2017年11月20日(月) ◆ポッポ~ず♪が人質をとり豆鉄砲を乱射した。

こんにちは、北浜にある猫のひたいのような小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を版画家の柿坂万作と一緒に経営する、ヒゲの男こと阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの男はどうにも右の肩甲骨の後ろから、右手の肘にかけての状態が芳しくない。常時が痺れているような感覚があり、それが長く続いているので今が痺れている状態なのかどうなのかすらわからない。感じないなら何も問題なかろうというものであるが、どうにもギターを弾くのが面倒になってきてたまらない。以前ならばどうともなかったことが、どうともなくなってきているのである。ヒゲの男は一念発起して針治療を受けることにした。


ヒゲの男は針を怖がっていたのであるが、宗教画のモデルの女がいうには針ほど効果があるものもないそうである。たまに宗教画のモデルの女の首筋などにアザがあり、この女はどのようなプレイをしているのだろうかと謎に思っていたヒゲの男であるが、後になってそれが針治療による内出血であることを知った。


ヒゲの男は久しぶりの近鉄電車に乗り込んで、知人の針の専門家のところへ向かう。今日、針を打ってもらってすぐ効能が出るわけでもなかろうが、とにかく何らかの対処をしなくては演奏自体が苦しくなってきているのは事実であるのだ。夏の耐えられない暑さを避けるのにどのようにすればいいのか。太陽を撃ち落とすのでも遠ざけるのでもなく、夏の暑さを感じないようにすればいいのである。では、夏の暑さを感じないようにするには、どうするのか。自分が夏の暑さとなればいいのである。


このような禅の見解とはまったく逆に存在するヒゲの男などは、痛みと痺れと付き合っていくような寛容さもなく、すぐにでもなんとかせなばならんと針での治療を選択したのであるが、やっぱり怖い。


ヒゲの男の体に針を適所確実に打ち込むのは、この道40年の全盲の女である。かねてよりヒゲの男の体を心配してくれ、針に刺されろ刺されろと勧めてくれるのであった。全盲の女は多才である、楽器もすれば物語も話す、本人は最後まで針の仕事をしたくはなかったそうであり、いろいろな免許を取得してはみたものの、行くところ行くところで目が見えないからという理由で随分と辛酸を舐めさせられてきたということをヒゲの男に話す。


「この仕事をしたくなかったんです。だって、(目が見えない人は)誰でもやってる仕事なんやからねぇ」とヒゲの男に針を打ちながらいう。それでもこの仕事を最後に選んだのは、自分のする仕事が誰かの苦痛を取り除くことに役立っているからであるからだという。ヒゲの男は慣れない針に全身を強張らせながらも、目を閉じて生まれてからずっと目が見えないというのはどういうことなのかとイメージする。だが、できるわけがないのだ。


上半身、針を打ってもらったあとにマッサージをしてもらう。そしてヒゲの男はそのままマッサージされたままイビキをかきながら随分な時間、眠ることとなるのである。もちろん、イビキをかいていたというのはヒゲの男が起床後に己の痴態を教えてもらって知ったことである。


むくりと唐突に起き上がったヒゲの男は今が何時になるのかと確認して、北浜に戻ることにした。針の女は根気強く治療をしなくてはならんから、また来るがいいといってヒゲの男を送りだした。行ったときから帰るときまで、ずっと時代劇がテレビで流れていた。


店に到着すると、すでに今日の出演者である古池のオジキがソファで佇んでいる。古池のオジキと一緒にいつも演奏している小唄の姉御も来店している。ヒゲの男はそそくさとギターのセッティングをして、リハーサルを始めようとする。すると常連の不思議な女も店に来ており、本番まで二人の演奏を聴きたくないと耳を塞ぐ。それはそうだろうとヒゲの男も感得して、三階の万作のアトリエにて古池のオジキと練習することにした。


演奏の時間になる。客足も上々であり、ありがたい話しである。ヒゲの男は古池のオジキと「I shall go up to heaven like that bird (通称:かもめ)」は何度となく練習をさせてもらい、濾過に濾過を重ねてきたので今日の出来映えが素晴らしいものになることは予想できた。この曲に古池のオジキのギターはよく合うであろうと、ずっと考えていたのだ。


実際にかもめは三度も演奏することになるほど、ヒゲの男はその仕上がりに誇らしいものを感じていたが、その分、当初の目的であった世界名曲探訪は随分とおざなりとなってしまう。その窮地を救ってくれたのが小唄の姉御の存在であった。ヒゲの男は比較的に早い段階で小唄の姉御にSOSを出して、歌ってくれとお願いするのであった。


小唄の姉御と古池のオジキの二人は滋養的レトロ楽団「ポッポ〜ず♪」というもの組閣しており、常日頃から人前で演奏しているので、ヒゲの男は安心して先輩にステージを譲って酒を飲む。客も客で気のいい人間ばかりであることをヒゲの男は知っているので、ポッポ〜ず♪の演奏を聴いて勝手に盛り上がってくれることになろうと安心の体である。


ジャズに戦前歌謡にオリジナルと、器用にことばと声色を使い分ける小唄の女の名調子に乗って、古池のオジキの軽妙なギターが鳴り響き、北浜という町の風情とよくあった雰囲気が店内に溢れることとなった。ヒゲの男が魅了された北浜の画廊喫茶の姿がそこにあった。誰も気どるものはなし、軽やかにスウィングしながら、酒を飲んでそれぞれガヤガヤする光景は、ひっそりした山荘にて偶然出会ったもの同士が意気投合するような嬉しさに溢れていた。


とにかくご来場の皆がよく飲み、よく食べてくれた。そして寛容にもイベントを盛り立ててくれた来場者全員にありがとうとヒゲの男はお辞儀をしたい。


助けてくれてありがとう。


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Commented by ギャラリーの女 at 2017-11-21 14:21 x
このブログは、小春日和の唄のよう、、、

実を言うと、ライブ最中に小唄の姉御さんに来年のねこふん、猫化け(遊気Qタイトル)中、土か日に猫唄を御願い致しました。

ギャラリーの雰囲気などはあもり兄貴に伺ってみてください!などと耳打ちしてしまいました。
引き合いに出してしまいました。

申し訳ありませんが、もし問い合わせがありましたら、どうぞよろしくお願い致します。
Commented by amori-siberiana at 2017-11-21 17:27
> ギャラリーの女さん

了解いたしました。小唄の姉御に愛すべき「遊気Q」の雰囲気などを話すとともに、言葉で伝わらない部分は実際にギャラリーへ随行させていただきます。

猫化けというタイトルも秀逸ながら、猫唄なんてよろしいですね。猫じゃ猫じゃとおっしゃいますが。
by amori-siberiana | 2017-11-20 15:58 | 雑記 | Comments(2)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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