2018年01月18日(木) ◆帰阪するヒゲの総帥。

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


ドロレスの訃報のままにヒゲの総帥と老いた母親は小さい頃から行きつけのうどん屋の「バカタレ」へ向かう。時間帯的にも昼ということもあり駐車場も満杯であったが、国道を挟んで向かい側に警察署があり駐車場はガラガラである。母子ともに考えることは同じで誰がそういうでもなく、車は警察署の駐車場に収まった。この親してこの子ありといった具合のモラルの低さであるが、この二人は万事こんな感じである。


ちょうど昼休みの警察官が出てくる、「いつもご苦労様です」と一礼するヒゲの総帥と母親。向こうも「これはこれはご苦労様です」と一礼をして三者が向かう先は同じうどん屋である。向こうは車のことについて何やら聞きたそうな雰囲気を醸し出していたが、「この三豊市で残酷な事件が起きないのも、この警察署あってのことですな。地域の誇りです」とヒゲの総帥が口にすると、相手はそれ以上は何も口にしようとしなかった。


「やっぱりバカタレは出汁がええきんな」と母親はいう。このセリフをこれまで三百三十三万三千三百三十三遍ほど母から聞かされてきた息子であるが、毎回そう感じるのはバカタレの味の妙であろう。母親の話しでは渡邉で修行した人間が大阪で店を出しているという、もしも大阪でバカタレの味がそのままといわずとも多少なり味わえるのであれば、至極である。器からはみ出すほどの天ぷらが特徴の天ぷらうどん(大)を頼む。


ヒゲの総帥が小さい頃にバカタレに通っていたころは先々代が麺を打っていた。どんどんどんと低音で響く音と振動が心地よかった。いつしか先代になりそして今の代の大将となるのだが、三人とも顔がよく似ているのでずっと同じ人間が不老不死でうどんを打っているような不思議な気持ちになってくるのだ。人相が悪いので妖精とまではいかないが、そういった異世界の雰囲気を持っている。


異世界・・・。


胃袋を満たしたあとは、ゲームセンス・ゼロの女がデザインしてくれた名刺を持って小説家先生が住むという池のほとりの臥竜窟へ向かう。インターホンを押すと中核派のようなマスクをした先生が出てくる、高雅なるインスピレーションが鼻や口から出てしまわないようにマスクをしているのだろうかと深読みしたが、どうやらインフルエンザだということで感染されないうちヒゲの総帥は臥竜窟を早々に退散する。


ヒゲの総帥は新幹線を使わずに電車で大阪まで帰ることにした。節約というよりはそうしたかったのだ、新幹線の揺れと一般的な電車の揺れはまったく異なる。一般的な電車の揺れをある程度の長さ感じていたかったのだ、そうすることで何かあるというわけではないが、その日はそうしたかった。なにも急いで大阪へ帰らなくてはいけない用事も別段ない。


故郷での時間は1日足らずであったが緩やかに過ぎた、北濱にいると時間の流れは猛烈に早い。それが時代の流れと比例しているのかどうなのか解らないが、その土地が持つ独特な時間の流れというのはあるのだろう。緩やかな時間から、慌ただしい時間の場所へ辿り着くのに新幹線では早すぎるような気がしたのだ。高山病や潜水でいう気圧や酸素の加減のようなもので、時間と人の多さにゆっくり慣らしていきたかったのだ。


貨物列車も同じ線路を使っているので、人がいる駅のホームを色とりどりの貨物が勢いよく走り去っていく光景を見たのも久々だった。ところどころ貨物が抜けている車両があり、それを見るとどうしてもそこへ飛び移りたくなる衝動を抑えるのに神経を使う。


タタタタンタタン、タタタタンタタン、タタタタンタタン、タタタタンタタン。


足元から響いてくる線路と電車の振動と軋みは何十年も前から変わっていないように思え、気持ちよく体を委ねておけるのであった。夜を往く電車の中にはどこか逃亡者の匂いがするものだ。


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by amori-siberiana | 2018-01-18 17:32 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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