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こんにちは、北浜にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を共同統治する、ヒゲの男こと阿守のブログです。


ヒゲの男は季節の変わり目が苦手である。どう苦手なのかといえば、頭皮がボロボロとはがれて体の節々が痛む、そして鼻水が止まらなくなる。さらには芥川龍之介が書いた「ただ、ぼんやりした不安」のようなものが心に入り込んでくるのである。もちろん、このようなことはヒゲの男だけに限ったことはないのであろうが、兎にも角にも季節が変わるということは、ヒゲの男にとって随分と心身の変化をもたらすのである。


さて、昨日のこと。


ヒゲの男は昼に店へ行く、店に行くと版画家の柿坂万作が缶ビールを片手に、コンビニの弁当を食べながら、眼前にある自分の描いている壁画を凝視している。いつ頃、完成するのかは本人にもわからない。さらには現時点でどれくらい完成しているのかすら、本人にもわからないそうである。もっといえば、当人がすでに飽きているのだという。


義務や責務に突き動かされて美術なるものを仕上げるとき、それが金銭的な価値に早い段階で帰結する場合は、創作意欲がわいてくる場合もあるが、そうでない場合は創作者の克己心に拠るところが多いため、一度執着が離れてしまうとなかなか完成を見ないものである。版画家の万作だけではなく、ヒゲの男も一曲だけ放置したままの曲があり、これをいつ完成させるのかというのは定まっていない。一人で弾き過ぎて、若干飽きている感じはするのだ。


ヒゲの男は店をでて、そのまま北浜のオフィスへ行く。行くと、宗教画のモデルの女がおり、二人で話し込む。


「どうにもやる気が出ない」と、ヒゲの男は怠惰なことを遠慮なくいいだす。


「一週間くらいのんびりして来たら?海外とか温泉とか」と、宗教画の女はヒゲの男の話しを聞きながら提案してくれる。


「そうだねぇ…」と、ヒゲの男はのるのかそるのか判然としない回答をしながら、ぼんやりと温泉に入っている自分を想像しながら、おかしなことを言いだす。


「たまに、ハッと気がついたようになって、自分は今、どこにいるんだろうと思うことがある」と、ヒゲの男は自分自身の行動がまるで他人事であるかのような錯覚を起こすことがあるといいだす。宗教画の女は自分の身近の人間もそういうことを言ってるということを教える。


「うちも若い頃はそういうんあったかなぁ、なかったかなぁ」と、宗教画のモデルの女は彼女らしい返答をするに留まる。


ヒゲの男はグチグチと余計なしゃべりに付き合ってくれたことを宗教画のモデルの女に感謝して、なにもする気が起きない以上は帰って寝るがよかろうと考え、そのまま帰路につくことにした。


常連の不思議な女と常連のガルパンの男の会話の端々にでてくる、「やる気スイッチ」なるものは一体、どこにあるものなのだろうか。


こういうヒゲの男のような人間のことを、気分屋というのであろう。気分屋の気分は天気と同じ、放っておけば親身に相談に乗ったのがバカらしいと思えるほどケロリと回復していることが多々あるのである。


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by amori-siberiana | 2017-10-25 12:40 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。