2017年11月05日(日) ◆海賊とハイボールと足相撲

こんにちは、北浜にて猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を版画家の柿坂万作と共同経営している、ヒゲの男こと阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの男は宿泊先のロビーで仕事をしたあと、そのままランチ営業をしているであろう店へ行く。店は開いており、ヒゲの男が階段を登っていき、締まりの悪いガラス戸を開け放つと、海賊と呼ばれた女が窓から近い席でコーヒーを飲んでいた。


海賊と呼ばれた女は、誰もがうらやむ一部上場企業に就職しているが、どうにもこのままでは気に食わないのだという。ヒゲの男はそういうこともあろうと話しを聞きながらうなずく。ヒゲの男にしても現状において自分が恵まれた環境にあるなと感じることよりも、もっと他の生きかたがあるのではないかと模索することのほうが多い。やはり、人間は給料や福利厚生に、自己の価値観や人生の意義を委ねているわけではないのだ。


なにをやったところで不平不満が収まることはない、人は常に不平不満と工夫して付き合ってきたのであるから、これからもそうなのであろう。不平不満のない世の中というのは、どうにも間が抜けてつるっとした感触があり、面白みがないように感じるのである。それに、不平不満のある人間のほうが会話の内容が愉快なのだ。


海賊と呼ばれた女は貿易がしたいという。なるほど、海賊の末裔ならではの歴史にのっとったグッドマネジメントである。法人化したほうがいいのかどうかをヒゲの男に相談してきたが、ヒゲの男は海賊の女が取り扱おうとしている商品の単価が安いものであり、あくまで個人に向けた商品だと知って、法人化などするべきではないという。会社などは作らなくていいうちは、極力、作らなくていいのだ。


ヒゲの男は店をでて、福島へ向かう。かの地で冷泉と一緒に晩御飯を食べるためだ。


冷泉がセレクトしてくれた店は鶏肉と豚肉を焼いて出す店であった、冷泉はこの店をチンピラの男から教えてもらったという。店内にはチンピラの男の名前が書かれたステッカーが貼ってある、冷泉は店員に「いつもの」とだけいう、しばらくして出てきたのは驚くほど濃いハイボールであった。水とウイスキーの分量が普通のハイボールの逆ではなかろうかというものだ。


一気呵成に鶏肉と豚肉をたいらげた二人はそのまま、北浜にある猫のひたいのように小さな店、クントコロマンサに移動する。


店に到着すると、万作がヒゲの男にこういう。


「うーん、阿守さん帰ったあとに、また他のお客さんがきて、こんなん置いていってくれました」


万作は店のテーブルに無造作に置かれていたパンフレットと新聞をもって、ヒゲの男のところへ持ってくる。なるほど、信仰の問題についてかかれている機関紙であった。


「ああ、ここの総本山には行ったことあります。信者数はおよそ190万人くらいだったと記憶してます」と、ヒゲの男は万作に告げる。


「やっぱり、阿守さんやったら、知っとるんやないかなと思うたんですわ」と、万作は苦笑しながらいう。


それにしても、これを持ってきた客からは、この店にいる万作とヒゲの男がそんなに生きているのが辛そうに見えたのであろうかと、なんだか情けない気持ちになる。ヒゲの男はバチ当たりにもそれをビリビリに細かく破り、万作に手渡す。


「うーん、ひとつで済むゴミを幾つにも増やしなさんな」と、あきれ顔で万作はヒゲの男に伝える。冷泉はその様子をニヤニヤしながら見ている。


ヒゲの男は冷泉を店に残して、いよいよ風呂へ行く。風呂に入ったあと、ヒゲの男はマッサージチェアにもたれながら、そのまま寝てしまう。1時間くらい眠ったであろうか、冷泉を店に残したまま寝てしまったと、ヒゲの男は申し訳ない気持ちでさっさと店に戻ってくる。


店に入ると会計事務所のオーナーが来ており、冷泉となにやら話し込んでいる。ヒゲの男は風呂上りの渇いたのどにコーラを流し込む、久しぶりにコーラがこんなに美味い飲み物であったかと感嘆する。


しばらくして、魚屋の男とバークリー音楽院の男が店にやってくる。魚屋の男とバークリー音楽院の男は一緒に音楽演奏をする仲間だそうであり、クントコロマンサで土曜日にライブがしたいと万作に告げるが、あいにく年内の土曜日はすべて埋まっているのだと万作は答える。それなら年明けまで待つがよかろうと、二人はいう。


店にあるコンガはこの魚屋の男の持ち物であり、イベントでいつも使っているアンプはバークリー音楽院の男の持ち物であったのだが、必要になったからこれを持って帰るという。コンガはいいとしても、アンプがなくなるのは困ったことだぞとヒゲの男は考えるが、こればかりは所有権を持つ者の判断に委ねられるところなので、持って帰るといわれる以上は仕方がない。


ヒゲの男がこの店に関わる前から店にあるものについて、ヒゲの男はそれがどういった由来でここにあるものか、そういった経緯をまったく知らないのであるから、こういった唐突な状況の変化はいろいろとタイミングを狂わせる。


とにかく、火曜日のイベントには何らかのかたちでアンプ(スピーカー)を用意しておかなくては、ヘヴィメタルのイベントでゴリゴリのギターが弾けないのである。さて、何か手はあるだろうか、同じものを買えばいいのだが買うにしても今は店にそれだけの余力がない。


そう考えるヒゲの男の目の前では、冷泉と会計事務所のオーナーが「足相撲」という珍妙なスポーツをしており、冷泉の「痛い、痛い、痛い、アカン!折れる」という滑稽な声がしているばかりである。


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by amori-siberiana | 2017-11-05 12:01 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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