こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)の経営を任されているヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


いよいよ年末である。雪も降らなく景色も変わらない大阪でも年の暮れと年明けには、おそらく里帰りや洋行をしているのであろう人々が都会を旅立ち街中ががらんとしているので「いよいよ新しい年が始まるのだな」と冷たい空気が運んでくる雰囲気から感じることができる。


北濱にあるクントコロマンサでは、冬の大祭「万作祭」が12月2日より31日まで開催される。この開催中に猫のひたいのような小さな店にいる版画家の柿坂万作と、ヒゲの総帥ができることといえば、とにかくインフルエンザなどで体調を崩さぬことであろう。誰かがインフルエンザのウイルスに色付けして可視化できるように何らかの発明をしてくれないものであろうか、いや、そんなことをしてもマイクロサイズのウイルスの侵入は防げまい。マックス・ウェーバーやエゴン・シーレ、そして辰野金吾の命などを奪っていったインフルエンザなどという輩を完膚なきまでに叩きのめす英傑が出てくることを人類は待っているのだ。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱のオフィスでコーヒーを飲んでいる。すると見慣れぬ番号から電話がかかってくる、出てみると佐川急便なる配送会社からであり、米と酒を持ってきたのだが店の所在がわからないという旨であった。先日、店に来た新潟の米マイスターの男からだなとすぐに解り、ヒゲの総帥は配送員に店への行きかたを伝える。ヒゲの総帥は遠く雪国から人情が届いたのだ、まだまだ世の中捨てたものじゃないなと温かい気持ちになる。


すぐにヒゲの総帥は店に行く。到着するとちょうどランチを終えたであろう不動産デザイナーの男が階段を下りてくる、見送りのために万作も一緒に下りてくる。いつもの「カッカッカ」という冷笑気味に乾いた笑いを口から出しては職場へ戻っていく。それにしても乾いた笑いである、心がガサガサなのではないのかと心配するくらいであり、この男がこのような笑い方になったのをある人は大失恋の結果だという。またある人は生来のニヒリズム気質から来ているのだろうという。とにかく、ここまで乾いていたのではインフルエンザにもかかりやすかろうとヒゲの総帥はどうでもいい心配をする。湿度が50%以下になると、インフルエンザは本領を発揮するというではないか。


ヒゲの総帥は店に入り、届けられた段ボールを丁寧に開ける。中から小千谷市の若栃集落の米と大吟醸と本醸造の日本酒、そしてどぶろくが出てきた。そしてこの逸品を贈ってくれた御仁からの手紙も添えられており、ヒゲの総帥はそれを読む。


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前略


先日は大変楽しくワイワイの一時を過ごさせていただき感慨深い大阪の夜となりました。その席でお米と地元のおいしいお酒が飲みたいという冷泉さん(外見がコワい)にお話しをした、小千谷では最高のお酒と晩酌用のお酒、地元の民宿で製造しているどぶろくを送ります。お米は山間地で丹念に作られたわかとち産コシヒカリを送ります。

おかずがいらなくなるようなおいしさです。塩おむすびが最高です。

どうぞご賞味ください。

草々


米マイスターの男

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文字だけを読んでもあの晩の米マイスターの声が思い浮かぶようである。愛嬌のあるマイスターの男は冷泉と一緒に「酒と泪と男と女」を歌っていた。マイスターの男が属する会社の代表の男からも手紙が添えられている。


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米マイスターの男から楽しいお話しをいっぱいお聞きして飲みに行けなくて残念に思っています。

当地は少子高齢化が進んでいて過疎化の集落になります。くわえて平成16年の中越大地震で甚大な被害を受けましたが何とか村を元気にしようといろいろ取り組みをしている集落です。(中略)今回の機会に是非、若栃(わかとち)に足を運んでいただき、村を元気にしていただける一助になっていただければ幸いです。


代表者

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ヒゲの総帥は手紙をそれぞれ三度ずつ読み返して、ハイタッチの冷泉に「お米とお酒が届いているので今夜は店に来られたし」と連絡をする。酒を飲むときはもちろんのこと冷泉がいなくては話しにならない、ここには送り主のなんとか協力して欲しいの気持ちが込められているのであるから。


夕刻、北濱のオフィスで合流したヒゲの総帥と冷泉は一緒に店へ向かう。万作が一升瓶を開栓してまずは本醸造の方からいただくことにした。万作ほど一升瓶が似合う人間も見かけないなとヒゲの総帥は思う、とくとくとくと心地よい音をたててぐい呑みに注がれる酒。三人で乾杯をして飲む。


「あぁ~、やっぱりあっち(雪国)の酒ですね。するするいきますわ!あかん、こら、あかんやつや!止まらん」とニコニコしながら目をくわっと見開く万作。西部開拓時代のならず者がインディアンと組んで列車を襲撃したとき、その車内に上玉の女性がいるのを見つけたような顔をする。「まったく、これは気違いになりますね」とはヒゲの総帥が口にする。


そこから常連のガルパンの男と不思議な女、そしてアイリッシュの男とギタレレの女、少し遅れてゲームセンスゼロの女と会計事務所のオーナーがやってきて、それぞれ本醸造を飲む。気がつけば一升瓶はカラになっており、次を開けるかどうか相談するがもったいないので後日へ繰り越すことにした。米のほうは明日の冷泉のちゃんこ鍋の日に来店者へ振舞うつもりである。


「阿守さん、どんな、お礼を、すればいいですかね?」と冷泉はヒゲの総帥に意見を求める。「そうですね、食べ物の美味しさに勝るものはありませんから、みんなでそれを買えばお礼になると思います」とヒゲの総帥は珍しく良識的なことをいう。「あ、それいいですね、そうしましょ、みんなにちゃんこ食べてもろて、それで、ついでに美味い米も買うとけいうて…」と冷泉が話すのを聞いて、ヒゲの総帥はその場面を想像して大笑いしだす。冷泉は話しを続ける「それで米を買わんいうた奴には、お前、ちゃんこ食べといてそれはないわ。みたいな雰囲気だして、グフフフ」と不気味な笑いを浮かべる冷泉。「断れない状況に持っていくのですね」とヒゲの総帥はさらに笑う。


「それか…、めちゃくちゃに酔わせて、わけわからんようにさせといて…」と冷泉がここまで話すとヒゲの総帥も後のことばが予想できるので言葉をつぎ足す。「わけがわからないようにさせておいて、ペンを握らせて米の契約書にサインをさせる。ということですね」。冷泉はハッとした目でヒゲの総帥を見て、「そうです」といい爆笑しだす。ヒゲの総帥も「真田丸」のワンシーンにあった衰えた秀吉が家康と三成に代わる代わる強制的に遺言をしたためさせられるカットを思い出して笑いが止まらない。


酒を飲みながら、アイリッシュの男が来ているのでヒゲの総帥は一緒にギターを弾くことにした。ギターで適当にアイリッシュっぽいものを弾くのだがこれがなかなか愉快であり、同席者には好評であった。


ヒゲの総帥は小千谷へ向けて返事を書いた。


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本日、佐川急便よりお電話をいただきまして、お米とお酒が届いたとの旨でしたので、すぐに「米マイスターさんたちだ」と思いました。

段ボールを開封するときの高揚感といったら、なかなか最近では経験することがないほどの期待感でした。

あの日の夜は私たちにとっても素敵な一夜であり、楽しく談笑したり、中越地方のお話しをしてくださったり、郷土文化についてもお話ししてくださったりで、普段あまり行くことのない小千谷について後日いろいろと思いを馳せるキッカケとなりました。

お米とお酒、確かに頂戴いたしました。

(中略)

釈迦に説法かと思われますが、これから寒くもなります。小千谷のほうではすでに降雪しているとか、寒さに慣れておられるとはいえどうぞお体には気をつけて、ご自愛くださいませ。

代表者さまとはお会いすること適いませんでしたが、是非、次回にはこちらから小千谷へお邪魔させていただきますので、そのときに直接のご返礼をさせていただければ幸甚です。


ありがとうございました。ご息女とインターンの大学生さんにも宜しくお伝えください。

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店ではハイタッチ冷泉と会計事務所のオーナー、そしてゲームセンスゼロの女が殴り合いをしており、乾いた音を店内に響かせていた。



わかとちのお米


https://wakatochi.thebase.in/


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by amori-siberiana | 2017-12-01 12:44 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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