こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


昨日は二日酔いと寝不足と戦っていた。その戦いの勝敗は後世の歴史家のみが結末を知ることになろう。


さて、一昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱にあるオフィスでコーヒーを飲んでいる。右隣にはアラタメ堂のご主人がおり、オフィスの中ではこの二人が延々とぐだぐだ喋っている。ヒゲの総帥の左隣には最近同僚となった教育ビジネスの女がいるのだが、二人の会話を聞きたくもないのに入ってきて思わず吹き出して笑っている。


アラタメ:「阿守さんはイエスみたいですね」
阿守:「そうですか?イエスは旧約聖書では最後どうなるんでしたっけ」
アラタメ:「いや、僕が言ってるのはイエス・キリストじゃなくて、千石イエスのことですよ」
阿守:「それ、昭和のカルト集団の教祖じゃないですか」
アラタメ:「僕が阿守さんをイエス・キリストにたとえるわけがないじゃないですか」


このようなどうでもいい話しを何時間も聞かされる隣の女はたまったものではないだろうが、この二人は構わずに着地点のない話しを続ける。


ヒゲの総帥はオフィスを出て堺筋を横断しスコッチウイスキーを専門的に扱うバー「マギー」に向かう。ヒゲの総帥がクントコロマンサをどうしようかと悩んでいるときに、ここへ立ち寄ってマギーの女主人から発破をかけてもらったものだ。えらく昔のことのように感じるがほんのつい半年前のことである。マギーの女主人へ無事に年を終えられそうだということを年末の挨拶がてら伝えて、スコッチを一杯だけあおりマギーを出る。スコットランドのグレンリヴェット蒸留所にて12年間ほど眠っていた酒は今日一日が壮絶なることを予感させる薫りであった。


マギーを出て店へ行き経理を済ませるとすぐにシュリケンの男がやってくる。このシュリケンの男というのはヒゲの総帥の中学時代の朋友であり、天国よりもクソ退屈な学校生活を互いに切磋琢磨しながらユーモアを磨いていくことで乗り越えた仲なのだ。「この前、らっきょがこの店に来たよ」と口を開いたのはヒゲの総帥だった。らっきょというのも同窓の男である。ヒゲの総帥の話しは続く「らっきょの家の人間からうちの母親に向けて電話がかかってきて、うちの子供に関わらないで欲しいといわれたのを思い出したから、その件で随分とらっきょをイジってやったのだ」としょうもない昔のことをさも一大事のようにいう。シュリケンの男はそれを受けて「それをブログで読んで思い出した、実は俺のところにもらっきょの家の人間から電話がかかってきてたぜ。卓球部のみんなで観音寺のニチイに行へ遊びに行くという計画をしていたところ、らっきょの親から電話がかかってきた」という。ヒゲの総帥はふんふんと頷きながらニタニタして「それでなんと言われたね」と問う。シュリケンの男もニタニタしながら「受験の時期なのにそんなことさせて大丈夫なんですか!?」と随分剣突を食らわされたと話しをする。


二人はらっきょを是非とも呼ぼうということになったが、京都に住むらっきょからは丁重にお断りの連絡があった。なるほどさすがは賢明であるなと二人はまた笑う。もしも、らっきょがクントコロマンサに来ていれば、ヒゲの総帥とシュリケンの男の実家には色白のらっきょの母親からの鬼電が入っていたかも知れない。何もかもが懐かしい話しであり、愉快な思い出である。


「それにしても、お前は郷土愛がないな」と笑いながらシュリケンの男がいう。「果たしてそんなものが必要かね、生きていくのに邪魔なだけだ。とにかく自分には郷土愛なる服は似合いそうにない」とヒゲの総帥は澄まして酷いことをいう。ヒゲの総帥はウイスキーをストレートで飲み、シュリケン君はハイボールをひっきりなしに飲み、さらにはトリプルコロマンサを三度も注文することになる。常連の不思議な女と直属の部下の男、ガルパンの男、さらには斥候の男とゲームセンス・ゼロの女がやってくる。温泉マニアの男もやってきたが、そのまま通り過ぎるように帰った。


版画家の柿坂万作が用意した七輪を囲んで、ゲームセンス・ゼロの女が描いた一コマ漫画のセリフを不思議な女とヒゲの総帥がかわるがわる読んでみるが、作者であるゲームセンス・ゼロの女は勘弁してくれと顔を紅潮させる。シュリケンの男もヒゲの総帥が紅潮するような学生時代の旧悪をどんどん暴露していく。しまいには「お前、シベリアンなんちゃらをもう一度しろ」と脅迫してくる。それに対して煮えたか沸いたかわからないような生返事をするヒゲの総帥。シュリケンの男が黒いポシェットから何かを取りだす、取り出だされたのは今から25年前にヒゲの総帥が中学校で売りさばいていた当時のデモテープであった。


歌っているのはらっきょ、ギターをかき鳴らしているのはヒゲの総帥という具合でその内容は音楽なんてものではなく音楽以前である。いや、その言葉すらおこがましいほどの体たらくが詰まったものであり、ヒゲの総帥は「お前、どうしてそんなものをまだ持っているのか」と驚愕する。シュリケンの男はレイプ魔のような顔をして参ったかという態度に出る。らっきょが名付けたデモテープの作品の名前は「STAIN」。見事なものだ、四半世紀をまたいでも文字どおり「汚点」そのものである。そしてこのシュリケンの男の一連の行動は明らかにテロ行為である。


ヒゲの総帥とシュリケン君は酩酊状態で店を出て、すぐ裏にある年末にできたばかりのもんじゃ焼き屋へ入る。シュリケンはバカのひとつ覚えのようにハイボールを飲み、ヒゲの総帥は日本酒を冷やで飲みながらもんじゃをつつく。「全身黒ずくめの男、冷泉さんという人に会ってみたいぞ」とシュリケンがいうのでヒゲの総帥は冷泉に連絡をする。幸か不幸か冷泉とスケジュールの折り合いがつき、シュリケンを連れて冷泉が待ち構える店へ行く。


店に到着すると質の悪そうな木製の大きなテーブルにハイタッチ冷泉がおり、その正面には人妻を操る会社の社長ことミスター・ジャイアンツ、さらに社員の青鬼シュウと赤鬼ショウ、そしてドレス貸しのアドビが陣取っている。ヒゲの総帥はシュリケンを皆に紹介する、シュリケンは自分がここに来たのは与沢翼のようになったヒゲの総帥の心を取り戻すためだといい、場の笑いを誘う。ヒゲの総帥は訳のわからぬことを言うなとシュリケンの紹介を代わってする。さらにテーブル各人が自己紹介を終えて、そこから冷泉が殴り合いと同じくらいハマっている「笑ってはいけないゲーム」をすることとなった。


「今日は、みんなにひとつだけ、覚えて帰って、欲しい、ことがあるんです」と冷泉は神妙な顔をしていう。ヒゲの総帥がそれは何かと問うとゲームに負けた人間が酒を飲むときの掛け声を合わせたいのだとのこと。冷泉はその掛け声らしきものをまずは一人で振付つきで歌いだす。


アモさん、飲んでぇ、お願い、心込めてぇ、ド・ド・ド・ドキンちゃん、ド・ド・ド・ドキンちゃん、ド・ド・ド・ドキンちゃん、ド・ド・ド・ドキンちゃん


楽しそうに一人で歌う冷泉を横目にミスター・ジャイアンツは「どうしてドキンちゃんなのか合点がいかない」と冷静な意見を口にするが、常軌を逸している冷泉の耳には届かなかったであろう。


シュリケンも巻き込まれての壮絶なドキンちゃんがスタートする、目の前には猪口に注がれた麦焼酎だけが天井に睨みを利かせて憮然としているのだ。


ゲームのあと一向は解散せずにそのまま明け方まで、江戸堀のヘミングウェイがやっているバーで飲みだす。店内中央にある柱を中心にヒゲの総帥と冷泉とミスタージャイアンツは店の東側で何やら相談事を開始する。西側ではアドビとシュリケンと赤鬼と青鬼が何やら話しをしているのだが、それはほとんど聞き取ることができない。


夜更けを経験しないまま朝が来る。田舎だとニワトリの鳴き声がどこからともなく聞こえたり、えらく遠くで走る始発電車だか回送電車だかが線路を揺らす音が聴こえるのであるが、ここでは特にそういったことはない。


ヒゲの総帥は以前、アニメ版のアンパンマンの脚本家と話しをしたことがある。ヒゲの総帥自身がジョークの一環としてドキンちゃんというキャラクターの性格はこういった心理描写が根底にあるのではないかと極端な論を述べたところ、その脚本家は真剣に考えだして「そうかも知れない…」といった。後輩の中途半端な質問にも真摯に向き合ってくれる、よい先輩であった。インターネット上だけのお付き合いではあったが。


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by amori-siberiana | 2017-12-30 11:09 | 雑記 | Comments(0)


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