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こんばんは、北浜にある画廊喫茶フレイムハウスにて捕われの身となっている阿守です。

今日の北浜はご存知のようにゴーストタウン、曇天模様の下、どこもかしこも店は閉まっており、たまに開いているカフェなどには観光客や地元の人などが押し寄せている状態です。需要過多のこのチャンス、この好機を逃すなということですが、フレイムハウスは絶賛ランチをお休み中でした。いつもこんな感じなのです。


ところが何を思ったか、これからは日曜のランチも営業することにしました。そう、狙いはフレイムハウスより歩いて7秒のマイステイズホテル堺筋本町店に宿泊している、北浜で幽閉されて行き場のない観光客です。


商魂たくましくやっていかないと生き残れないのが北浜。ランチも美味しいところは幾らでもあり、ディナーも美味しいところは幾らでもあります。カフェやバーだって充実しています。ですが、画廊喫茶フレイムハウスは一軒しかありません。そして、隠れ家である雰囲気も失いたくはありません。


なので、日曜の昼を狙うことにしました。


日曜の昼、僕たちは画廊ならぬ、飢狼喫茶フレイムハウスとして観光客からJPY(日本円)を吸い上げて、心地よいトラベルに一役かいたいと考えています。


なんてったって僕らの英語力スキルも大したものなのです。


【英語レベル】


◆版画家(炎の料理人):柿坂万作 ☆★★★★


◆総帥(総帥):阿守孝夫 ☆☆★★★


これだけあれば大体、なんとでもなります。なんともならない場合は、頭をかいてごまかせばいいでしょう。


今日はお昼の休みを利用して、久しぶりに髪を切りに行きました。いつもお世話になっている整体の店がチェーン店として美容室を沢山抱えており、整体を利用した人には美容室の初回料金が半額になるという特典があるのです。


なので、常にカットの料金が初回料金になるようにと、系列店を徐々に回っていっているのです。ひとつに定めてしまうと、次からは正規料金となりますから。やってることは四国八十八か所みたいなもので、将来的にもう行くところがなくなり、ここが最後のお店になったときには「結願」として何らかの印証をいただけるかも知れません。


夜は酒類の業者さんがプライベートで飲みに来てくださいました。いつまでも営業職なんてやってられるか、バカ野郎!と、愚痴っぽくなるのは仕方のない話しです。誰しも同じような悩みを持っているものです。


僕も会社というのに属していました。会社には会社のなかでしか通用しない偽りの人間関係があります、役職や階級によって言葉遣いや態度が違うとかです。別に社長や部長っていうのは、そう生まれるべくして生まれたのではなく、周囲からの理解があり、なるようにしてそうなったのですから、偉そうに言えるのも下の人間がいてこそです。


日本のほとんどの会社というのは上下関係がなくては成立しないシステムになっています。それによって穏便にことが運ぶようになっているからです。


でも、そんなもんは宇宙の真理でもなけりゃなんでもなくて、自分が生きていくために、法人が存続していくために必要な劇なのです。それが喜劇なのか悲劇なのかは当人の受け取り方ひとつです。


その劇を長いあいだ演じていると、その人自体がそういう人格になってしまうことが多々あります。人は役職によって物事を考えたり、感じたりするプロセスが変わってくるものです。だからこそ、会社での繋がりなどはとてもデリケートに扱わなくてはいけません。

僕自身も会社にいるときは、そこに一番気を使っていました。


どんなお酒よりも麻薬よりも、人を甘美な罠へ誘うのは「役職」という自尊心をくすぐる、けったいな作り事です。


それを深酔いしすぎてデリカシーを欠いた人たちは、いつでもギロチンにかけられるという結末を迎えることになったのは、歴史を学べばわかることです。


愚痴が終わったあと、業者さんが言ってくれました。


「ここにずっといたい!また明日が来る」と。


そしてこうも言ってくれました。


「僕は阿守さんのバンドが作った、象印のCMの曲が大好きなんです!今日なんて二回も聴きました!」と。


ありがとうございます。


象印ではなく、タイガーです。


どちらも牙がありますね。気高く美しいものには、牙があるものです。そしてそれは核兵器と同じで、使わないに越したことはないのです。


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by amori-siberiana | 2017-07-24 01:14 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


北浜のタワーマンションに住もうと考えていたのですが、気がつけばタワーマンションから一本の道路を隔てた猫のひたいのようなカフェにたたずむ阿守です。


版画家の柿坂万作さんと一緒にカフェ(バー)を経営して、今日で12日目となりますが、コーヒーの淹れかたすらわからない僕ですが、そのうち世界で一番おいしいコーヒーを淹れられるように頑張ります。


今日はフレイムハウスでお昼におそうめんをいただき、夜に小説家の平尾さんがお土産として持ってきてくださった、讃岐うどんを食べました。なんだか、バカの日記みたいなので、この辺でやめます。


ブログで何度も書いていますが、土日の北浜の静けさといったら、これなかなか風流なもので吹き抜けていく、生暖かい風にも「ああ、ここは歴史ある場所なのだ」と感じさせるものがあります。少しだけ北に歩けば、中央公会堂があり、西に歩けば適塾があり、南に歩けば僕が狙ってたタワーマンションがあり、東に歩けば…、歩いたで何かあります。


だけど、北浜の近くには楽器屋がないのです。バイオリンの工房は近所にあるので、たまにニスの匂いを嗅ぎに行ったりするのですが、ギターの弦を売ってるところが近所にありません。以前は心斎橋筋にイシバシ楽器という懇意の店があったのですが、それがどういうわけかアメリカ村へ移転してしまって、なんとも足労がかかるようになってしまいました。


まあ、歩けば歩いたで、目新しい発見もあるわけです。不便であれば、不便であるだけそれを簡便にしようとの知恵も働くので、僕の脳みそもなんとなく働きだします。


今日のフレイムハウスはニューヨークの少年が、ルームメイトを連れてきてくれました。そして二人で延々と「緑の手袋をした私のフィアンセ」を奏でてくれます。


彼らの評価すべき点は僕が酔っぱらって面倒くさそうに答えているのに、そんなことお構いなしで、どんどんと質問を投げかけてくることです。その場で思ったこと、気がついたことをどんどん質問してきます。


「阿守さん、このチューニングは何なんですか?」


「そういうのは、自分で解析するのだ」


「阿守さん、ピックの持ち方を教えてください」


「自分なりに持ちなさい」


「阿守さん、芸術家とスタジオミュージシャンはどちらがすごいんですか?」


「この絵を見たまえ、何というタイトルで誰が描いたかわかるか?」


「ダ・ヴィンチの描いた、モナリザです」


「どうして知ってるの?どうしてただの女の人ですと答えないんだ」


「それは、有名だからです」


「正解、これが芸術家。共通の新しい価値観を作り出したわけだ。芸術というのは作品自体のことではなくて、発信する側と受信する側の関係性のことをいうからね。」


「はい…」


「次にこのモナリザについての説明文があるけど、これを誰が書いたか知ってるか?」


「いえ、わかりません」


「これがスタジオミュージシャン。名前も知られないかもしれないけれど、その正確無比な仕事が評価されてるから、モナリザについて書けるわけだ。つまり、どちらがすごいとか、すごくないとかないわけで、天秤にかける時点でナンセンスということだね。その相互の仕事を理解したうえで、自分がどちらになりたいのか決めればいいだけだ。」


「阿守さん、楽曲はシンプルなほうがいいと言われたんですけど、それについてはどうなんですか?」


「シンプルっていうのは素数だよ。素数っていうのは沢山あるよ、法則性があるのかないのかはリーマン予想が解かれてみないとわからないけどね。シンプルもひとつのことを指すんじゃないよ、沢山のシンプルがある。」


「なるほど」


「6147って数字を知ってるか?」


「えっ?」


「6147だよ」


「いえ、わからないです」


「カプレカ数っていうんだ、これもシンプルにあてはまるかも知れんね」


「はい…」


「もう帰ってもいいかな?」


「え!もう帰るんですか!」


「昨日、演奏しすぎて体中が痛いねん」


「まだ、22時ですよ!帰るんですか?オレ、ここに泊まりたいです」


「好きにしてくれていいけど、僕を巻き込まんといてくれ」


「あと、何かアドバイスとかありますか?」


「うん、僕のいうことは信じるな。ってことかな」


「ええっ!?」




ありがとう、ヒゲはもう寝ます。


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by amori-siberiana | 2017-07-23 00:52 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


今日は一発目からビッグニュースを載せさせていただきました。先日からあおりにあおりまくっていた万作祭の千秋楽、8月2日と3日のイベントはみなさんご存知、バイオリニストの土屋雄作さんが来られます。


焼けつくような革命のリズムをお好みのかたは、是非ともいらしてください。ウェルダンでその御心を焼いてやります。


さて、昨日は画廊喫茶フレイムハウスにて【新進気鋭の小説家 平尾正和さんは語る】のイベントがありました。ご来店されたお客様、お暑い中をありがとうございました。


小説が売れないと「人生が詰む」と豪語公言する平尾さんの鬼気迫るプレゼンテーション、そして阿守の栄光と転落についての法話、さらには山本さんを含めた三人の演奏を楽しんでいただけたでしょうか。


お店の運営についても、ご来場のみなさまから差し出がましい意見を沢山いただきまして、フレイムハウス一同、今後の参考とさせていただきます。一同といっても版画家の柿坂万作さんと僕だけなのは知れたことです。昨日のイベント中、フレイムハウスへ初めて来られたお客さんと常連さんが同じ場で盛り上がってくださる様子は、僕にとって何よりもの励みになりました。


改めて、平尾さんの「アラフォーおっさん異世界へ!」の書籍化決定、おめでとうございます。


出版元や出版日が決まれば、ここでも告知させていただきます。そして次はまた集い、本のサイン会や朗読会をやりましょう。


昨日は平尾さんがお昼には北浜へ到着していたので、そこから二人でビジネスの話しを懇々としていました。僕が頭のなかにあったアイデアで、平尾さんというツールを最大限に活かせるビジネスを平尾さん本人にお伝えして、その上で意見をいただきました。早速、実現に取り掛かっているようですので、ご期待ください。


このビジネスプランは抱腹絶倒、間違いなしです。


ビジネス、ビジネス、ビジネスと・・・嫌な男になったね、阿守は。といわれるでしょうか?バカ者!僕は北浜に暇つぶしに来ているわけではないのだ。ビジネス戦略があるからやって来たのだ!


だけど、阿守の考えるビジネスは、出来るかぎりみんなと共有できるものとして考えているので、必ず満足していただけるものであろうと自負しています。


さて、明日の正午からは経団連、経団連と、何かにつけて「経団連」を口にするような男になったタッキーさんのイベントの予約受付を開始いたします。


【(表)炎のアジア経済特区における立身出世術 タッキーさんトークイベント】という名の、
【(裏)北浜の奥さんたちよ、燃えてるか!マンマ・ミーヤ 隠れトリスタン・アンプラグド・ライブ】です。
本公演に限りましてタッキーからご来場者みなさまへ、ワンドリンクがサービスされます。


タッキーさん本人には表設定しか知らせていませんので、当日まで他言無用に願います。


※本日の画廊喫茶フレイムハウスの営業は19時~21時まで、万作さんが隣のフレイムハウスに客としているので阿守が店番となります。料理は作れませんので、あらかじめご了承ください。一番嬉しいのは生ビールを注文してくれることです。ビールサーバーくらいは使えます。




~画廊喫茶フレイムハウス、今後のイベント(万作祭)~


●7月27日(木) 【真鍋貴之×阿守孝夫 アコースティック・ギター演奏会】19時ころから ※予約受付中


●7月28日(金) 【この男が仕掛けたアジアティック・スパイ 中川岳トークセッション】19時ころから ※予約受付中


●7月30日(日) 【北浜の奥さんたちよ、燃えてるか!マンマ・ミーヤ 隠れトリスタン・アンプラグド・ライブ】19時ころから ※23日の正午12時00分より予約受付開始


●8月02日(水) 【王子の凱旋 布団一枚からの革命指南書 土屋雄作×阿守孝夫】19時ころから ※26日の正午12時00分より予約受付開始


●8月03日(木) 【王子の凱旋 布団一枚からの革命指南書 土屋雄作×阿守孝夫】19時ころから ※27日の正午12時00分より予約受付開始


お問い合わせはtakaoamori@yahoo.co.jpまで、ジュグザンプリ。


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by amori-siberiana | 2017-07-22 15:52 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、フレイムハウスの阿守です。


今日も暑かった。いや、久しぶりだ、ここまで太陽に打ちのめされたのは。といっても僕なんかは外回りの勤務の人に比べれば、随分と贅沢をさせてもらっているのであろう。「贅沢しません、勝つまでは」という時代もあったそうだが、勝った負けたが国家間ではなく、個人間に向けられたとき、その勝敗を判定するのはどこの誰なのであろうか。そして勝った人だけが贅沢をするのは、とても卑しい行為なのではないかと考えながら、オフィスで仕事もせずにコーヒーを飲んでいた。


北浜は、にわかに建設ラッシュが続いており、タブレットを片手に颯爽と現場に出入りする女性建築士を見て、ここ北浜もその町を構成している部分部分のパーツは常に新しいものと入れ替わっているのだなと感じた。


明日から画廊喫茶フレイムハウスは夏の大祭、「万作祭」の期間に入る。


版画家で画家、類稀な料理人である柿坂万作は、これまでどのような人生を歩んできて、どういった経緯でここにいるのだろうか。僕はそのほとんどを知らない。売れない芸術家という、文芸作家から好まれそうな題材をすべて持ち抱えた人だ。いつの時代にもいる人かも知れないし、もう現れない人なのかも知れない。


今日、開店前のお店で万作さんと二人きりだったときの話しをしよう。


数日前、せっかくイベント盛り沢山にしたのだから、ご来場者のいちげんさんたちに粗品を渡したらどうかということを万作さんに話した。万作さんは面倒くさがった。だから、本人に有無をいわさないところで、僕は勝手に無地の質の悪い扇子を100本ほど取り寄せた。


「万作さん、これに何か描いてくれませんか。それをお客さんたちに持って帰ってもらいたいんです」


「う~ん・・・、ワシ、そういうんは苦手ですわ」


「別にアクションペインティングのようなサーカス芸をしろってわけじゃないんです。なんでもいいんです、サインだけでもいいし、それすら面倒なら、万作さんが版画で使ってるような押印だけでもいいんです」


「・・・まあ、なんか考えときまっさ」


そういうやり取りがあった。そのまま数日は扇子は段ボールの中に入ったまま、誰がどうするでもなくステージ脇のコンガの横に放置されていた。僕はそれ以上、何かを言う気にはなれなかった。それは諦めたのではなくて、自分も芸術に携わる人間だったからの、言葉の追い打ちの無意味さを知っていたからだ。


そして今日、僕が開店前の店に入ると、いつもの僕の席に万作さんが座っていて、何かを描いている。万作さんの目の前のテーブルには幾つかの扇子が散らばっていた。
ああ、扇子に何か描いてくれてるんだ、間に合ってよかったと僕は内心、ホッとした。


何を描いてるのか僕の位置からはよく見えなかったが、万作さんが開口一番にこういう「ワシ、やっぱり無理ですわ、下手くそや」と。そして今、自分が描いたであろう扇子の絵を見せてくれた。


僕は扇子をのぞき込んで、驚いた。雷が落ちた。


そこには一匹のセミが描かれていた。


都会では珍しいアブラゼミの死骸を万作さんがどこかから見つけてきて、それをモチーフに描いていた。


万作さんの描くセミのもつ情緒や風情は、今は亡骸となり被写体となっているセミがしたであろう恋を感じさせるものであった。そして自分が私財を投げうってフレイムハウスに投資をしたことが、良かったことなのだと直感した。自分でも訳のわからない行動をしているなと、自分のことを何夜責めて眠れなかったことだろうか。


そういった自分への釈然としない思いが、扇子に描かれた、セミ一匹で無くなった。


こんなセミを100枚も描けるわけがなかろうと僕は考えるのだが、万作さんは描いている。コツコツと丁寧に描いている。粗品の安物の扇子にこれだけ時間をかけて、自分の芸術を惜しみなく注ぎ込む万作さんを見て、僕は万作さんが面倒くさがった理由がわかった。


「          」


そう、大切なものは目に見えないようにできてるものだ。


この粗品は万作さんの印も押されており、画廊喫茶フレイムハウスからの「これから、よろしくお願いします」の気持ちが込められているものだろうと思う。


万作さんは隣で必死に描く、僕は明日のためにギターの練習をする。僕の父親も売れない画家だった、画家がどのような魔術を使って、紙に絵筆を走らせ、命を宿らせていくのか僕にはよくわからない。それは今も昔も変わらない。


ただ、遠い記憶・・・、こうして父が絵を描いている横で僕はギターの練習をしていた日のことを、なんとなく思い出した。もしかしたらそんな日はなかったのかも知れない、脳というやつは都合のいい過去を作り出すものなので、僕はあまり信用していない。


けれど、久しぶりに亡き父の面影を見たのだ。それは過去ではなくて、「今」、確かにそう感じた。一泡のノスタルジーかも知れないが、ほんの一瞬。


ほんの束の間。


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by amori-siberiana | 2017-07-21 00:48 | 雑記 | Comments(0)

今日もフレイムハウスはおかげさまで大盛況。


二日連続で5000円以上を払ってくれた上客がいたのです、はい、もちろん僕です。


一体なにをやってるのだ、バカ野郎!原価と店頭売価の両方を払って、気持ちよく酩酊してニヤニヤしてる人間がどこの世界にいるというのだ。商売になってないだろうが、商売に。


さて、今日の一日を振り返りましょう。タリラリラン(ハープの音)。


昼から北浜のオフィスへ顔を出すが、まったく何もやる気がおきないので、コーヒーを飲む。ただ、ひたすら親の仇のようにコーヒーを飲む。阿守さん、報告書をあげてくださいねと言われるが、画廊喫茶フレイムハウスの経営に携わってからというもの、何もできていない。讃岐弁では「なんちゃでっきょらへんきんな」という。


平尾さんの小説の続きを読まなくてはいけないが、どうにもそういう気分にもならない。小説自体は痛快無比であるので、小説にその責任はない。心のどこかで「お酒でも一杯どうですか?」という声がするが、この声に従順となってしまうと、僕はアルコール依存症という世界で一番多い病気にかかってしまうことになるので、まだ何とか自制をするつもりだ。


18時になったのでさっさとオフィスから出るついでに、同じオフィスの同僚に声をかけて「今夜、作戦会議をするのだ」と伝えて、そのまま昨日のデザイナーさんのアトリエへ椅子を取りに行く。


焼けつくアスファルトに自分の養分を吸い取られながら、歩くこと20分、アトリエへ到着して椅子を受けとり、タクシーの運転手から猛烈に嫌な顔をされながら椅子を乗っけてフレイムハウスへ向かった。


ニューヨークのマンハッタンでもそうだった。そのときは猛烈に愛想のない女性のタクシー運転手だった、あまりに愛想がないのでこちらもムキになってケタ外れの法外なチップを渡したら、彼女は満面の笑みとなり「ベリー、ベリー、サンキュー」といって、やっと笑ってくれた。そう、僕は金でスマイルを買ったのだ。


今回はどうか。


もう僕はそんなことはしない。なぜなら、僕は39才の大人だからだ。


万作さんと一緒に店のなかに椅子を運び入れ、ふぅと一息ついてギターをチラホラ弾いて暇をつぶしていると、椅子を貸してくださったデザイナーさんと、近くのギャラリーのオーナーさんがやってきた。デザイナーさんのアトリエの素晴らしさには前回のブログで触れたが、ギャラリーのオーナーさんがいる場所も大正時代に建てられたスパニッシュ様式のレトロなビルであり、北浜では誰もが知ってるビルだ。


そのまま、僕は一旦店をでてオフィスへ戻り、アメリカ留学から帰ってきたばかりの同僚を誘って、またフレイムハウスへ戻る。ここからは完全なるビジネスの話しだ。ややこしい話しだが、このアメリカ留学から帰ってきた同僚は、昨日のギターを教えているアメリカ留学中の少年ではない。


もうひとつややこしい話しついでだが、画廊喫茶フレイムハウスの隣にはサロン喫茶フレイムハウスがあり、画廊喫茶の目玉商品はオムライスで、サロン喫茶はハヤシライス(ハイシライス)である。


このまま同じようなマテリアルを集めれば、最後には「七対子(チートイツ)」ができるだろう。七対子は符計算では非常に低く設定されているアガリ手なのだ。たまに、自分の手を七対子に決めたのに、三つ揃ってしまい、高めを狙って訳のわからない手になり、しまいには対々和(トイトイ)のショボ手でアガリ、笑われることも経験した人は多いはず。


もはや、なんの話しかわかるまい。ハハハ!


ビジネス談義をしていると、常連の女が来る。ガルパンの男も来る。ガルパンの男はフレイムハウスの客ではなく、フレイムハウスのオブジェ(内装の一部)なのだそうだ。これは自他ともに認めていることなので、それはそうなのだろう。いとも簡単に人権を放棄するガルパンの男に乾杯。


そして住所不定の住職が来る。さらに履歴書の女もやってきた。


みんなが各人に四捨五入気味の会釈をして、あちこちで色んな会話がスタートしているが、履歴書の女がひとことも発していない雰囲気を感じとった常連の女が彼女に声をかける。多分、彼女は黙って一杯だけという魂胆であったろうが、逃げるものは追う習性がある僕たちには通用しない。


「この箱に顔を突っ込んでみると、普段は心に思ってて言えないことでも、言えますよ」と落ち着いた透きとおる声で常連の女が箱を差し出す。


そう、この箱というのは僕のブログをお読みの皆さんならご存知の「ABCラジオ!フレッシュアップナイター」の箱である。元来は聖徳太子像が鎮座しておられた安物の桐らしき箱だ。


促された女は「履歴書が・・・ごにょごにょ」というが、常連の女の「もっと、大きな声で」という透きとおった声に促され、「履歴書に書けるような人生にしたかった」と心の声を吐き出した。フランツ・カフカの世界である。


すると、あちらこちら老若男女から飛び交う拍手、よくぞ言った、ウェルカム・トゥ・フレイムハウス!ウェルカム・トゥ・キタハマ!


ここは政治結社か?


少し遅れてギター少年がやってくる。なんと今日は財布を持ってきているとのこと(!)。
少年はコーラを頼む、しかし店のコーラが切れてる。


万作さんがいう「阿守さんが二日前に買うてきた自前のコーラならあるんですけどね」
ねえマスター、出してやってください。僕の取っておきのコーラを少し遅れてやってきた少年に。


少年がコーラを飲むのをみていると、僕もコーラが欲しくなる。
万作さんにコーラを注文する。もちろんそのコーラは伝票に記載され、先述した代金にインクルードされている。
つまり市販価格で買って、さらにカフェ価格でも買って、自分で飲むという奥義中の奥義だ。
離れ技じゃよ。


誰もこんな技を真似しちゃいけない、ケガをするぞ。大ケガをするぞっ!!!畜生!!!


今日は三日目のレッスン、彼にアルペジオを教える。


「上から順番に弦を弾いていけばいいんですか?それとも下からですか?」


「いや、適当に弾いたらいい」


「はい」


店内のBGMであったコルトレーンはいつの間にか消えていて、彼の徐々に巧くなっているギターの練習音が店のBGMとなって、会話はそのままヒートアップとトーンダウンを繰り返しながら各所で続いていく。


とにかく延々、フィアンセを弾いてるのだ。


延々・・・。


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by amori-siberiana | 2017-07-20 01:10 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、フレイムハウスの阿守です。


いやぁ、今日は暑くなりましょう。ジリジリと肌に突き刺す日光が、僕の身体からアルコール分を蒸発させるのか、やたら、ノドがカラカラになる。


今の季節、画廊喫茶フレイムハウスのおすすめ料理は、薬味がよりどりみどりのおそうめん。それとパクチーとゴーヤがたっぷり入った冷麺です。


万作さんの料理の才能を目のあたりにすると、それはまるで、北浜のブリア=サヴァラン。いや、北浜には美味しいフレンチが沢山あるので、北大路魯山人としておこうか。昨日もぼんやりしていて卵を買い過ぎたらしく、卵を使っておくべくキッシュを作ってらっしゃいました。味見をさせてもらったけれど、文句なし。是非ともご賞味あれ。


昨日は今週末からはじまるフレイムハウスの夏の大祭(万作祭 /Festival de MANSAKU)の用意。一大事に向けて座席を用意しておかなくてはいけません。今のフレイムハウスの椅子にはせいぜい10人~12人くらいしか座れなさそうなので、最低でも20席分を用意しようとすれば、8席が足りないという状態。


その現状を見かねた常連さんの伝手で、篤志家のデザイナーさんから椅子を何脚か借りれることとなり、ご厚意に甘えてどの椅子にしようかと見学を兼ねてのアトリエ訪問となりました。


アトリエ見学へ行く前、先日フレイムハウスに迷い込んできた少年が約束どおり、僕にギターを習いにきてたので、彼にギターを持ってもらいワンフレーズ(3つのコード)を課題に渡して、弾いてもらいました。彼は指使いを暗記して、そのフレーズを弾きます。


ガシガシガシガシ


「違う違う、女の子の髪を手でとかすように弾くのだ」


「えっ・・・?こ、こうですか?」


「まだ強い、髪がちぎれるぞ」


「こうですか?」


「そうそう、そんな感じ。それを三拍子でね」


「わかりました!」


「123、123、123、123・・・」


ジャラーン、ジャラーン、ジャラーン


おっと、そろそろ時間です。昨日のレッスンは5秒で終わりましたが、今日は5分もやって疲れたので、「僕がアトリエから帰ってくるまで、このフレーズをずっと弾き続けておくのだ」と言い残してアトリエへ向かいました。


アトリエへお邪魔すると、デザイナーさん自作の機能性とデザイン性を備えた直線的なラインの椅子(木製)があり、僕はその椅子を見た瞬間に「これだ」と感じた次第で、あとは椅子を引き取りにくる日と、この界隈のいろいろなことを雑談させていただきました。BGMにはシカゴ音響派といわれる僕の知らないジャンルの音楽が流れていました、それはデヴィッド・リンチの描く映像の世界にいるような浮遊感がえられる、素敵なアトリエでした。


デザイナーさんに聞くところによると、シカゴ音響派のCDを取り寄せたら、到着まで3ヵ月もかかったのだそうです。シカゴというくらいだから、地球上からの発送であることは間違いなさそうです。


・・・さて、長居したことだし北浜へ戻ろうかと、多少の千鳥足でフレイムハウスに戻ってくると、少年は同じフレーズを弾いていました。何時間も。


「一度、CDに合わせて弾いてみよか」


「ええっ!?マジですか?」


「そのほうが気持ちいいもんだよ。自分以外の人の音も合わさってくるとね」


「は、はい」


ASIATIC SPYの「緑の手袋をした私のフィアンセ」が店内にかかり、彼はCDに合わせて弾く。見事に弾ききった。ギターをはじめて2日にしては上出来だ。お客さんから拍手。


少年が何時間もギター練習をしているのを見守り、僕が不在のあいだにこっそりと、少年にまかないを食べさせてあげた万作さん、そして少年のギターをずっと聴き続けて、時折うなずいたりしてくれていた常連のお客さん。僕が画廊喫茶フレイムハウスが大好きな理由がそこにありました。


彼はきっとよいギター弾きになるでしょう、そしていつしか恋した女性に、自分のギターを聴かせることでしょう。




※椅子の問題がクリアできそうなので、平尾さんのイベントへ、予約なしで当日来られても多少なら大丈夫そうです。大丈夫ですとは断言しません。ごめんなさい!

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by amori-siberiana | 2017-07-19 11:45 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、フレイムハウスの阿守です。


今日はこれから雨が降るであろうことを予想させる曇天模様。外気は直射日光がないぶん、多少なりとも低くはなっているが、熱を帯びた湿度が北浜の町をぼんやり包み込んでいる。もしも、年中を通してこの気候であったなら、僕はレゲエをやるだろう。


きっと、レゲエをするだろう。


さて、昨日は散々酔っぱらっていたし、パソコンの電源を入れた瞬間に「デバイスがどうのこうので再起動・・・」と画面上に出ていたので、もういいやとそのままフテ寝をしました。


平日と休日の人の多さが歴然と違う北浜。僕が北浜のことを好きな理由に、その日毎のメリハリがあります。やっぱりオンとオフが明確にされている町は過ごしやすいものです。心斎橋で会社をしていたときなんて、そんなメリハリなんてものがなかったので、毎日が追いたてられているような焦燥感に溢れていました。


昨日のフレイムハウスはというと、昼に観光の異人さんがおひとり、そして夜には日本人がおふたり、いちげんさんとして勇気を振り絞りフレイハウスの階段を一段一段、おそるおそる登ってきてくださいました。ありがとうございます。


おひとりは未成年でアメリカに留学してる青年。なんとなく腹が減ったからこの辺をうろついていたら、フレイムハウスの入り口と目が合ったという具合。スフィンクスと旅人の故事のようである。




スフィンクスは旅人に問う。


「朝には四つ足、昼には二本足、夜には三つ足で歩くものは何か」


旅人は答える。


「阿守だ!」


スフィンクスは「ふむ・・・、まあ、正解かな」と言い残し、ワハハハハハと笑い声を高らかに、すっと砂の中へ消えていくのである。灼熱の大地に旅人を照らす、西からの太陽の光、旅人の影はぐんぐん伸びて、隠された神殿の入り口を指し示すのである。


二日酔いによる頭痛で朝は四つん這い、昼には北浜を歩き、夜はウイスキーがもたらす酩酊によって自分の足が三本あるようになるのが、ここ一週間の僕である。




その青年は将来のためにピアノかギターが弾けるようになりたいとのこと。よし、余計なお世話だろうがギターに関しては僕が夏季講習をするから、あなたが日本に滞在してるあいだに覚えるのだと言ってみたところ、彼も喜んでくれ、今日からレッスンがはじまる予定。


もう、おひとかたは街角でギターを持つ人たちの写真を撮り続けている人。趣味が高じて、11月11日には服部緑地野外音楽堂にてライブイベントと写真の展示会をされるということ。人はそれぞれ、いろいろなことに心を奪われるものなのだな。


それが他人からすると取るに足らないような見過ごしてしまうようなことでも、本人たちにとっては抗いようのない至上命題なのであろう。もちろん万作さんも僕もそういう一人だ。


何?レッスン代だと。未成年から金が取れるか!


本日もフレイムハウスは営業を行っております。版画家の柿坂万作さんの、オチのなかなかこない素敵なお話しも聞けるかも知れません。


っていうかエキサイトのメンテナンスのおかげで、もう閉店時間じゃがな!


※22日の土曜日の夜営業は一時的に版画家の柿坂万作さんが、一身上の都合によりお店を不在とされますので、彼が戻ってくるまではお料理は出せません。ただ、阿守がギターを弾いてるのみだとお考えください。それか、近場で美味しいお店をいくらでも紹介します。


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by amori-siberiana | 2017-07-18 23:03 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、フレイムハウスの阿守です。


今日はツイッターに書いたとおりで、昼から画廊喫茶フレイムハウスの大掃除をしていました。


ちなみにツイッターはここです【@Amori_SiberianA】。


お得な情報とかおもしろい秘話のようなものは一切発信していません、ですが、常に警鐘を鳴らしています。誰に?自分にです。


ですが、ツイッターというものはありがたいもので、今日の掃除のツイートを見てお店の常連さんが差し入れをもって掃除の手伝いにきてくれました。これが非常に助かりました。お休み中のところ、お二人さんありがとうございました。


いつの間にか泣き出したセミの声と、時折、浮世離れしたようにちりりんとなる風鈴の音を耳にいれながら、窓を拭いたり、楽器を拭いたり、テーブルや椅子の汚れを丁寧に落としていくのは、別段、苦にはなりません。


何代にもわたって一族の怨念が込められたがごときの汚れを浮かしては、拭きとり、それを洗い、また浮かしては拭きとりを談笑しながら繰り返していました。バーやカフェに限らず常連のいるお店というのは、その常連客がいつも陣取る席というのがあるものです。もちろんフレイムハウスもそんな感じ。


汚れのひどい箇所に関しては、そこにいつも陣取っている常連に対しての呪いのことばが発せられたり、やたらと内装の壁の色が薄くなった箇所に関しては、いつもそこにもたれかかってる常連客の服についてるのだろうと笑いあったりしました。


掃除も一か所をすると、バランスとしてどうしてもあそこも掃除しておきたいとなり、それがどんどん広がり、最終的にはすべてを掃除しなくては辻褄があわないような気がしてくるものです。しまいには、万作さんが描いている壁画で自分たちが気になるところも修正したり、書き足したりしてやろうかという話しにまで発展しましたが、それは未遂に終わりました。

「ここ手すりとか書き足そうか」とか「換気扇を追加してみようか」とか。

それでも、フレイムハウスのことを知った人ばかりでの掃除だったので、店の雰囲気を損なわないように、最大限の気を使いながらのクリーンアップでした。


ここまでは美談です。


ところが、僕には他の思惑があったのです。そう、がらくた珍品が雑居しているフレイムハウスの中に、もしかしたら宝があるのではないかと目を光らせながらの掃除でした。


「出張、お宝鑑定団inフレイムハウス」


窓の掃除をしているとき、汚れにくすんだ円形のプラスチックの入れ物を見つけました。それをタオルで拭いてみると・・・。


あっ!これは。


なんと、古代ギリシアの当時のコインらしきものが出てきました。それが五つも。
ギリシア語で書かれているので、それぞれがどのような価値をもっていたのかは定かではありませんが、僕は一目でわかりました、「これは本物だぞ」と。本物には本物の説得力が宿っているのです。


交易で栄えたエーゲ海、そこで引き揚げられた沈没船のなかから、コインや壺などが沢山でてくるというのは有名で、それらをおみやげ物として観光客相手にギリシア現地で売っているのでしょう。それを誰かが買ってきて、何人かの手を経て、この遺物たちはフレイムハウスに辿り着いたのです。


右手にそれを持ち、目を閉じれば、古代アテナイの町を歩くソクラテスやプラトン。アリストテレスにアルキメデス、ピタゴラスにアイスキュロス、ソポクラテスにディオゲネス、ホメロスに重装歩兵。


彼らが一堂に「こんにちは阿守。私たちのいる素敵な世界へ案内しよう」と僕に訴えかけてきている気がしてくる。NOだなんて言えるはずがない、僕は日本人なんだから。


左手のうす汚い雑巾が応戦してくる。「阿守よ、異国の死者のくだらん世迷言など聞かずに窓を拭け、ヤニを取り除くのだ。異国の硬貨などどうなるというのだ、福沢諭吉が一番偉い。間違いない、一番、偉い」


やかましい!といって僕は左手に持っていた雑巾を水のはいった黒いバケツのなかへ突っ込んだ。


「万作さん、すいません」


厨房で換気扇の掃除をしていた版画家の柿坂万作が答える「ん?どうしました」。


「万作さんが死んだあとでいいので、これを僕に譲ってくれませんか?」


「ああ、それ!ギリシャのお金かなんかでしょ。バレてしもうたなあ」


「バレるもなにも窓のところでホコリをかぶって、出しっぱなしになってましたよ」


「うーん、阿守さんに何か欲しいといわれたら、今のワシでは断れませんわ、ええですよ、あげます」


おお、柿坂万作、君も日本人であったか。僕は古代ギリシアのコインらしきものを手に入れた。


エリック・サティは古代ギリシアの真っ裸の少年ばかりが描かれた奇妙な壺から着想を得て、名曲「ジムノペディ」を生み出したといわれる。世界最初のコンピューターは「アンティキティラ島の機械」といわれるもので、たくみなゼンマイの技術で天体の運行を正確に予測することができた。アンティキティラ島の機械が表現する「月」の回転速度の揺らぎなどは芸術的な創意工夫によって成立している。


それら共通するインスピレーションを内包する逸品に僕は心を打たれたのだ。この五つのコインらしきものが、何を語っているのかまだわからないが、肌身離さず持っていれば、おのずとそれもわかってくるだろう。


僕は恋をしたのだ。心を奪われたのだ。


すぐに鞄にしまおうと思ったが、それも少々品がないのでお店から帰るときに持っていけばいいかと考えた。


そして結局、持って帰ってくるのを忘れた。


今日はお掃除、ありがとうございました!


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by amori-siberiana | 2017-07-17 01:21 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、フレイムハウスの阿守です。


「あれ?いつもより早いね」といわれるかもですが、今日はお客さんが少ないので、早めに帰ることができました。


ついさっきまでお客さんもいなかったので、万作さんは壁画に取り組み、阿守はギターの練習をしているというお店の状態。お店というよりはパリの芸術家たちのコミューンのような感じであるが、商売として褒められたものではない。


店にある振り子時計の音が、カチカチカチと生温い時間を刻んでいるなか、一人は絵の具を壁に塗り込め、一人はギターの弦をただただ無言のままに震わせるのでした。


ようやく常連客の男がやってきて、「万作、ビール」と一言。


ビールを飲みながら常連客はいつもの携帯アプリ「ガールズ&パンツァー」を取りだし黙々とゲーム。万作さんは壁画に取り組み、阿守はギターの練習をしているというお店の状態。お店というよりは、これから漫画カイジのエスポワール号に乗船するのを待つ多重債務者の集まりみたいな感じであり、商売として褒められたものではない。


土曜、日曜は北浜の町そのものが静かになるので、カフェバーの同業者さんたちは賢明なる判断のもと、お店を閉めてます。ちなみに僕自身もフレイムハウスが土日、休んでいたとすれば当店へ上がる込むこともなかったでしょう。第二、第三の総帥よ来たれ!


今日は朝から北浜のオフィスへ行き、昼から山本さんがフレイムハウスの3階(万作さんの居住地)の電気工事をしに来てくれました。フレイムハウスは2階にもトイレがあるのですが和式なのです、それが苦手なお客さんのために3階にある洋式トイレへ案内するように考えました。ところが、3階のトイレは電気がなかったのです。


万作さん、真っ暗のなかで用を足してらっしゃるんですか?僕がそう聞いてみると、いや、ワシはトイレの扉を開放したままにしとるんで電気が必要ないんですわとのこと。


お客さんにそれを求めるには、あまりにも高すぎる美意識のディストラクションなので、電灯をつけるため山本さんにお願いしました。


それにしても手際が早いのが山さんです。昼食がまだだと聞いたので、万作さんにそうめんを作ってもらい、それを一気呵成に二人ですすります。


はぁ、食った食った。随分、食ったね。


さて、そしたら山さん、暑いなかすいませんが作業に・・・と、僕が自分の太ももをパンと叩いて食卓から立ち上がろうとしたら、おもむろに山さんのパチスロ講座となります。

ふむふむ、これは勉強になるぞと僕は山さんにいろんな質問をして、随分と盛り上がり、楽しくて仕方がなくなったので、内心にて「あ!もうこの雰囲気、今日は電気工事ないねんな」と思って僕がソファでウトウトしてると、「じゃ、やってきます」と唐突に電気工事はスタートしました。


手早いもので工事はどんどん進み、僕は湖岸で波紋の数をかぞえる阿呆のようにボケっとしたまま、気がついたら終了していました。やっぱりプロは違います。こういう人と仕事仲間だったら楽でいいだろうなと思ってはみたものの・・・、その刹那、よくよく考えると、そういえば10年近くも一緒に仕事してたのに、活動休止になったんじゃないかと自嘲気味に笑いが込み上げてきたのは、これ内緒。


工事中に来店されたお客さまにはご迷惑をお掛けしましたが、プロの電気工事を見られるという画廊喫茶史上最大のイベントでしたので、お許しください。


今夜は、はるばる東京から新幹線に乗ってコーヒーを一杯だけ飲みにきたという、素敵なイカレかたをしたシベリアン時代のお客さんが来店してくださいました。お土産に何年か前のスウェーデン式介護マッサージのパンフレットと、フクロウの羽根一枚、はやぶさの羽根を二枚くださいました。


僕、あかんわ、これを打ちながら笑いが止まらん。あまりにもシュール過ぎるわ。


こういうの嫌いじゃないな。パンフレットと鳥の羽根やで、なかなかお土産にもらえるもんやないわ。絶妙にフレイムハウスのお店にマッチするので、ありがたくいただきました。


万作さんが「さすが、阿守さんのファンやな、東京から新幹線にのって500円のコーヒーだけ飲みに来てくれる人なんて、ワシはじめて聞きました」と言います。


「そうなんですよ、当時も今もそして多分これからも、ファンの方がメンバーより何倍もクレイジーですから」と僕。


「ははあ、そういうもんですか。それで阿守さん、その鳥の羽根はどないしますの?」


「どうしましょうか、どこかにインテリアとして飾っておきましょうか?万作さんのセンスに任せます」


「それやったら、その羽根を阿守さんの胸につけといたらよろしいわ」


「えっ!赤い羽根共同募金みたいにですか?」


「そうそう、似合うんちゃう」


「羽根は羽根でも・・・、フクロウとはやぶさの羽根を胸につけて歩いてる人なんて見たことありますか?」


「珍しいですやん」


なるほど、確かにこれは珍しい、なるほどな、そうかそうか、これは珍しいな・・・。ニヤニヤしながら適当なことを言うな!万作!


パンフレットと羽根をくださったお客さま、遠路はるばるありがとうございました。なくさないよう、大切にどこかへ飾っておきます。


僕にとって記念すべき5日目。


入手したアイテムは、以下のとおり。


◆※スウェーデン式介護マッサージのパンフレット ×1
◆フクロウの羽根 ×1
◆ハヤブサの羽根 ×2


ようし、これだけあれば最強の剣をつくれるからな。ヒヒヒ・・・。


寝るぞ!寝るぞ!


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by amori-siberiana | 2017-07-16 00:42 | 雑記 | Comments(2)

こんばんは、阿守です。


今日も我らが北浜のアヘン窟こと画廊喫茶フレイムハウスへお越しいただきありがとうございました。とにかく毎日なにかあるカフェなので、毎晩のように祭りのあとの寂しさを感じながら電車で帰るという具合です。これ、リア充のアピールでは決してないですからね、そういう勘違いをする奴はこのブログを最初から読んでいない証拠です。


今日も朝から北浜のオフィスへ顔を出して、仕事に集中するでもなく右を向いたり左を向いたりしながら、窓越しに日傘をさして早足に歩くOLをみて、鼻の下をのばしていました。


昼からは7月21日にあるイベント【新進気鋭の小説家 平尾正和は語る】の予約受付があったので、その対応にてんてこ舞いでした。たかだか20席をさばくのに、これだけアタフタして過呼吸になるとは思いませんでした。予約を受けながらブログも並行して書いていたので、ブログのほうはよくわからないテンションになっています。


そして平尾さんの人気にかげりが見えてきた頃合いを見計らって、デザイナーさんにオフィスまで迎えに来ていただき、昼食と打ち合わせがてら画廊喫茶フレイムハウスへ向かいました。北浜は12時ともなると、会社というドル箱から弾き出された老若男女が、ランチを求めてレストランなどの飲食店は満席、そこかしこで臨時に開かれる弁当屋は大阪城ホールに陣取るダフ屋のように居並び、コンビニは冷戦中のモスクワの配給を待つ人たちのように長蛇の列をなします。


なので僕は敢えてその時間は避けるようにして昼食をとるようにしています。密集隊形を取るのは敵からの攻撃を一点に集中砲火とされる絶好の機会を与えてしまうので、その陣形を採択するに、まず、圧倒的に戦略上の数的優位を築いておくという前提がない以上は、実践的解決を導けない戦術だからです。


戦略と戦術は別のものですが、それらは蜘蛛の糸のように一本、一本のすべてに因果関係があるのです。


アカンわ、完全に酔っぱらってるわ。自分で何をいうて、どんなシチュエーションをイメージしとるんか、ようわからん。


さて、昼すぎにフレイムハウスへ顔を出すと、万作さんがひとりでテーブルの上にトランプを並べてソリティアをしていました。僕は生まれてこのかた、はじめてネットゲーム以外で、ソリティアをしている人を見ました。「ワシ、これ、日課なんですわ」とのこと。いつも精励していただきご苦労様です。


デザイナーさんとオムライスをいただき、そのまま一旦外出して、18時にお店へ戻ってきました。


すると僕の以前の会社の同僚が店へ来てくれて、そのままどこまでも続くような映画談義となります。2時間くらいの長さの映画の内容を、昼夜24時間ほどかけて熱く語り続けてくれる男で、常々、彼の存在は僕のしたいことにおけるキーパーソン的な役割を担っています。


ただ、僕自身にしたいことがないので、今のところは無用の長物です。いつでも有事の際、使えるように刀は研いでおくものだ。といいながら、時代錯誤だったうちの父親は刀の手入れをしていましたが、そういうものでしょうか。


時間は流れて、何人かのお客さんも入れ替わり、やっぱり最後まで残ったのはいつもの常連客たち。話しの内容はとりとめもない「クジラ肉の正当性について」であったり、「クジラ肉の正当性以外について」であったり・・・。


そんなこんなで、ふと気がつくと、万作さんが店からいなくなっている。


ほぼ、全員のグラスが空になっているので、常連客たちは今にもフランス革命前夜の民衆決起のごとく騒ぎ出す。どうやら聞くところによると版画家の柿坂万作は、ワインと日本酒と氷とソーダが切れたので買い出しに行ったとのこと。


常連客の女がフレイムハウス二階の窓をサッと開ける。眼下には不格好な姿でキーキーと音がする自転車をこいで闇夜の奈落へ消えていく、万作さんの後姿が見てとれる。


「諸君、今、この店は管理者が不在である。そして我々のグラスには酒がない。このようなことが許されていいものだろうか」


誰ともなくそのような演説が打たれる。万感の拍手、周囲から激励のシュプレヒコールが上がる。まるで詩人のランボーとヴェルレーヌのいた陶酔の時代の一幕をみているような感動がそこにはあった。


「万作のいない酒場は不幸であるが、万作を必要とする酒場はさらに不幸ではなかろうか!」・・・もう、意味がわからない。


常連客の女が対面に座っていた同じく常連客の男に指示をだす、「あなたは斥候(せっこう)だ、この窓からスナイピングして万作が帰還の様相を呈したら、すぐに知らせよ」。


「はっ!」


違う女が冷蔵庫から瓶ビールを発見する。「閣下、一番搾りを見つけました」。


一同の視線がスタイルのよい瓶ビールに注がれる。これより、開栓の儀を執り行う。一同から拍手喝采が飛び交う。


ところが栓抜きがない。むむむ、万作、どこへ栓抜きを隠した。


そこから客全員が厨房付近に集合し、全員で栓抜きを探しだす、あれでもないこれでもない、ペンチでやってみてはどうか、ダメです、力点・支点・作用点の動作がビールの開栓には完全に不向きです。ライターはどうか、心斎橋の「じねん」という寿司屋の丁稚は器用にこれで開けるぞ。ダメです。


あった!女が叫んだ。


真っ黒い栓抜きのようなものが、厨房の壁にかかってあるのを見つけた。一同がビール瓶の周囲に集まり、歓喜の泡が噴き出すのを待ちわびる。なんだか使いにくいが、そこは勢いで押し切り、見事にビールという王から王冠が外されたときだ!


ガチャ。


なんと、万作が帰還していた。


常連客の女がいう「斥候!何をしていた」、「すいません、一緒になって栓抜きを探していました」。


きょとんとしていた万作さんが口を開く。


そう、次に発言権があるのは万作さんであることは皆が理解していた。


「・・・それ、栓抜きやのうて、鉄鍋の持ち手やで」


なんだ、そうだったのか!


しかし、開いてしまったものは仕方がない。こうなってしまっては皆で飲むしかないと、全員のグラスに戦利品である一番搾りが注がれて、そして一堂での乾杯となった。


たいして言葉も交わしていなかった客同士が、ひとつの目的に向けて一致団結する様は、なるほど来世では悪党になるのも良いのではないかと感じたくらいだった。


そして始まるのが、一昨日に続いての木箱へ顔を突っ込んでの「ABCラジオ、フレッシュアップナイター」。


もう何度も何度も同じことをしているのに、腹がよじれる。


これ、面白いから笑っているのじゃなく、笑いたいから笑っているという境地だ。


一昨夜は76才のご老人が来られて、この木箱をかぶりたいといいだす。常連さんが「それをかぶると、これまで言えなかったことが言えますよ」と適当なことをご老人にすすめる。


するとご老人、すんなりと木箱を顔からかぶって、このように言う。


「私は今年で76才。女が・・・欲しい」


見事なまでの心の吐露に僕たちはすっかり感心して、拍手をご老人に送りました。やっぱり老いも若きも素直がいいなと。素直がない人間には愛くるしさは生まれない、愛くるしさを失った人間は、どんどん老いてしまうのだ。すると、どうしても自分の老いを包み隠そうとするため、気がつけばライザップなどへ通うようになるのである。


あんなものはポルノ以下だ。だが、もう少しだけ値段を下げてくれれば、僕も通って三島由紀夫のようになりたい。


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by amori-siberiana | 2017-07-15 01:57 | 雑記 | Comments(0)


北浜のビジネス街にある、昭和レトロなカフェのブログです。            大阪市中央区淡路町1丁目6の4 2階上ル