こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は朝からドマツ会計事務所に向かう。この日はスタートアップ・ウィークエンドの最終日であり、泣いても笑っても自分たちの起業アイデアに審判が下されるのである。といっても無所属のヒゲの総帥は何をするでもなく、いろんなチームの話しをふんふんと訊いている。他の参加者するとヒゲの総帥は一体何をしに来ているのだか解らないであろうが、それでいいのである。昨日とはチーム構成が変わっていたり、アイデアが変更されていたりと賑やかにやっている光景はレコーディング風景に似ているものがある。


昼前にヒゲの総帥は一旦、ドマツ会計事務所を出て八尾へ向かう。ヒゲの総帥が八尾で何をするのかといえば、星師匠の叔母から針を受けるのである。星師匠の叔母に体中を針で埋め尽くしてもらうために向かっているのだ。星師匠の叔母は生まれつき眼球が伴っておらず、生まれてこのかた全盲である。全盲であるのだが、服の色にはこだわりを持っており「緑色の服を買ったのだ」とかいう。本人がいうには目が見えないフリをしているとのこと。笛を吹けばホラも吹く、話しが尽きることのない女性なのだ。


元来、針などするものかと決めてかかっていたヒゲの総帥であるが、そうもいってられないほどに体がバキバキなので華道の剣山に乗った大根を決め込んでいる。針が終わり、そのまま店へ行く。店の前でウロウロしている男がいる、エストニアからヒゲの総帥を訪ねてやってきたマークである。


このエストニアの男とヒゲの総帥は10年来の知人であり、シベリアンなんちゃらという音楽団体をしていた頃、スタッフとしてイギリス公演やフジロックなど一緒に行った仲である。今はエストニアにおける日本料理のシェア一位を確立した実業家となってヒゲの総帥に会いに来たのである。ヒゲの総帥と会うのは7年ぶりなのだそうだ、エストニアに来い来いと幾ら誘ってもヒゲの総帥が頑として尻を日本から動かそうとしないので、ならばこちらからとやって来たとのこと。


「そもそも…」とヒゲの総帥はクントコロマンサ店内でウォトカをあおりながら口にする。「どうしてエストニアなんかに行くことになったんだい?」と言葉を続ける、マークは返答する「いや!なにいってるんですか!阿守さんがバルト三国は面白いぞって僕と一緒にいるときにそこの話しばかりするから僕が興味持ったんじゃないですか」と驚きの体である。無論、ヒゲの総帥は自身のそんな言葉における記憶も責任感もない。「エストニアに行きました、そして今は経営者です。この間に何があったのか大いに興味があるので語ってくれ」とヒゲの総帥は話しを強引に推し進めて自身への責任回避を敢行する。


「実は今はカザフスタンとかトルクメニスタンに興味があるんだ」とヒゲの総帥は口にするが危険を察知したのかマークは「いや、僕、そっちは全然興味ないですからね!先に言っておきますよ」と自他に対して釘を刺す。ヒゲの総帥はゲラゲラ笑う。


ヒゲの総帥はマークを近場のホテルへ半強制的にチェックインさせ、ウォトカが体内に残るその足でドマツ会計事務所へ再訪問する。すると陸サーファーの上仲もやってくる。「アモさんのブログを見て、これはと思って最終日だけ参加することにしたんです」という、ヒゲの総帥は「ウソつけ」と心の中で笑いながら隣に着席する。


会計事務所のセミナールームでは忙しそうにイベント発表の舞台設営が行われている、ドマツ先輩もえんやこらと設営に精を出す。


さて、このドマツという男、どうにもおかしな男である。そのドマツを頭領として成立している大きな会計事務所もどうにもおかしな連中の集まりである。そのおかしさというのはそんじょそこいらのおかしさではなく随分とおかしいのであり、そのおかしさはユーモアに満ちている。


まず、頭領のドマツ先輩。一般的な会計事務所のオーナーであればスーツ姿というのが相場であろうが、まったく違う。ホンジュランミルクスネークを彷彿とさせるボーダー柄のシャツに下はビリビリに破れ切ったジーンズである、一見すると経営者どころか社会人にすら見えない。本人はこの格好でメインバンクの本店などに行ってビジネスをするのだそうだが、受付の人はおろか担当者すら目を合わせてくれないという。ジーンズというのはそもそも蛇除けのために開発された生地であるが、ドマツという男を見ていると人間と蛇の戦いの歴史を一身に背負っているような、一種の心地よい軍記の絵巻物を眺めているような気になる。ドマツという男がギリシア神話のテミスであり、その片手に持つ天秤が人間側か蛇側のどちらに軍配が上がるのかのリトマス紙的な役割を果たしているのではないかと思えるほどだ。


さて、ナンバー2の専務も頭領に負けず劣らず随分とおかしい。サギノという男であり身の丈は185センチほどあろうかという大男である。ヒゲの総帥がスタートアップ・ウィークエンドの最終日、各チームのプレゼンテーションを聞こうと待っている。ヒゲの総帥以外にも参加者たちは会場の椅子に着席して壇上の準備が終わるのを待っていた、するとスタッフの一人が舞台の上手側(客席からみて右手)の照明をあやまって割ってしまう。サギノという男はマイクを手にとり落ち着いて会場を見渡しこういう「今、ここの照明が割れたとき、会場のどこかから『俺たちのアイデアのようだ』との声が聞こえましたが、なんならこっち側(下手側)も割ってみますか」と照明を割りに行こうとする。この狂気こそがドマツ会計事務所の魅力であり、ヒゲの総帥は笑いで腹が痛くて仕方がない。


プレゼンテーションは進む、審査員にはグルグルの本社で副社長をしていた好々爺などそうそうたるメンツが揃う。各チームごとに起業のアイデアを発表しては、審査員からの質疑応答に応えるという形式的には一般的なやり方で進む。


ヒゲの総帥はグルグルの好々爺の発言に鳥肌がたつ。構えた場所での演説ではなく臨機応変さが求められる質疑応答の場で、一人の人間からこれほどまでの見識を感じることはなかなかない。


「それがキャピタリズム(資本主義)だ、世の中はそんなにシンプルではない」


この名言そのものと発せられたシチュエーションをヒゲの総帥は当分は忘れることができないだろう。そしてそうした場を提供することのできる狂気のドマツ会計事務所に敬礼である。


ヒゲの総帥は全チームのプレゼンが終了したあと、すぐにセミナールームを出てホテルに放り込んでいたマークを迎えに行く。外はいつの間にか雨が降っていたが、星師匠がマークの分の傘も持ってドマツ会計事務所まで迎えにきてくれていた。ホテルのロビーではすでにマークが待っており、三人で店に向かう。店に行くと常連のガルパンの男とギャラリーの女が来ているのでマークを紹介する。


バニラ風味のウォトカを二人であおりながらこれまでの話しやビジネスの話しをしている、それを見てギャラリーの女もウォトカを舐めてみるのだといって舐める。ヤマトコと大酒飲みの女、冷泉と上仲、そしてヘルベンツもやってくる。入れ替わりはありながらもマークを囲んで飲みが開始される。エストニア産のウォトカの瓶はヒゲの総帥と送り主であるマークの二人でほぼ飲み切る。



―――。



イギリスでのある日。


ヒゲの総帥は何もすることがない。だが、先日のカジノでの大勝ちがあり金はある。タッキーに「旅に出よう」と声をかける、タッキーは参加する。二人で行こうとすると、宿の食堂で暇そうにしている男がいる、当時20才くらいのマークである。「旅に出るが一緒に来るか」とヒゲの総帥はマークを誘う。「どこ行くんですか?」とマークは返答する「知らん、考えてない。とにかく行けるとこまでだ」とヒゲの総帥はノープランを誇らしげに回答する。


マークは「行きます」とすぐ支度をする、そして三人は駅へ向かった。


あれから10年。多分、いい人生だ。ここまで。どうでもいいことだが。

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by amori-siberiana | 2017-12-25 16:55 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は二日酔いである。ところがこれまでの二日酔いとは違い、ウイスキーの二日酔いはビールなどのそれとは違ったもので随分と楽である。朝から動けることを確認したヒゲの総帥はそのまま支度をしてドマツ会計事務所のセミナールームへ向かう。今日はスタートアップ・ウィークエンドの二日目が開催されるのだ。今の自分より10才から20才ほど若い人間が何を考えており、どんなコミュニケーションを取り、どんな野望を持ち、どのような切り口で達成させようとしているのか知ることはヒゲの総帥にとっての至上命題であるのだ。


参加している面々は日本人もいれば外国人もいる、大学生もいれば社会人もいるという具合でそれぞれがチームに分かれて起業のアイデアと実現性を審査員に提出するというものである。ヒゲの総帥が二日間目の朝に到着したときには、すでに各チームがそれぞれの事業について目標を定めており、それを詰めていくという日である。イベントがあることを見越してアイデアを持ち込んできた人間もいれば、その場でアイデアを考える人間もいる。なんだか音楽のジャムセッションと似ているようだなとヒゲの総帥は自らの経験によってのみ例える。


ヒゲの総帥は耳をダンボのようにして、周囲の話しをいろいろ聞いている。そんなときヒゲの総帥に声を掛けてくるものがある、そのチームの起業アイデアはちょっぴり変わったレストランであるのだが、そのなかのメンバーがヒゲの総帥がカフェの経営をしているということで意見を訊きたいと声を掛けてくれたのだ。ヒゲの総帥は飲食の経営をしてまだ半年にも満たないのであるが、恐縮しながら彼ら彼女らのデスクへ案内されるのであった。するとガラス越しに全身が黒ずくめの男が見える、もちろん言わずもがなハイタッチ冷泉の登場である。冷泉は鬼コーチとして今回のイベントに参加している。


どんなレストランが面白いのだろうという助言を参加者から求められた冷泉は「SMの女王がずっとソファにおって…、そこらへんにおるおっさんらをシバキまくる…ぐふふ」といって一人で不敵に笑う。助言を求めた参加者はいう「失礼を承知でこんなこと言うんですけれど…、本当にカタギのかたですか?」、それを受けて冷泉はハッとした顔をして「めちゃくちゃ…、カタギ、です」と弁明をする。


しばらくしてヒゲの総帥はドマツ先輩に挨拶をして会計事務所を出て店に戻る。この夜はアラタメ堂のボードゲーム・イベントがあるので、その準備をしなくてはいけない。


店に戻るとアラタメ堂のご主人がやってくる、アラタメ堂は紙袋のなかに詰まったボードゲーム各種を店内のそれぞれのテーブルへ陳列する。陳列にはそれなりの法則性があるようなのだが、ヒゲの総帥にはまったくわからなかった。やたら目がキラキラした女と静かな男がやってくる、この二人もボードゲームが好きであり、そのきっかけは近所にあるボードゲーム・カフェなるものに足を運んでからというものだそうだ。いろんなカフェがあるものだ、案外SMの女王が常駐するレストランもアリかも知れんなとヒゲの総帥は考えたが、SMクラブとそのレストランの差別化がどうなるのかまでは謎であった。そしてその謎を冷泉に問う気もさらさらなかった。


ぞくぞくと来客がある、オルガン横の奥のテーブルでは山の向こうから来た男とブルーグラスの男とアラタメ堂たちが数字の書かれたカードに興じる。窓側のテーブルではヒゲの総帥と中年の星YUJIがガイスターというチェスのようなゲームに興じて、舞台正面のテーブルではアハハの女やゲームセンス・ゼロの女とその手下などが声を荒げて魚市場の競りのようなゲームをしている。入口付近の一番寒いカウンターのところでは常連のガルパンの男と斥候の男がビールを飲みながら星師匠と話しをしている。万作は厨房であれやこれやと創作料理に明け暮れる。


海賊の末裔もくればバイオリンを持つ女も雪崩れ込んでくる、しまいに冷泉までやって来る。来店の決着がそろそろついただろうという頃合いで人狼がスタートする。預言者である中年の星YUJIが初日の昼から飛ばし気味に発言をして、早速吊られる。屁のつっぱりにもならない預言者の死亡で人狼側が有利かと思われたが、人狼陣営を助けなくてはいけない裏切り者役のアラタメ堂が当てずっぽうにも各プレイヤーの白黒を正確につけてしまうことになったので人狼側は無残にも裏切り者の裏切りにより負けてしまうこととなる。


この日、アラタメ堂はトーナメント表を作ってきており、不朽の名作「バトルライン」なるゲームでトーナメント戦をするのだと意気込んでいた。


ところが本来なら10分程度で終わるこのゲームを40分にもわたる戦いをする女たちが現れたのでトーナメントは途中でポシャる。ヒゲの総帥はそれが愉快で愉快でたまらない。ゲームセンス・ゼロの女とバイオリンを抱えた女の100年戦争はギャラリーを含めての泥仕合を呈しており、どこかしら第三国の軍事介入でもない限りは終わりそうにないのであった。


夜も更けてゲームの盛況さが夢うつつに消え去ろうとした頃、ヒゲの総帥はゲームセンス・ゼロの女と平尾先生の名刺について打ち合わせをする。先日、ゲームセンス・ゼロの女が作成した陸サーファーの上仲の名刺。その出来ばえが良いものだったので、ヒゲの総帥はこの女に平尾先生が世の中へ出陣できるような名刺をデザインして欲しいのだという。ゼロの女は快諾してくれて商談はまとまる。


アラタメ堂は長年の友人であるドローンの男と二人で何やら高速道路を建設してどうのこうのするゲームをやっていた。


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by amori-siberiana | 2017-12-25 12:25 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。