2018年02月11日(日) ◆雨男、アラタメ堂の挑戦状。

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は二日酔いでグラグラしながら北濱のオフィスにいる。少々ほど残留していたデスクワークを終わらせて店に向かう。今日はアラタメ堂が主催するボードゲーム大会が開催されるので、カウンターを組み立て直して舞台にする。その舞台の上にイシュトヴァンのカーペットを敷いてちゃぶ台を乗っけるというのがアラタメ堂のイベントでの演出だ。ヒゲの総帥が到着するとすでに舞台は版画家の万作によって組み立てられていた。


舞台に敷かれたカーペットの上で寝転がるヒゲの総帥、万作はジンジャーエールを買いに出たり風呂へ行ったりと階段を上がったり下ったりを繰り返す。外では冷たい雨が降っている、なにがなくとも屋根があるだけでありがたいものだなと思いながらヒゲは目を閉じる。


星師匠も手伝いに店へやってきて、万作も風呂から戻ってくる。開店までの静かな時間を三者三様に過ごしている。すると、ゴガッという音とともに締まりの悪いガラス戸が開く音がする。「はて、アラタメ堂は開店してしばらくしてから来ると連絡があったのだが・・・」とヒゲの総帥は扉の方を向く。するとそこに立っていたのは主催者のアラタメ堂のご主人ではなく、ユージであった。


「ユージさん、外の看板ですけれど準備中になってませんでしたかね?」とヒゲの総帥は当然のことを当然のままに訊く。


「ええ、準備中になってましたよ」と当然のままに訊かれたことを当然のままに答えるユージのマイペースにヒゲの総帥は呆れて笑いだす。誰もが知っている山を目の前にして、これは山ですよね、そうですこれは山ですよというような珍妙で無益なやりとりにおかしさを感じたからだ。


そのすぐあとにアラタメ堂のご主人が来店して、店内を思いのままにデコレーションしていく。といっても大層なことではなく、テーブルクロスを敷いたりゲームセンス・ゼロの女ことアシコが製作したチラシをべたりべたりと壁に貼っていくのだ。山の向こうからファラオも大きなプラスティック・ケースを抱えてやってくる、今日は車で来ているとのこと、エジプトの王が乗る車はどんなものなのか興味があったが深く詮索してもそこにはありきたりの現実しかなさそうなので、想像だけで留めておくことにした。想像力に勝るものはないのである、それがどんなに事実とかけ離れた想像だったとしても本人のなかでは、より真実に近いものであるのだから。


大学生の女が枕を手に提げてやってくる、社会主義者のスージーがパソコン関係でのぼったくりの商売をした後に店に立ち寄る、手には星師匠へのヴァレンタイン・プレゼントが用意されていた。それらを皮切りに続々と客はやってくることとなった、オルガン横の一番奥の席では「カタン」、ユージの淡々とした語り口調が聞こえてくる。舞台ではスコットランドヤード・ゲームがブルーグラスの男と生物学者の女、異世界の住人エスタ、大工の梅ちゃんとカナダ人、高野山の女、そしてヒゲの総帥たちによってプレイされている。その他のテーブルではその他の人たちがその他のゲームをしていたのであろう。ヒゲの総帥はスコットランドヤード・ゲームに熱中していたので、周辺まで気に掛けるほどの余裕がなかった。


スコットランドヤード・ゲームとは何か。


プレイヤーは犯人と警察に分かれてロンドンの街中を鬼ごっこをするゲームである。イギリスの警視庁のことを「スコットランドヤード」というのでこの名前が冠されている。ところがこのゲーム自体が生まれたのはドイツである、舞台をロンドンに選んだのはドイツ人ならではの慧眼であろう。このあたりのセンスの良さはドイツ人の文化の高さを象徴するものであろう。これをプレイヤー馴染みの街などにしてしまうと、一瞬にして品格は地に落ちてしまうものだ。


モノポリーでも大阪版などがあるのだが、そういうことは想像の範囲内だけにして「こういうのがあればどうなんだろう」と具現化させずに留めておくべきアイデアである。夜に書く恋文と同じで形質を持った瞬間にそれは陳腐極まりなくなるのだから。ものを学ぶということは表現を留める判断ができるようになるということでもある。


スコットランドヤードということで、このゲームを愛してやまない男、豚王タッキーも仕事終わりにやってくる。ヒゲの総帥のネクタイを見るや否や、「あれ?アモさん、そのネクタイ僕の真似をして買ったでしょう」と言ってくる。これはとんでもない誤解である、ヒゲの総帥は色んなことに興味があるが、豚がどんなネクタイをしているのかなど人生のうちで一度も気に掛けたこともない。


「違うよ、これは前の会社の人間たちから誕生日にもらったのだ」と事実をヒゲの総帥は述べる。


「いや、アモさんは前に僕のネクタイを見て、いいネクタイしてるなって言ってましたよ」と豚も譲らない。この男とは国内外を問わずにあちこち行ったが、常にこういったチグハグな話しを楽しんだものだった。


そんな自身の判断と記憶力には絶大な自信をもつタッキー。彼はマッカラン(ウイスキーの銘柄)のハイボールをオーダーしており、マッカランが小さじ一杯くらいで中身が切れたので安物のウイスキーのハイボールを作って出すと、「このマッカランは美味しい」とグビグビ喉をならしていた。


場内のあちらこちらで笑い声があがり、鬨の声があがり賑やかになる。アラタメ堂はあちらこちらのテーブルでゲームのレクチャーなどをするため忙しそうである。厨房周辺ではゲームに関係なくハイタッチ冷泉とドマツ先輩が星師匠やミドリさんと何やら話しをしている。


しばらくして一旦落ち着いた頃合いになると、人狼ゲームが開始される。これも一般人のふりをして紛れ込んでいる狼を探し出すというゲームである、情報操作とコミュニケーション能力が大いに発揮されるゲームであり、奥は深い。


アラタメ堂の挑戦状にお越しのみなさま、ありがとうございました。



d0372815_11300162.jpg

[PR]
by amori-siberiana | 2018-02-11 11:30 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31