2018年10月15日(月) ◆シベチキという名の蜂起

明らかに『PARADE(パレード)』のテンポはこれまでに演奏したことがないほど、重く、遅く、地面を引き剝がしながら進むように感じた。それは戦車が何台も連なって行軍するようにも思えた。不気味なほど淡々としたドス黒いテンポ感で攻めてくる。


ヒゲの総帥は「これは未知の世界だな」とギターでリフを刻みながら考えるやその刹那。自分の視線の前にいるバイオリン王子を見る、「このテンポのままで行くのか、雄作」とアイコンタクトを送る。それを察知したかのようにバイオリン王子はこちらに表情を見せる。その表情を見たときヒゲの総帥は「!」となり、ゾッとした。


笑っているではないか、とても嬉しそうに、この不気味な表現の突き進む先がどうなるのか誰もわからない状態であるのに、バイオリニストは満面の笑みを浮かべて嬉々として弦に弓を当てている。「ここ(ステージ)に悪魔がいるぞ」とヒゲの総帥は思う。


「阿守さん、これでいいんです。このまま行きましょう」というバイオリニストの目がこちらに放たれる。というよりは射抜いてくる。「了解!それに乗ろう。それじゃあ、こちらはこれで突き進む」とヒゲの総帥はアイコンタクトでバイオリン王子に返す。バイオリン王子は頷いたあと視線を他方へ向かわせる。コントラバスの弓は大地の命のすべてを絡めとっていくような低音で唸る。小説家のドラムは砲撃のように空気を鳴動させ、カメラ屋の息子のギターは隠された罪を暴くように事象のそれぞれに因果を与えていく。


唐突にそれらは消える。ピアノのこれまでにないくらい男性的で重厚な和音が聴衆に叩きつけられる、そして消えていたものたちが知らぬ間に姿を現してくる。そして恐ろしいほどの転調を繰り返して、曲は壮大なフィナーレを迎え、繰り返される「D(レ)」の圧倒的な最強音で締めくくられる。


静寂としたあと、万雷のような拍手と歓声が聴衆(党員たち)よりやってくる。その様子を壇上から見ながらヒゲの男は「皆さん(党員たち)も誰一人の漏れなく、クレイジーばかりで・・・」と率直に感じる。


ヒゲの総帥は歓声を浴びながらヘルベルト・カラヤンが指揮したベルリン・フィルによる「アッピア街道の松」を思い起こす。


1984年10月18日、大阪のシンフォニーホールにて演奏されたレスピーギ作曲「交響詩:ローマの松」の中の一曲、「アッピア街道の松」はとんでもない演奏であった。いつかこのような表現をしてみたいと願っていたヒゲの総帥であったが、この神戸チキンジョージでのPARADE(パレード)の演奏は自身にとっての「アッピア街道の松」であった。


「これが革命のパレードだ」とヒゲの総帥は万感であったが、それにひたる余裕もなく、せっせとギターのチューニングを変更しなくてはいけなかった。革命のあとは、さらっと仲間たち全員を世界の果てへご招待しなくてはならなかったからだ。


さて、リハーサルのときヒゲの総帥はおもむろにピアノでヤン・ティルセンの「アメリのワルツ」を弾きだす。すぐに弾くのをやめたのだが、バイオリン王子は「阿守さん、続けておいてください」という。しばらくするとヒゲの総帥のピアノにバイオリンが乗ってくる。そしてピアノ工房の男も加えてこの曲についての議論が始まる。いきなりどこででも音楽の研究がはじまる環境なのである。


神戸チキンジョージで終わったはずのバンドが、とんでもない知恵と経験をつけて戻ってきた。そしてまたここからスタートするのだなとWHALERIDER(ホエールライダー)を弾きながら感じる。船を曳航するようなリズム、大きな船。とても6人で引いたところで間に合わないだろうから力を貸そうと、集まった大勢の同志たちが念を送ってくる。


このような会が持てたことを誇りに感じ、さらには全ての人に感謝しかない。


会が終わればこの場にいたそれぞれは隠れキリシタンのようにバラバラとなり潜伏するのだろう。また来るべき日を待ち望みながら、命と意志を繋いでいくのだ。


ヒゲの総帥もシベチキの次の日は役所を休むつもりであったが、比較的早くの段階でチキンジョージ毎度恒例の泥沼化しそうな打ち上げから退散していたので仕事に行くことができた。


デスクにはカードが一枚パソコンに添えられてある。


「お疲れ様でした」と書かれたそのカードをヒゲの総帥が裏返してみると、まぎれもなくチキンジョージのドリンクチケットであった。


どうやら、誰か同志が時を同じくして役所に潜伏しているようだ。


また会おう。誇らしきシベ仲間たち多数よ。皆でグラミーを手に入れるのだ。児島勝専務、お誕生日おめでとう。


そして、ただいま。


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Commented by serrow at 2018-10-16 16:57 x
ありがとうございます!
感謝しかありません。
Commented by miho at 2018-10-19 12:18 x
Load to Grammy!
Commented by amori-siberiana at 2018-10-30 19:40
ありがとうございます!皆でグラミーに突き進みましょう。
by amori-siberiana | 2018-10-16 00:58 | 雑記 | Comments(3)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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