2017年12月07日(木)後編 ◆マリー・ミー、バリー・ミーという曲。

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、ギャラリー「遊気Q」をあとにしてヒゲの総帥は神戸のミサイルマンことタッキーに連絡を取る。取締役という役職についてのタッキーの見解を聞きたかったのである。このタッキーという男の人生も面白い、誰よりも若くして起業して音楽業界に身を置き、本人は表舞台に立つことはなく裏方に徹した仕事をしていた。ヒゲの総帥が以前に仲間と主催していたシベリアンなんちゃらのマネージャーをしていたのも、このタッキーという男である。


ところがひょんなことからタッキーは音楽業界から足を洗う。もともとあまり綺麗な足ではなかったようであるからして、洗ったほうが良かったのであるが、唐突に外国へ語学留学へ行く。まるで不倫報道があった女子アナのようなプランであるが、知らぬところでいつの間にかビジネスマンとなっていたのである。本人からすればようく段取りを練ってのことなのであろうが、タッキーの当時の苦楽など知る由もないヒゲの総帥からすると、急な転身という印象がある。


会社という組織に関しての知識においてタッキーほどアテになる人間もいないので、ヒゲの総帥は知恵の教授を仰いだわけである。


「タッキー、社外取締役ってどうやって任命されるもんなんだい」「ええとですね、会社法の第六条というのがありまして~(中略)~という次第なんです」「なるほど、それって例えば急に辞任したいときとかはどうなるんだい」「その場合はですね、基本的には取締役は退職という扱いにはならないんですよ。なので~(中略)~という次第なんです」「へえ、労基法の適用外になるんだね」とヒゲはヒゲを捻りながら返事する。「タッキーってまだまだ社外取締役になりたいもんかい?」「うーん、もうこれ以上は不要ですね。そもそも社外取締役というのは~(中略)~という次第なんです」。


唐突な電話での質問なのによくもここまで完璧に答えられるものであるとヒゲの男は感心する。ちなみに日中だというのにこれほど長い時間会社についての答弁を求められるタッキー社長の周囲は非常に静かであり、今どこにいるのか本人は決してヒゲの総帥には言わない。


ヒゲの総帥は自身が不明な部分をタッキーから訊きだして納得したあと、これもキッカケだからタッキーの会社の社外取締役になってやるよと手を差し伸べた、タッキーは「弊社にそのような予定は一切ございません」と悪質な訪問販売と対決するような口上を述べるに留まる。「さすがは賢明な判断をする」とヒゲの総帥は大笑いする。それからタッキーに対してオファーしていた今月の30日に行われる女将軍歌合戦の司会と審査委員長の按排を訊いてみるが、どうにも日程がつかずで申し訳ないという。本人の弁によればなんでも忙しくて忙しくて、世界中が俺を呼んでるというような断りをする。


それから店に行く。常連のガルパンの男と美容デザイナーの女で話しをする、デザイナーの女が自身が職場で経験した嫌なことを話しているにもかかわらず、何故か松茸ごはんを炊いていたはずの万作が割り込み気味に話しの腰を折りにくる。この男の間のとりかたの悪さたるや絶悪の見本であり、話し手側の意識を朦朧とさせるに足るのであるが、これが何度注意を促してもどうにも治らないのである。


誰もお伺いをたてていない段階で「うーん、ワシが思うに~…」のイントロダクションから入ってくる版画家の話しは危険信号である。柵から逃げ出すどころか、それが柵なのか棚なのかすら判然としない独自の超然とした世界が広がるのであるから。もちろん最終的にオチはなく、そこに解決もない。ただ炊き上がった飯のごとく話しをかき混ぜて無重力へと案内されるのだ。実は前日も冷泉と名前のような名字の男と話しをしているときも妙な間合いで厨房の方からイントロダクションが流れてきて、大いに弱ったものだった。


隣のサロン喫茶フレイムハウスの女主人など「日本語が通じない」とヒゲの総帥に苦言を呈する。宗教画のモデルの女は「(万作の話しは)聞いてへんなぁ、聞いてもなに言うてはるんかわからんしなぁ」という。ガルパンの男にいたっては「僕には万作の声だけ聞こえませんから」と澄ました顔で戦車を展開する。


そうこうしていると古池のオジキがやってくる。ギャラリーの女から古池のオジキへの言伝を頼まれていたヒゲの総帥はその旨を伝える。古池のオジキは珍しく陽気に酔っぱらっており、あれやこれやと冗舌に話しだす。


夜も更けてくると浩司ばいがやってくる。週末からの演奏イベントにむけての店で足りない機材を持ってきてくれる。随分と重さも幅もあるデジタル卓のミキサーを抱えて二階までやってきてくれ、セッティングをしてくれる。ヒゲの総帥がメカに弱いことを重々承知している浩司ばいはいつもどおり電源のオン・オフだけで音が出るように設定してくれるのだ。


スタンバイは完了した、ヒゲの総帥は初めて弾くマリー・ミー、バリーミーという曲を練習している。


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by amori-siberiana | 2017-12-07 18:08 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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