OBPというのは大阪ビジネスパークの略称である。まだその地に詳しくはないので大した概要を伝えることはできないのだが、ビル群の一角のなかに「アカデミア」という場所がある。アカデミアとは復古主義的で良い名前だ、哲学者のプラトンやアリストテレスを想起させる。


偉大なるプラトンはこう残している「愛に触れると誰でも、詩人になる」と。


さて、先日はアカデミアにてアラタメ堂のご主人が主催する「人狼」の会があった。人狼が何かといえばコミュニケーション・ゲームである、もちろんこれは酷く暴力的で簡単な説明の仕方なのだが、ヒゲの総帥は専門ではないので説明は割愛させていただく。


少し遅れて到着すると、セミナールームのような場所に参加者が集められ、すでにアラタメ堂のご主人によるルール説明が開始されていた。この場所を自己の活動の基盤とするヨコミチという男もいれば、小説家の平尾先生もちょこんと椅子に座っており、その奥には不動産デザイナーの男もダルそうに座っている。まるで人材派遣会社での就職説明会のようであるが、知らない場所に自分の見知った人が多くいるので不思議と違和感はない。


初対面の人も多いので、それぞれに名札がアラタメ堂より配られ、そこへ名前を書き込む。小説家の平尾先生は「平尾」と書く。もちろん先生、目下のところ絶賛名前を売り出し中なので、こういうところでもソツなく名前を売っておくのは得策であろう。ところが抜作の平尾先生は名刺を忘れてくるという失態もソツなくこなす。この文才溢れる先生を満たしているのは、ヒゲの総帥と同じ「過不足」であろう。何かに対して心血が注がれる分、何かに対してまったく無頓着なのである。


ヒゲの総帥から遅れること15分くらいであろうか、ゲームセンス・ゼロの女ことアシムもやってくる。この女はゲームセンスがゼロのくせに随分とゲーム会には参加をしてくるではないか、聖書には「困難だと思っても、自らすすんで、灯りをつけよ」という言葉がある。ヒゲの総帥にはアシムが自らのゲームセンスに絶望することなく、困難に立ち向かいそれこそ殉教者のように見られる。


ヒゲの総帥はこっそりとアシムの名札に「キリスト」と書き込んだ。「ちょっ、やめてくださいよ!」とアシムは拒否反応を示すが、いつの間にかすんなりと皆から「キリストさん」と呼ばれていて、それを享受していた。


不動産デザイナーの男こと忌部は自分の名前を「メガネ」にしていた。誰も彼がメガネをかけているところを一度も見たことはないのだ。さすがのセンスだなとヒゲの総帥は感心する。ヒゲの総帥は自身の名札に「ミミズク博士」と書き込んだ。そのときから、場が解散するまでヒゲの総帥はミミズク博士になれるのである。


一回目はヒゲの総帥ことミミズク博士がゲームマスターをする。人狼の熟練であろう男から「(このマスターはあまりに下手くそなので)次からは僕がゲームマスターをします」とさっさと交替要請が出される、ハリルホジッチ監督のように恨み節でもいうのかと思えば、ミミズク博士はさっさとマスターの座を放棄する。


さて、メガネが先ほどから大きな茶封筒を持っているのが気になるミミズク博士。茶封筒の中身はもちろんのこと近い将来に開催されるであろう、タッキーとジンクスのメンツでのワイン会のチラシと見当がつく。ミミズク博士はすぐに見てみたいと、メガネを誘い喫煙ルームにてデザインを見せてもらう、茶封筒から出されたチラシを見てミミズク博士は「パーフェクトだ」と一言だけ発した。


実際、それはパーフェクトなのである。


メガネは、「こういうデザインをアシムさんと一緒に組み立てていきたいですね。お互いデザイナーですから、カッカッカッカ」と乾いた笑いとともにミミズク博士に伝える。ミミズク博士もそれがよかろうと云々とうなづく。


会の解散後にアシムへそのことを伝えると、最近はゲーム会を開くことが少なくなったアラタメ堂のご主人を問い詰める。「なんで最近、ゲーム会をしてくれないんですか。デザインする機会がないじゃないですか」と訴求する。アラタメ堂のご主人がコロマンサで主催していたゲーム会のリーフレットをデザインしていたのは、アシムであることは誰もが知っていることである。戦場へ出る機会を失った傭兵ほど怖いものもない。


夜は暮れる。


平尾先生とミミズク博士は京橋の街を歩きながら、若い頃には電車がなくてもレールの上を延々と何時間も歩いて帰ったよなと思いだす。田舎育ちだから普通にできた経験であったが、大阪ではなかなかそんなことはできない。もちろんリスクはある、深夜の回送電車にひき殺されそうになったこともある。


それでも、まだそれなりに生きているではないか。お互い。一人は小説家となり、一人はミミズク博士となる。


これはまだ携帯電話すら普及していなかった時代のその辺に幾らでも話しのひとつである。


北濱にある猫のひたいのように小さな店、クント・コロマンサでは版画家の柿坂万作が婆さんと猫の壁画から一転、怪魚ピラルクを縦横無尽に描いている。


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# by amori-siberiana | 2018-05-27 14:06 | 雑記 | Comments(0)


北浜のビジネス街にある、昭和レトロなカフェのブログです。            大阪市中央区淡路町1丁目6の4 2階上ル
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