2017年11月01日(水) ◆エイリアン襲来、アラタメ堂とモノポリー。

こんにちは、北浜にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)にて、最大多数の最大幸福を誰に請われるでもない、勝手に考えているヒゲの男こと、阿守のブログです。


季節は秋をさらりとこなして、そのまま冬へ向かおうとしている。人々がそれを望むも望まないも、そのようなことは関係なし。空の下で右往左往しているヒゲの男などは、天の動きに従うのみであり、それに背こうとしてもそれは池の魚が、隣の池に移りたいなと考えるほどに無駄な抵抗なのである。自分の力ではどうにもならないことが、どれほど当たり前にあることか。


ヒゲの男が根城にしている北浜にも、冷たい風が吹くようになり、忙しそうに往来する人も外気の寒さの分だけ、分厚くなっていくのである。白秋から玄冬へ、確かに一歩ずつ近づいているのだ。


さて、昨日のこと。


ヒゲの男はいつものように北浜のオフィスへ顔をだす。アラタメ堂のご主人がなにやらパソコンを前にして、うんうん唸っている。そんなアラタメ堂の姿をみて、ヒゲの男はひとつ思い出したことがあったので、その思い出したことを思い出したままにアラタメ堂にことばとしてぶつける。


「アラタメ堂、モノポリーをしたことはないんですよね」


「いや、そうなんですよ。どうもあまりにメジャーなボードゲームなので、どうにもやる気がでないんですよ」


ボードゲームと絶世の美女を天秤にかけて、それでもボードゲームを選んでしまうような男がボードゲームの王道のモノポリーをこれまで知らないというのは、なかなか珍妙なことであるが、その感覚をヒゲの男もなんとなくわかる。ヒゲの男にしても、メタリカ(METALLICA)を知るのは随分と遅かった。その理由は簡単で、あまりにも有名すぎたので食指がそそらなかったのである。有名であるから軽薄であろうという、根拠のよくわからない帰納的推論を持っていたのだが、なにかしらのキッカケでメタリカを知ってからというもの、世間の評価というのは自分などよりも随分と洗練されているのだなと、平伏することしきりであった。


メタリカに関して論じると、一冊の本が書けるほどなので、それは今月の7日のイベントにその場を譲ることにする。


とにかくモノポリーをまだしないというアラタメ堂に、それなら今日にでも一度してみないかとヒゲの男は呼びかけて、アラタメ堂もそれならばと快諾する。二人はさっさとパソコンをしまい込み、連れだって北浜にある猫のひたいのように小さな店、クントコロマンサに向かった。


二人が店に到着すると、マタタビから覚めて自分が猫であるがゆえに恥知らずにも過敏な反応してしまったことに対し、自身の種族的特性を呪うような顔をしている猫。のような目をした洒落た名前の女がおでん鍋の前に座っている。そしてその隣には才能が爆発してメルトダウンしたようなオーラを持つエイリアンがビールをあおっている。


エイリアンは開口一番、「阿守さん、あなたブログやめたら」と遠慮もなしに言い放つ。「なるほど、それもいいアイデアです」とヒゲの男は考えたが、ことばには出さず苦笑しながらアラタメ堂と奥の席へいこうとする。エイリアンはヒゲの男を呼び止めて、パンフレットを渡す。今月の中旬から開催される「大阪エイズウィーク2017」というものと、それに関連したイベント(LETTEr ARTS /レッテルアーツ)のチラシである。


エイリアンのギャラリーでは、「ラブホ図鑑2017」というのを11/27~12/03まで開催するとのことを教えてもらう。その説明をしながらエイリアンはピンクのコンドームの束をヒゲの男に手渡す。異星人からの唐突な性啓蒙に困惑しながらも、ヒゲの男はコンドームの束を自身のバッグの中に納めるが、納めたところでこれほどの避妊具をどうしていいものかわからないので、結局、店の棚に置いておくことにした。


常連の不思議な女とガルパンの男、そして組長もやってくる。ヒゲの男はコロマンサのダブルを注文して、片手にコロマンサの皿を持ったままアラタメ堂とモノポリーに興じる。ところが二人でモノポリーをしてみても、たいして面白くないことに気がつく。二人でやってみてもゲームの市場に金が出回らなく、バランスが悪いのだ。とりあえずやってみるが、アラタメ堂が鉄道すべてを取得してからというもの、ヒゲの男のサイコロ運のなさも影響して、ヒゲの男は破産に追いやられる。


「関西は私鉄が強いんですよ」と、アラタメ堂はヒゲの男から分捕った札束を目の前にして誇らしげに語る。


そのあと、元将棋クラブだったというアラタメ堂と将棋をすることになるが、ヒゲの男の勝利に終わった。ヒゲの男は虎視眈々と12月の決戦を見据えているのである。ちょうどそんな折、ヒゲの男の12月の対戦相手になろう東京在住の男から電話がかかってくる、内容の特にないイタズラ電話であった。電話の奥では浩司ばいの「ヒヒヒヒ」というアダルトビデオの監督が出すような声が聴こえてくる。


ゲーム界のメタリカを経験した二人はそこからウイスキーの酔いに任せて語り合う。アラタメ堂は10年近く、音楽雑誌の編集に関わっていた男であり、奇遇にもヒゲの男が駆け出しのミュージシャンだった頃、世話になった男と一緒に仕事をしていたのだ。世話になったといっても、たいして世話になったわけではない。中途半端に知人なので世話になったという定型文が適用されるのである。


エイリアンがヒゲの男のほうに向けて口を開く。


「私ね、阿守さんのバンドの曲を初めて聴いたんですよ、いいですね」と、ヒゲの男がビックリするようなことをいう。


「うーん…、エイリアンさんから聴かせてくれいわれて、ワシも何を聴いてもろたらええんかわからんので、洒落た名前の女さんに選んでもろうたんです」とは版画家の柿坂万作。


そういえば、店内にはずっとシベリアンなんちゃらというバンドの「ゼロ」というアルバムが流れている。


エイリアンは続ける。


「もっと、ロックな音楽かと思ってたんですけど、全然ロックじゃないですね、いいわ。ヒカシューみたいやね、ヒカシュウの歌がない感じやね」


「ヒカシュー…??」と、ヒゲの男は考え込んだ。最初はピカチュウのことをエイリアンがいってるのかと真剣に考えたが、何度もヒカシューというのでピカチュウとは別物だということはわかった。入れ歯の人間が、歯を外してピカチュウと発音すればヒカシューにはなりそうだが、エイリアンの歯は見るからに屈強そうである。骨すら砕きそうな印象があるのだ。


ヒゲの男のその一瞬の逡巡の間隙をついてアラタメ堂が笑いだす。


「ヒカシューなんて、また古いバンドの名前が出てきましたね」


ちょうどそのタイミングで斥候の男も店にやってくる、「おお、ヒカシュー!懐かしい!」と、音楽談義は斥候の男も含めて思わぬところで発展する。


「ヒカシューは、めっちゃくちゃ格好よかったんですから!」と、エイリアンは当時を懐かしむような顔をして、ヒカシュウの歌であろうメロディーをプップクプーと口ずさむ。

調べてみたところ、ヒカシューというのは「悲しい歌の集まり」の意味だそうだ。それをカタカナ表記にすることによって、言語の無意味化を企図したとの本人のインタビュー記事を読んだ。あくまでインタビュー記事なので正確なニュアンスは本人にしかわからないが、このなんともポップな名前の出典は大体そういうことなのだ。


エイリアン主導で夜更けに音楽談義で盛り上がっているころ、近場でセミナーを開いていたハイタッチ冷泉がやってくる。気がつけば自然に会話のなかに入ってきている冷泉、この男の類まれなる能力のひとつであるとヒゲの男は感心する。


ピンクのコンドームを目の前に、冷泉は笑いながらいう。


「エイリアンさん…、めちゃくちゃですね」


そんな、ハチャメチャなエイリアンを構築したであろう、70年代後半から80年代前半のカルチャーシーンについて、ヒゲの男はまだまだ無知であるし、ちょっぴり身震いもするのである。


【10W gallery】


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by amori-siberiana | 2017-11-01 15:31 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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