カテゴリ:雑記( 232 )

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを版画家の柿坂万作と共同経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


この週末は気温がぐんぐん上がり、久しぶり、身体が陽光に照らされて汗が噴き出すという具合であった。ヒゲの総帥はクントコロマンサの経理など一切をすべて万作に返上したが、いきなり抜けては客足が遠のくということで期間を決めて共同経営の枠内に収まることとなった。


さて、この土曜日のこと。もちろんそれ以外の曜日でも多角経営の男が飛び込んできたりとか、ギャラリーの手伝いで翌日からとんでもない筋肉痛になったりとか、なんだかんだあったのだが、なんだかんだをそのままなんだかんだと書いていては今の時間が足りなくなるので流れ去るままにしておく。ひとつひとつを惜しんでいては、前に進めないのだ。それがいくら個人的に貴重であろうとも。


土曜日のこと。


店に海外アーティストを招聘する男たちがやってくる。アーティストといってもそんじょそこいらのアーティストではない、世界中で評価されていながらも日本での認知度がそうでないアーティストを選りすぐって連れてくるのがこの男たちの得意とするところである。そして特筆すべきはトラッド・ミュージックに偏っているということである。


トラッドというのは、つまるところ民俗音楽だと平易に考えていただいて結構。それ以外の捉え方もあるが、こんな凡愚なブログでトラッドのなんたるかを語るほど暇でもなければ、そのようなことをしても一文にもなりはしないので無駄だからだ。先日、ブルガリアン・ボイスの女性コーラス隊を日本へ来日させ、見事に大ホールでの公演を成功させた陰の立役者がこの男たちである。


ゲイのような格好をしているのがドイワ。ジョーダン・ルーデスのような白ヒゲを生やしているのが、オッガという名前の二人組だ。


ヒゲの総帥は若かりし頃、彼らの事務所へ乗り込んで海外のすごいミュージシャンと対決させろと直談判を申し出たことがある。もちろんアポイントなしで乗り込んだのであるが、そこから付かず離れずの微妙なお付き合いをさせてもらっている。


ゴガっという締まりの悪いガラス戸が開く、そこに現れたのは電気工事士のヤマトコと小説家の平尾正和先生である。もちろん、二人とも来客中のプロモーター二人組とは旧知の仲である。


今回もロシアの大物バンド、「オタヴァ・ヨ」を梅雨が明けた頃、日本へ連れてくるのでその折にはヒゲの総帥に宴会部長になってくれと彼らから要請が入った。ヒゲの総帥はロシアとのパイプが欲しかったので願ったり叶ったり、すぐ快諾することになった。しかし、ヒゲの総帥だけがウォトカを飲まされたのでは失神してしまうだろうことから、すでにその宴会へは冷泉も誘ってある。「わかりました・・・、全員、ぶっ倒したらええんですよね。ぐふふ・・・」と不敵な笑いを浮かべていたが、そのへんの細かいニュアンスのことはドイワとオッガには伝えていない。


しばらくすると、常連のガルパンの男もやってくる。アラタメ堂と学生起業家のダダヤマもやってくる、そしてゲームセンス・ゼロの女ことアシムもやってくる。


学生起業家のダダヤマは、33歳で独立した個人事業主であるドイワにいろんなことを相談する。オッガとヒゲの総帥はマニアックな音楽の話しで互いがカラシニコフ突撃銃を撃つかごとくに言葉の殴打、凄まじき白兵戦がはじまる。そこにマニアックな知識を持つ元音楽ライターのアラタメ堂も加わってくれば、ヤマトコも参戦してくる。


ダダヤマは今月中には自分の会社の名前を考えなくてはならないという。先日もアラタメ堂とヒゲの総帥に相談していたが、この二人の先輩がまともにダダヤマの悩みに取りあうわけもなく、ただただイジり倒されて笑いの種にされて終わった。


先日などは「清掃業なのだから、バルデラマという名前でどうだ」とヒゲの総帥がダダヤマにいう。


「バルデラマ・・・、いいですね。どういう意味ですか?」とダダヤマは至極当然なことを訊ねる。


「スペイン語で常に新しくって意味さ」と適当なことをいうヒゲの総帥。「バルデラマはいいですね」とダダヤマは感心することしきり。バルデラマが何なのかわかっているアラタメ堂はクスクスと笑いをこらえてウイスキーをあおる。


ダダヤマが「バルデラマ」という言葉をググってみたところ、出てきたのはモップのような印象的なヘアースタイルをしたコロンビア代表のサッカー選手が出てくる。「いやいやいや・・・、なんやこれ、もう!まともに考えてくれよ」とダダヤマは不機嫌にいう、アラタメ堂とヒゲの総帥はそのダダヤマの反応に吹き出す。


もちろんのこと、この日もダダヤマは来店早々からイジられ倒す。自らが考えた法人名を発表した途端にあれやこれやと矢継ぎ早に新案を出されて、パニックになる。そしてそのどれもが面白半分なのだから始末に負えない。そもそも相談する相手を間違えているのである。


ひとしきりダダヤマで笑わせてもらったあと、ヒゲの総帥はおもむろにドイワとオッガという二人の大先輩に話しをぶつける。


「そろそろ日本へ良質な音楽を輸入するばかりじゃなくて、良質な音楽の輸出に着手してみませんか」と。




https://www.harmony-fields.com/




d0372815_22011413.jpg




[PR]
by amori-siberiana | 2018-03-06 22:01 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


逃げる二月というが今年にしてもその逃げ様は相当な早さであった。もう気がつけば三月である、そしてそのうちに四月となるのであろう。ヒゲの総帥の好きな歌手の詩に「四月には皆殺し」というのがある、随分と物騒なことを朗々と歌い上げるのでなかなか愉快だ。


しぃ~が~つ~には~、みぃ~な~ごぉ~ろし~、うぉ~おおおお~♪


これをハイタッチ冷泉が歌えば絵になりそうであるが、あまり世間的に知名度のある歌手ではないので楽譜もなく、どのような伴奏をしているのか耳コピするのも面倒である。ヒゲの総帥は耳コピを苦手としている、コピーしてもコピーしてもどんどん原曲から遠ざかってゆき、しまいには一体これが何なのかわからなくなってしまう。それでも捨てるのは勿体ないので、そういった異物を自分の作曲と称して世間に発表していただけである。


さて、先日のこと。


ヒゲの総帥は夕方を過ぎて北濱のオフィスへ向かう。「おっ!総帥」と声を掛けてくれるのは偶然オフィスに居合わせた殿様のような笑い方をする副社長ばかりする男である。「これはこれは殿様ではありませんか」とヒゲの総帥は副社長へ挨拶をする。この互いを総帥や殿様と呼び合う二人のことを周囲は怪しく見ていたであろうが、そのようなことは北濱ではお構いなしである。


ヒゲの総帥はオフィスで簡単な事務作業を済ませたあと、パソコンを片付けて猫のひたいのように小さな店へ向かうことにした。細い階段をのぼり、ゴガっと音のする締まりの悪いガラス戸を開く。版画家の万作が昼行燈のようにぼんやりしている。


「万作さん、これまで八カ月のあいだですけれど、ご苦労さまでした。無事に店は立ち直りましたし、三月からこのお店を万作さんへお返しします」とヒゲの総帥は頭に筆を突き刺した万作に伝える。万作は嬉しさをかみ殺して寂しさを強調するような微妙な顔をするが、その複雑怪奇な表情にヒゲの総帥は笑いだす。


「これまで僕がやっていた経理なども全て万作さんにお返しいたします。それで三月分の家賃ですけれどこれは僕からの餞別のようなものなので返していただかなくて結構です」

「うーん、返せいうても全部家賃に払うてもうたし、返せんのですけどね」と苦笑をするのは版画家である。


「それと店にある釣り銭や仕入れのために置いているお金なんですけれど、これらもすべて差し上げます」


「うーん、今までの仕入れとか電気代とか払うたら残らんのとちゃいますか?」と神妙な顔つきを万作はするが、ヒゲの総帥はそれならそれでよいという。


版画家の万作とヒゲの総帥は握手をする。せっかくだからウイスキーで乾杯でもしないかとヒゲの総帥は万作を誘う、万作はショットグラスを二つ持ってきて、そこへスコッチウイスキーを注ぐ。二人はお疲れ様でしたと乾杯をしてぐっと酒を飲み干す。


酔っぱらって冗舌になった万作は自分が三階のアトリエで開発している、とんでもない発明がもうそろそろ出来上がりそうなのだと語りだす。これが完成すれば億万長者になることは間違いないのであると胸を張って述べる。ヒゲの総帥はそうだろうそうだろうと、適当に頷きながら拝聴している。そこから万作は自分がルンペンをしていた時代のことなどをご機嫌よろしく語りだす。ヒゲの総帥はこの版画家がなんとか店を助けてくれないかといってきた日のことを思い出していた。


「うーん、そう考えれば、ひとつだけ心残りがあるな」と万作はいう。


「ほう、その心残りはなんですか?」とヒゲの総帥は問う。


「そら、せっかく阿守さんもここでバーを経営するいうことになったんやから、商売のノウハウをワシから学んでもらたらよかったのにいうことですわ」と万作は気持ちよさそうに喋りだす。


「商売のノウハウを・・・ワシから・・・」とヒゲの総帥はマヌケのように万作の言葉を復唱する。


「そう、ワシも阿守さんにきちんと教えてへんかったからなぁ」と照れ臭そうに笑う万作であった。


一体、この男は何を言っているのであろうか・・・。とヒゲの総帥は怪訝に思う。


そこから万作は「ワシは色んな人から狙われている」という類の陰謀論を語りだすが、ヒゲの総帥はこの手の話題にはいつもウンザリしていたので聞いているフリをしてやり過ごしていた。ふと、自分のギターを持って帰りたいとヒゲの総帥は思った。それはギターが盗まれるとか壊されるとかそういうことではなく、ずっとここにいさせるのは憐れに思えたからだ。


しばらくすると、山の向こうからファラオがやってくる。そして常連の不思議な女もやってくる。ヒゲの総帥は常々ファラオをアイコン化してボードゲーム界の重鎮のようにしたいと考えていた。そして彼の存在感を大々的にアピールするデザインをゲームセンス・ゼロの女と考えていたので、すぐに「生ける素材が来たぞ」とゲームセンス・ゼロの女ことアシムを店に呼ぶ。そこからはひたすらファラオを被写体にしての撮影会である。ここに不思議な女のセンスも加わり、素晴らしい写真が幾つも撮影できたのである。


そんなファラオがアラタメ堂に挑戦状を突き付けるゲーム大会が3月17日(土)にここである。これは見逃してはいけないイベントなのだ。


d0372815_15020557.jpg


[PR]
by amori-siberiana | 2018-03-03 15:02 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


本日、水曜日はノーマイカーデーならぬ、ノー残業デーである。ということで要塞から抜け出したその足で北濱にあるオフィスへ向かう。気候はすっかり暖かくなった模様であるが、明日は春の嵐が到来するということをチラホラと職場のなかで耳にした。ヒゲの総帥の傘は2本ともコロマンサにあるので今のうちに取りに行かねばならないが、正直どうでもよくなってきた感じはある。あまり雨に打たれることを嫌だと思ったことはない性質なのだ。


さて、先日のこと。


ヒゲの総帥が店でウイスキーをチビチビやっていると、ハイタッチ冷泉が知人を連れてやってくる。知人というのは他でもない冷泉の師匠の師匠の師匠という男で、ウイグル獄長のような身体をしている男だ。以前、冷泉が主催するちゃんこ鍋(現在:喜楽鍋)の宴へ獄長が参加した折、いつものように殴り合いとなりアラタメ堂のご主人の腹を殴っていたが、アラタメ堂は「ぐぎゃ」と断末魔の声を残して地に落ちた。


獄長は店に来た状態で随分と酔っぱらっていたようであるが、そこからもウイスキーのストレートとハイボールをぐびぐび飲みだす。ほぼ呂律が回らない状態で「カート・コバーンの音楽わ衝撃らった・・・」と語りだす。ヒゲの総帥はニルヴァーナの【Smells Like Teen Spirit】のイントロをおもむろに弾きだす、「そうそう、これこれ、これとかオアシスとかな、衝撃らった」というので、ヒゲの総帥はオアシスの【Wonderwall】のイントロを弾きだす。いつの間にかいちげんさんのバー経営者も椅子にちょこんと座っており、楽しそうにその様子を見ている。


獄長は自身とオアシスの出会いについて語りだす。ところがすでに深く酩酊しているため、話しはいつの間にか「おはぎ」になっている。ヒゲの総帥と冷泉はそのおかしな関連紐づけに苦笑しながら獄長の話しを拝聴しているが、腹の底では早く終わらないものかと同じことを考えていたであろう。するとタイミングのいいことにゴガッという音がしてドマツ先輩がやってくる。


オアシスとおはぎが入り混じる話しに頭がついていかなかった凡庸なるヒゲの総帥はこれ幸いと早速、ドマツ先輩に話しをふる。「肋骨の調子はどんな感じですか?」とヒゲの総帥の呼びかけに、さっと上着をあげて肋骨を固定するサポーターを見せ、言わずもがなの状態だといわんばかりにニヤニヤと笑うドマツ先輩であった。そして山の向こうからファラオもやってくる。


しばらくして冷泉と獄長は店を変えて飲みにいくためコロマンサを出る。それと入れ替わりのタイミングぐらいであろうか、豚王のタッキーが名医を連れてやってくる。聞けば近くに名医が行きつけの「血みどろ」という料理屋があり、そこで食事を済ました帰りに立ち寄ったとのことをヒゲの総帥に告げる。この「血みどろ」という店はガルパンの男も行きつけの巷の名店であり、ショウガ鍋がなんとも美味だとのこと。


ヒゲの総帥はタッキーと名医の出会いのキッカケを話してくれたまえとタッキーに伝える。


・・・かれこれ20年ほど前。


東心斎橋でヤクザにボコボコにされたタッキーが・・・。


そこからはすっかり忘れてしまったので割愛させていただくが、なんにしても心に深い傷を負ったタッキーが診察してもらったのが、この名医であるとのことであった。そんなタッキーも音楽業界から足を洗い今では年商100億を売り上げて世界を駆け巡るビジネスマンとなった、「とにかくアモさんにはめちゃくちゃ鍛えられました」というタッキーは誇らしそうであり、なんだかわからないが無性に殴ってやりたくなるのである。「俺も今の拓也(タッキー)がイキイキしてるのを見ると、羨ましいなって思うよ」とは名医からの言葉である。


「タッキーもここで頂点。栄華の極み。そろそろ僕みたいに、ええっ?今のタイミングで!?ってときに地位も何もかも捨てて、一度仕切り直ししたほうが心のためにもいいだろうね。ビルドしたものをまたスクラップにして、次のステージへ移ろうではないか、後顧の憂いをなくしてね」とヒゲの総帥はタッキーへ握手の手を差し伸ばすが、タッキーは引きつった笑いを浮かべながら「絶対にイヤです」とハイボールをグビと飲み干す。ヒゲの総帥と名医はその様子に爆笑する。


「失礼を承知でひとつお伺いしたいのです。それだけの安定した収入を手にしていても、まだ気に食わないことがあるもんですか」とヒゲの総帥は名医のほうへ話しを向ける。


名医は「もちろんだ」という。自分自身は何ら以前のチンピラから変わることはないのだが、周囲は自分を医者と慕ってやってくる。先生というのは一般的な対人関係とは一線を画したひとつの役であり「先生、先生」と呼ばれて、名医の男も先生として周囲が望むように毎日を過ごしているが、それは仮面をつけているような息苦しさを感じるのだとことを打ち明ける。なるほど、そういうものであろう。


版画家の万作よりも幾つか年齢が上の名医であるが、その姿は非常に若々しくみえる。それは彼の人間性の根幹が生きている証拠でもある。そしてやはり適度に節制をして適度によいものを食べているのでもあろう。


気がつくと店にはヒゲの総帥とタッキーだけになる。こうして二人きりで飲むのも久しぶりであろうからと、ヒゲの総帥はタッキーを誘って外へ飲みに行くことにした。こうして二人きりで飲むなどというのはいつぶりであっただろうか。


そんなタッキーは、近々、ヒゲの総帥が愛してやまない世界的なフレンチレストランのシェフを何かを企んでいるのだということを教えてくれた。ヒゲの総帥はそこのレストランのレシピ本から音楽のアイデアのインスピレーションを学んだものである。


d0372815_19264697.jpg

[PR]
by amori-siberiana | 2018-02-28 19:36 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、先週の金曜日のこと。


パソコンのキーを10時間ほど叩きまくったあと、ヒゲの総帥は税官吏の男を連れて店に行く。店に到着するとすでにハイタッチ冷泉と殿様のような高笑いをする副社長の男、四川省の男やゲーム会社のスタッフたち、そして俳優の男など大勢が乾杯をしようとしていたところだった。この日は冷泉とバイリンガルの女が主催する異業種交流会という趣で、それぞれが自己紹介したり名刺交換をしたりと賑やかにやっている。


多分、忙しくなるだろうからと助っ人にきてくれた宗教画のモデルの女は「あ、なんとかなりそうやん」との言葉を残してそのまま他の飲み会へ行く。ヒゲの総帥と四川省の男は初対面であったが、双方が音楽を嗜んでいたという経歴を持っていることから、互いのバンドの名前を知っていた。


バイリンガルの女は壇上で自分のもつ仕事に対しての疑問や不安などをいう。そしてその疑問に答える形でバイリンガルの女から指名された人間が、それに対しての自己見解を述べるというものであった。俳優の男などはプロのサッカー選手になり、気がつけば俳優になっていたのだと数奇な半生を語る。


そして、四川省の男の番になる。ヒゲの総帥がこの男を最初に見たのはドマツ先輩が経営する世界の果て会計事務所のセミナールームであった。ヒゲの総帥はスタートアップ・ウィークエンドというものを参加見学させてもらっていた、スタートアップ・ウィークエンドというのはこれから事業を起こそうと考える人間たちが、実際にその場でアイデアや意見を持ち合い出しあって事業プランを作り上げ、それが実際に社会で通用するものなのかどうかを検討するレクリエーションである。


三日間にわたって繰り広げられるスタートアップ・ウィークエンドの最終日。参加者のビジネスプランの審査として、グルグルの元社長やキャットパークスの社長が招聘されておりそのなかに四川省の男もいたのだ。


「生意気な、クソベンチャーをやってます」という自己紹介は素晴らしいものであった。


四川省の男は自身の仕事についての考え方や感じ方を若い世代にゆっくりと説明していく。親が自分のことを生んで良かったと思ってくれるような生き方がしたいなど、ゆっくりゆっくりと全員の理解を確認するように話しを進めていく。自分の周囲には優秀な人間が沢山いる、自分は何もできないがその優秀な人間たちに会社へ来てもらい、その優秀な人間が勝手にお金を儲けてきてくれるのだという。「だって彼らは優秀ですから」と笑顔で語る四川省の男の表情はこの男が人たらしであり、この男に出会う人々に好印象をもたらすであろうことを如実に感じさせる愛嬌を備えていた。


聞くところによると、何があるのかまったく教えられないままに冷泉からクントコロマンサへ来いと連絡をもらったのだという。四川省の男の話しのあとに周囲から拍手が起きる、冷泉は満足そうに椅子から立ち上がりながら「そしたら・・・、殴り合いしましょか」と四川省の男を誘う。そのときである、ゴガッと締まりの悪いガラス戸が開く。


やってきたのは北濱最強の男ことクモン提督と北濱のオフィスの連中である。冷泉はクモン提督にも殴り合いをしないかと呼びかけるが提督の専門はラグビーなのでタックルならと二次提案をする。「ほな、ちょっと、やってみてください」と冷泉はクモン提督に告げ、クモン提督は冷泉にタックルをする。タックルをされる瞬間、冷泉の目から「こいつはヤバイ」というツイートがみえたのをヒゲの総帥は見逃さなかった。冷泉の体がふわりと上に浮く、さすがは強豪ニュージーランドにて鍛え抜かれた提督のタックルである。


夜は更け、店内では終電を諦めたゾンビたちが、笑ってはいけないゲームを開始することとなり、厨房では三白眼の万作がぼんやりと皆の笑顔の向こう見えていた。


四川省といえば、成都。成都といえば蜀である。そして蜀といえば劉備と諸葛孔明である。孔明の天下三分の計によって蜀を得ることとなった劉備であるが、愛嬌と義侠心で国を作った男を支えたのは、やはりいろんなことに精通した孔明の知恵あってこそである。優秀な人間が勝手に仕事を大きくしてくれるという四川省の男の言葉が心地よく響く。


d0372815_20384533.jpg

[PR]
by amori-siberiana | 2018-02-23 20:39 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


一週間ほどブログの更新が滞っていたのだが、これから決算期を抜けるまでは多忙を極めるわけであって、ヒゲの総帥としても文章を書く余裕がないのである。これは1のことを10に言っているわけではなく、10のことを10のままに伝えているのだ。虚栄心旺盛で詭弁家のヒゲの総帥にしては珍しいことである。


先日、ヒゲの総帥の母親からメールがあった「2月の11日以降のブログが読めないのだが、どうしたら読めるのか」と、もちろんこれはシステム的な不具合ではなく、ただ単に偉そうにヒゲを生やした息子が執筆していないからというのが原因の根本である。


さて、2月14日のバレンタインデーの話しをしようか。


世界、いや、正確にいえば日本だけが甘ったるい忖度のなかにいる日である。小説家の平尾先生が香川県から北濱へやってくるというので、ヒゲの総帥は店に向かう。店内でぽつねんと待つ平尾先生であったが、どうやらヒゲの総帥に相談ごとがあるのだという。内容はあみだくじのその後についての話しであったのだが、この件に関しては非常にデリケートなため文面では割愛させていただく。ヒゲの総帥は店でする話しでもあるまいと先生を連れて、もんじゃ焼き屋へ向かうことにした。


先生がいうには地下鉄の堺筋線が人身事故を起こしていたため、北濱が陸の孤島になっていたのだと教えてくれる。こういった場合、大体は堺筋線ではなくその先の阪急電鉄でのトラブルであることが相場なのだが、この日もそうであったであろう。深く調べたわけではないが。


店に戻ってくると裁判官の女が版画家の柿坂万作となにやら話しをしている。醤油売りの女も来たかったそうであるが、身体を病んでしまっているので今晩はごめんあそばせという伝言もいただいた。しばらくすると、山の向こうからファラオがやってくる。さらにはハイタッチ冷泉の実弟であるジローもやってきて、とどめとばかりにゲームセンス・ゼロの女ことアシムも細い階段を上ってくる。


平尾先生は自身の新しい名刺をデザインしたアシムと初対面であり、早速ながら名刺のマイナーチェンジを要望するため打ち合わせをする。その光景をぼんやりと見ていたファラオであったが、平尾先生とアシムの打ち合わせが終わるとともに自分の名刺のデザインをしてもらえないでしょうかねとアシムに問い合わせていた。


アシムとファラオの打ち合わせが終了したあと、特にすることもないのでファラオ統括のもと皆でカードゲームに興じることにした。酒場で何もすることがないからカードでもという雰囲気になるのはヒゲの総帥の憧れでもある。ヒゲの総帥の愛読書はサマセット・モームの「月と6ペンス」という本であるが、この本でもパリのカフェの光景が何度も出てきて、そのたびにゲームに興じる人たちが躍動感をもって魅力的に描かれている。ゲームというのは自分のもうひとつの人生のようでもある。


そういえばコロマンサにはフランスものの音楽CDがないので、そろそろどこかで仕入れておきたいものだ。エディット・ピアフが流れるというのはなんら目新しくもなく月並みなBGMであるのだが、初歩の初歩ならではの定番というのもたまには良いのではなかろうか。



愛が私の朝を満たすなら

私の体があなたの手の下で震えるなら

苦労なんてなんでもないの

私の愛する人よ、だってあなたが私を愛してくれるんだもの


エディット・ピアフ


d0372815_18540975.jpg

[PR]
by amori-siberiana | 2018-02-19 18:54 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は二日酔いでグラグラしながら北濱のオフィスにいる。少々ほど残留していたデスクワークを終わらせて店に向かう。今日はアラタメ堂が主催するボードゲーム大会が開催されるので、カウンターを組み立て直して舞台にする。その舞台の上にイシュトヴァンのカーペットを敷いてちゃぶ台を乗っけるというのがアラタメ堂のイベントでの演出だ。ヒゲの総帥が到着するとすでに舞台は版画家の万作によって組み立てられていた。


舞台に敷かれたカーペットの上で寝転がるヒゲの総帥、万作はジンジャーエールを買いに出たり風呂へ行ったりと階段を上がったり下ったりを繰り返す。外では冷たい雨が降っている、なにがなくとも屋根があるだけでありがたいものだなと思いながらヒゲは目を閉じる。


星師匠も手伝いに店へやってきて、万作も風呂から戻ってくる。開店までの静かな時間を三者三様に過ごしている。すると、ゴガッという音とともに締まりの悪いガラス戸が開く音がする。「はて、アラタメ堂は開店してしばらくしてから来ると連絡があったのだが・・・」とヒゲの総帥は扉の方を向く。するとそこに立っていたのは主催者のアラタメ堂のご主人ではなく、ユージであった。


「ユージさん、外の看板ですけれど準備中になってませんでしたかね?」とヒゲの総帥は当然のことを当然のままに訊く。


「ええ、準備中になってましたよ」と当然のままに訊かれたことを当然のままに答えるユージのマイペースにヒゲの総帥は呆れて笑いだす。誰もが知っている山を目の前にして、これは山ですよね、そうですこれは山ですよというような珍妙で無益なやりとりにおかしさを感じたからだ。


そのすぐあとにアラタメ堂のご主人が来店して、店内を思いのままにデコレーションしていく。といっても大層なことではなく、テーブルクロスを敷いたりゲームセンス・ゼロの女ことアシコが製作したチラシをべたりべたりと壁に貼っていくのだ。山の向こうからファラオも大きなプラスティック・ケースを抱えてやってくる、今日は車で来ているとのこと、エジプトの王が乗る車はどんなものなのか興味があったが深く詮索してもそこにはありきたりの現実しかなさそうなので、想像だけで留めておくことにした。想像力に勝るものはないのである、それがどんなに事実とかけ離れた想像だったとしても本人のなかでは、より真実に近いものであるのだから。


大学生の女が枕を手に提げてやってくる、社会主義者のスージーがパソコン関係でのぼったくりの商売をした後に店に立ち寄る、手には星師匠へのヴァレンタイン・プレゼントが用意されていた。それらを皮切りに続々と客はやってくることとなった、オルガン横の一番奥の席では「カタン」、ユージの淡々とした語り口調が聞こえてくる。舞台ではスコットランドヤード・ゲームがブルーグラスの男と生物学者の女、異世界の住人エスタ、大工の梅ちゃんとカナダ人、高野山の女、そしてヒゲの総帥たちによってプレイされている。その他のテーブルではその他の人たちがその他のゲームをしていたのであろう。ヒゲの総帥はスコットランドヤード・ゲームに熱中していたので、周辺まで気に掛けるほどの余裕がなかった。


スコットランドヤード・ゲームとは何か。


プレイヤーは犯人と警察に分かれてロンドンの街中を鬼ごっこをするゲームである。イギリスの警視庁のことを「スコットランドヤード」というのでこの名前が冠されている。ところがこのゲーム自体が生まれたのはドイツである、舞台をロンドンに選んだのはドイツ人ならではの慧眼であろう。このあたりのセンスの良さはドイツ人の文化の高さを象徴するものであろう。これをプレイヤー馴染みの街などにしてしまうと、一瞬にして品格は地に落ちてしまうものだ。


モノポリーでも大阪版などがあるのだが、そういうことは想像の範囲内だけにして「こういうのがあればどうなんだろう」と具現化させずに留めておくべきアイデアである。夜に書く恋文と同じで形質を持った瞬間にそれは陳腐極まりなくなるのだから。ものを学ぶということは表現を留める判断ができるようになるということでもある。


スコットランドヤードということで、このゲームを愛してやまない男、豚王タッキーも仕事終わりにやってくる。ヒゲの総帥のネクタイを見るや否や、「あれ?アモさん、そのネクタイ僕の真似をして買ったでしょう」と言ってくる。これはとんでもない誤解である、ヒゲの総帥は色んなことに興味があるが、豚がどんなネクタイをしているのかなど人生のうちで一度も気に掛けたこともない。


「違うよ、これは前の会社の人間たちから誕生日にもらったのだ」と事実をヒゲの総帥は述べる。


「いや、アモさんは前に僕のネクタイを見て、いいネクタイしてるなって言ってましたよ」と豚も譲らない。この男とは国内外を問わずにあちこち行ったが、常にこういったチグハグな話しを楽しんだものだった。


そんな自身の判断と記憶力には絶大な自信をもつタッキー。彼はマッカラン(ウイスキーの銘柄)のハイボールをオーダーしており、マッカランが小さじ一杯くらいで中身が切れたので安物のウイスキーのハイボールを作って出すと、「このマッカランは美味しい」とグビグビ喉をならしていた。


場内のあちらこちらで笑い声があがり、鬨の声があがり賑やかになる。アラタメ堂はあちらこちらのテーブルでゲームのレクチャーなどをするため忙しそうである。厨房周辺ではゲームに関係なくハイタッチ冷泉とドマツ先輩が星師匠やミドリさんと何やら話しをしている。


しばらくして一旦落ち着いた頃合いになると、人狼ゲームが開始される。これも一般人のふりをして紛れ込んでいる狼を探し出すというゲームである、情報操作とコミュニケーション能力が大いに発揮されるゲームであり、奥は深い。


アラタメ堂の挑戦状にお越しのみなさま、ありがとうございました。



d0372815_11300162.jpg

[PR]
by amori-siberiana | 2018-02-11 11:30 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


ピョンチャンにてオリンピックが開催されている。ヒゲの総帥が仲間たちと事業を独立させたのが4年前のソチでのオリンピックのときである、あれから早くも4年が経ったのかとも思えば、大体そんなものだろうという気持ちもある。オリンピックが終わったあとロシア軍が急速にウクライナ領土のクリミア半島へ軍を展開させて半包囲したと報道されているが、それは事実と反している。正確にいえばオリンピックの最中に侵攻させていたのだ、狙いはもちろんのこと黒海にある天然エネルギー資源。宝が埋まっているのにこれまで手がつけられていなかったのは、ただ単純にその技術がなかったからであるのだ。ところがロシアはあるところから最先端の採掘技術を取り入れたので、早速腕試しをというわけである。


そもそも、ヒゲの総帥がウクライナに興味を持ったのはユーリア・ティモシェンコという当時の女性首相の日本における裏稼業を探っていた縁であった。彼女について探っている最中、彼女は解任されて起訴されて投獄される。もちろんこれはロシア側の策謀ではあるのだが、火のないところに煙は立たないの言葉もあるように彼女にとって痛いところを突く内容であった。ロシアからの刺客、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチという男を抜きには語れない壮絶な茶番劇であったが、それらを書くと長くなるであろうし、猫のひたいのような店とはなんら関係がないので割愛する。つまり、ヒゲの総帥は冬季オリンピックといえば自身がウクライナを追いかけていたことを思い出すのである。


さて、昨日のこと。


ドンドンドンと全体重を階段に乗せましたという感じの力強い音が聴こえる。これはハイタッチ冷泉の足音である、ゴガッという音とともに締まりの悪いガラス戸が開く。そこに立っているのは冷泉であり、恰幅のよい客人を連れてきている。豆腐大王と名乗る男であった。


ヒゲの総帥は豆腐大王と冷泉と飲みながら話しをする。豆腐大王がどうやって帝王になったのか、また中国にて国賓の扱いを受けたが明らかに中国側は豆腐の元祖ということで、態度は尊大であったということなどを話してくれる。豆腐大王は新しいシェア獲得を狙うため、冷泉に相談しているという具合であった。


「そもそも、どうして豆腐なんですか?」とヒゲの総帥は訊く。


「他にすることがなかったのです」と豆腐大王はいう、その返答の率直さにヒゲの総帥はウイスキーを吹き出して笑ってしまう。あらゆるアイデアを織り交ぜて豆腐業界を牽引するこの大王の発想の源は何なのかと訊いてみると、「インターネットで検索したら情報が勝手に出てくるんです」とこれまた率直でスマートな回答であった。


オルガン横のテーブルにて豆腐三昧の談義をしている三人のところへ誰かがやってくる。冷泉の弟のジローである。小さい頃は兄から「ギョウチュウ」と呼ばれていたそうで随分とこっぴどくやられたのだとのこと。そのジローも今では丸太のような腕をしており兄と店内で殴り合いを披露することもしばしばである。テーブルは三人から四人となる。


さらに多角的になんでもかんでも経営をする男ことジバタが部下の面々を連れてやってくる。部下も個性派揃いである、他人の会話を聞かずに遠い目をして素数を探す男ヒーラー、インバウンド部門を切り盛りするバイリンガルの小鹿、そしてベジータのようなハゲが目前に迫ってきているケビン、さらにジバタの会社に入社したばかりの男である。


ちなみにこのブログはヒゲの総帥の母親も読んでいるので、自身の母親向けに説明しておく。インバウンドとは何か?


外国から日本へ来る旅行者たちの重たかろう財布の中身を減らして、軽くして帰国させてあげる優しいビジネス形態のことである。バイリンガルというのは日本語以外にもうひとつ外国の言葉を操れる人のことである。


店の中央に置かれた七輪を全員が囲んで話しをする。


ヒゲの総帥は自分では靴下を履けないほどに腹の突き出た豆腐大王に「ファミコンはできますか」と質問する。豆腐大王は考えながら、少し間をおいて「できません」と答える。大王の絶妙な間合いの取り方から弾きだされた切れ味抜群の返答に一同から笑いがおきる。


そう、笑ってしまうとウイスキーを飲まなくてはいけないというゲームが始まっていたのだ。


夜は更ける、週末らしく賑やかで楽しい一夜であった。


ヒゲの総帥の友人のバイオリン王子は小さい頃に母親から、「オマエなんて豆腐のかどで頭を打って死んじまえ!」といわれたそうだが、いつ思い返してみてもエレガントで美しい言葉である。


d0372815_13372061.jpg


[PR]
by amori-siberiana | 2018-02-10 13:37 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


一週間が早い、これほどまでにサッサと月月火水木金金が過ぎていくのかと考えると、今年という一年は随分と容赦なく終焉を迎えるのではなかろうかとヒゲの総帥は考える。とにかく早い、つい先日ほどに年が明けたはずなのにもう次の月に入っている。


今日は木曜日であるので、月曜日からのことをブログに書きたいのだが、今さら月曜日に何があったのかといわれても思い出せない。特になにもなかったので思い出せないのであろうが、特に思い出せないなかにも何かあったであろうが忘却の彼方に埋没しており、そこから引き揚げてくることは容易ではない。常連のガルパンの男と不思議な女とハイタッチ冷泉、グラフィックデザイナーの男がいたことは確かである。ジョニー・デップ絡みで映画の話しをしたような気はする。


それで火曜日。


ヒゲの総帥が全体主義の要塞から抜け出して店に行く。しばらくして冷泉がある男を連れてくる、北海道と東京と大阪と四国とオーストラリアをひっきりなしに往来する男であり、アウトソーシングの会社を経営しているそうだ。本社が香川県の高松にある会社で、香川県といえばヒゲの総帥の故郷である。「なんか、お互い、方言で、しゃべってください」と冷泉が頼むのでそれとなく讃岐弁で喋る二人の香川県人。


人の役に立てば自然とお金は入ってくるという理念のもと、日本中を股にかけて飛び回る若き香川の男にヒゲの総帥は多少なりとも嬉しさを感じた。


「地元の人間には仕事をなんしょるいうていいよんな」とヒゲの総帥はアウトソーシングの男に問いかける。


「お前、仕事どよんしょんないうて、よう言われるけど、説明したってひとっつもわからんきんな、もう言わんようにしよらいで」とアウトソーシングは答える。


冷泉は二人で交わされる会話のあいだに挟まってニヤニヤしている。しばらくすると、人妻とママチャリを操る経営者の男が部下とやってくる、男にドレスを貸しまくるアドビ女史も一緒にくる。この部下の男だが、先日、酔っぱらった勢いでギターの弾き語りをし、その場にいなかった社長をネタにして店内の爆笑を誘っていたが、この日は社長と一緒なのでおとなしい。


「あれ、やってよ。あの弾き語りをもう一度聴きたいな」とヒゲの総帥がいう。「もう、勘弁してくださいよ。ホンマに」と部下の男は敵前逃亡しようとするが、目の前の社長から「やれ!」と一喝されて泣く泣く弾き語りをすることになった。これがまた面白い。アラタメ堂のご主人と釣り師の女もいい頃合いでやってくる。


先日、この部下の男は会社の製品を自己の判断で原価割れにて売りさばいてしまい、それはそれは壮絶に社長から怒られたのである。怒られたその日にコロマンサへ来て歌った曲のクオリティには遠く及ばないものであったが、それでもこの日も愉快であった。


それで水曜日。


夕方からヒゲの総帥は税官吏の男を連れて店に行く。この男がボードゲーム好きだと聞いて、是非ともアラタメ堂のご主人に会わせたいと思ったのだ。二人で店に到着すると、すでに自称302才のギャラリーの女と大和高田の芸術家の男、不動産デザイナーの忌部、そしてハイタッチ冷泉とチェ・ゲバラの男が佇んでおり、すでに賑やかにやっている。少し遅れて常連のガルパンの男や不思議な女、そしてアラタメ堂のご主人とヘルベンツがやって来る。


それぞれテーブルごとに何らかの話しをしては、七輪の上で版画家の万作が持ってきた干した芋であったり冷凍してあった餅であったりを焼きながら、グダグダと飲み続ける。


会話のひとつひとつが面白かったのだが、細部にこだわってそのディティールを伝えるほどの体力がないので、今回は割愛させていただく。なんとも味気のないブログになってしまっているが、そこはどうか寛容にしていただきたい。


明後日はいよいよアラタメ堂の挑戦状である。


d0372815_20333126.jpg

[PR]
by amori-siberiana | 2018-02-08 20:34 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


ヒゲの総帥が万作に請われてこの店の再建を志した真夏からというもの、沢山の人と出会うことになり、また沢山の贈り物をいただいた。当初、万作もこれらの品を「誰々さんからお店にということで預かっとります」と報告していたが、いつしかそれもめっきりなくなった。贈り物がなくなったのではなく、報告が一切なくなったのだ。一度ならずもヒゲの総帥は万作に「お店にいただいたものは、いただいた人に対してきちんと礼を言いたいので、その度に報告するようにしてください」と口酸っぱくいうのだが、どうやら馬耳東風の模様である。


どうしてこのようなことに言及するのかといえば、版画家はもらったものをしまい込んだまま腐らせてしまうことが度々あるからだ。「あー、腐らせてしもうた。うーん、なになにさんにもろうとったもんやのに」というセリフをこれまで何度聞いたことか、できればそういうことは今後避けたいものである。この猫のような小さな店でキャピタリズムを体現したとしても、誰も褒めてはくれないのであるから。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥はおかしな映画を観た。「チャーリー・モルデカイ 華麗な名画の秘密」という2015年の映画である、主演はジョニー・デップ。


素晴らしくバカバカしい映画であったが、ヒゲの総帥にとっては痛快で愉快なものであった。セリフのひとつにもユーモアが詰まっていて、何度も頭のなかで反芻させては思い返して笑うという具合だ。そもそもジョニー・デップという俳優はカリブの海賊の親玉になる前はとんでもなくバカバカしい映画や理解不能な一見して無駄に思える映画に多数出る人だった。そのひとつひとつがこの俳優の並みならぬ力量を如実に物語っていた。


ジョニー・デップ主演の映画でヒゲの総帥は何が一番好きかと問われれば、「エド・ウッド」であると即答する。監督はジョニーとはコンビを組むことの多い、ティム・バートン監督。実在した史上最低の映画監督の伝記的な映画であるが、この俳優の魅力がふんだんに詰まっている。


カメレオン俳優とも呼ばれるジョニー・デップであるが、実際のところそれほど演技の振れ幅は広くはない。根本にある三つほどのキャラクターを映画によって使い分けて、細部のディティールを変更修正したりして対応しているのだ。つまり、職人芸なのである。三つの大工道具しか持たずに砂漠の宮殿を作ったり、冷たい監獄を作ったり、無人島の密林のなかにある高床式住居を作ったりするわけである。


ジム・ジャームッシュが監督した「デッドマン」など退屈な映画でヒゲの総帥は三日ほどかけてやっと一本を観たという具合だが、どうにもジョニーの演技が記憶に染みついている。彼自身が監督した「ブレイブ」も退屈さでは劣らずといった具合だが、より深みの出る演技をしていた。もちろん「妹の恋人」での一切退屈しない存在感や「ギルバート・グレイプ」や「シザーハンズ」での印象的な物憂い表情も忘れてはいけない。


どうして急にジョニー・デップ談義になっているのか、このブログをお読みの大半の人はわからないであろう。そういう気分なのだ、それ以外にない。もちろん仮想通貨に関しての何らのヒントもない、仮想通貨の情報をもらおうとして会ったこともないのにFacebookでヒゲの総帥に友達申請してくる人たちに告ぐ。


ファック・ユー。


先日、冷泉の喜楽鍋の席上において、ヒゲの総帥は自分の根底にはいつもジャーナリズムがある。好奇心をもったが最後、どうしてもそれを突き詰めないと気が済まない。つまり、それによって自分の人生が振り回されているのだという。それをふんふんいいながら聞いていたチンピラの男は「もしかして、胸にGONZOって書いてるんちゃいます?」と笑いながらヒゲの総帥に投げかける。だが、それに同席していた誰もが「?」となる。チンピラの男は「えっ!ほんまにGONZOを知らんのですか」と驚くが、誰も知らないのでお手上げというものだった。


チンピラの男がいう「GONZO」というのはジャーナリストのハンター・S・トンプソンのことだ。ジョニー・デップが彼の役になり「ラスベガスをやっつけろ」という映画に出ていたことをチンピラの男は説明して、やっとのことでヒゲの総帥は誰のことをいってるのか理解できた。


GONZOというのはジャーナリズムの異端であり、客観性が求められるジャーナリズムの対極に陣取る。自らを取材対象の中に投じてその本質を伝えることを重視するというスタンスのことをGONZOという。あの映画のジョニー・デップの静かにまくしたてる、そのジャーナリスト風の喋り方は凄かったなと思い返していた矢先に昨日の映画である。




まず事実をつかめ、それから思うままに曲解せよ


マーク・トウェイン



情報先行型の昨今、そんな生き方が今は必要とされているのではないだろうか。難しいことを難しい言葉で語ることは誰にでもできる。難しいことをそのまま内容を省かずに平易に語れることが、真のジャーナリストであり、偉大なる先駆者なのである。



d0372815_19403798.jpg

[PR]
by amori-siberiana | 2018-02-05 19:41 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日店では全身黒ずくめの男、ハイタッチ冷泉が主催する「喜楽鍋」が行われた。この喜楽鍋も今回から名前を代えてはいるが三度目の開催となる。第一回目も第二回目も大惨事であったのだから、第三回目も大惨事であろうことは容易に想像できる。


午後15時を過ぎたころ、店でヒゲの総帥と冷泉と星師匠は合流して近くのスーパーへ買い出しに出かける。版画家の万作は早めに風呂へ行く。土曜の日中のスーパーマーケットに黒ずくめの男が入っていき、そこで野菜などを選んでいる光景は珍妙であるので思わず笑えてくる。


買い物を終わらせ店に戻ると、冷泉の知人である瀬戸内の女と地吹雪という名の女が手伝いに来てくれる。冷泉はひたすら鍋の加減を調整し、ヒゲの総帥は豚肉を切る、星師匠は大葉を乱切りにして、瀬戸内の女はニンニクの皮をむく、そして地吹雪の女は白菜をぶった切る。「白菜からいつ虫が飛び出してくるのか恐ろしい」といいながらも地吹雪はニヤニヤしながら包丁を突き刺す。危なそうな女である、


しばらくすると陸サーファーのディエゴがやってくる。「何をしにきたのだ」とヒゲの総帥が無愛想にいうと「はい、お手伝いにきました」と清廉潔白な様子で返答をするディエゴ君。それならばとヒゲの総帥は自身が飽き飽きしていたショウガのすりおろし業務をディエゴに引き継ぐ。そして宗教画のモデルの女も手伝いにやってきた。最後は冷泉と万作がつくねを丸めて終了というところだ。


ゴガッと締まりの悪いガラス戸の音がする。まだ開店していないのだが、誰なのかと全員の視線が扉に集約される、そこにいたのはメガネが真っ白に曇らせた真っ赤なセーターを着た男。世界の果て会計事務所というおかしな名前の会社を営むドマツ先輩であった。「なんかまだ準備中になってましたよ」とドマツ先輩は当然のことをいう、準備中なのに準備中はおかしいなと入店してくるこのドマツという男は余程クレイジーなのであろう。


そのドマツ先輩であるが、先日冷泉とふざけあって殴り合いをし、肋骨を折ったのであるが日が過ぎるごとに患部は痛くなり、今では胸部に白いコルセットのようなものを装着していた。痛みのひどかったときは目と鼻の先の場所へ行くにもタクシーを拾わないと行けなかったのだそうだ。今でも笑っただけで肋骨は痛いのだそうだが、このような笑いしか起きない場にやって来るとは、相当であろう。


店の準備はできる、最初の客が来る。ユージである。


このユージという男も一風変わった風情をもつ男でマイペースが服を着て歩いているような男だ。もともとは歌手のアハハの女のイベントで来店したのがキッカケであったように記憶しているが、今では何がなくともコロマンサに足を運んでくれるようになっているのだ。その抑揚なく淡々と語る独特の口調はヒゲの総帥のお気に入りでもある。今日は店にボードゲームの貢物を持ってきたのだという。


特に喜楽鍋に参加しに来たのではなく、ボードゲーム「カタン」を手渡しにした様子がなんともいえないユージ独特のユーモアである。ちなみに最近のヒゲの総帥はユージとアラタメ堂の物真似が得意である。


ユージを皮切りに続々と人はやってくる。「カッハッハッハ」と殿様のような笑い声を耳にすれば副社長ばかりする男がやって来ているという情報は耳から伝わってくる。京都からレース狂のマッサージ師もやってくれば、同じく京都からヒゲの総帥の旧友であるらっきょもやってくる。映像作家の熊もやってくればチンピラの男、そしてアラタメ堂のご主人、ブルーグラスの男に自称301才のギャラリーの女、アハハの女に銀行コード0001の男たちも何処からか湧いてくるように出現する。宗教画のモデルの女はひっきりなしに給仕をしながら、やっぱりひっきりなしに酒を飲み続ける。


扉開けてすぐの厨房は飲み物を提供する場、そして店内正面では万作の絵画を背景にして冷泉が喜楽鍋を客人たちに振舞う場となる。


そこからも入れ替わりながら続々と客はやって来る、怖いもの見たさでシベリアンなんちゃらの客までやって来る。


奥のテーブルでヒゲの総帥が話しに熱中していると、店内が一層ガヤガヤしだす。「やはり、はじまったな」と思い喧噪の方へ目を向けると予想どおりで殴り合いがはじまっていた。猫のひたいのように小さな店であるが客人が多くなると視界はさえぎられて、店の全体像は掴めなくなるのである。旧友のらっきょは好奇心旺盛な目で殴り合いをニヤニヤしながら見る。


いつしか鍋を提供するカウンターは冷泉に代わってチンピラの男が常駐しており、冷泉と殴り合いをする人間を募っては、殴り合いがはじまると「もっと、こう、リズムをキープして」と互いの殴り合いをメトロノーム化させようとけしかける。まるで「はっけよい、はっけよい」と声をあげる相撲の行司のようである。


凄絶な殴り合いの最中、旧友のらっきょはトイレはどこだとヒゲの総帥に問う。ヒゲの総帥は指を差しながら「あそこにあるんだが、殴り合いの前を通ることになるからタイミングを間違うと巻き込まれることになるぜ」と旧友のよしみで注意喚起を促す。らっきょは「わかっとる、わかっとるからタイミングを見とるんやないか」と承知する。


しかしながら、ヒゲの総帥が先ほどトイレを指さしたとき、トイレの簾に殴り合いから隠れるように陸サーファーのディエゴが潜んでいたのを見てしまった。これはいけない、あんな場所に陣を構えられてはらっきょがトイレに入れないではないか、ヒゲの総帥は旧友への優しさから一計を思いつく。殴り合いをしていたチンピラの男に「その首からかけたシルバーアクセサリーが気に食わないとディエゴが言ってるぞ」と流言飛語を飛ばす。


策は見事に当たり、ディエゴはチンピラの男に呼び出される。「勘弁してくださいよ、絶対に目を付けられると思って隠れてたのに」とディエゴは簾の向こうから這い出てくる。チンピラの男とディエゴが対峙する、冷泉は「ほんじゃあ、これが最後」と殴りあいの終了宣告をする。その宣告のすぐあと、ふと、誰かの肩の緊張感がなくなったのを気配で見てとったヒゲの総帥。誰であろうかと視界を索敵すると、アラタメ堂のご主人の背中があった。


これはいけない、今の時代、一寸先は闇である。どんなところでも緊張感を持っていなければいけないのである、大先輩ではあるがここは後輩からの愛の鞭だと思っていただきたい。ヒゲの総帥は「アラタメ堂が、僕のことをどうして殴ってくれないんですかと言ってます」とチンピラの男に進言する。「どうして、僕なんですか!」と素っ頓狂な声をあげるもイカれた群衆心理に背くことはできず、アラタメ堂はチンピラの男の前に引きたてられる。なるほど、こんな感じで魔女狩りは行われたのかとヒゲの総帥は他人事のように中世ヨーロッパの暗黒歴史に想像の翼をはばたかせる。


チンピラの男の拳がアラタメ堂の腹をめがけて一閃、「ぐぎゃあ」という断末魔の声をあげてアラタメ堂は崩れ落ちる。ギロチンは見事に落とされたのである。熱狂する群衆、21世紀を迎えた北濱であろうとグラディエーターの活躍したコンモドゥス帝が悪政を布いていた頃の古代ローマとあまり変わりはないものだと失笑しながらヒゲの総帥は酒を飲む。

殴り合いを終えた副社長がヒゲの総帥に向けて何か弾けという。望むところである、ちょうどアハハの女も隣にいたので演奏をする。音楽というものは猫のひたいで起きた森羅万象を洗い流すような勢いで鳴り響く。上手とか下手ではないのだ、ただ音によって発生する安定の効能を皆が知っているのである。そしてまた何事もなかったかのように喜楽鍋をつつく宴は続行された。らっきょは無事にトイレへ行く。


夜も更ける。


冷泉は来場者に礼をのべて、そのままハーメルンの笛吹きのように数人の猛者を連れて魔境へ旅立っていった。


革命が終わったあとの間延びした店内には日も変わろうかという時間であるのに、常連の不思議な女やガルパンの男などが残り、遅れてやってきたヘルベンツといつもと変わらぬ会話を楽しんでいた。ここにきて時間の流れは緩やかになり、その緩やかさは見たこともない大いなる川をヒゲの総帥に想像させた。


川はいずれ海に出る。日本語では海という漢字のなかに「母」があり、フランス語では母(mere)という文字のなかに「海(mer)」がある。


ヒゲの総帥の故郷の香川では、平野部でも珍しく雪が降り積もったのだそうだ。


d0372815_12513991.jpg

[PR]
by amori-siberiana | 2018-02-04 12:54 | 雑記 | Comments(0)


北浜のビジネス街にある、昭和レトロなカフェのブログです。            大阪市中央区淡路町1丁目6の4 2階上ル
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30