2017年11月07日(火) ◆エレキギターの歪みに我々は何を託すのか。

こんにちは、北浜にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を根城に、北浜の文芸復興活動を誰に頼まれたでもないのに、勝手に意気込んでいるヒゲの男こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの男は北浜のオフィスでブログをチクチクと長い時間をかけて書いている。概要はヒゲの男が孤独に耐えられる版画家の柿坂万作に対して畏敬の念を抱いているということと、どうしてヒゲの男が孤独が嫌いなのかについて書いている。ところがもう少しでパソコンのキーボードを叩き終えようかというとき、エラーの告知が出てきて、努力は一瞬のうちに消えた。無情にも消えた。


どれだけ便利なものだとしても、それに全幅の信頼を寄せていると、いつしか華麗に裏切られるものだということの教訓である。それはいつ来るのかわからない、「ああ、ここではダメ!絶対」という絶悪なタイミングでやってくることも、しばしば。たまにそれが命にかかわってきたりするから、性質が悪い。デカルトやヒュームのように常に懐疑的な生きかたをすることは、少々、孤独であったり面倒であったりするが。やはり、備えあれば憂いなしの考えは小脇に持っておくのがよかろうと考える。


この一件を皮切りにして、ヒゲの男は前の仕事のときに見てきた、多数の破産した人間のことを考える。破産をする人間に共通することはなにか、それはたった一つである。


運があるか、ないか。それだけだ。


このような馬鹿げた解決にもならない回答になんの効力も説得力もないが、ヒゲの男は人間はこの運に左右されるがゆえ、なんとか運が悪かったときにどうにかしようとリスクヘッジを考えておくものである。この運というのは確率であり、たまに確率の偏りが発生することがある。運が良いことが続いたり、運が悪いことが続いたりという経験は誰しも経験したことがあるのではないか。


その確率の偏りに一喜一憂しないよう、人は支点を沢山もっておくのがよかろう。支点がひとつしかないと、それが運によって悪循環に陥ったとき、どうにもならなくなってしまうのは自明の理。そうならぬために、人は人と知り合い、互いを扶助していくのであろう。確率の偏りが発生したとき、それに耐えうるために、人はいろんなことを学ぼうとうるのである。趣味をもち、特技をもち、社交性をもち、そして、愛しあうのではなかろうか。


ヒゲの男はそんなことを考えながら、店に向かう。


店に行くと、常連の不思議な女が版画家の万作となにやら話しをしている。ヒゲの男は道中、どうしてもジャガイモが食べたくて仕方がなくなったので、近くのモスバーガーでポテトを購入しており、それをガツガツ食べる。


しばらくすると、常連のガルパンの男がやってくる。そして、シラフの冷泉がやって来て、そのあとに続いて青いカーデガンの女、アラタメ堂と友人もやってくる。店が賑やかになってきた頃、浩司ばいが大量の機材を持ち込んでやってくる。先日、クントコロマンサにあったイベント用のスピーカーが持ち主により撤収された際、すぐにヒゲの男へ助け舟を出してくれたのが、浩司ばいであった。


「せっかくやったら、おもろい機材を用意したろと思てな」と、浩司ばいはセッティングを始める。


「ありがとうございます、まるでプロみたいなセッティングですね」と、店の広さに不相応な機材を目の当たりにしたヒゲの男と万作は苦笑いしながら喜ぶ。


「阿守、ギター持ってきて」と、セッティングを終えた浩司ばいはヒゲの男に告げる。


ヒゲの男は自身のエレキギターを三階から持ってくる、ギターにシールドを突っ込み、もう片方をクリムゾンレッド・カラーのプリアンプに突っ込む。ヒゲの男はギターを弾いてみる。


ジギッ。ズンズンズンズン、ジギジッ。


悪そうな音がアンプより聴こえてくる、なんと素晴らしい音質の悪い音であろうかと店内の一同から拍手喝采があがる。ヒゲの男が最初のサウンドチェックをし終えたあと、浩司ばいがギターを持ちサウンドの設定をはじめる。いつもはスマホから視線をそらさないガルパンの男が「いい音だ」としきりに感動して、しまいにはガルパンの男もギターを弾きだす。


次にヒゲの男が交代して何かの曲のイントロを弾く。チャンララーン、チャンチャチャーン、チャンチャチャーン、チャンチャチャーチャララ。


「おっ、DREAM THEATERやないですか」と、当意即妙にギロリと目を光らせたのは、ハイタッチ冷泉であった。


次にヒゲの男が何かのイントロを弾くと、浩司ばいが「違う、違う」とヒゲの男からギターを取り上げて正しいままに弾く。「Bark At The Moon」のイントロである。ジェイク・E・リーのスピード感と緊迫感に溢れた秀逸なリフである。次にガルパンの男が交代して、LOUDNESSのリフを弾きだす。次に冷泉がギターを手に持ち、怪しいリフを刻む。皆がエレキギターに集まり、良質の悪い音だと感心してはギターを離さない状況になる。


「まるで男子の部室ね」と、半ばあきれ顔にいったのは常連の不思議な女である。青いカーデガンの女も同意の表情。アラタメ堂は明日のためにと持参したCDをヒゲの男に渡す。今回のヘヴィメタル・イベントは1990年~1995年縛りにしているので、その時期のものを持ってきていた。


やはり、JUDAS PRIESTの「Painkiller」が入っていたのが愉快であった。


店のBGMがすべてエレキギターの重低音に支配されていた頃、ゴガッと締まりの悪いガラス戸が開く。やってきたのはいちげんさんの兵役の男とワーホリの女であった。ここは何をするところなのかと表情を曇らせた二人であったが、酔っぱらいたちに勧められるまま店内に招き入れられる。


二人はここが何でどういう集まりなのかを万作に問う。「うーん、普段は普通の喫茶店です」と回答する版画家。それでは現状に合点いかなかったのか、ワーホリの女がヒゲの男にここはどういう集まりなのかを問う。「はい、普通の喫茶店です」と行儀よく回答したのはヒゲの男である。二人はここが普通の喫茶店として成立しているのかどうか判然としないまま、冷泉に勧められるままに酒を飲むことになった。


そのうち、兵役の男と冷泉は腹の殴り合いを開始する。


ワーホリの女は大丈夫なのか?と心配するが、ここにいる客たちは平然とした顔をして「everyday、everynight」を呪文のように繰り返すばかりでニコニコしている。殴り合ったあと両者は抱擁する、冷泉はもっと殴り合いをしようという、常連の不思議な女が受けて立つことになる。ヒゲの男はワーホリの女にオーストラリアの夜空の様子を聴き、浩司ばいはギターを弾き、ガルパンの男はギターを聴く。アラタメ堂はなにやらビジネスの話しをしており、青いカーデガンの女は不思議な女の行く末を案じる。


夜も更け、そろそろ店を片付けようかという頃、一人の男がやってくる。


名前みたいな名字の男である。先日、店にある「モラレス」なるメーカーのアコースティックギターをヒゲの男が弾いたとき、その鳴りかたに驚いた。あれ?これはいつもより品質のいい弦が張られてあると感づいて、そのままの感想を万作に告げたのだ。


「うーん、アラタメ堂さんの同級生の人が弦を交換してくれはったんです」と、ことの顛末を万作はヒゲの男に伝える。奇特な人がいるものだなとヒゲの男は感謝した、そういえばヒゲの男も客としてこの店に来たとき、あまりに無造作な状態で放りだされているモラレスの弦を交換したことを思い出した。


弦交換をしてくれたのがこの名前みたいな名字の男である。ヒゲの男は感謝を伝える。そこからジャパメタの話しになる、帰りかけていた浩司ばいも足を止めて、ジャパメタの話しに加わる。互いに同年代である名字の男と浩司ばいはマニアックな話しで盛り上がる。


ヒゲの男も加えて三人ともがギターを弾くので、懐かしいジャパメタのリフを弾くことになり、明日のイベントの前夜祭が行われているようである。


そして、メタル音楽がすべて同じに聴こえるという、版画家の万作は厨房で茶漬けをズズズーっと、かき込む。


そういえば、ヒゲの男が持っているエレキギターのケースはボロボロだったが、それを新しく買ってくれて誕生日にプレゼントしてくれたのは、前の職場の同僚であった。いつも誰かに助けられる。


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by amori-siberiana | 2017-11-07 13:25 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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