2017年12月03日(日) ◆ちゃんこ鍋忘年会、そこにあるのは退屈をぶっ飛ばせ。

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


このブログを夏に始めたのであるが早いもので冬を迎えようとしている。最初の頃は登場人物もそれほど多くはないであろうと考えていたのだが、今になってみるとこのブログに登場する人物の数はなかなかのものである。もちろん、登場人物たちが自分のことを書いてくれと頼んできたことは一度もなく、ヒゲの総帥が店であったことを勝手気ままに書いているのである。そろそろどこかのタイミングで登場人物をまとめなくてはいかんなという必要性に迫られている。


ヒゲの総帥は現在39才、面倒臭いので40才ということにする。北濱にある猫のひたいのように小さな店クントコロマンサに関わりだして5ヵ月と少し、面倒臭いのでここも半年ということにしておく。つまり自身の人生を構成する1.25%はここでの経験と記憶なのである。たかが1.25%だからと侮ってはいけない。世界の全人口の1%の人間が全体の富を掌握して運用しているというではないか、その事例は褒められたものではないが比較するにはよかろう。人生のたった1.25%であったとしても、そこにある質量というのは凄まじいものであり、これまでの経験を凌駕して尚且つその人間の生きる道を決定つける可能性もあるのだと言いたかったのだ。


富を平等に分配せよとは社会学者マルクスのことばであるが、もしもそこに富がなかったとすれば何を分配すればよいのであろうか。富がなくても生きていけるということを学ぶ段階にやって来ているのかも知れない。でも、やっぱり富は欲しい。欲しいというより必要なときに貸してくれればいい。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱のオフィスへ顔を出したあと、近くのギャラリー「遊気Q」へ椅子を借りにいき、数脚の椅子を抱えてヒーヒーいいながら店に辿り着く。店のシャッターはものの見事に閉まっており、どうやら版画家の万作と星師匠、そして今日のイベントを主催する黒ずくめの男ことハイタッチ冷泉(俗名:加藤)は近くのスーパーに食材を買い出しに行っているとのこと。ヒゲの総帥はシャッターの前で渋谷のハチ公のようにひたすら待つことにした。


すると「おお、阿守くん」と背後から声がする。ヒゲの男が振り返ってみるとヒゲを通り過ぎようとしていた車が止まり、窓がウィーンと下りる。ヘリコプターの免許を持つ男である、随分とご無沙汰だった人物とひょんなことから遭遇する。「どうもご無沙汰しておりました」とヒゲの男はヘリの男に挨拶をする、「(姿を)見て、すぐわかったわ、お店ここなんやな」とヘリの男もニコリと笑う。ヘリの男はこの近くで行われた政治の勉強会に顔を出していたようで、また近々店に寄らせてもらうと言い残して去っていった。自分の知り合いが政治に参画するような年齢や立場になったのだなとヒゲの総帥はなんだか愉快な気分になってくる。


それからすぐに買い出しに行っていた三人は店に戻ってくることとなる、さらに宗教画のモデルの女も店に到着して、冷泉が指揮を執ってのちゃんこ鍋の準備に取り掛かることとなった。冷泉は大きな鍋の前でダシの塩梅を見ながら具材を入れていく、宗教画のモデルの女はキノコを切りまくり、星師匠は白菜を切る、ヒゲの総帥はしょうがとニンニクをすりおろし、万作は「うーん、こないな忙しいときに、ごっつい出にくいんですけど、ちょっと行ってきます」と風呂へ行く。


具材はメッタ斬りされたあとに整然と並べられ、それぞれが冷泉司令官の指示のもと絶妙なタイミングで鍋へ突入していく。風呂から帰ってきた万作が鍋のダシを味見して「うーん、これ半カップほど入れてみてください」と日本酒を冷泉に渡す。「あっ、いいですね」と冷泉もすんなり版画家からの提案を受け入れて、軍師万作の献策は取りあげられることとなった。


店内にはちゃんこ鍋の艶美なる匂いが立ち込める、やはり我々は舌より先に鼻で料理を味わっているのだと、柄にもなくブリア=サヴァラン的なことをヒゲの総帥は感じる。


最初に店にやって来たのは医療システム会社の社長でプーチン大統領に20%くらい似た男である。皆からはカルロス・ゴーンに似ていると言われるそうだが、ヒゲの総帥からプーチンに似ているといわれたとき、プーチンと言われたのは初めてで少し嬉しいと感想を述べる。ただ、ちゃんこを食べているとき同席した男から「どちらも(プーチンもゴーン)人を切るのが得意ですね」と皮肉をいわれていた。


続々と客はやってくる、あっという間に店の南北が通行不能になる。ヒゲの総帥はオルガンのある奥の席にプーチンとラリーマニアのマッサージ師、産学連携ニュービジネスの男、求職者の求道者の男、映像ならなんでも作れる男、保険屋の女と一緒にいるのであるが、オーダーをしようにも空コップを持って厨房のある北側へ移動するのは困難であった。冷泉という男の呼びかけによって皆が集ってくれ、猫のひたいのような小さな店がバイロイト歌劇場のように賑やかで通行困難なものとなった。嬉しい悲鳴というのはこういうことなのであろう。


音楽イベント時にはステージになる万作特製のバーカウンターの中では冷泉がちゃんこ鍋を振舞い続けている。その姿を見ながらギャラリーの女は「おいしいですね。それにあんな優しい顔してお作りになるんですね」と冷泉の株を多少あげたようであるが、そのすぐあとのお代わりのときに「ちょっと味が薄くなってるんじゃないですか?しっかりしてください」とヒゲの総帥を通じて冷泉に苦言を申しつけていた。ヒゲの総帥もカウンターの中に入る、冷泉はヒゲの方を見て「そろそろ殴り合いしたくてたまらんくなってきました」と心情を吐露する。冷泉の招きによって今夜は殴り合いの帝王がやって来ているので、冷泉はいろんな人を呼びつけては帝王と殴り合いをさせてみる。


帝王の筋肉はそれは凄まじいもので、グラディエーターが現代を闊歩しているようである。


その模様を他人事ながらガハハハと見ていたアラタメ堂のご主人。ヒゲの総帥は帝王にいう「実は内緒なんですがアラタメ堂という凄い男がいるのです」、「ちょっと!なんですか!やめてくださいよ、どうして僕なんですか!」とアラタメ堂のご主人は不意にカミナリに打たれたような顔をする。帝王は「どうりで、ちょっと雰囲気が違うなと思ってたのだ」とアラタメ堂を呼び出す。「僕のどこがそう見えるんですか」と言いながらもアラタメ堂は呼びかけに応じて帝王と殴り合いをはじめるが、ぐぎゃという声と共に床へ崩れた。そして次にはヒゲの総帥が呼ばれて同じようにぐぎゃと阿鼻叫喚をあげるのである。


冷泉はそのまま殴り合いを続行する、ヒゲの男はバーカウンターに戻ってくる。「水をください」と宗教画のモデルの女に頼むと、そのバーカウンターの目の前にいる会計事務所のオーナーの目が光る。「阿守さん、今、もしかしてですけど水っていいました?」と尋問してくる、ヒゲの男は「あれ?僕は水といいましたっけ?命の水(=ウイスキー)をくれと言ったはずなんですけれど、もしかしたら命が削られていたのかも知れませんね」と返答する、数秒後、総帥の前にやってきたのはもちろんウイスキーのストレートであった。

店の様々な箇所で様々な会話が行われる。こうして同時進行されていく別のストーリーのすべてを書き留めておきたいのだが、出来ないことは素直に出来ないままにしておくのがよかろう。このブログを書いている男には現時点でそのようなスキルはない。


先日、店に届いた魚沼産のコシヒカリが炊き上がったので希望者に振舞っていく。「小さい炊飯器しかないよって、旨味が引きだせとるかどうかは微妙なんですけどね」と万作は恐縮してイカの塩辛と一緒に出す、ヒゲの男も茶碗に一膳いただいたがおかずのいらない美味しいお米である。これは美味しい。


夜も更けてくる、それぞれスクラップになった人たちもならなかった人たちも死なないうちに店内を出ていく。冷泉もこれから「お酒屋敷へ行ってきます」と別の店に移動していった。店内は一瞬にしてシーンと静まり返る、静けさのありがたさは賑やかなありがたささがあるからこそ認識され意味合いをもつものである。台風のような賑やかさと静けさを同時に味わえ、いろいろな奇人たちと交流できる有意義な一日を作ってくれたハイタッチ冷泉こと黒ずくめの男、加藤利彦に敬礼。


来場した老若男女すべての、なんと燃えていることか。


そして今日は完全に脱力感におそわれてノックダウンのヒゲ。


d0372815_20592649.jpg

[PR]
by amori-siberiana | 2017-12-03 21:03 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。