こんにちは、北濱にある猫のひたいのような小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱のオフィスでコーヒーを飲んでいる。昨日あたりからというものストーカーのようにthe cranberriesのアルバムを聴き続けている、ここ最近のライブ映像も見ているが確かにドロレス・オリオーダンの状態は普通ではないことが見てとれるので、胸が痛くなる。「はぁ・・・、ドロレスは辛そうだな」と目を落とすと自分の履いている革靴の側面がひび割れだしているのに気がつく、特に急ぎの用件もないヒゲの総帥は以前から気になっていた近場にある靴磨き専門店へ行くことにした。


本町通りを挟んでセントレジスホテルの向かいほどの雑居ビルの4階にある「靴磨き専門店Burnish」へ行く。店内ではすでに先客が一人おりアンティークの椅子に座って靴を磨かれている、内装全体がイングランド調にまとめられており非常に落ち着ける空間である。すぐヒゲの総帥の順番となり革靴を磨いてもらう、自身が北濱から歩いて来たのだと伝えると靴磨きの女が「北濱には美味しい店がありますか」と訊いてくる、「美味しいかどうかはわかりませんが、頭に筆を突き刺した版画家がオムライスを作る店ならご紹介できますよ」と他人事のようにいうヒゲの総帥。歓談しているあいだに革靴はしっかりと磨かれており、つま先の鏡面仕上げは持ち主の顔が写るほどであった。


ヒゲの総帥はルンルン気分で外に出るが、「そうだ、ドロレスが死んだのだ」と思い返すたびに気分は沈鬱なものとなる。が、またすぐに忘れては思い出してを繰り返す。そのままオフィスへ戻り、アラタメ堂のご主人と連れだってクントコロマンサへ向かうことにした。


クントコロマンサへ向かう途中に二人はツタの絡まる青山ビルの一画を占拠する、ギャラリー「遊気Q」へ向かう。ギャラリーには自称301才のオーナーと手編みの女がいる、この手編みの女が作ったベストがヒゲの総帥によく似合うのだとギャラリーの女は取り置いてくれており、ギャラリーにいつも飾ってあるのであるが、なかなか攻撃的な衣装であるのでヒゲの総帥は躊躇しているままだ。


ギャラリーを出てアラタメ堂のご主人とコロマンサの階段を上る。店に入ってみると全身が黒ずくめの男が早い時間なのにすでにウイスキーのストレートをハイボールで飲んでいた。そう、久々のハイタッチ冷泉の来店である。「おっ、阿守さん、お久しぶりです」と冷泉はヒゲの総帥に挨拶をする、冷泉はここ数日は東京でビジネスをしていたのだ。


「今、先ほどギャラリー遊気Qへ行ってきたんですけれど、アラタメ堂のご主人と僕が行くと、ギャラリーの女がもう一人のメンバーは?と冷泉さんの動向を気にされていましたよ。まるでバンドのような扱いでした」と苦笑しながら冷泉に先ほどあったことを伝える、冷泉とアラタメ堂のご主人も失笑する。そして三人で再会を祝しての乾杯である。


どうやら今日はこの店で冷泉が主催する異業種交流会があるとのこと、小一時間ほどすると続々と今夜の餌食たちがやってくる。若手の社会人たちがやって来る、見た顔もあれば初顔もありそれぞれが名刺交換をしだす。しばらくすると親分連中たちがやって来る、チェ・ゲバラの男、不動産コストカットの鬼、副社長ばかりする男、そして世界の果て会計事務所を経営するドマツ先輩が集結する。常連の不思議な女もやってきてヒゲの総帥に向かい「お帰りなさい」と一声かける、そういえばヒゲの総帥が店へ戻ってくるのは4日ほどなのであるが、えらく長い間ほど不在にしていた気になっていた。


バレリーナの女とその同級生、さらには有明海にいるグロテスクな魚のみりん干しのようなものを手土産に福岡の女も参入してきて、店内には賑やかな笑い声が響く。いつの間にか来ていたガルパンの男は視線を上げることなく、やはりいつものように戦場に身を置いていた。


オルガン横の奥のテーブル周囲に陣取った若手の社会人たちはあれやこれやと自己紹介をかねて四方話をはじめる。七輪が置かれた中央のテーブルではヒゲの総帥を含めた中年たちが暗号通貨の繁栄がいかに社会に対しての危険を孕んでいるのかを論議する。厨房側のテーブルはテーブルで何やら楽しそうに話しをしている。冷泉はあっちへ行ったりこっちへ行ったりとオーガナイズ役に徹する。


「つまり、仮想通貨の危険なところは一般人が稼ぐ前段階において、すでに反社会勢力や端にも棒にもかからないチンピラ連中がそれによって莫大な富を得ているところです」とヒゲの総帥はここ一か月の調査によって分析した結論を述べる。話しは続く「人に貢献することや他者へサービスを供給することで利益をあげるということが商売の根本であるならば、それによって得た富にはしてきた仕事においての信頼があります。ところが今後はそうではなくなり、何をしているのかわからない成金が増えることでしょう。簡単にいえば仮想通貨によって北斗の拳に例えれば、ストーリーに関係のないモヒカンの悪党たちが金を持てるようになるのです、いや、実際のところ持ち出しています」とヒゲの総帥は未来予想図を展開する。


「今、まさに乗り遅れるなという群衆心理が働いてますものね」と副社長の男はいう、「金融庁が昨年ですけれど仮想通貨に対してどっちつかずの中途半端な見解を出したことが火に油を注いだ形になっています。あれ以来、広告もあちらこちらで見るようになり一般人の投機も加速しました」とヒゲの総帥は思い出すように語る。ブロックチェーンの技術自体は素晴らしいものであるが、包丁というものは使い方を間違えると料理ではなく人を傷つける武器になるのだ。


話しは国際的に見た日本人の金融リテラシーの低さについてへ移る。


今でも「火の用心、火の用心」と寒中に拍子木を叩いて見回りをする地域もあるが、十分にご用心なのは火元だけの話しではないのだ。自分が今、世間の流れに対してどのようなスタンスを取るのか、それは5年後の自分の生き方に関わってくるであろう。今、日本は大いに燃えているのだ。


人が一本線の上がり下がりに人生を賭けだしては、あまりにも勿体ない人生ではないか。版画家の柿坂万作は新しい壁画を描きだそうとしている。そう、スタートを作るのはいつも自分なのだ。あとは野となれ山となれ。


中島みゆきも言ってるではないか。


その船を漕いでゆけ

おまえの手で漕いでゆけ

おまえが消えて喜ぶ者に

おまえのオールをまかせるな



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# by amori-siberiana | 2018-01-19 12:23 | 雑記 | Comments(0)


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