カテゴリ:雑記( 271 )

ギャラリー遊気Qのオーナーとヒゲの総帥が細々とやっていた「アモリのつもり」なる演奏会を今度、新設されたギャラリー「偏西風」でやってくれと依頼がきた。


さすがは偏西風と名付けるだけあって、風変りなギャラリー代表であるが、これまでにも何度かアモリのつもりに足を運んでくれているので、どのようなことが行われるのかは重々承知のうえでの選択なのは安心だ。


演奏内容といっても、本当にギターしか弾かないのだから。


ギャラリー偏西風の主宰は人形作家の女である。人形という言葉からヒゲの総帥がイメージするのは和歌山の加太にある淡嶋神社である。この神社には相当数の人形がいる、その様はなかなかに畏怖たりえる。あとはイプセンの書いた「人形の家」であろうか、とても雑な説明をすると弁護士の嫁さんが家出するといった内容の戯曲であるが、その内容たるや衝撃的で煽情的なものであり、これは当時の社会的な背景から考えても爆薬である。


人形は多くを語らぬが、その視線は声なき声であり、その佇まいは見る側の心の持ちようを如実に映しこむ鏡なのである。


ヒゲの総帥、出張、行って参ります。



「私は自分というものと外の世間とを正しく知るために、自分一人になる必要があるのです」


イプセン



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by amori-siberiana | 2018-11-13 18:48 | 雑記 | Comments(0)

ヒゲの総帥が居を構えるフィリポ・ロマネスク探偵社は北濱の一角のそのまた一角の青山ビルにある。その青山ビルの一角にあるギャラリー遊気Qのさらに一角を間借りして細々と心意気だけは大いに活躍している体である。


そもそもギャラリー遊気Qというギャラリーはその平米数に似合わず、いろんな業種が詰め込まれている。ギャラリー、教室、占い、探偵、演奏会、そして宝の販売などであり、ここに通い詰めているヒゲの総帥ですら頭が混乱してくることがある。その旨をギャラリーのオーナーに伝えたところ、「私もよくわからないんですよ」と上品な笑いを浮かべる。


さて、つまるところヒゲの総帥は居候させてもらっているのであるからして、こうして空いた時間などはせっせとギャラリーの宣伝をするのが賢明であろう。魚は瀬につき、人は情けにつくというではないか、頭を下げて皆にお願いをすれば大体のことはそれなりに応援や解決ができるものである。世間というのは愚鈍ではあるが、世間ほど厳しく正直な奴らもいない。


生きていくということは食う寝る遊ぶのことではない、どうやって世間と付き合っていくかという一種の自己哲学でもある。自分がどうして生まれたのかもわからない、宇宙は誰がどのような意志で運行させているのかもわからない。死んだらどうなるのかわからない、「一度、死んでみたんだけどあっちも退屈だったよ」という冒険譚を聞いたこともない。ヒゲの総帥たちはもれなく、神羅万象の始終を知らないままである。これは言い換えれば一本の線の迷路でも迷えるということを示唆しているのではなかろうか。


さて、グズグズと前置きをしても仕方がないので、さっさと遊気Qの宣伝に移らせていただく。







YYY作品展】 ◆2018年11月12日(月)~18日(日)まで


「YYY」と言われて何を思い起こすだろうか。まず、似たような三つのアルファベットをピックアップして予想してみよう。


『YKK』(吉田工業株式会社の略) いわずと知れたズボンのファスナーに書かれている三文字である。


『KKK』(クークラックスクランの略) いわずと知れた三角巾で正体を隠したアメリカの秘密結社である。


『YYZ』 いわずと知れたラッシュの名曲である。


『YYC』 いわずと知れた、日本最大級のマッチングサイトYYCはおかげさまで18周年、累計会員数1000万人以上の方にご利用いただいているオンラインマッチングサービスです。


上記のアルファベットから「YYY展」を予想することは、年賀状の切手と消印の角度から日経株価を読み解くほど難しい。まだ靴を放り投げてそれによって天気を占うほうが簡単かも知れない。


これは三人の作家の展覧会である。


amamoto Yoshiharu


山本 佳靖 (焼きもの)


asui Youichi


安井 洋一 (アクリル画)


oshikawa Hitomi


吉川 仁美 (油絵・アクリル画)


これら三者の名前の頭文字をとってつけられた展覧会が、その名も『YYY展』という今回の展である。


今回は焼きものの山本氏についてご紹介をさせていただこう。



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◆お皿 「寒々しくたたずむ環」 ¥3240-
 

彼が焼いているものは、天体である。それは土を焼いてできるものであるので、地球型惑星といっても過言ではあるまい。もちろん氏自身が天体を焼いているのだという発言を記事などで見かけたことはない。これはヒゲの総帥の勝手な主観である。例え話しが上手な男がただ好きなように言っているだけである。


そしてここに並ぶのは出来上がったばかりの天体たちである。


言葉でこの焼きものの魅力を伝えることは可能であるが、言葉の積み重ねによって器が割れることを考慮して控えさせていただく。是非とも遊気Qへお越しいただき、その質感や色合いなどを手に取って感じていただきたい。また、作者が在廊している期間に来て、いろんなことを質問してみることも一興である。※作家の在廊は17日~18日。





『山本佳晴』のご紹介


明治に曽祖父が鳥取県不入岡(ふにおか)、上神一帯の陶土が焼物に適していることに着目、この地に移り住み、明治23年に創業。


不入岡の近くには伯耆のみやつこをまつった大将塚があり、「こくぞうさん」と呼び親しまれていたことから、初代秀治が「国造焼」を創始。


朝夕に伯耆大山を仰ぎ見る環境にいて、曽祖父の代から土と共に生き、土に取り組むことのできる喜びをこれからの作陶に活かして、皆に「こくぞうさん」の愛称で親しまれる窯元を目指す。


2017年 第24回日本陶芸展 入選



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by amori-siberiana | 2018-11-13 16:51 | 雑記 | Comments(0)

「ソロの演奏を聴きたいんですけれど、アモリのつもりの予約はいっぱいやったりしませんか?」と音楽家のミカミッヒ君からメッセージがやってくる。


アモリのつもりというのはヒゲの総帥がギターを演奏するだけの会であり、北濱にあるツタの絡まる青山ビルの一角を占める、ギャラリー「遊気Q」にて催してるものだ。会の最初の頃は自身のメルアドを記載して宣伝していたにも関わらず、誰からの予約もないのでそのうち記載することをやめた。ただ、ギャラリーは演奏時にはほぼ満員になるのである。これは嫌がらせであろうかと考えたこともあったが、考えること自体が無意味なのでやめた。


なので予約はこの際はまったく検討する値を示さない。しかるべきは思う存分、演奏会に来るがよろしいと返事するが、せっかく音楽家の人間がくるのなら、そこで何もしないのは非常に勿体ない。群衆がいるのにスリや痴漢が何もせずに、ぼんやり静観しているくらい自身の存在意義や矜持に関わるのであるからして、是非とも演奏会に参加するようミカミッヒ君に要請するヒゲの総帥。


結局、ミカミッヒ君は巻き込まれるかたちで演奏会へ参加することになった。そしてそのミカミッヒ君に巻き込まれるかたちでガハハの女も演奏させられることとなった。


さて、昨夜の演奏会も盛況であった。そしていつしか演奏はフランス語の「La」や「Le」の定冠詞のようなもので、本質(本題)はそのあとの壮絶なフクビキでの宴会にあるような感じさえしてくるのである。この日もスタッフが3名しかいないフクビキへ30人ほど連れて移動することになった。


「フクビキはね、事前にアモリのつもりが次はいつ開催されるのか伺いに来るべきですよ。そういう経営努力をしないといけませんよ」と語りだす。


経営努力。


先日、「阿守さん、探偵社するらしいですね。面白いですね、ちょっと僕にアイデアあるんですよ」と耳打ちしたのはミスターエックスである。ミスターエックスが誰なのかは彼の職業柄により公にすることができないのであるが、ヒゲの総帥はミスター・エックスに協力を要請することにした。そこから二人で探偵社を如何にしていくかの相談をする。歯切れの悪い泥酔した老人がダミ声で歌う北島三郎の「山」をBGMにして。


「ホームページを立ち上げたいんですけど、オニ君にお願いしようと考えています」とヒゲの総帥はいう、ミスターエックスは「それなら、ディエゴにさせましょう」と提案する。ディエゴというのは最近になって自身の法人を設立した若者であり、その業種は海外からの旅行客へ向けてのサービス業ということである。


「ディエゴにホームページの作成をさせて、ディレクションは僕がします」とのミスターエックスからの提案にヒゲの総帥は乗ることにした。


さて、アモリのつもりの最終夜は黒ずくめの男こと冷泉による、振る舞いハイボールと梅酒ソーダが来場者各人の手に渡り、会始まって以来の飲酒という栄誉を預かることとなった。皆で揺れることができた。一人で生きている分には不安で退屈極まりない世の中であるが、こうして皆で揺れている時間があるだけで救われた気持ちになる。


ヒゲの総帥が音楽家として再生するための予備訓練として開催されてきたイベントもこれが最後である。皆さんのおかげもあり、無事に伝説のシベリアン・ニュースペーパーなるバンドにおけるギタリストとしての大役を果たせ、新たな航路を突き進むこととなった。誠に感謝するに尽きない。


夏から開始された「アモリのつもり」にお付き合いいただいた皆さま、これまでありがとうございました。また、いつの日かお会いできることを楽しみにしております。


いろんな人から聞かれることがある、「お前は一体何がしたいのかと」。


答えは簡単である、「自分に関わる人を死ぬまで退屈させないことであり、また自分が退屈しないことをただしているだけ」なのだ。


この世でいちばん遠い場所は自分自身の心である


寺山修司


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ファラオの花束 ◆014


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女性について語るほど何も知りません。


なにもかも一人しか知らないので比較もできないので


以上です。


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by amori-siberiana | 2018-11-11 15:33 | 雑記 | Comments(0)

ここ最近、北濱にあるツタの絡まる青山ビルの一角。ギャラリー遊気Qは夜間営業をしている。
夜番をしているのはもちろんのことヒゲの総帥、毎晩のように珍妙な客がやってきては、バロンダールの作品展を背景に、卵が先かニワトリが先かのような話しをしている。

先日の土曜日の話しをしよう。無法松先輩と場末のスナックに行った話しもあるのだが、それはオチだけで中身に優れた話しではないので、割愛するのが適当であろうと判断したのだ。


ヒゲの総帥は北濱にあるジンクスで黒ずくめのIT参謀こと冷泉と待ち合わせをするも、残念ながらジンクスは祝日ということで閉まっていた。そこから少し離れたところにあるヨネダ珈琲での待ち合わせに変更して二人は合流する。


このヨネダ珈琲というチェーン店は、ヒゲの総帥が名古屋へ行くたびに「こんな喫茶店が大阪にもあればいいのにな」と願っていたのを見越したように大阪へ進出してきた。やったやったと喜んでいたのも束の間、よりによってヒゲの総帥の行きつけだった本町の「パール」というパン屋(カフェ併設)の横にやってきた外来種は、一瞬のうちにパールを撃滅せしめてしまう。世の中、どうにも上手くいかないものである。


パールが撃滅したことを南船場の「き多や」の女店主に伝えたところ、ものすごく躍動感のあるガッツポーズをしたのには思わず笑ってしまった。


ヒゲの総帥と冷泉はITビジネスの話しをする。冷泉の持っている「喜楽」をベースにした新しい事業の説明を聞きながら、ヒゲの総帥はわかったようなわからないような顔をして、うんうん頷く。酔ったときの冷泉のことはことごとく知っているが、こうして顔を突き合わせて真剣に仕事の話しをしてみると、この黒ずくめの男の脳のなかにはどれほど膨大な知識があるのだろうと空恐ろしく感じる。


大体、これだけのことを覚えていると酔っぱらって殴ったり殴られたりするあいだに、ぽろぽろと頭や鼻腔から知識が抜け出ても良さそうなものだが、この男の頭脳はその体躯と比例して健全であり賢明である。


打ち合わせのあと、ヒゲの総帥は電車に揺られて山の向こうへ移動する。お目当てはファラオの住む奈良県の談合町である。これまでファラオは再三再四にわたって北濱へ顔を出してくれたが、彼の住む王都とはどんなものかと行ってみる。


談合駅に到着すると早速ファラオが出迎えにいる。駅舎から出てさらっと周囲を見渡すヒゲの総帥。暗闇に目を凝らしながら「あれは鎮守の森かい?」とファラオに聞く、「よくわかりましたね、あそこには風の神社があるんです」とファラオは答える。


ぞろぞろと二人は歩きながら、一件だけ灯りがついている居酒屋へ入る。気分的には宮沢賢治の「注文の多い料理店」のようである。


二人でハイボールを食べて、さんまなどを焼いてもらう。特に面白い会話は別段ないまま淡々とそして粛々とヒゲと王との晩餐は進んでいく。


取り立てて書く内容もない。


〓本日のコーディネイト〓



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◆商品番号 001


【誰もが憧れる風の匂いがするコート】 ¥19,000-


◆商品番号 002


【からくりハット】 ¥要交渉



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◆ファラオの花束 013



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ファラオです


駅での思い出…電車が好きですが、駅での甘い思い出はないですね。


ちなみに近鉄が好きです。


駅は駅でも道の駅が好きです。学生の頃、北海道に住んでいた時に一年かけて北海道にある道の駅のスタンプを全部集めたことは、あります。


こんなことしてたので大学は卒業しておりません。

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by amori-siberiana | 2018-11-06 19:54 | 雑記 | Comments(0)

ヒゲの総帥の父親は個人事業主であったが、随分と風変りな男であった。一度、今風にいえばスタートアップによって自動車事業にて法人成りをしたが、すぐに廃業をすることとなった。子供だったヒゲの総帥にはいまだにどういった経緯があったのかわからないのだが、大々的に「阿守商会」と新聞広告に討ってでたときのことは、うっすらと記憶に残っている。


母も父の家業を手伝うこととなり、ヒゲの総帥も子供ながらに慣れない手つきで父の仕事を手伝っていたが、すぐ飽きてやめた。面白そうだからというよりは、母が猛暑の中で働くのを少しでも早く切り上げさせたかったという心情のほうが勝っていただろう。


事業が失敗に終わり、父は働かなくなった。母が外に働きに出て一人で生計を支えるというのが6年ほど続いたであろうか、母が次第に潰れていくのが子供ながらよくわかった。今でこそ「地獄のような6年」と母は苦笑するが、子供心にいつ破綻してもおかしくない家庭環境に胸が苦しくて眠れないが続いた。目を閉じて、次の朝、目を開けると母が自分の隣から消えてしまっているような恐怖感があったのだ。


家のローンも払えず滞納するようになり、学校で必要なお金すら親からもらいにくい状況が続いた。よく考えてもそんなに長い期間ではなかったのだが、ヒゲの総帥の記憶のなかではその先の見えないトンネルのような闇の時間が小学生における記憶の大半である。


いよいよ、もうどうにもならないというとき、母は父に「もう家を手放すしかないで」と伝える。「好きなようにしろ」と父は返答する。想像だがこの両者の視線が混じりあうことはなかっただろうと思う。仕方がない、どうしようもない状態なのであるから。本当に仲の悪い夫婦であった。それが原因であまり友人を家に連れてきたくなかったのだ。


ほとんど空っぽの通帳を持って、子供を連れて実家に帰る選択肢をとろうとした母だが、そのときはまったく考えていたことと逆のことをしたという。印鑑と通帳をなんにもせず絵ばかり描いていた無職の父に渡したのだ。それがないと完全な無一文である。


「あんたに全てを預ける。それでどうにもならんかったら、死のう」


父は何も言わないままか、「おう」とだけ言ったのか判然としないが、それを受け取ったのだという。


そんな話しを今年になって初めて母は息子であるヒゲの総帥に教えた。「そんなやりとりがあったのか・・・」と息子のほうは真剣に我が家の列伝を聞く。


父はそこから誰も手を出さないような低収入の仕事を偶然にも人ヅテに譲り受ける。その仕事は牛乳配達である。そんな仕事で家族を養っていけるわけはないと思うのだが、そこに父の得意とする人当たりの良さ(外面のよさ)、つまるところ人たらしたる能力が発揮され事業は当たった。


どんどん顧客を増やしては、さらに配達可能地域を広げていった。人を雇うことに貪欲でなかった父は全てを一人で担う。自然と増加する顧客数に比例して配達時間は早くなっていき、深夜の1時から配達に出て朝に戻ってくるというような生活であった。


いつしか家電は全てが新型になり、どの友人の家よりも大きなオーディオ機器を備え、自家用車はマイクロバスを含めて4台あり、仁尾のマリーナには「潮路」と名付けられたクルーザーまで停泊していることとなった。三か月に一度、JR四国の列車を数両借り切って自分の家の最寄り駅から、行きたい駅までノン・ストップのプライベート列車を走らせるようになる。家のソファーは国鉄時代のグリーン車のシート、家の駐車場には「観音寺駅」の大きな看板が置かれていた。


今、こうして書き出してみても、やっぱりちょっとイカれた環境だったのだなと冷静に感じるのであるが、そのどこかに滑稽なものも感じる。まったく粋だとは思わない、野暮ったくて仕方がないのだが、そういった隙もときには大切なのかも知れない。


「家にお金がまったくなかったのに、牛乳配達用の大きな冷蔵庫とか設備投資のお金はどこから出たのだろうか」とヒゲの生えた息子は母に訊ねる。


「あの人のことは、よく知らん」と母は前置きしながらも、こう続ける「・・・女やな、女がおったからそれが出してくれたんやわ」と。息子のほうはそれを聞いて疑問が腑に落ち、笑いが込み上げる。母も笑いながら「そういう意味では、感謝してる」と苦々しくいう。


なんだか、人間の生き様だなとヒゲの総帥はその一連のやりとりを脳内で反復させながら、自身の曖昧な記憶のイメージと今聞いた言葉を紐づけていく。


人間だ。


そしてここにも風変りな父親がいる。アラタメ堂とファラオである。お互いの共通項といえばボードゲームが好きだということ、その互いとジンクス、そして北濱派の仲間たちが協力しあい出来上がったイベント「日曜リンクス 趣味のじかん」が先日に開催されることとなった。


今回は大幅にスタッフが増員されることとなり、イベント開始前にジンクス内にあるビッグテーブルにて皆が一堂に介した打ち合わせは錚々たる顔ぶれであった。ヒゲの総帥はそれがなんだかオーケストラのようで気味が良かった。普段は何をしていらっしゃるのか解りもしない人間たちが、ひとところに集まり決起する姿はたまらない。


ヒゲの総帥にとってゲームはそれほど重要ではないのだが、この瞬間がたまらないのだ。これから何かを期待してやってくる人たちをどう楽しませるのか、皆で知恵と工夫を即興演奏のように飛び交い合わせて織りなす様は、よっぽどライブと似ている。このライブ感が充足感となり一体感となり、その経験の積み重ねがジンクスがここ北濱に居を構えるという迫力に繋がると信じて疑わない。


最初に飛び込んできた客はオープン時間より前なのに勝手に入ってきた、YU-JIであったが。それもご愛敬である、YU-JIはそういう男であり、そうでなければYU-JIたる由縁もないのである。


ヒゲの総帥の同窓である、らっきょも子供たちを連れて京都くんだりから遊びにやってくる。プロ棋士もやってくれば、プロのギャンブラーもカジノ・テーブルを持ち込んでやってくる、長患いで役所へほとんど顔を出さなくなった元上司もやってくる。黒ずくめのIT参謀こと冷泉はしこたま酒を売りまくり、ジンクスのオーナーであるマンホーはニヤニヤしながらカジノのチップを積み重ねていく。ヒゲの総帥とササモトとゴイチはクイズの早押し機から離れない。中空を仮想通貨ファラオがひらりひらりと舞う。ちらちらとチャイナドレスの女たちがジンクスを往来する。カラカラ笑う男は麻雀を徹底的にうつ。ヌリエは昼間なのに夜の世界の住人のような奴らを伴ってやってくる。ヘルベンツとマギカは虎視眈々と空いたグラスに酒をつぎ足し、アシムと小説家の先生は明かりをつけたり消したり忙しい、宗教画のモデルの女の一人称は「うち」である。


なんと刺激的な場所であろうか。健全たりうるということは、果たしてこういうことではなかっただろうか。


ここはソドムのようであり、神すら嫉妬する場所。地球上で一番魅力的な場所となる6時間であった。たったの6時間ではあるが、北濱ジンクスは彼ら彼女らにとっての首都となり得たのだ。


不思議な話しである。誰よりもゲームを愛するアラタメ堂とファラオはゲームをする暇もなくせっせとゲームの解説や紹介をする。ところがこの二人の顔がこんなに嬉々とすることもない。


最後に、


このウイスキーに呆けたヒゲの総帥のブログを読んでいるかどうかわからないまでも、今回のイベントにご足労いただき、アラタメ堂のことを私たちよりもよくご存知であり、長いお付き合いをしているあなたに謹んで申し上げたい。




あなたのお父さんの存在は、私たちにとっての誇りです。
あなたのご来場を、我々は心よりお待ちしておりました。

足を運んでくださり、ありがとう。




敬具



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◆ファラオの花束 011




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イトマンのスイミングスクールに行ってましたが泳げません。


だから海の思い出はいつも砂浜か波打ち際で遊んでいる記憶ですね。


足が底につかない所は危険です。行かないです。


船に乗っても救命胴衣をまず確認します。


高校選んだ理由もプールがないからです。


離婚する前に住んでいたのは、宮崎の山奥なんで川遊びができるんですね。


ずっと子供たち4人には溺れてもパパは泳げないから助けられないよと言ってました。


こういうのが駄目だったんですかね?

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by amori-siberiana | 2018-11-04 02:40 | 雑記 | Comments(0)

先週の平日。


なんとも珍しいことに豚王からのメールがヒゲの総帥のところへ届く。元来、この豚王タッキーなる男はヒゲの総帥とかれこれ15年以上の付き合いながら、常にヒゲの総帥のことを警戒している。頼むから自分(豚王タッキー)を騒動に巻き込んでくれるなと、一定のラインを引いて付き合おうとするのだが、気が付けばいつも丸裸にされて騒動の真ん中に連れて行かれるのがオチなのだ。


これはヒゲの総帥がどうのというわけではなく、衆目がそれを望んでいるのである。豚王が来た、どうやら今日はいつもより面白いことが起きそうだぞという予感がする。この豚王なる男はそういうのを持っている男なのだ。どうしても面白いことを予感させてしまう男なのだ。


「今日はどうしてはりますのん?」


豚王からの珍しいアクションにすぐさまリアクションする総帥。


「なにもない」と返事する。


話しはとんとん拍子に進み、一緒にご飯を食べることになり、豚王が行きつけの寿司屋を予約したからそこで合流するということになった。ヒゲの総帥はそこにはまだ行ったことがない、何年も前からタッキーがヒゲを連れて行くと放言しながらも、これまで一度たりとも連れて行ってくれなかった聖地である。


ヒゲの総帥の方が先に到着する、その寿司屋へは阪堺電車(路面電車)に乗って行くのだが、ここでもICOCAが使えることに多少ならずとも驚く。入店するとカウンターしかない寿司屋で既に先客が二人ほど寿司を食いながら鍋を突いている。


「豚に呼ばれてきたんですが・・・」と口にする総帥。


「ブタ・・・?ああ、平さんですね」と返答する大将。


アルコールを摂取しながら待つこと数分。ガラガラと寿司屋のドアが開く、タッキーが到着する。また一回りほど大きくなったようだ。開口一番、タッキーは「アモさん、2500円貸してください」と言う。


ヒゲの総帥はタッキーに一万円札を渡しながら、どうしたのだ?と問う。「すいません、財布を家に忘れてきたみたいなんです。タクシー代が払えなくて」と言いながら一万円札を握りしめてまた扉の向こうに消える。


タクシーの支払いを終わらせたタッキーは「いや、助かりました。ありがとうございました」とヒゲの総帥に伝え終わる前に「なんであなたが一万円も持ってるんですか?」と問い直す。「持ってるときは持ってるのだ、持ってないときは持ってないのだ」と当たり前のことを言いながら、ヒゲの総帥は目の前に出てきた寿司をつまむ。


タッキーも寿司を食おうとするが、ヒゲの総帥はちょっと待てと手で制して、「さっきの釣りを寄越せ」と指で合図をする。タッキーは面倒臭そうにズボンの中のポケットから7500円を取り出してヒゲの総帥に返す。


ここの寿司屋は本格的な江戸前であり、醤油(むらさき)はたらさない。大将の思うままに握ってもらい、目の前に出てくる海の宝を二人で頬張る。美味い。寿司について語るのは間抜けであるし、それだけの語彙力を持たないので書かない。いや、書きたくないのだ。書けば全身に散りばめられた海の宝たちの栄養素が、このジンクスの空間に霧散してしまいそうで勿体ない。


「タッキー、美味しいね」


「アモさん、美味しいですね」


「タッキー、これは漁師さんがお金をもらって釣って、市場が漁師さんにお金を払って、大将が市場でお金を払って、そして僕がここでお金を払って、こうして僕たちの目の前に並び、そして僕たちの口に入ろうとするのだ。このお寿司、今は誰の所有になるんだろうね」


「アモさんですね、はい、アモさんのです」


「タッキー、なんて美味しい寿司だろうね」


「なんやこれ!まるで鬼の首を取ったみたいな言い草じゃないですかっ!」とタッキーは居直る。


タッキーの居直りはカウンターの端に座る、岸和田だんじり社長とドラゴンタトゥーの女にも伝わる、二人の興味と視線がこちらに向いているのでヒゲの総帥はここまでの経緯を二人に仔細に説明する。これこれこういうことがあってですね、この男は無一文だというのにこんなに美味しい寿司を食べているのですと。社長と女は爆笑しだす。


「いや!待ってください、お二人とも騙されないでください。この男(ヒゲの総帥)のこれまで数年間の僕からの徴収から比べると、今日一日のことなんて、どだい大きな問題ではないんです」とタッキーは興味津々の二人のニヤニヤを制するように弁論にて弾幕を張る。


「でも、今日は今日やんねぇ」とドラゴンタトゥーの女はタッキーを瞬殺する。


だんじり社長も「次はタッキーさんが全員のを奢らんといけませんね」と泉州の男らしく毅然とした意見を述べる、大将も笑いながら寿司を握る。


「え?・・・なんでこんな空気になってるんですか。あなたが余計なこと言うからや!」と豚王は傍若無人な振る舞いをヒゲの総帥にしようとするが、「タッキー、バタバタするな。お茶が揺れるじゃないか、それにしても美味しいお寿司だね」と総帥は軽くいなして、次の寿司をひょいと掴む。


そこからはカウンター同士とカウンター向こう側の大将たちを含めて、古今東西のいろんな話しをする。豚王の携帯はひっきりなしに鳴り、そのたびに「ちょっと、すいません」と言いながら店の外へ出ていく豚王。


「忙しそうにしてるんですね」とだんじり社長がいう。


「いや、あれは自分で携帯を鳴らして、自分で携帯を取っているんですよ」とヒゲの総帥は平気な顔していう。


「そないな器用なことして、どんな得があるんですか?」と大将の隣にいる女将がきょとんとする。


「男の矜持なのですよ、つまるところつまらん見栄ですな」とヒゲの総帥は嘘八百を言いながら、熱い茶をずずずと飲む。一同は笑い出す。


「それは冗談やとしても、携帯取り上げて落ち着かせたほうがええんちがう」とドラゴンの女はいう。


「大将、すいませんが出刃包丁を貸してもらえますか?こいつで静かにさせてきますよ」とヒゲの総帥は大将に手を差し伸べるが、「あいにく、うちにある包丁は美味いものしか切れないんで、あれは切れそうにありませんな。脂がのりすぎてますわな」という。


満腹になった二人は店を出る、タッキーは明日から海外へ飛ばなくてはならないとのことで、二軒目へ行くのはやめておいた。聞くところによると、彼にとっては随分と久方ぶりの休日なのだという。


たまの休日、財布を持たずに外へ出かけるのも、良さそうだ。





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◆ファラオの花束 010


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ファラオです


一番欲しいものはやっぱりボードゲームですね。買っても買っても欲しいのがいっぱいです。


なんでボードゲームかというと宣伝になってしまいますが、三郷サイコロクラブというボードゲーム体験会やってまして。


いつもニュージーランドの羊みたいに人間よりゲームの数のほうが多いです。


ボードゲームって何?オセロ?と思う方遊びに来てくださいね。


お前が来いといえば行きますので興味ある方はファラオを呼び出してください。


でもお金があれば一番手っ取り早いんですけどね。


totoで6億円当たらないかなとずっと願っています。




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by amori-siberiana | 2018-11-02 20:08 | 雑記 | Comments(0)

北濱にあるギャラリー遊気Qで開催されているバロンダール展の初日を終えた。


本日、予定されていたイベント『ファラオの撃鉄』は出演者の都合によりキャンセルとなったが、その代わりとしてバロンダール展の期間中(11月01日~11月10日)は、ファラオならびに北濱派の殴り書きが連載されることになる。サイコロの目のように次々と飛び出すことばと不変の価値ある品々の花束をご堪能ください。


なにより私はことばが大嫌いである。そしていつもことばに憧れている。ことばなくして愛憎のなんたるかもないのである。そして珍品や逸品を作り出すのも、いつも「ことば」である。このことばたちを拾い上げて不格好ではあるが、土のついたままに束ねたのが以下である。


これを名付けて【ファラオの花束】という。


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◆ファラオの花束 001

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ファラオです。


北浜でファラオになりましたが、その前は知っての通り子供4人いるくせに離婚して宮崎の山奥から三郷に帰ってきたバツ1です。


自分の子供が成長する姿を通して自分も成長している気がしていたのに、それを取り上げられて途方に暮れています。


ボードゲームを通じて子供の成長に貢献したいという気持ちで今があります。


なぜボードゲームかというと発達障害というものがありまして、それによって少しでも息子の助けになればと調べたらボードゲームがいいと。元々そういうの好きだったのでやってみようと思ったら追い出されました。


一番の夢は4人の子供達といつか一緒にボードゲームを遊ぶことです。


綺麗事過ぎるので本音を少し、新しい遊び仲間が欲しかったんでしょうね。


こんなに素敵な仲間に囲まれるとは思ってもいませんでしたけど


あとはボードゲームがらみで金になればいうことないんですが…


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◆ファラオの花束 002


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困難に立ち向かうことはせず、流されるままに生きる。


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◆ファラオの花束 003


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爆破して欲しいものです。


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◆ファラオの花束 004


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僕にとって家族と仲間の境目はないです。


助けが必要な時は
言葉を交わさなくても
勝手に助け合う。
そんな関係。


今まで200万年の歴史で1,000億人以上が
人間として生きてきて
そして今のこの時代に仲間であること。
ハイパー有難いこと。


仲間になんでなるか。
良いと思うことが近いから。
それをフィーリングが合うから
と言ってるのかも。


僕は勝手に
人生は仲間を増やす旅だと思ってます。
みんなで笑って、楽しんで
学んで、いろいろ経験して
また仲間がつながっていく。


僕は常に居場所を求めている。
みんなも居場所を求めてるのかな。


仲間が仲間を増やす瞬間を見て
嬉しいと感じるのは
各人の居場所が増えていることだからかも。


他に仲間に思うこと。


明日はどうなるか分からない
楽しもうよ♪って思っちゃう。


仲間と利害関係があって
恩が返しにくい場合
別の人に恩送りをする。


僕みたいな変人の相手を
笑いながらしてくれてる仲間が愛おしい。
みんな心広い。


心が広くなれば
心が広い人とつながる。
そんな気がしてます。


最初の話に戻りますが
家族と仲間の境目で
唯一違うのかもと感じるのは
家族の場合は、命張って守る
ということが無条件で発動しそう。
幸い、発動したことないけど。


そういう意味では
仲間より自分の家族が大切であって
だからこそ
仲間の家族も大切に思います。


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◆ファラオの花束 005



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自分で稼いだお金を使うのがたのしいです。

服とか靴とかカバンとか買ってる時がスカーっとします!

服は私にとって仕事の戦闘着なので、ちょっと高くても自分が好きな服買いたいです。


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◆ファラオの花束 006


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昔は、破壊したい人がたくさんいましたが、最近は、そーですね〜。
破壊したいものは沢山あるんですが、破壊したい人はなぜかいなくなりました。


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◆ファラオの花束 007


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あれだけ言っておいて「わからないんだ」で終わり
こんな状態で何をスタートさせられるというの


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◆ファラオの花束 008


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口挟む余地ないくらい白熱してるわ😂トイレの時しか時間ない


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◆ファラオの花束 009


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A:なーなー。

B:んー?

A:日本から想像されるイタリアって、お洒落、ちょい悪、アート、グルメ等あるけど誰がそんなん言い出したん?

B:東京で出版社してて、肩からカーディガン羽織ってる人たちちゃうかなぁ。所詮、日本人の8割近くがイタリア知らずに人生終わるし、別に本当の事実を伝えることもないから良いイメージだけ植え付けてるんやと思うなぁ。

A:じゃあ、イタリアからみた日本ってどのように映ってるんー?

B:ミラノの道端にあるカプチーノショップ入るために、路駐時に車ぶつけまくって我ありきっていう自己主張強い色黒、けむくじゃら、ハゲのおっさんらが富士山とか適当に名前つけた寿司屋経営してるんちゃうかなぁ。中国人不法労働者の店長に寿司握らせながら。
それで、一般のイタリア人は中国人もモンゴル人も日本人も、皆一緒やと思ってるから、中国人が作るドラゴンロール食べながら

"これが世に誇る日本食か!"

と、勘違いしてるんちゃうのが現実やろなぁ。

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by amori-siberiana | 2018-11-01 23:16 | 雑記 | Comments(0)

明日より北濱にあるツタの絡まる青山ビルの一角にあるギャラリー「遊気Q」では、『バロンダール展』なる催しものが行われることとなる。


期間は11月01日(木)から11月11日(日)まで。※3日と4日はそれぞれ休みである。


バロンダール展がなにかといえば、目利きである自称302才のギャラリーの女が是が非でもオススメするあらゆる名品が所狭しと並ぶ日であり、これぞ北濱のクリニャンクールと呼ばれる所以であろうことに疑いはない。ヒゲの総帥も名誉総帥になったからには、バロンダール展にて並ぶ品々を丹念に紹介していくつもりだ。


開催期間中には結成初年度となる『北濱派』の面々によるイベントが盛り沢山である。



11月01日(木) ファラオの撃鉄 ※未定
11月02日(金) ファラオの秘宝 ※未定
11月03日(土) 休み
11月04日(日) 休み
11月05日(月) ファラオの棲家 ※未定
11月06日(火) ファラオでパラオ ※未定
11月07日(水) ファラオと倫敦塔 ※未定
11月08日(木) ファラオの門 ※未定
11月09日(金) ファラオの刻 ※未定
11月10日(土) アモリのつもり ◆最終夜
11月11日(日) アラタメ堂プロデュース 豚王鍋 ◆俺の墓標に名前はいらない編



※未定の部分は違うイベントが入るかも知れません、イベント自体がまるでなかったかのように行われないかも知れません、その場合でもご了承ください。


いよいよギャラリーの女オーナーとヒゲの総帥が地上に張られた気球を繋ぐロープを切り、山脈を越え、海を越え、国境を越え、感傷を越え、出会いたい人やモノを探しにいく瞬間がやってきた!目を離すんじゃない。


ギャラリー遊気Qへ行コウ
ソコヘ行けば、ドンナコトモ、叶ウトイウヨ
誰モ皆、行キタガルガ、遥カニ遠イ(大阪市中央区伏見町2-2-6 青山ビル1F)


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by amori-siberiana | 2018-10-31 19:05 | 雑記 | Comments(0)

久しぶりに執筆していたブログが消えた。忽然と何らこの世に元からなかったように消える。まだ救いだったのは大したことを書いていなかったからである、どちらにしても一日一日が濃密な一週間だったのでト書きにしている事柄を個別に抜き出し、内容を編纂しなくてはいけないなと考えていた。


以前にも書いたことであるが、日記を書くのは良いことだと思う。これは完全に自分本位の考えなので共感も同調も不要であるが、ヒゲの総帥という人間は起きうる事象を反芻することによって栄養とする生き物なのだ。行為しているときはそこに大した意識などないのかも知れない、ヒゲの総帥はつまるところ記憶の生き物であり、空間と時間の概念に巣食う『牛』なのである。


さて、今から一週間ほど前になるが黒ずくめの男こと冷泉と一緒に食事をしようということになった。


ヒゲの総帥は役所を抜けて北濱にあるジンクスへ向かう。ライターの女と鬼君と挨拶を交わすが他のオフィス内にいるメンバーは陣容も変わり、知らない人が増えた。知った人が減って知らない人が増えるということはジンクスにとって良きことなのか、それとも留意すべき点なのかはわからない。イイデヤンスの社長ダダヤマも最近は以前のように朝から晩までここにいるということはないのだそうだ。


しばらくすると冷泉から連絡があり、北濱にあるスコッチウイスキー専門店の『サギー』で合流しようということになり、ヒゲの総帥はデスクから立ち上がり今橋から堺筋へと歩き出す。もう秋の夜風である。


サギーの階段を下りていく、木製の堂々たるバーカウンターの端っこを冷泉とクライアントの男が陣取っており、反対側の隅っこを年配の常連客が二名ほど陣取っている。ヒゲの総帥はその両派閥の真ん中へ腰を下ろして、ラフロイグをストレートで頼む。店には異国の女性が気怠そうに歌っている音楽が流れていた。


「いい曲ですね、これはどこの国の人が歌ってるのですか」とヒゲの総帥は誰に向けたでもない思いついたことを口にする。


「イギリス在住の人ですね」と相槌を打ったのは隣に座る初見の年配の男性である。


「やはり、イギリスか・・・」とヒゲの総帥は手でヒゲをひねりだす。とてもラテンな曲なのにその向こうにイギリスを感じるのは、この女性シンガーに限ったことではない。そこにイギリスという国の底知れない迫力をいつも感じるのである。


ヒゲの総帥はおもむろに歌手の加藤登紀子の話しをする。これは彼女のご息女から聞いた話しである。女史が海外のどこか南の国でレコーディングをしたときのことだ。


レコーディングメンバーを現地で調達すると決めた女史は、なんらかのメディアを使用してこれこれこの日にレコーディングをするから、メンバー募集にあわせてオーディションを行うといった旨の通達を打ち出す。当日、朝からオーディション会場となる施設には現地ミュージシャンたちの行列ができる。レコーディングに参加することで得られるギャランティー目当てで集まった彼ら彼女らは、小綺麗な格好をしたのから路上生活者みたいなのまで多種多様であったそうだ。共通することといえば、そのほとんどが楽器の達人であったというものであった。


金は持っていないが、その仕事を得るためにえらく遠いところから夜を通して会場まで歩いて来た人間もいたそうだ。


ヒゲの総帥はその逸話が好きである。どういうところが好きかといえば、そこに「ライブ」を感じるからだ。人が生きること、仕事をして金を得ること、そして全員がそれを享受できるわけではない世間の厳しさなど、「生活」そのままを感じる。女史らしいアイデアであり、この女史の歌声の妙な説得力を裏打ちするものだと思った。


冷泉もビジネス談義が終わったようで、ヒゲの総帥とダーツバーへ行く。「最近はダーツしているのかい?」と声を掛けるヒゲの総帥に「いや、最近は、全然、行ってないですね」と返事をする冷泉。冷泉はそのまま急に考え込むような顔をする、顔を多少であるが上へ向けて視野を空へはわせる。そして急にハッとしたような顔をして、こういうのだ。


「・・・二週間前」


急なダーツの誘いでもマイダーツにてヒゲの総帥のチャレンジを受ける冷泉の用意の良さに舌を巻く。一時間くらいは投げ続けたであろうか、ダーツバーから出た二人は宇宙船のようなバーへ行く。薩摩出身の男がやっているバーで、ヒゲの総帥の祖母が生まれたところの近所の出身だということで、「これは縁ですねえ。いや、これは縁ですねえ」とマスターはいう。


ヒゲの総帥は冷泉と共に加藤登紀子の「時には昔の話を」を歌う。




一枚残った写真をごらんよ
ひげづらの男は君だね
どこにいるのか今ではわからない
友達もいく人かいるけど
あの日のすべてが空しいものだと
それは誰にも言えない


今でも同じように見果てぬ夢を描いて
走り続けているよね どこかで




この歌詞を歌うたび、ヒゲの総帥はフランスの画家ポール・ゴーギャンの人生を思う。貧困のままフランスを出て南の孤島タヒチへ降り立ち、そこで猛烈な作品を遺したヒゲ面の男。


描かずにはいられない自分という個性に殉じた男。


私は、愛したいと思いながら、それができない。私は、愛すまいと思いながら、それができない。― 


ポール・ゴーギャン(1848-1903)


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by amori-siberiana | 2018-10-30 19:45 | 雑記 | Comments(0)

「お前、今、どこにいる」


殴り書きのような言葉でヒゲの総帥を朝っぱらから電話で急き立てるのはジェイソンというアメリカ人の男である。


「世界のどこかにいるのは確かだ、要件はなんだ」とヒゲの総帥も負けてなるものかと、とても皮肉の混じった回答をする。


「俺はね、今、なんばにいる。お前、どうせ暇だろう、ランチでもしよう」と他人のプライバシーに一方通行な値付けをして、さっさと話しを進めてしまう感じはなるほど、こいつは生粋のアメリカ人の都会っ子だとヒゲの総帥は大いに恐れ入る。


このジェイソンという男について話しをすると長くなるので、部分的に割愛しながら外堀を埋めていこう。


そもそもこのジェイソンという男とヒゲの総帥との仲はかれこれ15年以上になろうかという。名門UCLA校を卒業したジェイソンは晴れて念願の学校の教師として、太平洋を越えた異国にて赴任することとなった。理想の聖職と現実のくだらなさを痛感したこの宣教師は、いつしかその心の乖離を酒で補うようになった。そして聖職よりも生殖のほうに興味を持ち出すアメリカ人。


ジェイソンが自分の家の近くのバーに行ってみると、相手が外人と見るや誰かれ構わず「もう一度だけでいいから、戦争しよう」と吹っ掛ける訳のわからないヒゲ面の男がいた、無論ヒゲの総帥のことである。


最初の日、二人はオーソン・ウェルズが監督した「市民ケーン」について議論を交わした。たった一度の命がけの議論は、何十万語の浮ついた言葉よりも互いを認め合うのに役立つことは、この二人の仲が証明している。


ヒゲの総帥が当時していたバンドの東京ツアーにもこのアメリカ人は同行することとなる。このツアーにおける収穫は非常に大きかった、なにせヒゲの総帥はバイオリン王子と知り合うことになるのであるから。ジェイソンは大して何の役にも立たなかった。常に東京の知り合いの家で開かれる餃子パーティーのことばかりを気にしていた。


そんなジェイソンも異国の地で浮き沈みを経験する。恋の病だ。


付き合っていた女性がいたのだが、相手の親から外国人はダメという理由で結婚を猛反対されそのまま失恋に至ることとなった。傷心したジェイソンはうわごとのように、その女性のことばかりを口にしていた。


「なんと女々しい男なのか、そんな気持ちを抱えていても薬にも毒にもならん。さっさと芸術作品にして、世間に償却するのだ」とヒゲの総帥はジェイソンに愛の鞭を振るい、ジェイソンに熱意のこもった恋文を書かせて、執筆者のジェイソンをパンクバンド「異国警察」のステージに登場させ、スポットライトが当たるテーブルに座らせて、拷問のような演奏をバックにマイクで朗読させた。


ただ、演奏といってもボーカルのがなり声とジェイソンの朗読が混在して、何を言っているのかまったく聴き取れず、そのうち「おい!外人!やかましい!」、「やかましくない!俺はね、真剣に詩を朗読してる。お前こそやかましい!」とステージ上でボーカルと異国の男は互いを罵りあう結果になる。


その光景たるや、今、思い返しても抱腹絶倒である。記録に残っていないのが残念だ。


ジェイソンが契約の関係で聖職を失職したとき、ヒゲの総帥はタッキーと悪知恵を働かせて、ジェイソンに某FM局のDJになればもっともっとモテるようになると焚きつける。しゃべりにあまり興味がなかったジェイソンもそのうち、その気になってきていよいよ局のプロデューサーやディレクター陣との面接となる。


もちろん、ヒゲの総帥と豚王タッキーもジェイソンに随行していく。


「こういう場合は真面目に答えたほうがいいのか、それとも大阪だからボケたほうがいいのか?」と真剣な眼差しで聞いてくるジェイソン。


ヒゲの総帥は「どちらとも違うよ。いいかい、日本で受ける外国人っていうのはデーブ・スペクターのようでなくっちゃいけない。アメリカン・ジョークで我が道を突き進むのさ。そのときはリアクションが悪かったとしても、後になって『アイツ、ユーモアあるな』という回答でなくっちゃいけないよ」と適当なことをいう。タッキーもそれを聴きながら隣でうんうんと頷く。


「特技のところは何と書くがいい?」とジェイソンは参謀の二人に訊ねる。


ヒゲの生えた方の参謀が答える。


「そこはね、NEETとしておけよ」と、恰幅のいい方の参謀も半笑いながらそれがよかろうとやっぱりうんうん頷く。


そしていざ面接、面接官であるミスター・プラムがジェイソンに訊く。


「ジェイソンさん、この履歴書に書かれてるNEETっていうのはどういうことですか?」


ジェイソンはバカ丁寧に説明する。


「【N】ot in 【E】ducation,【E】mployment or 【T】raining。つまり、学ぶ気もない、働く気もない、それにむけて頑張ってもいないということですね」




一同が「・・・。」




応接室になんとも不気味な緊張感が無言のままに走る。ヒゲの総帥と豚王は笑いをこらえるのに必死で顔を下に向けている。


結果はもちろん落選であり、この後の烈火の如くに怒ったジェイソンの顔ったらなかった。ありとあらゆる罵詈雑言と呪いの言葉を参謀の二人に吐きかけたものだ。


シベリアンとのかかわりも深い。


シベリアン創設時になんとしても人目を引くアイコンが欲しかったヒゲの総帥は、ジェイソンに黒のサングラスと何処にも繋がっていないインカムを付けさせて、SPのようないでたちでステージ脇に立たせていた。この頃のシベリアンは半ばなんでもありであったのだ。


演奏の前にジェイソンからの注意事項が、映画でしか聞くことのないような汚いスラングだらけの英語で客席に発せられる。そして会場から去ろうとする者を見つけようものなら、その客に向けて「動くな!射殺するぞ」と威嚇めいた英語を発していたのだ。


そのうち、シベリアンはジェイソン効果があったかどうかは謎のまま本格的な音楽集団となっていき、いつの間にかジェイソンはアメリカへ帰っていた。


前置きが長くなったが、これがジェイソン・マイケル・ジャクソンという男である。


今では上場企業に就職して、随分と偉くなったのだという。「俺はね、ビル・ゲイツの次に忙しい男。そんな男とランチができるなんて、お前は光栄だな」というのは彼の口癖である。


ジェイソンと合流したヒゲの総帥はそのままタクシーに乗り込み、冷泉と待ち合わせしている場所へ向かう。この日、元はといえば冷泉と昼食を一緒に摂る約束はしていたが、ジェイソンの登場など予期していなかったため、結果的に珍妙な三人で昼食の卓を囲むこととなるようだ。


ジェイソンとヒゲの総帥がなにわ筋と本町筋が合流するあたりに到着する。路上でフラフラしている黒ずくめの男がいる、フラフラしているのかと思えば、次は立ちすくんだまま道路の真ん中から動かなくなる。


そう、黒ずくめのコンサルタント、冷泉彦彦の登場である。


まだ太陽は頭上にのぼりきってはおらず、空を見渡せば散り散りの雲たちが、季節は秋を迎えたことを教えてくれるのである。どこから吹いてくるのかわからない秋の風はビルに遮られてはいるものの、またどこか抜け道を探し出し、見知らぬ場所へ吹いていくのであろう。


ジェイソンの住む、ビバリーヒルズではどのような風が吹くのであろうか。


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by amori-siberiana | 2018-10-23 19:20 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。