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こんにちは、北浜にて猫のひたいのように小さな店。画廊喫茶フレイムハウスにいる阿守です。


毎日、毎日のように「暑い」を口にしていたのがウソのように、朝から涼しい風が通勤ラッシュの人々の間を吹き抜けてゆく、証券取引所のある町。天狗の鼻のようにそびえたつタワーマンションもあれば、そろそろ時代的にも法律的にも限界だろうという具合の平べったい木造家もある。


各戸が各戸なりの思惑をもったまま、秋の到来を迎えようとしている。


このブログを書いている、ある方面の人たちから総帥と呼ばれるヒゲの男も、そんな景色のなかの一部分となり、なんとなく寝食して、なんとなく今日を生きているのである。


このヒゲの男が「総帥」と呼ばれる所以は何か?


この御大層な呼び名を取り立てて本人自ら所望したわけではないが、この男は遥か昔に音楽家であったそうだ。それが本当なのかウソなのかはわからない、ただ、今でもギターなる楽器を飲酒して気分がよくなると、よせばいいのに店の客の前でチラホラ弾くこともある。それで喝采があれば、もう一曲くらい弾こうとなる、さらに喝采があれば、喝采がなくなるまで弾いてしまう。そして手を痛める、ということを長らく繰り返している。


とにかく総帥と呼ばれることと、音楽は関係しているのであろう。


昨日、ヒゲの男は、朝に北浜のオフィスへ出社して、昼過ぎに会社の受付嬢に「ちょっと、遊んでくる」と言い残し、画廊喫茶フレイムハウスへ足を運んだ。


阿守がドンドンと冥府へ通じるような細い階段をあがると、その足音に気づいたであろう別の足音が、さらに上の階からドスドスと音を鳴らして落ちてくる。


ドンドンとドスドスはお互いの中間地点である二階で合流する。


ドスドスの足音を立てて降りてきたのは、版画家の柿坂万作であった。


昼をとうに過ぎていたということもあり、店内にお客はいなかった。これを好機と考えた阿守はおもむろに店の壁画の前に無造作に置かれているギターを取り出して、弾きだす。


「万作さん、そろそろ自分の演奏も近いのでギターの練習してても構いませんかね?」


「そら、お好きなようにされたらよろしいですわ。ワシ、上で洗濯しとりますよって」


若い頃とは違う。練習をしておかないと、下手になるとか感覚を忘れるのようなものではなく、体の筋というか腱というのか、そういう強い意志とか心の持ちようだけではどうにもならないものが動かなくなることを阿守はここ最近、感じているのだ。


自分のCDをかけて、自分で演奏する。なんだか急に眠くなってくる。それでも頑張る、やっぱり眠くなる。


ちなみに新しいペルシャ柄のカーペットを二枚ほど上のアトリエから持ってきて敷いてみる、ギターを置いて「亡命ロシア料理」という本をペラペラとめくってみる。


「これはなかなか秀逸な本だな」と一人で感心して、カーペットの上にごろりと寝転がり、そのまま、だらしなく寝てしまう。ハッと気がついて目を覚ますと、もう開店時間の半刻前になっていた。


今日は平日なので客がくるとしても、遅くの時間からになるであろう。そう考えたヒゲの男は午睡の前にしていた練習の続きをやる。ガラガラガラズドーン!と勢いのある音を立てて、万作がシャッターを開ける。


ヒゲの男の予想に反して、開店早々いきなり洒落た名前の女がやってくる。


「練習の途中なのだ、目の前ですまないけど、練習をやり切ってもいいか?」と、ヒゲの男は洒落た名前の女に問うてみる。


「どうぞ、気にせずお構いなく。あっ、万作さん、なんか食べるものありますか?」と、洒落た名前の女はいたってマイペースである。


ヒゲの男は総帥を目指してひたすら練習をする、洒落た名前の女はオムライスをひたすら食べる。そろそろ切り上げようかという頃合いを見計らうかのように、洒落た女が拍手をする。それならもう少し弾いてみようかと気を良くしたヒゲの男は、練習を続ける。


結局、一時間ほど、そのやりとりが続いた。


ヒゲの男はギターを置いて、今さらながら寝起きの温かいコーヒーを万作に注文する。ガリガリと猛烈な勢いでコーヒーの豆を挽き、ドリップ方式で丁寧に淹れられるコーヒーはその香りによって、なんらかの達成感を彷彿とさせてくれる。


おもむろに洒落た女が大きめの茶封筒を差し出してくる。


「これは…、何?」


「私の書いた絵本です」


「へえ…」


手渡された絵本をみてみると、確かに「文」のところに洒落た名前の女が記載されてある。読んでみるとこれが見事な出来映えであった。


絵本に描かれていた、宇宙の果てと、海の底を奏でる音を想像してみる。


万作にも絵本を渡す、万作は「うーん、うーん」と唸りながら、ここのこういうところが、こうやったらよかったのになぁと、自分なりの理想を洒落た名前の女に伝える。二人はそこから絵本作家の話しとなり、大いに盛り上がっていた。


そんな折、カピバラの魔女と、前世はスペインのジプシーだった女が店にやってくる。


二人とも音楽家で、ヒゲの男とは旧知であり、以前、どこか遠くの東欧のチョコレート売りを主題とした音楽を作っていたそうである。とにかく、この二人は喋りだすと止まらない。カピバラの魔女は「アハハハ」と蠱惑的に笑い、ジプシーの女は「ガハハハ」と豪快に笑う。


アハハハ!


ガハハハ!


アハハハ!


ガハハハ!


店の中には、その二つの笑い声が呪術における重大な祈祷のように鳴り響いていた。


それに続いて、常連の不思議な女、常連のガルパンの男がやって来て、一番奥の席に尻を落ち着ける。


そうだ、せっかく不思議な女が来たのだから、「架空読書感想会のリハーサルをしてみませんか」とヒゲの男は洒落た名前の女に振ってみる。


「感銘を受けた本があるんです。タイトルは地球殺人事件というものです。でも、誰一人、殺されないんですよね」


そこから、地球殺人事件についての読書感想が進むが、ネタがあまり出ないので、タイミングのいいときに洒落た名前の女が、不思議な女にこう尋ねる。


「なにか、最近お読みになられましたか?」


不思議な女は落ち着いた声で、こう答える。


「ええ、亀の甲羅を読みました」


「待ってください!亀の甲羅といえば僕でしょう!その本は随分と読みこんだのですから!」と、ヒゲの男も入ってくる。


架空図書、亀の甲羅について話しを進めていく。先ほどの地球殺人事件よりは面白い内容になってくる。次は不思議な女が、洒落た名前の女に尋ねる。


「なにか、最近、お読みになられました?」


洒落た名前の女は、天井を見上げながら、こういう。


「もしも犬に絵を描かせたら、を読みました」


「主人公の六郎さんが、生活保護を受給する描写に数ページをこと細かく割いていて、とても痛々しかったです」と、ヒゲの男はもちろん乗っかる。


「でもさ、あの犬が尻尾をつかって絵を仕上げる描写は秀逸なのよね。ほら、あの三人組の名前、なんて言ったっけ?」と、思いっきり適当なことをいうのは不思議な女。


「ああ、武藤さんと小林のいっちゃんのことですね。六郎さんとその二人で、ザ・トライアングルというグループだったはずです」と、ヒゲもやり返す。


「河川敷でホームレスをしながら、それでもそういうのを暗く感じさせないのは、作家さんの巧みな技量だと感じました」とは、洒落た名前の女。


架空読書感想会のすぐ隣では、やっぱり、アハハハとガハハハが応酬されている。こんな混沌とした地獄の集会所のような中でも、澄ました顔してビールを飲める安定のガルパン男。


ガゴッ。


締まりの悪い地獄の集会所のガラス戸が開く。やってきたのは最近ヒゲを剃った男と、男に連れられてきた、いちげんさんのマティスの女だ。


マティスの女は絵を描く、その色彩の使い方たるや、鑑賞者にとんでもないインパクトを残すものである。


「今日は何か楽器を持ってきてないの?」と、ヒゲの男はガハハハの方に訊いてみる。


「えーと、小さめの笛なら、持ってきてるかな?あるかな?ないかな?あるかな?ガハハハ」と返事が戻ってくる。


前世がスパニッシュ・ジプシーだった女はリュックサックからアイリッシュ音楽で多用される笛を取り出す。


ヒゲの男もギターを構え、コードの確認をして、そこからなんとも陽気な演奏がはじまる。アハハハの女も歌声を入れてくる。サラッと演奏は終わり、拍手喝采をいただく。


「そうなんよ、ここ(店)、いきなり(音楽の演奏が)始まるねん…。そっからは目が釘付けになってしまうねん。最初に俺が来たときもそうだった」と、店の説明をマティスの女にしてくれるのは、最近ヒゲを剃った男。


そのあと、フレイムハウスのテーマ曲(頌歌)をコラール風に演奏したり、アハハハとガハハハとマティスが前世占いの話しや、恋の裏切り話しで盛り上がってるところへギターを持っていき、アハハハの女が激しい呪いのような曲を弾き語ってくれる。ガハハハの女にもギターを持っていくと、柔らかい呪いのような曲を弾き語ってくれる。


「私は一言もしゃべらない」と来店前に宣言していたというマティスの女は、いつの間にか前言撤回の模様。これまで貯金していたことばを使い果たすかのように、見事なまでのことばの散財のしかただった。


洒落た名前の女は21時には帰路につかないと、タクシーになると言っていたが、気がつくと時刻は22時半を過ぎていた。


そういえば、洒落た名前の女は、小惑星探査機「はやぶさ」が好きだと語っていた。是非、星師匠と遭遇させてみたいものだ。「はやぶさ」が夜空に火花を散らし、果てていく様をプラネタリウムで見て、ヒゲの男と星師匠、そして隣の名前も知らないおっさんは号泣していた。


誰しも、いつかは果てるのだとしたら、思いっきり泣いたり笑ったりしておかないと、大損だ。


「あの人ら、プロですね。はあぁ…、発声の仕方が全然違うんで、ワシ、すぐわかりましたわ」と、誇らしそうに感想を漏らすのは、北浜のスティーブ・ジョブスこと版画家の柿坂万作であった。


どこのどのへんがスティーブ・ジョブスなのかは、誰も知らない。


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by amori-siberiana | 2017-08-31 12:27 | 雑記 | Comments(2)

「よろしければ、画廊喫茶フレイムハウスというお店のお名前を変えていただきたいのです」と女はいう。


「つまり、フレイムハウスという同じ名前の店が隣同士にあることで、今後なんらかの弊害があるとか、見込まれるということですね?」と、ヒゲの男は女に伺う。


「はい、お互いに、していることが多少違いますから」と女はいう。


「なるほど、よくわかりました」とヒゲの男はいい、チラと厨房にいるこちらもヒゲの男である版画家の柿坂万作さんのほうを見る。




…さて、時間はこれよりも4時間ほど逆戻る。




いつものように北浜のオフィスに顔を出してコーヒーを飲みながら仕事をこなしていると、一件のメールが入ってきている。


文面は丁寧であり人懐っこい。最近、隣のフレイムハウスに顔を突っ込んでるヒゲの男に対する若干の様子うかがいと、彼女自身の奥に秘めた何かを感じさせる情感豊かなもの。


差出人は画廊喫茶フレイムハウスの隣にある、サロン喫茶フレイムハウスのオーナーからであった。


いはく、「本日の14時00分、画廊喫茶フレイムハウスにて、今後の良い関係のために三人でお話しをさせてはいただけないか」とのこと。前日までは伝言ゲームを介して、面会するつもりはないと断っていた偏屈なヒゲの男も、大先輩からの直接の連絡とあれば断る道理もない。


ヒゲの男はメールを返信する。


「よろしくお願いします。今後の良い関係という部分に何があるのか気になりますが」と、言いたいことを言っておく。


昼過ぎ、北浜のオフィスを出る。隣のサロン喫茶フレイムハウスのオーナーの印象を想い起しながら、近くの花屋に入り、そのイメージのままの花を活けてくれと花屋のオーナーに無茶をいうが、快く引き受けてもらった。店内には久しぶりに聴く、サンボーンのサックスが小気味よく鳴り響く。


「サンボーンか…、これは有線ですか?」


「いえ、私のものです」


「このアルバムの最後の曲が好きなんですよ、若い頃、それこそCDがダメになるほど聴きました」


「そうなんですか」


まだ、14時00分までに時間があるので最後の曲を聴いてから花屋を出ようと考えた。若い頃に聴いた馴染みのアルバムというのは、自然と曲順まで覚えていて、次の曲がはじまってもいないのに、脳内で期待再生されているものだ。


ところが、全然、違うミュージシャンの曲がかかった。いよいよかという期待値の株価は一気に下落して唖然とする。花屋のオーナーがいうには、iPODをシャッフル選曲にしているのだそうだ。


花を買ったのなんて何年ぶりだろうか。そんなことを考えながら、ヒゲの男は堺筋の大通りを車の進行方向とは逆に、南へと歩いていく。


店に到着して、そのまま花をサロン喫茶フレイムハウスへ持ち込み、改めて簡単ではあるが挨拶をさせていただく。オーナーも喜んでくれたようで、なによりだ。兎にも角にも、女性に花を渡すというのは、なかなか気恥ずかしいものだ。幾つになっても慣れない。


花を渡し終わったあと、階段をのぼり、締まりの悪いガラス戸を押す。そういえば、自分もこのドアを最初に開けたとき、店内の情報がまったくなく、どれほど不安だっただろうかと思い出した。


ゴガッ。


ちょうどオムライスの仕込みをしていただろう版画家の万作さんの尻が目の前に現れる。筋肉質のデカい、これぞ百姓といった具合の尻だ。この尻の持ち主が夜な夜な三階のアトリエにあるプールで、ぷかりぷかり浮いているのかと思うと、なかなか気色悪い。


「あれっ!阿守さん来た!ワシはてっきり逃げ出したもんやと思いました!」と版画家は素っ頓狂な声を出す。


「あのね、あなたのそういう発想どうにかなりませんか?逃げるとか追うとか、そういうことじゃないでしょうに。隣のオーナーさんから僕のところへ直接連絡があったので、それで来たのです」


「うわぁ、ほんまに三人で話しするんですか」


ちょうどランチを楽しんでいたであろう、不思議な女はそのやりとりを聞いて、いたずらっぽい顔で黙ったまま苦笑し、午後の仕事へ戻った。


14時をほんの少し回った頃、隣のオーナーさんがやって来る。お土産に立派な梨をもってきてくださった。万作さんは、このタイミングで?というところで厨房にて食器を洗いだし、こちらの方へは一向にやって来ない。万作は逃げた。


足踏みオルガンの隣のテーブル、それを挟みこむようにサロン喫茶フレイムハウスのオーナーと、最近北浜に出入りしている、得体の知れない阿守という珍しい苗字を持つヒゲの男が座り、ゆったりと話しだす。


オーナーの女から画廊喫茶フレイムハウスの歴史が語られる。ヒゲの男はたまに合いの手や質問を入れながら話しを聞く、万作はやたらに食器を洗う。


「そういった経緯がフレイムハウスにはあったのですか」


「万作さんとか、他のお客さまからとか、何も聞いていらっしゃらなかったのですか」


「いえ、もちろん多少なりとも聞こえてくることはありましたけれど、やっぱり他人さまのいうことですから、まったく頭に入れていませんでした」


ヒゲの男は、噂というものを毛嫌いしている。それは本人が以前に「噂」や「伝言」の本質に関わった仕事をしていたからかも知れない。とにかく一切の信頼を置くことはないと心に固く決めている。その割に、妄想は得意だったりするから、わからないものだ。


「それで、今後のお互いのためにどのようなことを望まれますか。あなたとは面倒な腹の探り合いをしなくて済みそうだから、僕としてはありがたいのです。単刀直入にお話しいただければ幸いです」とヒゲの男は聞く。


オーナーの女はそのことばを聞いて、微笑んだあと、こういう。


「よろしければ、画廊喫茶フレイムハウスというお店のお名前を変えていただきたいのです」と女はいう。


「つまり、フレイムハウスという同じ名前の店が隣同士にあることで、今後なんらかの弊害があるとか、見込まれるということですね?」と、ヒゲの男は女に伺う。


「はい、お互いに、していることが多少違いますから」と女はいう。


「なるほど、よくわかりました」とヒゲの男はいい、チラと厨房にいるこちらもヒゲの男である版画家の柿坂万作さんのほうを見る。


万作さんは相も変わらず、ひたすら食器を洗っている。


そんな万作さんの後ろ姿を見ながらヒゲの男は口を開く。


「サロン喫茶フレイムハウスのお客さまから、隣にもフレイムハウスがあることで何らかの混乱があったり、こういったデメリットがあったという苦情でもありましたか?」


「いいえ、そういうことはないんです。ただ、先月、警察が来たときのことが怖くて」


そういえば、僕が画廊喫茶フレイムハウスに関わる前、7月の初め頃であっただろうか。店内で打楽器も入ったジャズの演奏を遅くまでしていると、警察がやって来たのだと万作さんから聞いたことがある。近隣の住民から警察へ騒音の苦情が入ったのだろう、音楽は使いかたを間違えば、演奏者がどれだけ愉快だろうと聴衆がどれだけ熱狂しようとも、それはただの迷惑になるのだ。当然のことだ。


なので、ヒゲの男は打楽器を使う際には、必ず隣接する下の店舗へ頭を下げて協力を求めている。そういう当たり前のことをしてこなかったのは、万作さんの万作さんならではの欠点である。


警察が最初に連絡をいれたのは、フレイムハウス違いの隣のオーナーさんのところだったとのこと。「いえ、うちじゃないです、違います」と、隣のオーナーさんは万作さんに連絡を取ろうとするが、万作さんは携帯電話を持ってはいるがタイムリーに受信することは、ほぼ、ない。


今はまだいいが、今後なにかがあったときに「フレイムハウス」と名前がでると、自分の店が風評被害を被ってしまう不安があるとのこと。その理屈もよくわかるし、同感だ。


そもそもヒゲの男がフレイムハウスに冷蔵庫を買ったのも、放っておいたら今後なにかが起きそうな気がしたから、毎夜のように夢に出てくる断末魔となったお客の叫び声を打ち消すため、その一心であった。


万作さんにそのことを話すと。


「これまで大丈夫やったんで、なんとかなるん違いますやろか」と平然とする。


これまで「大丈夫」だったことが、今後の「大丈夫」に関して一切の確約にならないことは誰でも知っていることだ。


「至極、正当な言い分です。ただ、店の名前を変えるかどうかの最終的な判断は僕ではなく、万作さんにお任せすることになりますが、構いませんか?万作さんはどう思われますか?」


厨房から出てきた版画家は口を開く。


「うーん、ワシはそないにこの店の名前に執着しとりませんので、変えたほうがええんやったら変えますけど、姉さん(隣のオーナーのこと)がつけた暖簾をほんまに変えてもええんですか?」


「はい、構いません。暖簾を新しくすることで費用が必要なのなら、私が新規開店のお祝いということでお金も出しますから」


ヒゲの男がいう、「どうして、これまでそういう話しをお二人でしてこられなかったのですか?」


「万作さんとは言葉が通じないときがあるんです、いつも誰か通訳が必要で…」と伏し目がちに隣のオーナーさんはいう、これはさすがに大笑いしてしまった。


「わかりました、では、変えるという方向で検討させてください。最終的なお返事をするまでに時間的な猶予が欲しいのですが、構いませんか?」


「それはもちろんです、よろしくお願いします」


「他に何か要望があれば、今のうちにおしゃっていただけますか?」


「他に…、そうですね、このお店にあるテーブルとか椅子とか、処分しなければいけない状態になったときには、一報をいただきたいのです」


「つまり、このお店が潰れたときの話しをされているのですね?」


「失礼ですけれど、そういうことです」


「言いにくいことを、ズケズケとストレートに何でもおっしゃってくださるので助かります、見事です」とヒゲの男は久々に爆笑する、隣のオーナーも一緒になって笑う。


会談は終わった、とても有意義な時間であった。僕が隣のオーナーであれば、彼女と同じような不安を持っていたことだろう、ただでさえ不安感を持っていた店に新しい男が入りこんできて、北浜を自治・独立させるなどと言い出したりする。冗談なのか本気なのかわからないにしても、厄介な隣人であることに変わりはない。


共存共栄のために店の名前を変えることがベストなのであれば、是非もなし。結論は来週の火曜日までに出すことを画廊喫茶フレイムハウスの二人は彼女に約束した。


その夜。


常連の不思議な女がヒゲの男にこういう。


「あもあも、新しい店の名前でこういうのどうかなっていうのがあるんだけど」と落ち着いた声でいう、しかし、彼女の目がいたずらっぽく笑っている。


「どうぞ、おっしゃってみてください」


「フレイム喫茶 画廊ハウス」


「別にそれでもいいんですけれど、それでサロン喫茶フレイムハウスのオーナーさんが納得してくれますか?」と笑いながらヒゲの男は、横のテーブルに座っていたサロン喫茶のオーナーさんを見やる。


昼夜にかけて来店していただいた隣のオーナーさんは何も言わずに苦笑する。


「オーナーさんがお昼に帰られてから、万作さんと二人でアイデアは幾つか出してみたんですよ」


「例えば?」


「画廊喫茶、魑魅魍魎とか、画廊喫茶、百鬼夜行とかですかね」


「ボク、その名前だったら絶対に店へ入らなかったですよ」と発言するのは、久しぶりにお店にやってきた、ニューヨークで高校生活をするジャックという少年であった。明後日には夏休みを終えてニューヨークへ戻るとのこと。


緑の手袋をした私のフィアンセという曲を延々と演奏していた彼だ。


「若い子がみんな、ジャックのようだったらいいのに」と漏らすのはガルパンの男、そのことばを感慨深げにうなずき、同調の意を示すのはグラフィックデザイナーの男。


ジャックは質問ばかりしてくる。そして彼の質問はいつも本質をついてくる。それが彼の生来の資質なのか、それとも周囲の環境に恵まれたおかげなのかはわからない。とにかく彼の質問に答えるというのは、ヒゲの男にとって自分への問いかけであったりもする。


ジャックに、ひとつの話しをした。


若い王様が善良な治世をするため、賢者を世界中に派遣する話し。


賢者たちが世界で見聞したことを10000冊の本として王様のもとへ持ち帰るが、王様の都合によってどんどん要約されるよう指示される、10000冊が100冊になり、100冊が1冊になる。そして最後には一言になるという、ヒゲの男が長年にわたって好んで用いる話しだ。


「めっちゃ、気になりますね…」とジャックはいう。


ジャックは冬にまた北浜へ帰ってくるという。まるで渡り鳥のようだ。ヒゲの男には、内容は残酷だが、大好きな渡り鳥の話しがある。それはまた冬に話そう。


ジャック、結局最後まで本当の名前は教えてくれなかった。知りたいわけではないが、何がどうなってジャックと呼ばれるようになったかのプロセスには興味がある。


本名が伊藤若冲とか瀬戸内寂聴のような、「じゃく」の発音が入っているのであれば、ちょっと本名を聞いてみたかった。


昨日はどこかからいらしたお客さまが、店のトランペットに油を差してくれたのだと万作さんが教えてくれた。誇らしそうにラッパのピストンを動かす万作さんと、潤滑油により自由を得たラッパは、隣り合わせのフレイムハウスの新しい幕開けを高らかに鳴らそうとするのであった。


万作さんは頬に息をためて、一気にラッパを吹く。


ブーーーーーっという不細工な「ド」の音が店中に響いた。


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by amori-siberiana | 2017-08-30 13:01 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、堺筋という大きな通りに面した北浜。そこにある猫のひたいのような小さな店、画廊喫茶フレイムハウスにて暇つぶしをしている阿守です。


今朝、北朝鮮がミサイルを発射した。そのミサイルは北海道を飛び越えて、東の海上に落ちたそうだ。朝から物騒なアラートによって叩き起こされた人も迷惑千万であろうが、都市部を中心に交通インフラのマヒであったり、ミサイルという逃げ場のない攻撃にさらされたとき、逃げ場がなくなる恐怖感であったり、商売における打撃であったりは、生きていくうえでとんでもないストレスになる。その疲労感たるや相当なものだ。


それが慢性的に継続していくことは、耐えがたい苦痛であり、勘弁していただきたいものである。


人間はストレスに慣れることはない。ストレスに慣れることが人を幸福にすることがないことを本能で知っているからだ。人はストレスを感じることで、それを絶対的に駆逐駆除しようとするものだ。なぜなら、理由はシンプルで、落ち着かないからだ。


個人の意志ではなく大衆が共通したストレスを持ち抱え、それが結集して暴発したとき、なにが起きるのか。これまでの歴史を振り返ってなにが起きてきたのかは明々白々。


ミサイルに怯えさせられることになるのはいつも一般人である。北朝鮮という腹芸を得意とする大根役者の後ろで、操り糸を垂れているのは誰なのか、みんなで探り出したいものである。ミサイルは打ち上げ花火の大会ではない、みんなを楽しませるものではない。


ただ、どちらにもスポンサーがいるということだ。


顧客の消費を促すのにもってこいなのは、「脅威」であったり「共通の敵(公共の敵)」の存在である。躊躇する大衆の連帯を派生させるのにもってこいなのも、「脅威」であったり「共通の敵(公共の敵)」の存在である。


そして、いつも災難に遭い、巻き込まれるのは一般人なのだ。


火薬に火がつかないことを祈るばかりである。文明とはなにか?、それは剣ではなくペンによる解決を見出すことではなかったか。


さて、昨日も朝から北浜のオフィスへ顔を出し、午後から画廊喫茶フレイムハウスに向かいました。北浜のご近所さんが主催される映画会が15時からあったのだが、諸事情により出席できず非常に悔しい思いをするが、是非もなし。


店に行くと版画家の柿坂万作さんが何やら言いにくそうに口を開く。これまでに何度もあったシチュエーションである。大体、この口調でスタートしたときは金の無心であることが多い。ちなみに後で気がついたのだが、今日の万作さんはDIESELのジーンズを履いていた。どうでもいいことだが。


「ああ、これは阿守さんには、お伝えしといたほうがええと思うことがあるんですけど…」


「どうぞ、何か言いにくいことでもあるんですか」


「実は隣の姉さんが来て、ちょっと三人で話しをしたい言われたんですわ」


万作さんのいう隣の姉さんとは、画廊喫茶フレイムハウスの隣にあるサロン喫茶フレイムハウスのオーナーさんのことである。一度、酒などの仕入れを終えて北浜のオフィスへ戻る途中にお会いしたことがあり、挨拶が遅れた自身の不調法をお詫びさせていただいたことがある程度の接点しかない。


三人というのは、隣の姉さん、版画家の柿坂万作さん、そして僕のことであろう。


「三人でですか?何の要件でしょうか」


「うーん、なんやろ…、なんか姉さんなりにあるんちゃいますか」と万作さんはことばを濁す。


「せっかっくのお誘いなんですけれど、要件のわからないものに出席する時間は持ち合わせていないので、断っておいてくださいますか」


「えええ?なんて…断ったら、よろしいやろ…」


「阿守は忙しい。と」


「はぁ…」と万作さんは釈然としない相槌をうつ。阿守はそのままタバコに火をつけ、万作さんは厨房へ入ろうとするが、思い出したように版画家は振り返り阿守にこういう。


「もしかしたら、店の椅子を返せいうて、いわれるかも知れんのですわ…」


「この店の椅子というのはお隣さまからの借りものなのですか?」


「そうですねん、また、ワシが椅子を作ればええことなんやけれども…」


なるほど、今のこのタイミングにて椅子の返却を迫られるとは、お店としてはなかなか困難な状況になることは自明の理。


「つまり、その件での話し合いということなんでしょうか?」


「うーん、ワシにはなんともいえんのやけれども…」


なんとも歯切れの悪い版画家の返答である。


「他になにか言いにくいことで、これまで黙っていたこととかありますか?」と訊く。


「いやぁ、他には特になんもないなぁ。面倒なことは全部、阿守さんが引き受けてくれるもんやろうと思とったんやけどなぁ」と万作さんは卑屈な苦笑いを浮かべるが、それをシラフで言ってるのだとしたら、狂気の沙汰だ。


ハッキリと断言するが、版画家の身元引受人や連帯保証人になった覚えは一切ない。


そんなことを話しをしていると、締まりの悪いドアがガチャリと開く。


青山ビルにてギャラリーをしている女と、彼女のギャラリーでイベントを開催していた坊主頭の女がお客さまとしてご来店される。先日、お二方からは直接連絡をいただいており、月曜にフレイムハウスで食事をしたいのだが、ベジタリアン用の料理ができるものだろうかと相談をいただいていた。


その日のうちにシェフの万作さんにそのことを伝えると、「わかりました、引き受けましょ。なんなりとできると思いますわ」と心強い返事をいただけた。こういうときの万作さんは頼りがいがある。あとは腕相撲のときも。


少し前に来店されていたグラフィックデザイナーの女を含めて四人でいろいろなことを話す。人にはコンプレックスがあるが、そのコンプレックスが自分や他人にとってのメリットとなるような場所で活動することが良いと、ギャラリーの女はいう。まったくもって、同感である。


坊主頭の女は「彼女はいつもこういうためになる話しをしてくださるんです」という。


そんな二人の女はギャラリーでのイベント期間中、揃って近くのバレエ教室(アンチエイジング)に通っているとのこと。本格的にバレエを踊るのではなく、バーレッスンなどで屈伸をするだけでも、随分と運動になるのだとか。


彼女たちの話しは聞いていて面白い。屈託のない意見をとても上品におっしゃってくださるので、真摯で手厳しい意見だとしてもすんなりと聞き手の側に入ってくる。そして何より前に向いている、だから彼女のギャラリーは居心地のいい場所なのだ。


彼女たちが食べたのは、万作さん特製の「ベジタリアンのためのトマトとたまねぎのパスタ」。ふたつの皿に盛られた、若干多めのパスタはみるみるうちに二人の胃袋へと納められた。味見をしておけばよかったと後になって悔いた。


そこから常連の不思議な女とグラフィックデザイナーの男、ガルパンの男、エジソンがやって来る。


話しの主題はアミニズムからどのように仏教へと日本人の信教は変化していったのかを手始めとして、本来の日本語とはどういったものなのか、オーパーツとは何なのか、土偶は宇宙人ではないのか、コロンビアの黄金ジェットとは?という話しになっていく。


カウンターでは万作さんとエジソンが「流体力学」について話しをしている。これほど万作さんの無邪気で嬉しそうな顔を見たことはないというくらい、エジソンから語られることばに目を輝かせていた。


もちろん解決など出ない。解決を出すことはそんなに重要じゃない、まず問いかけることが重要なのであるとは、ソクラテスの哲学だったであろうか。


多分、ソクラテス自身も例にもれず酒飲みだったのではなかろうか。



- 友と敵とがなければならぬ。友は忠言を、敵は警告を与えてくれる -


アテナイのソクラテス

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by amori-siberiana | 2017-08-29 12:02 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北浜にぽつんと建つ猫のひたいのような小さなお店。画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


昨日の日差しは厳しいものでしたが、吹きつけてくる風に秋の気配を感じました。この風があと少しもすれば、冷たくなり、冬眠という習慣を母体のなかに捨て去ってきた人間という種族に対してイヤがらせのように凍えるような風を送ってくるのかと想像すれば、今の熱気も名残惜しいものです。


さて、昨日の画廊喫茶フレイムハウスではタッキー国王杯のモノポリー大会が開催されました。お客さまも沢山きてくださり、無事、盛況のままに終えることができました。ご来店のみなさま、ありがとうございます。


タッキー国王も閉店後に「モノポリーはもう一戦したかったですね」とご満悦の様子であり、会計のときにも「僕、はじめてこのお店で適正な飲食会計の支払いができた」と驚いておりました。つまり、これまではボラれていたということを言いたいのでしょうが、人聞きの悪い話しです。


画廊喫茶フレイムハウスはいつも明朗会計。日本中のエンゲル係数を下げることのみが、この喫茶店の拠ってたつところ、大義名分なのですから。


モンゴル→北京→北浜へと来られたタッキー国王は、キャリーバッグを引きずりながら
、各国の気候にあわせるためでしょう、日本の今の気候から比べると、とてもおかしい格好で来店してくださいました。少し遅れてくるところが、人気者の証拠です。


予定時間を45分ほど過ぎたころ、モノポリーは5名で行われました。


タッキー国王、ミスター上仲、ベトナム人のタム、一般参加の女、そして総帥。


序盤は静かにゲームは進んだが、ある程度、プレイヤーが土地を持ち出すと各自が交渉に動き出します。モノポリーというゲームにて勝利するには、ひとつのエリアを買い占めることが必須。しかし、基本的にサイコロ運でゲームは進行するので、お目当ての買いたい土地に止まれないことがよくあります。そういったとき、自分の欲しい土地を持っているプレイヤーと交渉の場をもうけて、手に入れたりするのです。


総帥が、タムくんに交渉します。


「タムくん、あなたの持ってる赤い色の土地と空色の土地。これは僕と持ち合いになっているから、お互いのメリットのために交換しませんか?」


日本語があまり得意じゃなくモノポリーのルールすらわからないタムくんは、オロオロする。これは好機と総帥が英語で畳みかける。


「タムくん、僕には近い未来におけるお互いの繁栄が見えている。ここはメリットしかないので是非とも交換して欲しい。赤色の土地がいいかね?それとも空色の土地がいいかね?君の選択次第だ」


タッキーが凄まじい勢いで英語にて割り込んでくる。


「タムくん!ダマされたらダメですよ、もっと良いプランが僕にはある!タムくん!僕のプレゼンテーションを聞いてくれ」


それを皮切りにゲームはスピード感をまして、駒を進めるよりも交渉がメインになってくる。しかもなぜか英語メインになっている。薄暗い部屋でテーブルを目の前に殺伐としたなか、異国のことばが血気盛んに飛び交うのは、映画「ディアハンター」のワンシーンのようだった。


総帥がトイレに行ってるあいだに、タッキーがここぞとばかりに猛烈な交渉をタムくんへ持ちかけ、詐欺的手法で黄色のエリアを独占する。鬼のいぬまに洗濯とはこういうことか。


一般参加の女が不幸にもタッキーの土地に足を突っ込んでしまい、一発で総資産の70%ほどを失う。タッキーは自身への支払いに苦しむ彼女の土地を自分が高値で買い取ることで、彼女が破産しなくていいように首の皮一枚で生かす。


生きながら死んでいるようなプレイヤーを救うフリをして、実際にはいつ仕留めようかと考えるのに快感を得ているのは、なにもタッキーに限ったことではなく、世の中の縮図であろう。


「敵対買収(M&A)の基本は勢いとタイミングですから、いけるときには買う、ですよ」と満悦そうに語るタッキー。


タッキー以外のプレイヤーは独占エリアがないので、ここで対タッキー戦略を残存プレイヤーで練る。


総帥は自分のツタない英語力ではタムくんが調略できないことを知り、上仲くんに自分が画策する交渉を成立させるよう、総帥とタムくんとの仲介を頼む。


「阿守さんの交渉にタムくんを応じさせればいいんですね、わかりました。それで僕への見返りはなんですか?」


最近の若者は抜け目がない。背に腹は代えられないので、上仲くんに成功報酬として彼の欲しがっている土地を与えることを約束。上仲はタムに「阿守さんからの提案が現時点ではベストであろう」と甘言を伝えて、交渉は成功する。


スクランブル交渉により、三者が独占エリアをもつことになった。


が、ときすでに遅し。自分のエリアに先行投資してキャッシュがなくなったプレイヤー各人が運悪くタッキーのエリアに止まり、巨額を支払わされ、タッキーは苦労せず大金持ちになった。


上仲くんがいう


「…なるほど、こういうのが黒字倒産ですね。キャッシュフローの大切さを身をもって知りました」


結局、モノポリーはタッキーの大勝利に終わる。おめでとう。


そのあと、小休止してから、店内のみんなで「人狼ゲーム」をすることになった。ゲームを知らないものも半強制的に参加させられる。


9月28日に北浜のオフィスで行われる「北浜人狼」のゲームマスターに指名されているので、練習がてらお客さまにお付き合いいただく。おかげさまで、随分とゲームの進行についての不安は解消されました。


ゲーム終了後、アラタメ堂のご主人よりお借りしている人狼ゲームに必要な紙製のカードを確認してみると水滴によってヘロヘロになっているものが数枚ある。確かに酒場において水分は必要不可欠なものだが、一体、どこで…。


テーブルを調べてみると、冷泉さん(ハイタッチの男)とタッキーのテーブルの上が何故かビチャビチャ。犯人を探すのは案外、簡単だった。


その晩、なぜか夢に版画家の柿坂万作さんがゲーム中にいったセリフが何度か出てきた。


「ワシ、予言者ですねん…」


「ワシ、予言者ですねん…」

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by amori-siberiana | 2017-08-28 12:26 | 雑記 | Comments(0)

北浜の名物といえばコレ、画廊喫茶フレイムハウスといえばコレ。


そうです「架空読書会」がいよいよ長年のときを経て復活することとなりました。


待って、待って、架空読書会って何よ?


アハハ、簡単ですよ。その名のとおり、ありもしない本について参加者全員が本の内容を語りあうという、途方もなく幻想に包まれた文学イベントです。一人で語るのではなく、参加者全員で一冊の本について語るのですから、ストーリーは良くいえば千差万別、悪くいえばその場しのぎ。


やたら細かくディティールにこだわる人もいれば、大胆不敵にこれまで紡いできた話しの内容を急展開させる人もいる、酔いがまわりすぎて寝る人、途中で退席したまま帰ってこない人もいるでしょう。そういう偶然性のアクシデントも含めてのイベント、それが架空読書会。


この読書会をジョン・ケージ氏(1912年9月5日-1992年8月12日)に捧ぐ。


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~架空読書会についての質疑応答~


【Q:01】

◆ホストクラブにハマってる彼女をもつ男です。架空読書会で議題にされる本の名前などは誰が決めますか?

【A:01】

◇はい、その場にいて思いついた人間が決めます。

【Q:02】

◆またまたホストクラブにハマってる彼女をもつ男です。全員がその本について語るのですか?それとも一人一人がそれぞれ違う本について語りあうのでしょうか?

【A:02】

◇はい、全員がその本を読んできた。ということを前提に適当な話しをします。

【Q:03】

◆はじめてメールするもんやけどやぁ、その読書会いうもんって、自分路線の話しに急ハンドルきってもええん?俺、こうみえてダイビングの話し好きやねん。わりと。

【A:03】

◇はい、自由に路線変更してくれてかまいません。わりと。

【Q:04】

◆団地妻です。自分より前者が語った本のあらすじなんかが、自分の思っていた方向と違ったら、それを強引に自分好みにしてもいいんですか?つまり・・・、あの人を強引に奪ってもいいんですか。

【A:04】

◇先に他の人が語った内容(設定)を否定はしません。

例えば「田中が死ぬ場面で泣いた」と誰かが言えば、そういう場面があった前提で他の人も続ける)

例①:「田中が死んだ→そんな事実はない」がNG(前者の話を否定するから)
例②:「田中が死んだ→と思わせといて実は生きてた」はOK(前者の話を受けての展開)

【Q:05】

◆お初です、お盆にあちらから帰ってきたものです、ひとつの本についてどこまで語りますか?

【A:05】

◇それは当日のお楽しみです。

【Q:06】

◆読書会には参加したくないけれど、みなさんがどんなことをするのか興味があります。戦じゃないので観戦といういいかたもおかしいけれど、つまり、そういったことって出来ますか?

【A:06】

◇もちろんです、ギャラリーが多いほうが燃えますからね。


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以上が「フレイムハウス架空読書会」のざっくりした内容です。


びっくりするくらいゆるく、ひとつの適当なありもしない物語をみんなで共有できれば、幸いです。


お問い合わせや応援メッセージや呪いの言葉は takaoamori@yahoo.co.jp

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by amori-siberiana | 2017-08-28 11:08 | イベント | Comments(0)

◆8月27日(日) 【タッキー国王杯 モノポリー大会】 /予約不要

※ゲームへ参加するも、参加しないも自由です。もしかしたら人狼もするかもです。入場は無料。

◆9月02日(土) 【天上の宴 甘美なる宮廷音楽】 /予約受付中

猫のひたいのような小さな店に響きわたるインド音楽をスパイスに酒を飲む。酒でなくてもいい、飲む。

◆9月15日(金) 【ジプシー・スウィング・ジャズ】 /予約不要 ※万作さんのイベントです。

◆9月19日(火) 【~THE FINAL~ サン・ジェルマンの殉教にて ガエル・ガルシア・ベルナル四重奏団】 /9月12日より予約受付


◇これより秋の万作祭◇


◆10月08日(日) 【〓SECRET〓】 /予告:王の帰還 (前編)

◆10月09日(月) 【〓SECRET〓】 /予告:王の帰還 (後編)

◆10月10日(火) 【〓SECRET〓】 /予告:マジの断捨離ってさ、身さえも削ることなのさ。


お問い合わせ、ご予約は takaoamori@yahoo.co.jp


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by amori-siberiana | 2017-08-26 20:08 | イベント | Comments(0)

~THE FINAL~ サン・ジェルマンの殉教にて


いつかの夏…。


ある7人組のバンドに出演依頼が来た。出演要請をしてきたのはMBS(毎日放送)、出演場所は大阪城の二の丸、出演日は炎天下であろう真夏。


テレビ局のイベントだということで、これは出ない手はないとバンドのリーダーや13PROJECTの社長は色めきだったが、そのバンドの顔でもあるバイオリニストがイベントと同じ日に硬筆検定を受けるため大阪へ来れないということが判明した。


バイオリンなしでもなんとかなるだろう、という甘い見込みで出演を快諾したが、よくよく考えればなんとかなるわけがないのだ。


なんとかバイオリンなしで出来る曲はないものかと、バンドのリーダーはいろいろ頭のなかや胸のうちを探してみた。すると、いつの日にか作りかけたままになっていた、一曲を思い出した。


それが後の「サン・ジェルマンの殉教」という曲。


タイトルをつけたのはもっと後の話し。バンドのリーダーはこれより何年か前に、自身の妹の骨を抱いて埋葬するところも見つからず、パリのサン・ジェルマン大通りをアテもなくフラついていた。


MBSのイベント当日は、やはり炎天下。


大阪城の駐車場から演奏会場までの二の丸までは、結構な距離を歩かなければいけない。楽器がトライアングルやタンバリンならよかったのだが、不幸なことにこのバンドにはコントラバス奏者がいる。


コントラバス奏者のメンバーはどうするのか?メンバーの父親と一緒にコントラバスを運んだ。大阪城のふもとから、二の丸まで大きなコントラバスを入れた黒いケースの端と端を、父と息子がもって歩いた。その歩みは遅かったが、足取りは強かった。麦のように強かった。汗はしたたり落ち、多少の愚痴も出ていただろうが、その姿をみてバンドのリーダーは、自身がパリで彷徨っていたときのことを思い出した。リーダーは自分の家庭では体験できなかった、こういう父親との関係に心底あこがれていた。


マンチェスターでもそうだった、この父と子はやっぱりコントラバスを町の端から端まで運んだ。この光景をあと何度見られるのだろうか、できることならずっと見ていたいと、リーダーは密かに考えていた。


さて、大阪城におけるイベントでの演奏がどうだったのかなどは、太陽の熱気によって水分と一緒に記憶も蒸発して、なにも覚えていない。覚えるに値するようなイベントではなかったのかも知れない。


残っているのは、夏の思い出と、この曲にサン・ジェルマンの殉教とつけたことだけ。


ガエル・ガルシア・ベルナル四重奏団、最後の演奏会を画廊喫茶フレイムハウスにてお楽しみください。


阿守 孝夫 /Acoustic Guitar
真鍋 貴之 /Classic Guitar
山本 周作 /bass
平尾 正和 /Percussion


ご予約開始は9月12日の正午12時から。


takaoamori@yahoo.co.jpまで


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by amori-siberiana | 2017-08-26 19:50 | イベント | Comments(0)

こんにちは、北浜にある猫のひたいのような小さな店。画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


本日より、9月02日(土)のイベント【天上の宴 甘美なる宮廷音楽】の予約受付を開始いたしました。インドの楽器、シタールの音色というものは一度聴いたら忘れられないインパクトがあります。なかなか聴こうと思って聴く機会のないものですから、まだ生で聴いたことがない人は、是非、画廊喫茶フレイムハウスまで足をお運びください。


さて、昨日は版画家の柿坂万作さんの厨房でのお召し物を朝から買いに行きました。


万作さんは、そのずんぐりむっくりな体躯にサイズが合っていない、誰かからもらったシャツを毎日着ており、そのいでたちは「POP」を出した頃のU2のボノみたいです。「厨房に立たれるのだからもう少し清潔感があったほうがいいんじゃない?」という意見をお客さまからいただいたからです。


南船場のパン屋「き多や」さんから、そういった服は道具屋筋で売ってるよと教えてもらい、案外近くにあったがこれまで立ち入ることのなかった道具屋筋に行ってきました。昨日は朝から相当な暑さで、アーケード街も容赦のない熱気であふれていました。


そのまま酒屋へ行き、コーラとジンジャーエール、そして炭酸水とウイスキーをしこたま買ってランチで開店したばかりの店に顔をだし、北浜のオフィスへ戻る。


北浜のオフィスでは会議室から絶えず笑い声がきこえてくる。人の笑いかたは様々だが、どのような笑いであったとしても、泣いているよりは随分と魅力的だ。


お昼を食べるために近くの青山ビルにある喫茶店へいき、帰り際に同じく青山ビル内にあるギャラリー「遊気Q」に寄って雑談をする。ギャラリーの女がいうには、アトリエの一角(猫のひたいのように小さな一角)が空いたので、誰か使ってくれる人はいないか相談に乗って欲しいとのこと。


見どころ満載の大正時代に建てられたスパニッシュ様式の青山ビル自体にファンがおり、そんなところでアトリエを構えられるとは、自分がなんらかの作家であれば一考の余地もありだなと思ったが、僕がアトリエをもっても今のところ大した利用価値が見つからないので、興味がある人を探してみるとギャラリーの女に言い残して帰る。


もし、これをお読みのかたでどんなところなのか興味があるかたは、阿守までご連絡をください。


満腹となりオフィスへ再度戻ると、ミーティングルームでの談笑が「子育てカウンセリング」の講義だったことを知る。主催をしていたのは心理カウンセラーの女。


ちょうどタイミングもあったので名刺交換をさせていただく。するとオフィスで働くママさんたちも集まってきて、知り合ったのも何かの縁、これからフレイムハウスへ行こうということになる。


事前に万作さんに「これからお客さまを連れてお店へ行きます」とメールをしておき、多少、フライング気味の時間にママさんたちを連れてフレイムハウスへ到着すると、すでに声の大きな男が先客としてきている。


その男がいうには、店が開いていたから入ってきたとのこと。万作さんとは古い飲み友達ということはわかったが、こういうのは勘弁していただきたい。店のなかで大声で電話をするわ、変なタイミングで話しに割り込んでくるわで、うっとうしいことこの上ない。


せっかくのいちげんさんのママさんたちも早々に退散する。


この店は客を選ぶのか?といわれれば、答えはイエスである。ふざけるな、バカ野郎。


万作さんとその男が旧知であるということもあり、追い出すこともできそうにないので、お店は万作さんに任せて、外へご飯を食べに出る。


そろそろよかろうと外で時間をつぶして、店に戻ってくると大声の男は帰っており、常連の不思議な女と、素敵な帽子かぶったグラフィックデザイナーの男とアリスの女が来てくれていた。それに続いて宗教画のモデルの女も店にやってくる。


不思議な女が足踏みオルガンで不思議な音を弾きだす。


それに合わせて歌ってみると「アモアモ、そういうのじゃないの」とダメ出しを受ける。不思議な女から「ふわっと消えるような音楽を弾くのよ」と不思議な指令をいただいたので、言われるようにやってみる。


不思議な女が不思議なことをいうのは、別段、なんら不思議なことではない。魚が水を欲しがるように、鳥が空を欲するように、それは普通のことなのだ。


なんとも例えがたい音楽をオルガンで演奏していると、いちげんさんがやってくる。万作さんがいうには「ワシ好みの男」とのこと。不動産関係のグラフィックデザイナーをしている彼のことを、最近ヒゲを剃った男と名付けることにする。


そして北浜のペット・ミドラーことエイリアンもやって来る。


エイリアンは僕の顔を見るなり「あなたのブログ読んだ、私は、まだ還暦じゃない!それとブログなんですけどね、全然つまらない!」と痛烈なクレームが入る。いつかのブログでエイリアンのことを還暦と書いていたようで、失礼いたしました。


「でも、四捨五入すれば還暦ですよね?」と問うと、少し考えたあとエイリアンは「そうだ」という。


エイリアンは文章のコツとして「僕とか私とかの一人称を抜け、それが入ってるだけで読む気にならない!」とアドバイスをくれた。早速、試してみているのが今回のブログだが、なかなか難しいものである。


アリスの女が問いかけてくる。


「阿守さんのしていた音楽ってどんなジャンルなんですか?エイリアンさん、興味があるそうです」


「そうだな…、言葉にすると…」と言おうか言うまいかのタイミングで、エイリアンが口を挟んでくる。


「そんなことはどうでもいい!知りたくもない!」と両手で拒絶するジェスチャーで言葉をさえぎる。いやはや、なんという威圧感であろうか。エイリアンの異名は伊達ではない。彼女の会話の勢いたるや、溢れる才気の核融合と分裂を一身では抑えきれず、メルトダウンしているようだ。


そのままエイリアンはアリスの女や、不動産デザイナーの最近ヒゲを剃った男を巻き込んで、マンションビジネスにおける問題点や今後の展望を語る。いや、吐きだす。


「私のギャラリーを勝手にしていいっていってんだから、なんでもかんでも好きにやりゃいいのよ!」とエイリアンは僕を指さしていう。


「その、なんでもかんでもっていうのが難しいんですよ」と返答して、最近ヒゲを剃った男に助けを求めると、ヒゲのない男はヒゲのない半笑いの顔でこういう。


「それは、自由にすればいいってことですよ」


そのパーフェクトな言葉に大笑いしてしまった、サンキュー、これぞ、他人事!


ガゴッと音がする、扉の方を見てみるといちげんさんが来ている。


「すいません、加藤さんは来られてますか?」


加藤というのはここではハイタッチの男の俗名で、つまり、冷泉さんのことだ。よくある苗字なので念のために聞いてみる。


「それはもしかして、黒ずくめの男のことですか?」


「ああ、その人です」


「そろそろ来られるかと思うので、こちらでお待ちください」と彼を席に案内するやいなや、締まりの悪いガラス戸がまた開く、ハイタッチの男こと冷泉の登場である。


ハイタッチの男(冷泉)、会計事務所のオーナー、スーツケースの男、そして今、来られたいちげんさんの病院経営の男が奥のテーブル席へ行き、酒盛りがはじまった。後から遅れて仕事途中だったはずの人材派遣の男も加わる。


ハイタッチの男がギターを弾いてくれというので、ちょうどいい機会。エイリアンにも言葉で説明するより実際に聴いてもらうがよかろうと、ギターを取り出して弾いてみる。


演奏が終わり、一同の拍手を受ける。見渡してみるとエイリアンは、さっさと帰っていた。


そこからジャズの歌手、書道家の男の一団も来店して、猫のひたいは全てが埋まりあちらこちらから届く喧噪は心地のよいものだった。


宗教画の女が冷泉を殴って蹴りとばし、その勢いで会計事務所のオーナーも蹴り飛ばし、ヒゲのない男とアリスの女、ジャズシンガーも冷泉の腹をおそるおそるパンチする。


そうして、世間のプレミアム・フライデーの雰囲気とは、多少かけ離れるであろう画廊喫茶フレイムハウスの夜は更けていく。


万作さんの白いコスチュームに黒いエプロンは愛嬌が増して、なかなか素敵だった。


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by amori-siberiana | 2017-08-26 13:39 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、由緒正しき北浜にて猫のひたいのような店。画廊喫茶フレイムハウスにて大博打をしている阿守です。


昨日は朝のうちに南船場のパン屋「き多や」さんへ行き、版画家の柿坂万作さんが作り上げる「21世紀のイカレた奴らに贈るフレンチトースト」の素材となるバゲットを買いました。先日アップしたメニュー欄にのせておりませんでしたので、また追記しておきます。

バゲットを買ってお店に戻り、温かいコーヒーを飲んでいると、僕と同郷で今も香川県を守る矢野さんが来店してくださいました。先日より、彼が仕事のため関西に来ていることは知っていたので、ジラさずにさっさと店に来いよと思っていましたが、やっとということです。それでも久しぶりに感じなかったのは、大阪と香川の交通の便が発達して、距離が長いと思わなくなったからでしょうか。


僕が香川県から大阪へ出てきたときなどは、お金もなかったので高松から船に乗って、神戸の青木港まで到着して、そこから阪神電車に揺られて、右も左もわからない大阪に辿り着きました。辿り着いたからといって、そこに何かがあるわけではありませんでしたが、それでも香川県で煮えたか沸いたかわからない生活をしているよりは、随分とマシでした。


根拠のない自分の可能性を試したくて仕方がなかったのです。衝動的に出てきました。


当時、僕の同郷の仲間もタイミングを同じくして大阪へ出てきましたが、彼らにはすることがありました。僕は別にとりたてて音楽がしたかったわけではなく、就職がしたかったわけでもなく、ただ、鬱屈として退屈の代名詞であった自分の故郷から出たかったのです。


同郷の男と話し込んでいると、これまた久しぶりに加賀の女がご来店されました。僕がシベリアンニュースペーパーというバンドをはじめたとき、彼女の所属していたチームからのサポートがなければどうなっていたかわかりません。「ZOOBERIAN」なる珍妙なイベントもなかったかも知れませんし、エドワード・ゴーリーの絵本に音楽をつけることも、ヴィヴァルディの「四季」をレコーディングすることもなかったかも知れません。


いや、そんなに変わらなかったかも知れませんが、「もしも」話しはバカバカしいので、ストップします。


ランチの時間も終わり、そのまま北浜のオフィスへ行きます。


僕のいるオフィスにて、9月28日の木曜日。午後19時から「北浜人狼」というイベントが開催されます。一般人も入場可能だというこのイベントの狙いは「心理戦ゲームでコミュニケーション術に磨きをかけよう」というものです。


このイベントを企画された、アラタメ堂のご主人から「阿守くん、ゲームマスター(司会進行役)になってくれ」との使命を頂戴いたしましたので、それについてのザックリした説明をオフィスで受けていました。あまりにざっくりしていたため、ほぼ自習でした。


アラタメ堂のご主人から「阿守くん、人狼はしたことある?」と訊かれますので、無論だと答えます。


今はなくなってしまいましたが、Yahoo!ゲームにあった「人狼 ON LINE」。


そこで伝説のユーザー「安倍総理」というのがいましたが、はい、僕のことです。会話のすべてを安倍総理の真似をしてやっていただけなのに、えらく人気が出まして、僕の作った部屋はいつも活気に溢れていました。


「総理!国会中なのにこんなところにいていいんですか!?」


「ああ、ですからですね、あなたのそういった発言はですね、とても極端なんではないかと、私はですね、思うわけであります」


「総理が人狼ですよね?」


「そういったですね、間違った情報というか、なんというか、あなたのそういった発言はですね、印象操作をすることになりますよ、ルール違反なんじゃありませんか?ああ、違反じゃありませんか、すみません」


ただ、対面式での人狼をした経験はないので、進行の仕方などはフレイムハウスのお客さまたちにも協力してもらい、何度か訓練したのち、9月28日の大会当日までにはソツなくこなせるようにしておきたいものです。


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2017年9月28日(木) 19:00から20時30分

参加費:1000円(1ドリンク、お菓子つき) ※一般参加可能です。

司会進行:阿守総帥

会場:THE LINKS KITAHAMA Aルーム
◆大阪市中央区今橋2-3-16MID 今橋ビル1F

主催およびお申込み:アラタメ堂 主人 fukuda@aratamedo.jp


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そのまま二次会で画廊喫茶フレイムハウスへ誘導することが、最初から僕の目的だとは、誰も気づくまい。ワオーーン!


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by amori-siberiana | 2017-08-25 14:02 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北浜にある猫のひたいのような小さな店。画廊喫茶フレイムハウスの阿守です。


今日の北浜はすこぶる蒸し暑く、ほんの少し外に出るだけでも汗が噴き出すという有り様。少し歩いては汗をぬぐい、少し歩いては汗をぬぐいの酷暑にてブログをしたためております。


昨日も北浜のオフィスに顔をだし、夕方を過ぎてからは某社顧問の男とサーファーの上仲くんをお連れして画廊喫茶フレイムハウスへ向かいました。


以前、某社顧問の男を知人からご紹介いただいたとき、彼がカフェの経営コンサルタントをしていたということを僕が覚えていたので、一度、お店を見ていただきたかったのです。


お店に到着してみると、お客さまがすでにくつろいでおられまして、そのお客さまより東京土産のえびせん(柚子風味)と、「亡命ロシア料理」という本を含む数冊をお店に寄贈いただきました。ただ、自分が読みたくなったときにはまた取りに来るとのこと。なるほど、書庫代わりにもいいお店かも知れません。彼女自身、小説の登場人物のような名前をしていらっしゃるのです。


せっかくなので、某社顧問の男、上仲くん、洒落た名前の女、そして僕で画廊喫茶フレイムハウスの展望を論議のキッカケとして、そのままカフェの歴史やコーヒー文化(エスプレッソはどのように日本に入ってきたのかなど…)について話しはどんどん掘り下げられました。


そのうち、ハイタッチの男こと黒ずくめの冷泉さんがやって来られ議論の席に自然に混ざります。


フレイムハウスでのイベントに話しが及んだとき、洒落た名前の女がこういいだす。


「私、架空読書の会をしてみたいんです」


「カクウドクショ…?」、女以外の全員が顔を見合わせる。


「ありもしない本について、みんなで語りあうんです」と女は補足説明をしてくれる。なるほど、ここへやってくる酔っぱらいたちなら、幾らでもできそうなイベントである。


「つまり、適当に本のタイトルをつけて、それの読後感想をみんなで語り合うという会ですね?それは面白そうだ」と皆でやってみるが、すぐに笑いの絶えないくだらない架空読書の会ができた。


洒落た名前の女がいう。


「私、第二章からが好きなんです」


僕が応答する。


「ああ、主人公の西村が離婚してからだね」


冷泉さんが、すかさず反応する。


「阿守さん、どっち派でした?」


某社顧問の男も鋭くメスを入れてくる。


「作家の円城寺さん自身が童貞なのかゲイなのかって、一時期は議論の的になってましたけれど、そのどちら側として見解に立つかでも評価は分かれますよね」


上仲くんは聞き役としては最高のゲストだ、次はどんな架空感想がでてくるのかを好奇の目で周囲を見渡す。自分よりも10も20も上の大人たちが、ありもしない本について熱く語っているのだから、これは奇異であろう。


そうこうしているうちに、僕と冷泉さんのタバコが切れてしまったので、二人で近くのコンビニへ買い出しに行くことに。版画家の柿坂万作さんより、「阿守さん、氷も買うてきてください」と申しつけられているとき、ガチャと店の締まりの悪いガラス戸が開き、いちげんの女性が入って来られた。


僕と冷泉さんがコンビニから戻ってくると、いつの間にか彼女も会話に加わっており、話しは架空読書から旅行代理店「てるみクラブ」の破綻についてとなっていた。キャッシュフローがどれだけ大事なことなのか、顧問の男と洒落た名前の女、そしていちげんの女が上仲くんに説明している。


やたらと金に詳しいし、上仲くんへのアドバイスが素人じゃないと思って聞いてみると、いちげんの女は税理士事務所の代表取締役であり、それを聞いて「どうりで…」と腑に落ちた。


寺社仏閣税務などを専門的に扱う彼女自身も、相当な神社マニアだという。


「こういうみなさんのいるところで、訳のわからない私の趣味についてお話ししても…」と言葉を濁していたが、冷泉さんと顧問の男が許さない。


「こういうところだからこそ言いましょう」と口を揃える。


「ちなみにバカっぽい話しですいませんけれど、あなたのお好きな神社ベスト3を後学ため僕たちに教えてくれませんか」とは僕の発言。


「序列も私のなかでいろいろ入れ替わるので…、なかなか」と正直なところをいう税理士の女。


「もちろん序列じゃなくて構いません。お好きなところを三つ掻い摘んで教えていただければ幸いです」と一応ことわると、彼女は自分的なベスト3を教えてくれた。


同席していた誰一人、そのうちのどこもわからなかった。


ナンバーワンは丹後の神社だった、僕が上仲くんに補足説明する。


「丹後地方は行政区分としては京都になっているけれど、元々は違う文化圏の国だったのだよ。丹後の小さな神社か…、もしかしたら徐福と関係があるのかも知れない」と僕がいう。


「徐福!!」と仰天した声をあげて、税理士の女が目を丸くする。自分の好物を見つけたときの子供の目である。


「徐福ってなんですか?」と上仲くん。


「徐福っていうのは、ものすごく簡単に説明すると、秦の始皇帝から不老不死の薬を探してくるよう命じられて、日本に渡来してきた人の名前。丹後半島のどこかに辿り着いたという伝承があるよ」


「…不老不死の薬なんてあるんですか??」と不気味そうな顔で問い返すのは上仲くん。


「アレ、なんと言ったかな…。あなた思い出せません?」と僕は税理士の女に助けを求めるが、税理士の女も思い出せずにウーンとうなる。


「ホウライだ!思い出した!確か蓬莱(ホウライ)じゃなかったかな」と僕が思い出す。


冷泉さんが重い口を開く。


「上仲くん…、殴り合いしましょ」


税理士の女がウイスキーをストレートであおる冷泉に構わず発言する。


「それとか、日本の昔のことは竹内文書に記されてますから」


「ええっ!竹内文書!?あんなの読める人がいるんですか!?」とは仰天したのは僕。


「はい、日本で数人、古代文字を解読できる人が、確かにいます」と、いたって冷静沈着な彼女。


「でも、竹内文書は偽書だって評価もありますよね?」と、僕は自身の疑問をぶつけてみる。


「いえ、偽書ではありません」と彼女は言いきる。


これは面白い話しになりそうだ。


僕もこの際だからと心の奥に半開きにして閉まっていた、北浜自治州の話しを持ちだす。某社顧問の男はすかさずアイデアをくれた、神社マニアの女は目を輝かせながら「いいですね!」とこちらの軽挙妄動に付き合ってくれる。


店のテーブルにはいつしか、ミックスナッツがひとつの皿へ盛られていた。


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by amori-siberiana | 2017-08-24 16:08 | 雑記 | Comments(0)


北浜のビジネス街にある、昭和レトロなカフェのブログです。            大阪市中央区淡路町1丁目6の4 2階上ル