2018年10月7日に再活動するシベリアン・ニュースペーパー(SIBERIAN NEWSPAPER)。これからヒゲの総帥が所属することになる団体である。
しかしながら、シベリアン・ニュースペーパーというバンドが盛んに活動していた頃のことを知る人はそんなに多くない。そうなると改めてシベリアンなんちゃらについて、皆でおさらいしておく必要がある。知識というものはそれが社会的に貢献するのであれば共有されるべきものであるし、結局のところ知らないことには人は興味を持たないものなのだ。
今回、シベリアンニュースペーパーについて答えてくれるのは、チェコのデザイナー、ジョセフ氏が描いてくれた「シベリやん」。このシベリやんが君たちの疑問質問なんかを良識あるコンプライアンス内で全て答えてくれる。※感じかたには個性があります。
それではいってみよう。
◆質問
シベリやん、つまり、シベリアンなんちゃらって何なの?
◇回答
いい質問だね。今の時代、ググればなんでも出てくるけれど時系列を追って頭で整理整頓するのも面倒だもんね。シベリアンニュースペーパーっていうのは
「SIBERIAN NEWSPAPER'(シベリアン・ニュースペーパー)は日本の7人組のインストバンドである。2005年に大阪府にて結成。」 引用:Wikipedia
2005年から2014年まで活動してたんだ。出したCDは5枚(+αもあり)だね。
◆質問
メンバーが7人組って書いてあるけれど、あれ?一人足りないんじゃないかな。
◇回答
自分探しの旅に出たまま帰って来なくなった人がいるんだよ!
◆質問
インストバンドって何なのかな?迷える人たちに救いの道を教えてくれるってこと?
◇回答
笑、確かにゲーム会なんかではそのゲームに詳しい人が詳しくない人に教えることをインストっていうよね。でも、それとは全然違うんだ。インストというのは歌がないバンドのことだよ。
インストゥルメンタル=楽器のみという解釈でいいんだよ。
◆質問
そっか!歌う人がいないバンドなんだ。でも、そんなバンドしてたらせっかく有名になってもカラオケで歌えないんじゃない?
◇回答
確かにそうだね。でも、カラオケ受けを考えて作られたバンドじゃないからそこは仕方がないんだ。歌がない分のメリットだって多いんだよ。
◆質問
歌がないことでの・・・メリット?
◇回答
そうそう、それはこのシベリアンというバンドが最初から海外志向の強いバンドだったということにも起因してるんだよ。英語の発音を練習するより、音だけで勝負したほうが手っ取り早かったからね。
◆質問
それでシベリアンは実際に海外へ行ったりしたの?
◇回答
もちろんだよ、結成した次の年には早速イギリスで公演してるんだよ。周囲にも優秀な人間が沢山いたからね。
◆質問
イギリスで公演といったって、ただ演奏して帰って来ただけなのに、成功したってことをそれらしく言ってるだけなんじゃないのかな。そういうミュージシャン、多いよ?
◇回答
多いね。一度、学者に統計を取ってもらいたいぐらいだね。ここが面白いところでシベリアン本人たちも自分たちに注目が集まるなんて思ってもなかったんだ。ところが、イギリスに到着して現地の新聞を見てみると、自分たちの写真が大きくクローズアップされてるんだよ。
◆質問
ええ?どうして?日本でなんの実績も積んでいない人たちが、どうして取り上げられたの?おかしいよ・・・、そこにお金を使ったの?それともイギリスの新聞社に知人がいたとか?
◇回答
ははは、ビジネス的にはそう思えるよね。でも、違うんだ。彼らはお金もなかったし知人も少なかった、少数精鋭といえば格好がいいけれど、関わる人たちはそんなに多くなかった。彼らが使った宣材用のアーティスト写真はアイコラなんだよ。軍人が7人並んでて、全員の顔を入れ換えてるだけのシュールなものだったんだ。インパクトは凄かったね。費用もかかっていないしね。
◆質問
それはアイコラ職人さんが作ってくれたの?
◇回答
残念、当時のマネージャーのタッキーだよ。
◆質問
それでイギリスでの公演はどうなったの?写真だけの出オチってことが一番格好悪いんだよ。大丈夫?
◇回答
もちろんアーテスト写真だけでシベリアンに注目した人は多くはなかったんだけれど、彼らには運もあった。彼らの後に演奏するバンドがまあまあ噂されてたバンドだったから、それを目的で会場には予想以上に沢山の人が来てたんだ。
◆質問
うんうん、それで!
◇回答
彼らは恵まれた機材もなかったけれど、頑張ったね。無我夢中で演奏したんだ、演奏が終わると場内がシーンとしてね、「ああ、やってしまった。じゃ、帰ろっか」と思った瞬間、いきなり雷のような拍手とスタンディング・オベーションでイギリス人たちに迎えられたのさ。
◆質問
うわっ!すごいねー!メディアの人とかも来てたのかな?
◇回答
それも運が良くてBBCの人や音楽評論家(ライター)の人たちも来てたり、その夜の噂を聞きつけてくれて、そこからBBCでシベリアンの曲が世界中に向けてオンエアされたんだ。
「彼らの音楽には世界中のすべてが詰まってる」って紹介してね。上手だよね、やっぱり海外の人たちの宣伝方法は。
◆質問
じゃあ、そっから一気に人気が爆発して有名になったんじゃないの?
◇回答
そこが難しいところでね、イギリスで受けてホームページへのアクセス数が劇的に増えたんだけれど、そんなの実際には予想外のことだからどう対応していいのかわからなくて、恥ずかしながら為す術がなかったんだね。自分たちの投じた奇跡的な一手への反響に対しての、それに見合う次の一手を持っていなかったってことかな。
◆質問
それは惜しいことをしたね!そうなると自然と噂と注目は沈静化していっちゃうよね。
◇回答
そのとおりだね、まだまだバンドとしても人間としても期待されることに足るだけの成熟も準備もなかったということだね。レコード会社にも属してなかったし、投資家もいなかったから資本力もなくて、大きなことをしたくても出来ない状況だったんだ。
◆質問
それで次の一手はどうしたの?
◇回答
彼ら、やっぱり海外に行きたいっていうことがあったから、フランスのカンヌで行われた国際見本市に行ったり、あとは国内で一番格好いいステージで演奏しようってことでフジ・ロックフェスティバルに出演したりしたんだよ。
◆質問
全然、調子よくやってるじゃない!
◇回答
確かにそういう一面だけを見ればそうかも知れないけれど、実際には彼らも音楽だけで生活していけるわけでもなく、日々の仕事をしながらということだから、精神的にも肉体的にも勢いだけでやって行くには無理が出てくるんだよ。
つづく
当時のライブ・レポ
http://smashingmag.com/tour/07tr/070202sbn_miyo.html