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2018年01月14日(日) ◆史上最も愚鈍な円卓の騎士、そして食い気に走る共和主義者。

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱にあるオフィスでコーヒーを飲んだあと、店内のメンテナンスのため昼過ぎに店へ向かう。その夜のイベントの主催者であるアラタメ堂のご主人から「阿守さん、当日はカウンターのところをステージにしてちゃぶ台を出して欲しいんです」という要望があり、ヒゲの総帥と版画家の万作はカウンターをトランスフォームさせてステージにする。


それにしても北濱にいるとよくわからない横文字をよく見聞きすることがある。インフラ、コンプライアンス、ソリューション、BtoC、アライアンス活動、インバウンド、ASAP、エビデンス、レギュレーション、OJT、オポチュニティ、クラウドソーシング、KPI、コンセンサス、スキーム、セグメント、ナレッジ、ハレーション、フィードバック、プライオリティ、マイルストーンなどなど。もう大人たちでも使いたくてたまらない横文字のオンパレードである。


ヒゲの総帥が中学生の時分、日本のロックバンドが好きになりそういったバンドの歌詞で頻繁に出てくる横文字や見慣れない漢字に目を奪われた日のことを思い出す。イミテーション、レヴォリューション、テンプテーション、アイロニー、メシア、ルシファー、狂気、恍惚、陶酔、覚醒、愛撫、鏡、燃える胎児、サイレント・ジェラシーなどなど。その時代を彩っていた言葉があり、言葉というのは文化の生成において何よりも先行するものなのだなと感じた中学時代であった。つまるところ意味などあってないようなものなのだ。


デッドエンドというバンドの曲に「PHANTOM NATION」という曲があり、歌詞のなかに「伽藍堂の救世主(メシア)」というのが出てくる。最初、いとこからもらったカセットテープでしか曲を知らなかったため、ヒゲの総帥はその歌詞の部分をずっと「伽藍堂の飯屋」だと思い込んでヒアリングしており、なかなか所帯じみたことを唐突に歌うものだなと聴いていた。


伽藍堂の飯屋がどの辺にあるのか解らないが、このブログは北濱にある気がつけば伽藍堂だった喫茶店の話しである。といっても店に何もないわけではなく、ガラクタは幾らでもあるのだが客がいなかったのだ。およそ二人の常連客だけで保っていたような店の話しである。


星師匠もやってきて店のトイレ掃除や階段掃除などを念入りにする。ヒゲの総帥は店の表にイベントを告知するための紙を作成する、万作は舞台にカーペットを敷いてバランスを見る。店内のスタンバイは出来上がったのだが、ヒゲの総帥はなんだかぐらぐらする。少し動けばどうにかなるかと思ったが、どうにもぐらぐらと手が震えるのが止まらないので休憩する。15時からエイリアンと近くのギャラリーで待ち合わせをしていたのだが、それがどうにも適いそうにない。少し休憩してからギャラリーへ向かうこととなったのだが、そのときにはすでにエイリアンはギャラリーを後にしており、タイミング的には入れ違いになってしまう。


ギャラリーでは下着姿の女に巨匠がペインティングしていた、蜘蛛の巣のような黒のラインが彼女の内股に施されているところであった。内股にペインティングするのであるから、自然と女の態勢は椅子に座って股を広げて巨匠と向き合う格好である。つまるところお産をするときのような格好である。なかなかパンチのある光景であった。


ヒゲの総帥はギャラリーを出て店に戻る、開店時間まで20分ほどありシャッターが開いていなかった。万作は風呂にでも行っているのであろう、それを星師匠と店の前で待つことにする。しばらくするとラーメンの男がやってきてヒゲの総帥と話しをする。そのとき「うわっ!」と星師匠が素っ頓狂な声をあげる、どうやら南の空に火球が走ったのを見たという。火球、ヒゲの総帥はこれまでに一度しか見たことがない。ラーメンの男との会話で何とも惜しいことをしたものである、そんなヒゲの総帥の惜別の思いとは裏腹にラーメンの男は「それやから無所属で出馬するなら、豊中市のあたりがええみたいですよ」とマイペースに会話を続ける。


万作が風呂から戻ってきたので皆で店内に入る。しばらくするとアラタメ堂のご主人と学生起業家のダダヤマがやってくる。「お前なんかが何をしに来たのだ」と愛想のないことをヒゲの総帥が笑いながらいうと、「いやいやいやいや」とダダヤマは返答する。「ダダヤマ君にはゲームを覚えてもらって他のお客さんへの説明をしてもらうんですよ」とアラタメ堂はダダヤマ来店の根拠を説明する。ヒゲの総帥はちびちびとウイスキーを飲みながら、おでんを突くラーメンの男と「ガイスター」というテーブルゲームをする。全戦全敗であったが。


アリスがやってくる、ゲームセンス・ゼロの女ことアシムが紀州の女とやってくる。この日は急遽欠場となった作家の平尾先生の淫靡で甘美な名刺をデザインしてくれたのがアシムである。山の向こうからファラオがやってくる、スージーが差し入れとともにやってくる。醤油売りの女がポン酢各種を持ってきてくれ、コミュニケーション障害をスキルに持つブルーグラスの男は俳句詠みの女と生物学博士の女を連れてくる。ライターの男もやってくる。先週、大賑わいの人狼を企画したマスマティックの女が白鳥のように真っ白な女を連れてやってくる。ハイボール前田という上島竜平に似たおっさんも来る、緑の女もやってきて、果実のような名前の男もやってくる。いつの間にかヘルベンツも混ざっている。店内はすぐに百鬼夜行の類の混雑を呈する。常連の不思議な女と探偵のような男もやってきた。常連の不思議な女はありとあらゆるものを忘れて店を出たそうで、星師匠は後を追ったそうだ。探偵のような男はヒゲの総帥にウイスキーをおごってくれた。


そしてこの日、ヒゲの総帥はおよそ10年ぶりにある男と再会することになった。10年以上前、ヒゲの総帥が梅田の観覧車で有名なギラギラした商業施設の最上階でコンサートをしていると、急にヒゲの総帥訪ねてきた男がいる。その男は自分はアイルランド音楽をしており、ある人から阿守に会いに行けといわれたのだと訪問の理由を説明する。その男の名をドーツボ君とする。


ドーツボ君はこの度、ドーツボ博士とランクアップして今は京都でえらく敷居の高い大学の大学院に属しており、法律の何たるかを日夜考えているのだそうだ。このドーツボ君だがどうやらテキサス・ホールデム(7枚ポーカー)を操るのだそうで、そのポーカーを数年前から実際にしたくてたまらなかったヒゲの総帥はこの日にポーカーをしようじゃないかということになった。その呼びかけに応えるかたちでドーツボ博士はポーカーセットを一式、連れの京都の女と一緒に北濱まで持ってきたのである。


ドーツボ博士とブルーグラスの男は元は同じバンドのメンバーである。前者はギターで後者はバイオリンであった。そこにアイリッシュ山本やガハハの女や国防の男などが加わっての大所帯のバンドはとんでもなく愉快な奴らの集まりであった。もちろん不愉快な部分もあったのであろうが、それは他人事なので放っておくのが礼儀だ。


少し遅れてタッキー国王もやってくる。仕事終わりのスーツ姿でやってきており、「すいません、22時には出ないといけないんです。会長のところに呼ばれてまして、運転もありますんで」とアルコールが飲めないことを大いに強調しながらウーロン茶をオーダーする。


店内のテーブルは四つのセクションに分かれた。


【A】ドーツボ博士がディーラーをする、テキサス・ホールデムの卓


【B】ダダヤマが無理やりゲームマスターをさせられたそうな、ワンナイトマンションの卓。


【C】ラーメンの男ことYUJIが取り締まる、コードネームの卓。


【D】アラタメ堂とブルーグラスの男とライターの男がこそこそする、何らかの怪しげな卓。


ヒゲの総帥は最初から最後まで【A】の卓におり仕事をこなすのに必死だったので他の卓のことは全くといっていいほど述べられないが、大体、そういった模様である。ちなみにヒゲの総帥がする仕事というのはタッキーのウーロン茶を飲むことである。タッキー国王がウーロン茶を注文する、こそっとタッキーをエアコンの風が直撃するところに座らせて国王の体内とコップの中の水分を簒奪せしめようとするが、どうにもペースが鈍い。それはそうだろう茶など何杯も飲めるものではない、途中から作戦を変更してタッキーのウーロン茶をそのままヒゲの総帥が飲んでは、タッキーにオーダーを要請するということが合計で16回ほど行われた。なので二人とも腹はちゃぷんちゃぷんであった。


それぞれが目の前のゲームに熱中をする。人と人が時間有限の取り決めのなかで、それに従い遊びに興じる姿はなんとも微笑ましくあり、そして滑稽でもあり、なにより最上の時間つぶしであろう。


ドーツボ博士はポーカーの後に【A】と【B】を糾合させて「アヴァロン」なるゲームをしたいと言いだす。このゲームの面白さは人狼を大いに越えるものであるとロビー活動をするドーツボ博士。それならやってみるかとヒゲの総帥を含めたメンバーでやってみるが、アーサー王と円卓の騎士物語に基づいたキャラクター設定なので、その辺に詳しくない人間からするとキャラの関係性がよくわからない。作家の平尾先生でもいれば狂喜したのかも知れないが、漏れなく円卓の騎士に興味のない鈍感者ばかりだったので場は曖昧模糊とした雰囲気に包まれる。


時間もないのでドーツボ博士の説明を聞きながらゲームを進行する。博士は早口にまくしたてる「皆さん目を閉じてください、暗殺者とモルガナとモルドレッドは目を開いて、手を開いてお互いを確認してください。暗殺者とモルガナとモルドレッドは目を開いて、手を開いてお互いを確認してください。暗殺者とモルガナとモルドレッドは目を開いて、手を開いてお互いを確認してください」。この早口の早いこと早いこと。「マーリンとモルガナと暗殺者のかたは手を開いてください、マーリンだけ目を開いてモルガナと暗殺者を確認してください。マーリンとモルガナと暗殺者のかたは手を開いてください、マーリンだけ目を開いてモルガナと暗殺者を確認してください。マーリンとモルガナと暗殺者のかたは手を開いてください、マーリンだけ目を開いてモルガナと暗殺者を確認してください」。


参加しているプレイヤーは自分がこれから何をするのかまったく解らないのに加えて、聴き慣れない似たような名前ばかりなので何度も自分に配られたカードを確認する。終電の時間が迫るドーツボ博士はどんどん早口になり鬼気迫る状態となるのだが、この様子が面白くてたまらない。目を閉じた数名から笑いが込み上げてくると、葬儀中の笑いと同じでそれはどんどん拡散していき、腹を抱えて笑うものも出てきた。「ゲームマスターのいらないゲームなんですよ」と言っていた博士であったが、博士が進行しないとなんらの議論も起きないし、なんらのアクションも起らない状態であるので、博士はどんどんと鬼気迫りながら各プレイヤーに詰問していく。


「あなたは何故、承認したのですか!」
「いや…、なんとなく」
「あなたが承認するということは、正義の確率を下げることになるんですよ」
「はい…、そうなんですね」
「それでは、次のあなたはどうして拒否したのですか!」
「いや…、なんとなく」
「あなたとあなたはどうして承認するのですか!」
「いや…、なんとなく」


なんとも愚鈍な騎士ばかりで足並みは決起盛んな博士と揃わない、テンションの格差は雲泥であり混迷であり、もうこうなると笑いが止まらなくなる。


「どうか頼むからもう一度、最初のお互いの役職を確認するくだりを言ってくれないか」とヒゲの総帥はドーツボ博士にお願いする。


「わかりました、暗殺者とモルガナとモルドレッドは目を開いて、手を開いてお互いを確認してください。暗殺者とモルガナとモルドレッドは目を開いて、手を開いてお互いを確認してください。暗殺者とモルガナとモルドレッドは目を開いて、手を開いてお互いを確認してください」


ここで爆笑してしまい、そこからゲームは進行しなくなってしまった。ヒゲの総帥は来月に捲土重来の機会を設定するから、そのときに再戦しようじゃないかと博士に説明して一難から逃れる。


各テーブルがひとしきりしたところで人狼が開始される。グループを二つに分け、ヒゲの総帥とマスマティックの女がそれぞれゲームマスターを担当することになった。すでに酩酊状態のアラタメ堂のご主人は「僕は使い物になりませんよ」との自己宣告により役を回避することとなった。


終電の時間もやってきてそれぞれが帰る。夜も更けたころ、一度は出ていったタッキーが店に戻ってくる。その手には上等の毛ガニが格納された冷凍用のボックスがあった。


「そういえば、先日、どうしても阿守さんにしてもらいたいゲームがあると言ってましたが…」とヒゲの総帥がアラタメ堂のご主人にふると、「ああ、解放者のことですね」と新手のボードゲームが出てくることとなった。


ここは元老院、皇帝カエサルを失脚させて、善良なる共和政治の復活を望むプレイヤーたちの崇高な戦いをゲーム化したのが、この「解放者」なのだ。


が、


ゲームが始まった途端に万作が毛ガニを茹でて持ってきたので、皆、崇高なゲームどころではなく野蛮にもカニに食らいつく。甲殻類の苦手なヒゲの総帥以外はそれぞれ自分の手番が終えたのち、次の自分の手番まではカニの攻略に専心するという具合である。アラタメ堂のご主人などは、カニの爪によって指から血を流しながらでもカニにしゃぶりつくのを止めようとはしなかった。本人がいうには、これでも良き父親なのだというから呆れる。


もちろんのこと、この解放者なるゲームは途中で放棄されることとなった。


やはり、花より団子なのである。狂った夜が散会を迎えたのは朝の3時くらいであった。



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by amori-siberiana | 2018-01-14 16:31 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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