2017年10月30日(月)② ◆嵐ばかりが来たとしても、そいつが何の前触れでもないとき、ワーグナーの楽劇と似て、とても間抜けで、ただただ面倒くさい。

こんばんは、北浜にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)にて夜な夜なバカ騒ぎに付き合わされている、ヒゲの男こと阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


昼前まで寝ているのはヒゲの男。「ハッ」と気がつきスマホで時間を確認する。今日は朝から晩まで珍しくスケジュールがたてこんでいるのであるが、その一発目が昼にあるのだ。その一発目に間に合うように外出しなければならないが、外は暴風雨である。なるほど、これは天が自身に外遊を控えるようにといっているのだろうと考えたヒゲの男は、まず一発目をキャンセルする。


ヒゲの男は嵐のなか店に行く、版画家の柿坂万作は昨日までカウンターだったところを解体して、本日のライブに備えるところであった。今日はSUEMARR(スーマー)というバンジョー弾きが店にやってくるのだ、なんとかイベントの開催時間までには天候も落ち着いてもらいたいものである。


ヒゲの男は早速、店にある借りていた椅子を青山ビルにあるギャラリー「遊気Q」のオーナーに返却するため、椅子にゴミ袋をかぶせて、どっこいしょを持ち上げる。斜めに激しく降る雨に打たれながら、堺筋という大通りを東から西に横断して、ツタの絡まるスパニッシュ建築の青山ビルへ到着する。


嵐の最中であるのに、青山ビルには多数のツアー客がきており、なるほどこのビル自体が見どころのある名所であることを再確認させられた。借りていた椅子を一気にすべては運び込めないので、二回に分けて持って来ようとしていたヒゲの男、ギャラリーの女にその旨を説明する。


「ああ、いいんですよ。残りの椅子はそのまま置いておいてください」と、ギャラリーの女はヒゲの男にいう。


「えっ?それは助かりますけど、それでいいんですか?」と、ヒゲの男は思わぬ嬉しい申し出に恐悦至極である。この雨のなか、もう一往復しなくてはいけないのかと思うと、なかなか骨が折れるなと考えていたのである。借りておいて、自分勝手な男である。


「このざんざん降りの天気でね、お客さんが来ると思いますか?」と、ギャラリーの女は自身が企画した今日のイベント模様について、ヒゲの男に訊ねる。


「いえ、来ないと思います」と、ヒゲの男は正直に自己見解を述べる。そして二人はフフフと不敵に笑いあう。今日、ギャラリー「遊気Q」では展示会の最終日、指絵師の男がギターを持って弾き語りをするそうだとのこと、ギャラリーの女はヒゲの男に加われというので、ヒゲの男は自分でいいのならと出演を快諾していたのである。


イベントの時間になり雨脚は次第に落ち着いてくる、ギャラリーのなかに客が入ってきて、用意されていた椅子はすぐに満席となった。皆がそれぞれ色々な味の紅茶を楽しんでいるなか、ギャラリーの女はヒゲの男にビールを勧めるので、ヒゲの男だけが紅茶ではなくアサヒのスーパードライを飲むという珍妙な光景となる。隣にはヒゲの男が尊敬する広島カープの背番号「1」、前田智徳に似た男が座っている。


そしてイベントは始まる。芸術家たちがギターの弾き語りがはじめる、最初はガラス細工の男、次は指絵師の男である。ヒゲの男はそれぞれ出演者がギターも上手なので出る幕はなさそうだと、酩酊状態で隣の部屋でフラフラしている。しばらくするとギャラリーの女に呼びかけられて、「次、阿守さんの出番ですよ」と上品で落ち着いた声。


一応、ギターは持ってきたものの自分はここで何をすればいいのかわからないままギャラリーの中央に導かれたヒゲの男。芸術家の集まりにバーの経営者がやって来て、酔っぱらいながら大声を張り上げて歌うのも野暮なので、ゴーリーの絵本のときに作った曲「カモメ」を静かにギターで弾く。この曲は静かに弾けば静かに弾くほど、不思議と情感が溢れてくる曲なのだ。


一曲だけのつもりだったが、思いのほか、来場者が拍手をくれるのでヒゲの男はいい気になってもう一曲「MY EVIL」を演奏して、そそくさとギャラリーを後にする。そしてそのまま地下鉄に乗り込み、南へ進路を向けるのであった。


今晩は魔女アハハの主催するイベントがあるのだ。そこに以前、台風のなか店に来てくれたハコ女も出演するというし、アラタメ堂のイベントに来てくれたさすらいのイタリアンシェフも料理を作るというのだから、ヒゲの男も顔を出したかったわけである。


場所は心斎橋の「酔夏男(よかにせ)」というところだ。先日、青いカーデガンの女から聞くところによるとヒゲの男も数年前にここでイベントをしたことがあるそうだが、ヒゲの男はそのことを一切覚えていない。覚えていないということは場所も知らないということなので、マップで見ながら店を探す。


開場前からすでに数人が並んでおり、店内に入ってみると薄暗い。厨房にはさすらいのイタリアンの男がおり、ヒゲの男は肉料理とラザニアを注文する。ヒゲの男が考える世界三大料理は、「たこ焼き」、「ラザニア」、「永谷園のお茶漬け」というもので、その味覚範囲の狭さには舌を巻くところだが、本人がそれで喜んでいるのなら何もいうまい。


ヒゲの男と同行していた星師匠はウイスキーを飲みながら、食べ物を突く。アハハの女はギターを弾きながら歌い、そのあとゲストのハコ女もギターをかき鳴らしだす。アハハの女はハコ女が歌っているあいだ、ステージの横にイーゼルをたててキャンバスをおき、絵の具を塗りつけ何かを描きだす。


そのキャンパスの手前に覚えのある頭部が見える。どこで見たのだろうかとヒゲの男が考えていると、それがクントコロマンサにてマニアックにも人狼の最中にラーメンを頼んだ男であることに気がつく。


ヒゲの男はイベントの途中であるが、どうにもウイスキーが頭に回ってしまったので途中で退席することにした。このままここにいては、他人の店なのに「殴り合いをしようじゃないか」と言ってしまいそうだったのだ。


空を見上げると、先ほどまでの豪雨がウソのように、夜空は晴れ渡り、月がのんびりと顔を出していたそうだ。そう、また月曜日がやって来るのである。


とにかく、今月の雨つづきはかなわない。天候に左右される商売をやってみて、わかることが確かにあるのだ。最悪の月、2017年10月。


そう、青山ビルの隣には大学がある。その名も麻雀大学という。一度、入学してみたいものだ。


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by amori-siberiana | 2017-10-30 17:07 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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