2018年01月08日(月・祝) ◆コロマンサ計画と私たちは春のなかで。

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は昼に店へ向かう。店には版画家の柿坂万作がおり、これまで舞台だったところをトランスフォームさせて第二のバーカウンターにする。万作は冷泉から借りたプロジェクターを常備して、いつでも店内投影できるようにしておきたいのだという。「そうだ、万作さんに話しがあります」とヒゲの総帥はバーカウンターを組み立て中の版画家に声を掛ける。「まだ計算途中なのですが、この三月か四月から万作さんの給与を増額できるようなシステムに変更したいのです」と話しをするヒゲの総帥、万作のギョロとした目がさらにギョロとする。ヒゲの総帥は話しを進める「簡単にいえば経費を差し引いての売り上げは折半ということにしようということです」と言い終えないうちに、万作は「つまり、これでワシと阿守さんは実質的に共同経営者になるいうことですね。立場が対等になるいうことですね」と子供が絶景を見たような顔をして再確認をしてくる。


「うーん、ワシは肩書なんぞどうでもええんですわ」と毎日のように言いながら、存外にも肩書や上下にこだわるのかとヒゲの総帥は失笑するものの、版画家のプライドを確認して安心し、つまるところそういうことだと万作に向かって頷く。「そこから段階的ですが、僕はこのお店から抜けていくようにします」とヒゲの総帥は続ける。店の売り上げに関しては周囲の人間からの助力によって完全に回復をしている。


「うーん、阿守さんの北濱独立の夢を果たすためには、この店でずっとおってもいかんやろうから、ワシもそれには賛成です」と万作は我が世の春のような顔をする。まるで刑期が短縮されて出所できることを知った受刑者のような恍惚とした表情である。「うーん、阿守さん、次はどこを手掛けるんですか」と万作はヒゲの総帥に訊く、「まさか、今後の予定など真っ白ですからのんびり就活でもしますよ」とヒゲの総帥は苦笑しながら答える。


「その話しはまだ未定…、いうことですね?話しだけいうことですかね?」と万作は念入りに念入りに夢オチではないだろうなとヒゲの総帥へ確認する、「いえ、未定ではなく確定です。三月か四月のどちらになるかは綿密に計算してみます。そうしないと万作さんの収入が増えて再建となりませんし、さらには僕が店に協力させてもらった意味がありませんから」とヒゲの総帥は万作に伝えてからカウンター設営の手伝いをした後に店を出る。


ヒゲの総帥は年末、常連の不思議な女やハイタッチ冷泉、さらには江戸堀のヘミングウェイたちとディスカッションを繰り返すことにより、このタイミングでの決断に至ることとなった。チンピラの男がいうところの「音楽家と版画家の絶妙な不安定さと緊張感がたまらない店」という形を崩さないまま店を存続させていくことが結構である。


夜になりヒゲの総帥は再度店に行く。ギタレレの女は先ほど帰ったばかりだと万作が教えてくれる、店内には常連の不思議な女と冷泉とチンピラの男がいる、後者の二人は昼から延々と飲み続けているのだという。ヒゲの総帥が「男二人でよくそれだけ話題がありますね」と半ば皮肉がてらにチンピラの男に伝えると、二人でいるときは何も話さないのだという、「黙ったまま、たまにアイツ(冷泉)のホクロの位置が動いてへんかを確認したるんですわ」とチンピラの男は冷泉の顔を覗き込むようローアングルから視線を向け、ホクロの確認の仕草をする。冷泉はプッと吹き出す。


この日にいたっては前日の後遺症からなのか、ヒゲの総帥はウイスキーをショットグラスに一杯飲むのも随分と時間をかけていた。いや、酒を飲む行為を忘れるほどチンピラの男の話しに食い入っていたのだ。その日、チンピラの男とヒゲの総帥は互いの人生が切り替わった境界線について意見を交換していた。常連の不思議な女と冷泉はイラストを不要な紙の切れ端に落書きしていた。


静かで寒々しい夜は、明日の雨を予感させていたのかも知れない。


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by amori-siberiana | 2018-01-08 13:53 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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