2018年01月05日(金) ◆冷酒と親の小言は後から利いてくる。

こんにちは、北濱にて猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


今朝より北濱はビジネス街としての面目躍如とばかりに動きだす。もちろんまだ本領発揮とまではいかないが、それでも慌ただしく往来を行き交う人は外套を着こんで仕事に向かう様子である。社会という車輪がじわじわと回りだす、その車輪の下敷きになるのは果たして誰なのか。ヘルマン・ヘッセ君でもわかるまい。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は電話で母親と話しをしている。新年早々の母と子での形式的な年賀挨拶に終始するのかと思えば、どうやら違う。老いた母親一人を故郷に残して正月に帰っても来ないで一体何をしているのかとヒゲの総帥の母親は息子に問う、息子は母親の腹から出てほんの20年のうちに偉そうにもヒゲを生やしており、それがまた20年ほど続いている。ヒゲの総帥はこれこれこういうことがあったのだと説明する。


以前の仕事をしていたときヒゲの総帥の母親は「そんな大金を持ってどうするのか、恐ろしい、人生は金ではない後生だからそんな仕事は辞めてくれ」と言っていたのだが、この日になってみれば「男がそんな小銭をかき集める仕事をしてどうするのだ、不安で仕方ない、人生に金は必要だ後生だからそんな仕事は辞めてくれ」と言いだす始末。結局のところ何をやっても後生だからと付いてくるのであるから、これを額面どおり受け取って行動しているとそのうち息をすることも後生だからと言われそうである


自分もいつまでも元気ではない、お前が大阪で暮らさないといけない決まりはない、かといって戻って来てくれとも思わない、もっとフラフラせずにしっかりしてくれないかというようなことを延々と言われるので、ヒゲの総帥は新年早々に気持ちがクサクサしてくる。しまいに亡き父や妹のことを話しだしては受話器の向こうですすり泣く母親の声を聞いていると、世界もこの辺で終わるのではないかとまで思えてくる。これからのことは今月中に一度は帰省するからそのときに話そうと電話を切り上げるヒゲの総帥。


すると話し足りなかったであろう母親はショートメールでいろいろと自己の考えを送信し続ける。ヒゲの総帥の母親も最近はi-PADを購入したそうで、Googleのストリートビューで世界中を旅しているのだという。もちろん、ストリートビューでクントコロマンサの店の前までも来たことがあるのだという。なかなか田舎の母親にとってもストリートビューは刺激的なおもちゃであるようだ。


ヒゲの総帥は店に向かう。到着するとすでに常連の不思議な女と醤油売りの女、そして裁判官の女が七輪を中心に据えた半包囲作戦を展開している。ヒゲの総帥も七輪の正面に座り、これで隙間の程度はあるものの囲碁でいえば七輪は詰んだということになる。常連の不思議な女が初詣の話しをする、行った先の寺で拝観した半跏思惟の観音さまのアルカイックスマイルがそれは良かったのだという。アルカイックとは何かという話しになり、ヒゲの総帥が「古代ギリシア語が由来で起源とか根源を意味するものだ」と注釈を入れる。万作が自作の餃子を焼いて持ってくる、ヒゲの総帥以外は餃子を食べだす。


ヒゲの総帥は初詣にまだ行かない。特にこれまで決まったところがあるということはないが、島根半島の端にある美保神社には新年のたびに何度か足を運んでいた。大きな神社ではないが、その海からの冷気漂う雰囲気や青石畳の通り、寂れた漁港と険峻な風景というのが気に入っていたのである。巨大隕石が落ちてきた場所があるのだそうだが、今までそこへ辿り着けたことはない。鳥居の前には数軒のひなびた土産物屋があり、そこにひとつに入っては店の婆にイカを炙ってもらい、塩辛い昆布茶をフーフーいいながら石油ストーブの前で飲むのが好きだった。


醤油売りの女と裁判官の女にもそれぞれ年の越しかたを聞く、しばらくするとテンポが速めのドンドンドンという音が階段から聞こえてくる。まるで階段に染みついた呪詛を踏みつぶしながら登壇するような感じである。「冷泉さんやな」「冷泉だ」と万作とヒゲの総帥はタイミングを同じくしていう。ゴガッという音とともに現れたのは全身黒ずくめの男、ハイタッチ冷泉であった。冷泉も新年早々、酒豪の家族たちに囲まれて大いに酒浸りだったとのことに苦言をもらす。


すると不動産デザイナーの忌部もカラカラと笑いながらやって来る。全員で七輪を囲み車座となって雑談をしながら、黒豆の入った餅を七輪の上で焼く。凍らせておいた餅はぷくっと膨れてきて、醤油にさらりと溺れさせられたあとは口の中に入る。忌部の会社は大正14年にできた船場ビルディングの中にあるのだが、ヒゲの総帥と忌部はそこで新春麻雀大会をいつするかの日程の話しをしだす。メンツが足りない場合はどうすればいいのかと考えていると、不思議な女が「エイリアンさんに声を掛けてみたら」という。エイリアンを知っている忌部はその名詞を聞くとやはりカラカラと笑いだし、「なんか安っぽい役でアガルとエイリアンさんにめちゃくちゃ言われそうですね」と想像できることをいう。


「そういえばエイリアンさん星師匠を巻き込んで婦人口論というのを開きたいと言ってたな」とヒゲの総帥は思いついたように口にする。「婦人公論なんてもうあるじゃない」と不思議な女はきょとんとしていうが、「公論じゃなくて口論なんですよ」とニヤニヤしながらヒゲの総帥は切り返す。「エイリアンは常日頃から脳内に108くらいのアイデアを持ってる人ですから、出てくる発想のひとつひとつが大胆不敵で愉快ですよ」と言葉を足すのはヒゲの総帥。「煩悩の数や…ないですか、ぐふふ」とはウイスキーをガブ飲みしている冷泉の言葉。


夜も更けて死についてどう考えるかの話しを経由してストーカーの話しになる。相手から返信もないのに長文のメールを送信したことがあるかどうか、また送ったときの心境はどういったものであるのかを忌部を中心に話しだす。


この手の話しで忌部の右にでるものはいない。ひと月(30日)のうち2~3日だけ幸福を感じることができると豪語できる稀有な男なのだ。


ヒゲの総帥は麻雀もいいが、7枚の札を使ったポーカーもしてみたい。テキサス・ホールデムというのだ。


ヒゲの総帥は常々ポーカーの試合中で行われるテクニックはビジネス交渉術に活用できると考えており、自身でもポーカーの国際大会などは暇さえあればチェックするようにしていた。中でもお気に入りはLiv BoereeとToni Petterssonの決戦である。


女帝Livは勝ち目のない戦いをして、やはり負けてしまうのだが、自分の負けを悟ったときの顔つきがとても潔く、見ているものに好感を与えるものである。強さが彼女の魅力の全てではなく、やはりこういった勝負の向こう側にある人間性が垣間見える瞬間、その人の本質を知るような気がする。


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by amori-siberiana | 2018-01-05 13:30 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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