「あれ、看板がなかったら、誰も植えんかったん違うやろか」


「僕はその話しを聞いて、ますます、この地が自主独立の気風を作るに適した地だと再認識しましたね」と僕が答える。


エイリアンが最後に「次に会うときは各人が何らかの具体的なプランを持ってくるように」と号令して、北浜の急造パルチザンは解散となった。


深夜の解散と時を同じくして、常連の不思議な女がやってきた。


エイリアンは僕に指示する、「彼女にもあなたのプランを全て説明しておくように」


常連の不思議な女は、私を巻き込まないでくれと苦笑する。


エイリアンも去り、落ち着きを取り戻した店内で不思議な女は、ボソリとこういう。


「独自の通貨を作りましょう」


なるほど、妙案だと僕も賛同する「やっぱり、通貨の単位は『サク(作)』ですよね」


1万作、2万作、3万作、10万作、100万作…。


そういえば、福沢諭吉の立身出世は、この地から始まったのだった。自分の顔が最重要紙幣として扱われていることを彼が知れば、どう思ったであろうか。


僕たちには想像しかできない。


アラフォーおっさんは、これよりエイリアンの住処である異世界へ行って参ります。


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by amori-siberiana | 2017-08-17 14:34 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、当代きっての人生の博打うちが多数集った北浜。そこにある猫のひたいのように小さな店、画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


終戦記念日だった昨日、僕が小さい頃に戦争時代のことについて、うちの祖父や祖母に訊ねても眉間にシワを寄せ苦渋の表情で「あのときのことは思い出したくない」と繰り返しいっていました。


戦争をしてはいけない、悲劇を繰り返してはいけないと人はいいますけれど、今の平和が地球のどこかで起きている戦争のうえに成り立っている平和であるということを僕は知っています。日本の状況を変えるには、今は世界全体の状況を先に変えなければいけません。


骨の折れる作業になります。


人の「正義」の理念は、その人のおかれた社会的環境によって左右されるものであり、想像力が豊かな僕たちだけれど、絶対的な正義というものを僕たち人間はまだ、今のところ発明してはいません。もしかしたら、そういうものはないのかも知れません。


つまり、一番怖いものは「ない」ものを「ある」と決定づけて、暴走させてしまうことです。夏目漱石はその著書のなかで「大和魂」と「天狗」は同じ類である、誰もが口にはするけれど、その実態を見たものは誰もいないと書いています。漱石がそれを書いた当時、日露戦争の開戦前夜だったでしょうか。


個人の暴走は取りたてて何の問題もありませんが、集団の暴走はその速度感や容赦のない残忍さなどで、脅威となることは歴史であったりニーチェの言葉が僕たちに教えてくれます。


僕は音楽のシーンから遠ざかったあと、他国で起きる戦争や日本では報道されないトラブルなどの情報を出すことで、自分たちの会社のビジネスを成立させていました。世の中には本当に語れない仕事があるものです。部分的に戦争ビジネスだったのか?といわれれば、その要因がゼロではなかったと答えるでしょう。


学歴のない僕ですが、情報戦略と文章だけで恐ろしいほどの給与(役員報酬込み)をもらっていました。もちろん、そういった技術面において他の人より少しばかり卓越していたことは確かです。


本当にウンザリしました。それにとんでもないストレスを抱えていました。だから休日の日などはいつも都会から離れて、山のなかで過ごしていました。長野から大阪の会社へ通うというようなことも何度もありました。


山の中で見上げる星空。普遍的な宇宙の法則によってのみ動く天体をみることで自分を取り戻そうとしていたのだろうかと、今になって振り返っています。


世界中のあらゆるところで戦争は起きていて、そしてそれは同時多発的な混乱とともに拡散、波及していくものでした。毎日、毎日、新しい戦争が世界のどこかで引き起こされていました。情報収集すればするほど、幾つでも出てくるのでした。


知らないということは、それは無かったことと同じである。


これは僕の先輩であるジャーナリストの人からもらった言葉です。人間には想像力があります。でも、想像力というものは包丁と同じだと僕は考えます。包丁を使って人にたいしてもてなしの料理を作ることもできれば、包丁を使って人を刺し殺すこともできます。


だから、想像力というものは大切に使いたいものです。


いつか人類にとっての終戦記念日がくる、その日、僕はとびっきりのお酒でみんなと乾杯したいです。


自分や仲間たちで作った会社が、一人のバカ野郎とその背後の無数の妖怪による、会社の運転資金の使い込みが原因で解散になると決まったとき、内心、ホッとした僕がいました。やっと、この狂った日常から解放されるのかと。


人の血や涙で商売するより、人を笑顔にすることを商売にするほうが、稼ぎは100分の1だとしても、自分には似合った服のような気がしています。


戦争、「賛成」や「反対」のまえに、戦争の本質について僕たちはもっともっと勉強していき、想像力の賢い使いかたを次の世代にバトンタッチできれば、よりよく生きたことになるのではないでしょうか。


僕がひとつ知っていること。


戦争の原因は、「自分の心のなかにある、戦争を欲する気持ち」に他なりません。これは消すことはできません、このエネルギーたるや凄まじいもので、人間が生きていくゆえに必要なモチベーションとしては最たるものです。


それを抹消するには無理がありますから、他に有効利用できる方法をみんなで考えましょう。


さて、前置きが長くなりましたが、昨日の昼にお店へ行ってみると、韓国からのカップルの旅行者がランチを食べており、ブログをみて名古屋からわざわざ来てくれたネギマの女がフレンチトーストを版画家の柿坂万作さんに注文したところでした。


フレイムハウスのフレンチトースト、普段は南船場にある「き多や」さんのフランスパンを使いますが、パン屋さんもあいにくのお盆休みなので万作さんがフレスコで買ってきてのフレンチトーストでした。若干、遅れて星師匠もフレンチトーストを食べに来店されました。


そして、お客さまが帰られたあと、画廊喫茶フレイムハウスの(7月10日~8月10日まで)月次収支を出すため会議をしました。


「万作さん、もうどこからも借金や滞納ありませんよね?」


「ええと、電気代を払うた記憶がないんやけど、阿守さん、こそっと払うてくれました?」


「いや、そんな内助の功みたいな機転、僕にはないんでそのまま溜まってるんじゃないですか?」


「払うたかな、払ってへんかな、うーん、こればっかりはわからんな」


「大丈夫です、僕が関西電力に問い合わせて聞いてみます」


・・・・。


「万作さん、4万円の電気代の滞納があるみたいですね」


「ワシ、厨房で小そうなっとってもええですか?」


「小さくならなくていいです、僕がまとめてコンビニで払っておきますから」


「すんません、いつかアレが完成したら、ワシんとこには何百億もの金が入ってくる予定なんで、そんときに返します」


アレが完成する日がそう遠くない日であるのかないのか僕にはわからないが、アレを形成する部品はすべて東急ハンズで買えるということは僕でもわかる。


「それで、阿守さんは給料が出てますの?」


「そうですね、投資分を省いてちょっと計算してみます。」


今月の粗利から経費とか万作さんへの給与とか滞納とか借金を差し引いて…。


僕の今月の給料は3000円足らずだった。


時給に換算すると…、苦笑しながらナンセンスなことを考えていると頭が痛くなり、顔から笑顔が消えたことが自分でわかったので、そのままロダンの考える人の格好で店からおいとまさせてもらい、コンビニで電気代を払ったあと、僕はベッドの上で長い長い眠りに入った。


みなさまのおかげで売り上げはこの一か月で2.2倍~2.7倍になりました。万作さんが滞納していたもの、借金していたもの、それもしっかりと支払うことができました。


つまり、ようやくスタート地点に立てました。


今後とも画廊喫茶フレイムハウスをどうぞお見守りください。


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by amori-siberiana | 2017-08-16 17:27 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、将来は「ミスター北浜」と呼ばれるようになり、中学校の公民の教科書に載って、後世の受験生の頭を悩ませるような存在になりたい阿守です。今は、猫のひたいのような小さな店、画廊喫茶フレイムハウスを経営しております。


昨日、朝からオフィスにてアメリカ帰りの起業家の男とビジネスの話しをしていました。その男は若い好青年であり、端正な顔つきに引き締まった肉体、屈託のない笑顔という、僕にはないものを持っています。そんな彼が社会貢献にもなるイベントをしていると聞いたので、それなら是非に画廊喫茶フレイムハウスを使ってくれとお願いしました。


「もしかしたら、僕のイベントには誰も来ないかもしれないけれど、お店にとってそれがリスクにはなりませんか?」と彼は僕に訊いてくれます。


「心配ない、そもそもイベントがなくてもジリ貧なんだから、僕がお店を少しばかり自由にできるあいだは、意義あることに使いたい。それが成功した、失敗したはその後の自分が考えればいい。」とは僕。


彼はこう反応する。


「実はこういうイベントで収益が出たら、そのすべてを寄付へ回すようにします」


僕はこう返す。


「そうしよう、金っていうのは、その金を必要とする人が自由に使えるようになるべきだよ。」


「ほんと微々たる額なんで恥ずかしいんですけど…」


「微々たる額に込められた大きな理想、それで結構じゃないか」とは口にして言わず、僕は心のなかでツイートするにとどめて、彼の話しを聞いていました。


それで決まったのが8月19日(土)の夜のイベントなのですが、こちらについてはイベントの項目にてご紹介させていただきます。


8月19日のイベントのことを版画家の柿坂万作さんに伝えるため、僕は昼過ぎにはオフィスを後にしてお店に向かいました。すると、珍しいことに常連客のガルパンの男が来店しているのです。僕は太陽があがっている時間に彼を目撃するのは、初めてかも知れません。万作さんは、やっぱり何に使うのかまったくわからない物品を黙々と工作している。


その姿に僕は自身の郷土の文人である菊池寛の短編小説、「恩讐の彼方に」の主人公である市九郎を重ねてしまうのである。


《あらすじ》


豊岡生まれの版画家、柿坂万作は、主人である浅草田原町の旗本、中川三郎兵衛の愛妾であるお弓と密通し、それが三郎兵衛の知るところとなり、手討ちされそうになる。とっさに反撃に出た万作は、逆に三郎兵衛を斬ってしまう。万作は、茶屋の女中上がりのお弓にそそのかされて出奔、中川家は家事不取締に付き、お家断絶と沙汰される。


大坂の北浜で喫茶店を開いた万作とお弓は、表の顔は喫茶店の夫婦であるが、その裏で人斬り強盗を生業として暮らしていた。


江戸出奔から3年目の春、自らの罪業に恐れをなした万作は、お弓の許を離れ、美濃国大垣在の真言宗美濃僧録の寺である浄願寺で、明遍大徳の慈悲によって出家を果たし、法名を了海と名乗り、滅罪のために全国行脚の旅に出た。


享保9年(1724年)8月、赤間ヶ関、小倉を経て、豊前国に入った万作は、宇佐八幡宮に参拝し、山国川沿いにある耆闍崛山羅漢寺を目指した。樋田郷に入った万作は、難所である鎖渡しで事故によって亡くなった馬子に遭遇した。


そこで、その難所の岩場を掘削して、事故で命を落とす者を救うため、世界で初めてのワープ装置を作るという誓願を立てる。その誓願以来、万作は自身の発明のため某国のFBIなる機関から自分の命が狙われているのではないかという、妄想に悩むこととなる。


といった具合である。


…これ以上、話しを掘削しても何も出てこないので先に進むこととする。


ランチの時間が終わり、ガルパンの男は帰路につき、万作さんはお風呂へ出かけ、僕はお店でギターの練習をしていた。


通常の開店より少し早めの時間、宗教画のモデルの女が階段をのぼってやってくる。彼女はベラルーシ(首都:ミンスク)と日本のハーフなのだそうだ。実は完全な日本人だが、そのハーフっぽい顔立ちのため、いちいち説明するのが面倒くさいのでベラルーシと日本のハーフということにした。


ガタっと締まりの悪いガラス戸が開かれ、女が開口一番、こういう。


「阿守さん、お店の前で迷ってる人がおったから、一緒に連れてきたけど入ってもろてもええ?」


顔に似合わず、ベタベタの大阪弁である。


いや、そんなことはどうでもよくて、そうではなく今日一日のハプニングをもたらせてくれそうな朗報である。とにかくこの画廊喫茶フレイムハウスほど「迷ってる人」が似合う喫茶店もなかろう。道に迷う、人生に迷う、ただただ彷徨う、そのいずれもウェルカムなのがこの猫のひたいのような小さな店。


「どうぞどうぞ、入ってもらってください」


「おいでー、入ってええってよー」、宗教画の女に招き入れられて、ネギマ(自称)の女はいそいそと門扉をくぐり、フレイムハウスに初登場である。


聞くところによると僕の書いてるブログをみて、興味がわいたそうでお盆休みを利用して名古屋から来てくれたとのこと。方向音痴のために北浜までなんとか到着したはいいものの、店の所在地がわからずに北浜あたりを迷っていて、やっとのことで店の前まで到着したのだそうだ。お暑いなか遠路はるばる、ご苦労さまでした。


朝に名古屋をでて、フレイムハウスに到着するのが夕方なのだから、これは結構なグレートジャーニーである。なんでも日帰りのつもりで来ているので、名古屋へ帰るには「20時くらいの電車に乗らないといけない」とネギマの女はいう。


20時がタイムリミットか、ここでは一瞬だぞと僕は思った。


そうこうしているうちに、海賊の末裔のフリーランスライターの女、そして履歴書の女、データ出力の男、常連の不思議な女、青いカーデガンの女という具合にお客さまが続々と来店されて、取り留めのない話題で宴会となる。


宴もクライマックスを迎えようとしていた頃合いには、韓国からの旅行者(カップル)も店にやってきてオムライスと焼きそばを食べる。


「これからこのカップルのために歓迎の音楽をみんなで歌おうよ」と宗教画の女の無茶ぶりが炸裂する。僕の目の前におかれた楽譜には「津軽海峡 冬景色」と書かれていたので、そこに書かれてあるままにAm(イ短調)を弾きだす、歌いだしたのは名古屋からやってきたネギマの女であった。


あ~あ~、津軽海峡~、冬、げ~し~き~♪


ネギマの女は見事に歌い上げ、店内から拍手と歓声が飛び交った。カップルの旅行者は何度も「ありがとうございます」を繰り返して、珍妙な共同体ができあがった。


時間は夜の23時くらい。


ネギマの女は名古屋へ帰るタイミングをすっかり逃していた。

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by amori-siberiana | 2017-08-15 16:36 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、大阪は由緒ある北浜にて画廊喫茶フレイムハウスなるものを、人生の大博打として経営している阿守と申します。


このお店は版画家の柿坂万作さんが細々と営んでおられましたが、あまりにも細すぎて、電子顕微鏡で見ないと確認できないほどの先細りとなっておりましたので、この若輩の僕が恐れ多くもサポートするという事態となりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


さて、昨日はTwitterでもつぶやいたように、元SHEENAのバイオリニストの山本さん(ヤッチ)が陣中見舞いに駆けつけてくれました。「開運」と書かれた日本酒をいただきまして、その場でヤッチと万作さんと僕で開栓いたしましたが、その数時間後には一升瓶がカラになっていました。クセがなく、するりと喉をとおっていく心地のよいお酒でした。


大酒のみの万作さんいわく


「こないな美味い酒は、なんかこう、細胞の隅々にまですんなり吸収されますなぁ」とのこと。


このブログには「山本」という姓が何度か登場してきますので、このあたりで一度、整理をしておきましょう。


【A】まず、イベントのときに特別ゲストで来てくれるベーシストの山本さんは、SIBERIAN NEWSPAPERの人で今は電気工事士の免許をもつ山本さんです。通称は「山さん」。


【B】今回、日本酒をもってきてくれた山本さんは、元SHEENAというアイリッシュ9人組のバンドをしてらして、今は電気工事士の免許をもち、スタジオ経営をされている山本さんです。通称は「ヤッチ」。


【C】8月20日に出演してくれる「Cocopeliena(ココペリーナ)」のギタリストの山本さんは、Bの山本さんの弟です。こちらは電気工事士の免許をもっているのかどうかわかりませんが、Bの山本さんと一緒にスタジオ経営をしています。通称は「ひろしくん」。


最近はAの山本さんからBの山本さんの弟であるCの山本さんに音楽関係で連絡があるそうで、相互の交流は豊かなようです。


【D】最後に、SIBERIAN NEWSPAPERのイギリス公演の面倒をみてくれたり、あらゆる方面でお世話になった山本さん。お名前はCの山本さんと同じで「ひろしくん」ですが、こちらのひろしくんの年齢は70才をゆうに超えていらっしゃいます。この山本さんはAの山本さんのお父様であり、BやCの山本さんとは今のところ関係は希薄です。通称は「ドクトール」。


電気工事士の免許をもっているかどうかは、定かではありません。


いつか、A~Dの山本さんを集結させてバンドを結成して、フランク・シナトラの「マイウェイ」を演奏していただきたいです。


万作さんが作ってくれた酒の肴をつまみ、酒を飲みながら久しぶりのヤッチと音楽や文学や芸術やビジネスの話しをしてましたが、話題は尽きないものです。ヤッチはしきりに「音楽がわかんなくなってきました」と嬉しそうに語る彼の目は、いたずらっぽく、それでいて魅力的です。


二人で談笑していると、オーストリアから来られたご夫婦がご来店されました。ヤッチが「あのお二人にもお酒をすすめていいですかね」というので、僕が彼らのコップに酒を注ぐと、彼らは会釈してそれを静かに飲み干しました。


ちょうどそのタイミングで先日、画廊喫茶フレイムハウスでイベントをしてくれたポッポーず♪のお二人(歌:川口さん、ギター:古池さん)が来られました。僕は先日、星を見にいっていたことによる店での不在をお詫びしました。お二人はその非礼を寛容に許してくださいました。そしてやっぱりお二人の目の前にもヤッチの酒が注がれて、そこからは飲めや歌えやです。いちいち文字にせずともご想像いただけるでしょう。


世の中のそこいら中である不変の酔っぱらいの光景そのままです。洋の東西を問わず、歴史の新旧を問わず、人間とアルコールの団結した友情によって演出される寸劇。


ヤッチはCの「ひろしくん」に一人でスタジオを任せておくのも気の毒だからと店を後にし、それと交代のタイミングでアメリカ人の男性のお客さまが来られて、やっぱり彼のコップにもヤッチの酒が注がれます。サンフランシスコで車のディーラーをしている彼の図体はたくましいもので、これは万作さんと腕相撲になるんじゃないかと懸念していましたが、その懸念は不要でした。


万作さんは先日のチンピラの男との一戦で腕に爆弾を抱えているからです。のるかそるかわからない戦いをどうしてするのか、「戦いに勝つには、戦いの前にすでに勝っておくことが重要」と考える僕としてはまったくその心境は解りませんが、そこには何かあるのでしょう。


最後に超常連のガルパンの男がご来店されたとき、宴はクライマックスを迎えており、古池さんと僕とでアコースティック・ギターをどれだけ速く弾けるかのようなことになり、変な力みがあったのでしょう、結果的に僕も右腕に爆弾を抱えることになりました。


なるほど、前述の腕相撲うんぬんは、こういう心境なのですね。


フレイムハウスは本日も休まず、営業しております。


※8月31日(木)のランチ営業は万作さん主催の絵画教室のため、お休みさせていただきます。


ヤッチさんのスタジオ

◆https://studio.orque.jp/



ポッポーず♪さんのホームページ

◆http://popozu.wixsite.com/popozu/about-poppozu


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by amori-siberiana | 2017-08-14 13:04 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北浜にある猫のひたいのような小さな店、画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


昨日は私用でお店に出ていませんでしたので、一昨日の話しをいたします。


と…、ここまで書いて、そのまま寝落ちしてしまっておりました。いやはや、昨夜のペルセウス流星群での夜更かしは、月が出てきたのをキッカケとして、夜空に見切りをつけたのに悪夢にうなされて目が覚め、そこからあまり眠れなかったのです。


今朝になって眠気まなこにフラフラしながら山から下りてきました、大台ケ原へ行って帰ってきただけでも、もっていたペットボトルが気圧によってひしゃげているのには驚きます。


さて、一昨日の話し。僕と星師匠でお店に行ってみると久しぶりにハイタッチの男が来ており、友人のチンピラ(自称)の男性を連れてハイボールを飲んでいました。チンピラの男の左腕にはエルンスト・チェ・ゲバラの見事なタトゥーが入っており、多分、話題がゲバラになっていると僕と朝まで何時間も語り続けられそうなので、お互いにゲバラの話題は控えました。


その二人と一緒にいるのが、どういうわけかフレイムハウスに迷い込んできた、写真家の女。最初はハイタッチの男の席で談笑しているので、彼の友人かと思っていたのですが、このお店で初対面だとのこと。


ハイタッチの男が僕に紹介してくれます。


「阿守さん、この女性、今出会ったのですけれど星を撮影するのが仕事なのだそうですよ」


「えっ!そうなんですか、実は僕も星が好きなのです。明日の流星群は撮影しに行かれるのですか?」


写真家の女はニッコリと笑って、「ええ、吉野方面に行く予定です」と返答する。


チンピラの男が口を開く。


「星を見て喜ぶ奴の気が知れない。そこに何があるのか?セクシャリティを感じているのではないか」


僕は受け答える「そこにセクシャリティがあるのかないのか、そのセクシャリティという言葉がどんなことを内包しているかによりますね。」


「つまり?」とチンピラの男がいう。


「はい、つまり、セクシャリティが意味するものが単純にセックスだけを意味するのであれば、それはNOですけれど、その言葉のなかにエレガントとかノスタルジーとか好奇心とか他の要素が含まれるのであれば、YESということになります」


「なるほど」とチンピラの男はうなずき、そこから言葉と酒を注ぎ足す。


「兄さん(僕のこと)と姉さん(写真家の女のこと)がたは、星を見に吉野へ行くという。俺は星はよくわからんが、吉野に行くというのは共感できる」


ハイタッチの男は電子タバコを吸いながら、ニコニコとみんなの会話を聞いている。


チンピラの男が続ける「以前、萌の朱雀という映画を見たとき。その映画の舞台が吉野であり、そこに描かれている吉野の風景に俺は魅せられた。点というか線というか、そういった美しさを感じた。吉野、そこではありふれた風景であるものを巧みに切り取った、そのカメラワークはすごいものだった」


僕は笑いながら共感した。「チンピラが見る映画にしては、えらく不似合いなものが出てきました。ワイルドスピードとかミナミの帝王の劇場版とかじゃないんですね」。


チンピラの男も笑いながらいう、「その映画をみてね、俺もカメラを持って吉野へ入ったんですよ。あまりバシャバシャするのも余計だとおもって、9枚だけ写真を撮りましたが、結果としては残念なものだったのですよ」。


その話しを聞いて僕は「いい映画って、フラクタルなんですよね」という、即座にチンピラの男が「そう!それ!フラクタル。マクロとミクロ、ミクロとマクロ。そのどちらにも通じて全体に流れてる何かを捉えきれなかったということなんです」と応答する。


写真家の女と星師匠もところどころで話しに加わってきて持論を述べる。


その夜は星を見る理由について、延々と話しをすることとなった。その会話はまるで自分の心のなかの階段を下りて行くような、とても愉快な経験を伴うものでした。


チンピラの男が僕にいう「兄さん、いいメガネしてるね。モスコットのレミトッシュ?」。正解だと僕が伝えると、チンピラの男もカバンから自分のメガネを取りだす、これまた素晴らしいメガネだ。


「俺はヘミングウェイが大好きでね、だからこのメガネも彼と合わせてるんですよ」とチンピラの男がいう、僕が「やっぱり、ライオンになった夢を見ながら死にたいですか?」と応答すると、二人のあいだに「老人と海」の一節が浮かび、お互いにニヤッとする。


そのまま酔っ払いたちは各人のメガネをそれぞれ交換して、かけては外し、かけては外しをしてみる。やっぱり、メガネの持ち主本人以上にそのメガネが似合う人間はいないものだと納得する。酔っ払いのすることはよくわからない。


そのまま、どういう経緯か万作さんとチンピラの男が腕相撲をすることになる。右腕は万作さんの勝利で左腕はチンピラの男の勝利。


そしてその日は深夜に散開となった。僕と星師匠と写真家の女は星を見るに備えて、チンピラの男は8時25分だかに絶対仕事へ行くために、ハイタッチの男は出張へ行くため、万作さんは明日の営業のため、それぞれがそれぞれの寝床へ帰った。


翌朝、僕のヤフーのメールにチンピラの男から連絡があった。


メガネが無くなったとのこと。ライオンに食われたか。


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by amori-siberiana | 2017-08-13 17:42 | 雑記 | Comments(0)

世間は今日からお盆休み。明日はいよいよペルセウス流星群が極大の日。どこへ行くにも金がかかり混雑するこの時期にやってくる、流星の世知辛い感じに、宇宙の無情を知る今日この頃です。もっと時期を選んでくれ!流星さんたちよ。


こんにちは、北浜にある猫のひたいのように小さな店、画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


さて、明日に雨でも降ってくれると天体観測への未練も打ち切れるのだが…、なるほど「晴れ」!。


昨日はお店のお客さんから天体観測用に寝ころべるマットをいただきました、これは夜間に土足のままで寝転がって星をみても、マットに傷がつかないようできている優れもので、星をみる人の星をみるがためのアイテムです。行こうか行くまいか迷っていると、常連の不思議な女も「阿守さんが星と天秤にかけて心惑わされる何があるのか」と。それ名言です、いただきます。


星と天秤にかけるもの…、そりゃ言いたかないけれど「お金」です。だって遊べるような身分じゃないのですから、仕方がないじゃありませんか。




死のうと思っていた。
ことしの正月、よそから着物を一反もらった。
お年玉としてである。
着物の布地は麻であった。
鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。
これは夏に着る着物であろう。
夏まで生きていようと思った。


太宰治 「葉」




人生を左右するのは、着物一枚である場合もしかりなのであるから、世の中とはおもしろいものである。今、世論は僕に対して、星でも見てくるがよかろうと提言してくださっている。


とはいっても、お盆休み中なので大台ケ原の山荘も混雑していることだろう。以前に随分と山荘のご亭主から日本酒を飲まされた記憶がよみがえってくる。幻の酒といわれたが、幻もコップ三杯目になってくると、幻なのだかまどろみなのだか解らなくなっていた。そして僕がニューヨークへ行くキッカケになったのも、この山荘からだった。


一応、空室状況を確認してみる。そうですか…、一室だけ空きがありますか。はい、阿守孝夫で予約をお願いします。


とはいっても、お盆休み中なのでレンタカーの予約も一杯で取れないことでしょう。これまで借りた車で林道や廃道を走りまくり、携帯の電波すら届かないような場所でパンクを繰り返してきた僕に貸してくれる車などあるものか。今となってはタイヤ交換はお手のものだ。車なしで大台ケ原山頂なんて到底たどり着けるわけがない、バス停で待ってるあいだにトトロとか猫バスとかに遭遇しそうな地。


一応、レンタカーの予約状況を確認してみる。そうですか…、無理にでも一台用意してくれますか。ありがとうございます、はい、阿守孝夫で予約をお願いします。


みなさん、僕、望遠鏡を抱えて星を見に行きます。なので明日はお店にいません。


やったー!


時間的に月が邪魔だけど、アンドロメダ銀河が見れれば僕は満たされる。宇宙の向こう側からこっちの天の川銀河を望遠鏡でのぞいてる、猫のひたいのような小さなカフェの冴えないヒゲ面がいるかもという可能性は、高い。

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by amori-siberiana | 2017-08-11 13:41 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北浜にある猫のひたいのような小さな店、画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


今日も暑うござんす。みなさま水分補給にはお気をつけてくれぐれも行動するようにしてください。歩かなければ事故には遭いません、歩かなければ事故には遭わないのです。


僕の知り合いの統計学者は選挙に行きません。僕がどうしてなのかを訊いてみると、「計算してみると、自分の一票を投じて自分の思うような選挙結果を得られる確率よりも、投票へいく途上で自分が交通事故に遭う可能性の方が上回っているから。だから行かない。」とのことです。なるほどいろいろと理由はつけれるものだ。


僕は昨日の昼過ぎに、8月20日(日)のイベントに出演される、アイリッシュ(ケルト民謡)のバンド「Cocopeliena」さんがレコーディング中ということで、あいさつと陣中見舞いを兼ねて彼らが籠っているレコーディングスタジオにお邪魔してきました。


いやはや、レコーディングしている風景なんて見るのは何年ぶりだろうか。


ここのスタジオは以前にもお邪魔したことがあります。シベリアンニュースペーパーをしていたとき、バイオリンの雄作さんが「YUSAKU 06」という新曲のデモを作ってこられました。この新曲のデモを僕が聴いたとき、この曲ではマンドリンを使いたいと熱烈に思いましたが、僕の手元にはマンドリンがなかったので、Cocopelienaのギタリストの山本さんのお兄さんにお願いして借りることにしたのです。


そのマンドリンを受け取りに来たのがここのスタジオでした。僕の薄焼きタマゴのような当時の曖昧な記憶にあるスタジオ風景と比べて、今の充実したスタジオ設備は努力の結晶だなと感じ入ることになりました。ちなみに「YUSAKU 06」は後に「GOODSPEED」というタイトルの曲として発表されることになります。


僕もマンドリンを持っていたはずなんですが、どこでどうしたのか、まったく記憶にありません。「ボクの村は戦場だった」の間奏でもマンドリンを弾いてるので所有していたと思うのだが…。はて?


それはさておき、僕が心斎橋で働いていたころ、時折、風に乗ってアイリッシュの音楽が聴こえてくることがあった。いつからか、その音は聴こえなくなってしまったが、人が外套の襟を立てて歩くような凍える日でもアイルランド民謡が聴こえてきていて、とても幸せな気持ちになったものだ。
そこにはいつも山本さんの弾く、ギターのご機嫌な音が含まれていた。


ああ、彼ら、彼女らも元気でしているのだと。文字どおり、風の便りで知っていた。





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by amori-siberiana | 2017-08-10 13:54 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北浜にある猫のひたいのように小さな店、画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


昨日はお昼にフレイムハウスでフレンチトーストをいただきました。北浜の同じオフィス内にいる同僚も連れていき、彼は独創性溢れる万作さんが編み出した「中華エスニック」なる料理を食べて、おいしいと吐息を漏らしておりました。


「ワシよういうてますねん、料理は一流、絵は二流」とは万作さん自身のことばです。


どうしてそれなら料理人にならなかったのかというのはこの際は愚問です。どうにもならないことも世の中あるものです。


夜は常連の不思議な女、ガルパン(ガールズ&パンツァーの略)の男、ガルパンの男の知り合い、温泉旅の男、そしていきなりやってきた「え!?」のおじさんで賑わっておりました。


「え!?」のおじさんの「え」の発音は難しいのです。「え」と「け」の間のニュアンスで舌を鳴らすように歯切れよく、「え!?」と発音しなければいけません。なので言葉にすると「けぇっ!?」なんですが、この「け」にも若干ながら「こ」が含まれているような発音になるので、文字にすると「こけぇっ!?」となります。


ただ、これをそのまま文字通りに発音してしまうと、ニワトリになってしまうので、素早く一文字のように「こけぇっ!?」と可愛らしく発音するのが特徴です。


「え!?」のおじさんは、画廊喫茶フレイムハウスのオーディオ部門の担当のお客さまで、お店にあるオーディオ機器に関しては、そのすべてが「え!?」のおじさんの寄付によって成り立っています。


おじさんは何か疑問があるたびに独特の「え!?」を発音しますが、これが聞けたときは僕は内心で「やった、今日は聞けた」とガッツポーズすることもしばしば。


おじさんは「俺は音楽なんてまったくわからん、楽器なんて弾いたこともない。あんた、ちょっとギターくらい教えてくれ」と僕に言いますが、酔っぱらうとおじさんは流暢にギターを弾いてくださいます。一体、何なのでしょう。


フレイムハウスにあるオーディオでおじさんが持って帰りたいものがあるからと、取りに来られましたが、僕と常連さんでギターを弾いていると、半パンの「え!?」おじさんはノリノリでコンガを叩き出します。フレイムハウスではよく見られる光景のひとつ、行先不明のジャムセッションです。


音楽の素養のないはずの「え!?」おじさんは、ガルパンの男に向けて唐突にブルースのコード進行の理解が違うと言いだします。自分は1969年のウッドストックのときアメリカに住んでいたが、ウッドストックなんてものがあることすら知らなかったのだとの昔話もしてくれました。


そのうち、井上陽水の「傘がない」をおじさんが弾きだしたので僕も見よう見真似で合わせてみました。演奏が終わったあとおじさんが「阿守さん、俺、今度ベースもってくるから、一緒にやろ。ベース練習してくるわ」と言い残してお帰りになられました。なんでもできるんですね。


店には僕や常連さんと、「え!?」おじさんが来店の目的として、取りに来たはずであろうオーディオがひっそりと残るだけとなりました。


そうだ、昨日、昼の土砂降りのとき、同僚のやつに傘を貸したままだから返してもらわないと。


24本の骨があり頑丈で、いい傘なんだ。

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by amori-siberiana | 2017-08-09 14:12 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北浜にある画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


フレイムハウスの隣にはフレイムハウスというお店があります。いろんな人から紛らわしいので店の名前を変えたほうがいいんじゃないかと助言をいただきますが、そこにいたるにはあらゆる物語があります。この訳のわからなさ、商売においてデメリットしか生みださない状況、僕はとても好きです。


なんでも割り切れてしまい、白か黒かで決着をつけなくてはいけないような世の中で、曖昧なものが残っていることは、それ自体が文楽のような気がするわけです。それに、ごくたまにですが、隣のフレイムハウスと間違えたお客さまが勇気を絞りだし、階段を昇り、版画家の柿坂万作が待ち構える場所へたどり着くこともあります。


タクラマカン砂漠のタクラマカンとは、現地のことばで「生きては戻れぬ」という意味があるそうですが、今のところ二階のフレイムハウスに上がっても、忽然と消えた人はいないそうです。


フレイムハウスは三階建てです。三階には万作さんの居住スペース兼アトリエ、そして浴場となっています。


先日、お店に行ってみると万作さんが開口一番、こういいます。


「あぁ…、阿守さん、ワシ、やってしまいました。言おうか言わんとこうか、迷うたんですけど、やっぱりこれは言うとかなあかんやろな。いうことで。」


大体、三日に一度のペースで万作さんは、こういう感じのニュアンスで僕に挨拶してくださいます。


「いつもお疲れ様です、万作さん。どうされたんですか?」


「いやぁ、ワシの行水用のビニールプールが破裂して、水浸しになってもうたんです」


行水用のプールとは三階のアトリエにある空気で膨らませるスタイルの子供用のプールで、万作さんは毎日そこに水を入れては、ぷかぷかと浮かんでいるのです。もちろん、その浮かんでる現場を僕は見たことはありませんし、今生でも来世でも見たいとは思いません。心底。


「ええ!?破裂したっていうのは、それ何時くらいのことなんですか!?」


「ええと、ええと、ワシの留守中のことやから、多分、夕方前のことやと思います。ワシがランチ終わって、コンビニに漫画を立ち読みしとるあいだやと思います」


「それで、被害は!?借りものの椅子とか楽器とか絵画とか大丈夫なんですか?」


「それは大丈夫なんやけれど、二階にまで水が溢れてきて、雨漏りしとるみたいになっとるんです」


「まあ、それは乾けばなんとかなるでしょう。ただ、天井は梁を作って補強したほうがいいかも知れませんね」


「阿守さん、ワシね、思うんです」


「はい、万作さんは何を思うんですか?」


「これは謀略やないかと思うんです。何者かが店に侵入して、ワシのおらんことを見越して、ワシのプールを破裂させたという可能性があるんやないかと、ワシは思うとるんです。これは謀略やなと」


ワシの独創性のある見事な捜査能力は必見に値するかも知れませんが、どこの世界にわざわざアラフィフのおっさんのダシが効いたプールを破裂させて、喜ぶ輩がいるのか。百歩譲ってそういう輩がいるとして、探すのに時間がかかりそうなので、自然破裂ということにしました。


そんな、万作さんはもう何年もかけて「あるもの」を製作しています。「阿守さん、ブログに何を書いてもええんやけど、このことだけは書かんといてくださいよ。これ明るみになったら、ワシ、国から殺されますよって」とギョロリとした眼球と貫く意志で訴えかけてくる孤高の版画家。


「わかりました、あのことについては僕は一切、言及しません」と約束をしました。


イベントの日、トイレを利用するお客さまなどが三階に来られたときには、アレをどこへ隠すのだろうと僕は興味をもって観察していました。


案の定、アレは、出しっぱなしでした。


そんな万作さんは新しいプールを買って、「なんか違うんよな…」と体は浮きながら、心は浮かない様相であります。まさかプールを買ったときのレジの人も、この購入者が自分で入るとは想像もつかないことでしょう。経験律はイマジネーションを阻害してしまうものです。時には。


僕がお客さま目線になったとき、それより気になるのは三階のトイレの中にある白衣やねんな…。いろんな人から「アレは万作さんの趣味なんですか?」と訊かれたんですけれど、ごめんなさい!僕も知りません!


知りたくもありませんんんっ!


そんなフレイムハウスは絶賛、フレンチトーストをはじめました!


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by amori-siberiana | 2017-08-08 12:27 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北浜にある猫のひたいのように小さな店、画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


台風が大阪に来ているので、朝から風が強く、人通りもまばらで不穏な雲が南から北へと流れている今日です。


フレイムハウスのお盆休みの予定を以下に記しておきます。


【8月中は休みなし】


以上です。僕も版画家の柿坂万作さんも実家へ帰りません。万作さんなんて15年ほど故郷に帰っていないそうなので、帰りかたが解らないのだそうです。


今からそれこそ15年ほど前の夏。僕は小説家の平尾さんと一緒にイギリスのリバプールの安宿に連泊していました。ビートルズのお膝元である「キャバンクラブ」で演奏するために、その安宿で待機していたのですが、寝て待つ以外は他にすることもありませんでした。


その安宿(バックパッカーズ・ホステル)で宿直をしていたのがアンドリューという小太りでヒゲ面のオーストラリア人でした。僕が彼に故郷へ帰らないのか?と訊ねてみると、彼は「ここからオーストラリアはあまりに遠すぎて、帰る気が起こらないのだ」と両肩をすくめながら答えてくれました。


万作さんがお盆に帰省もせず、セミの扇子を描いている姿をみていると、僕はリバプールにいた頃に出会ったアンドリューと重ねてしまうのです。


さて土曜日、阿守は久しぶりにお休みをいただきました。万作さんにお店を任せて半日ほど、ぐっすりと熟睡しました。


そして、昨日の日曜日。歌手志望の男が僕に会いたいと連絡をくれたので、お店で一緒に作曲をして遊んでいました。小さな音楽事務所に所属しているという彼は最近になって会社の正社員を辞めてミュージシャンを目指しているとのこと。


僕が彼に自分の曲はあるのか?と問うと、歌詞は沢山あるけれどまだ曲はないのだという。その状態で事務所に入れてしまうのは、ちょっとキナ臭いなと思いました。余計なお節介かも知れないけれど、若いシンガーソングライターに訳のわからない音楽事務所というコンビセットは、不幸の第一歩の方程式ですから。


そりゃ、誰だって自分が事務所に所属しているという名目は欲しいものです。だけれどその実情といえば、惨憺たるものです。


なので、僕はその辺の音楽ビジネスの闇を知っている男、闇のなかの闇。闇こそ俺の生きる場所と豪語していた、盟友(アミーゴ)のタカハシン・コルテスに来てもらうことにしました。


…待つこと、10分。


登場したアミーゴの髪形がネイマールになっていました。


台風の最中、画廊喫茶フレイムハウスは新メニュー「版画家のフレンチトースト」をスタートするかも知れません。南船場のパン屋、き多やさんにバゲットが残ってるかどうか、確かめてきてからです!


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by amori-siberiana | 2017-08-07 11:27 | 雑記 | Comments(2)


北浜のビジネス街にある、昭和レトロなカフェのブログです。            大阪市中央区淡路町1丁目6の4 2階上ル