2017年12月17日(日) ◆冷たい太陽、王子からの冥途の土産。

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱のオフィスでコーヒーを飲んだあと店に行く。この日はヒゲの総帥が音楽家だった時代の仲間がやってきて賑やかにやろうという趣向なのだそうだ。もちろんヒゲの総帥も参加をすることになっており、他にはバイオリンの王子という男が東京から、ドラムを担当する小説家先生が香川から、そしてベースを担当する電気工事士の男が近場からやってくるのであった。


ところがヒゲの総帥にはひとつだけ懸念があるようだ、それが何であるのかといえば先日のことである。音響屋の浩司ばいが店でのイベントのために持ってきてくれたミキサー卓、大きなものなので店の舞台の壁に立て掛けてあったが、その周囲を版画家の万作がギシギシと歩いたとき、あの巨体で床板がたわみその振動でミキサーがどかんと床に落ちる。ミキサー自体は事なきを得たのだが、ミキサー近くにあったコンセントプラグはミキサーが墜落するときに不幸にも巻き込まれ破壊の限りをされ尽くしたのである。


つまり、舞台の上のコンセントが使用できないという状態なのであった。電気がなければどれだけ高価なものであろうが、有益なものであろうが無用の長物となってしまう。万作はなんとか自力で修理しようとしていたが、形の合わないコンセントプラグを買ってきて、それが合わないと知るや数日はそのまま放置となっていたのだ。ヒゲの総帥はヤマトコに連絡をする「電源の復旧のために少し早めに店に来てくれませんか?」との嘆願にヤマトコからは快諾の返事があった。


ヒゲの総帥は店に到着して経理をする、万作はコンセントを復旧させようとするがどうにも上手くいきそうにないのでブツブツ独り言がはじまる。「万作さん、もうそろそろヤマトコさんが来るので後は専門家にお任せしましょうと」とドラマか映画に頻繁にでてくるようなセリフをいうヒゲの総帥。「うーん、なんかワシは役立たずですんません」としょんぼりする万作。「餅は餅屋というではありませんか。ヤマトコさんへまかり間違って絵描きの仕事が来たときには万作さんが助けてあげればいいのです」と適当なことをいう。第一、電気工事士の男にディエゴ・リベラよろしくな壁画の仕事を受注する人間は尽未来際なかろう。


しばらくしてヤマトコが到着する。万作からいろいろ説明を受ける、その話しをふんふんと聞きながら作業は開始される。作業が開始されてから10分が経過するかしないかのところであろうか、いきなり復旧されることとなった。さすが専門家であるとヒゲの総帥は大いに喜び万作は庭を駆け回る猫はこたつで丸くなる。すると小説家の先生が不健康そうな顔つきで到着して、さらにはメガネを新調したと噂のバイオリンの王子もやってくる。そして雁首ならべた音楽家たちはそれぞれセッティングをしてリハーサルをしだす。


王子がいう「あれ?阿守さん、もう音(ギター)が出来上がってるじゃないですか!」「うん、そうだ」「これって浩司ばいがセッティングしてくれたから?」「そのとおりだ」「やっぱ、そういうことなんだ」と王子が笑う。元来、このヒゲの総帥はそれこそ人生のほとんどを音楽家として過ごしていたが、自分のギターの音のセッティングなどには無頓着を決め込んでおり、そういったことは浩司ばいやタッキーや王子に任せきりで何もできないのに偉そうにヒゲなんかを生やしている。「浩司ばいにギターの音を作ってもらって、本番のときは電源をオン・オフするだけでいいようにしてもらったのだ」と他人の功績をあたかも自分の功績のように威張るヒゲの総帥。周囲は呆れる。


リハーサルも無事に終わり、開店時間もやってきて客も入ってくる。星師匠はヒゲの総帥から「万作はアテにならんから、ホットワインを作れるようにしといてくれ」と投げっぱなしにされたので、早いうちからホットワイン用のコップや食材などを買いに行っては店に入って試作品をいくつか作っている。


さて、客のなかには神奈川からわざわざ小説家先生の歌を聴きにきたという変人もいる、そういえばここ頻繁に先生の歌声を聞いているなとヒゲの総帥は考える、不変だと思われた世界が終わるそのとき聞こえるという絶望の音楽はこのようなものではなかろうかと想像したら愉快である。シベリアンなんちゃらという楽団のファンたちが集う、シベリアンなんちゃらを後から知ったであろう人間も来る、宇宙人もやってくれば常連の不思議な女とギャラリーの女もやって来る。バイオリンはギターに合わせて(A)440Hzで調弦されて、演奏がスタートする。店内は熱気でムンムンとする。


【第一部】

01:The Mint
02:Pluto Lemonsky
03:ボクの村は戦場だった
04:Good Burning O'silk
05:Whalerider
06:Modern Matryoshka


【第二部】

01:Perpetuum Mobile
02:Crossing the Tundra
03:Comical Salute
04:Hysteria Siberiana
05:Words Robin Talks Are


【第三部】

01:Kathomandu Noir (?)→Lithuanian Tanze
02:Ever Frozen
03:My Evil
04:When I Die, I Shall Go Up To Heaven Like That Bird
05:世界の果てへ連れ去られ
06:サンジェルマンの殉教
07:Goodspeed


演奏は無事に終わる、セットリストが合っているのかどうかは甚だ謎である、なぜならヒゲの総帥は本番のときにはしこたま酩酊していたのであるから。しかしながらこのセットリストが実際の演奏と合致していたならば、古今東西、「酔っていたので記憶にありません」といって情状酌量を請願する罪人の言い分は成立しなくなり、世の中はマシになるのではないかと思う。


終演後、いつの間にか恒例になった酩酊した小説家先生の歌声が店内に響き、各座席から失笑が漏れだしてくる。場末という言葉が上品に聞こえるほどの世界最低のバーがあるとすれば、多分こんな感じであろうと感じた。






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by amori-siberiana | 2017-12-17 14:36 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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