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画廊喫茶フレイムハウス、秋の万作祭の第二弾は、マルチプレイヤーのムラカミマイさんをお呼びしての演奏会となります。そして女将軍トリロジーの第二部でもあります。


第二部:【天上人は猫のひたいに舞い降りる ムラカミマイを囲む宴会】


マルチプレイヤーというのは、大体どんな楽器でも演奏できる人のこと。「私はマルチプレイヤーになるのだ!】と意志を持ってそうなる人は、ほとんどいません。多分、流動的にあれもこれもやってみたら出来てしまったというのが積もり積もって、いつの間にかマルチプレイヤーとなってしまっているのではないでしょうか。


彼女の音楽性は、彼女の個性をそのまま鏡のように映しています。ガハハハとウイスキーをあおりながら世の中を笑い飛ばす豪放磊落(ごうほうらいらく)な性格と、慎重に繊細な絹糸の縫い目を数えていくよう、一歩一歩、探し物を見つけようとする性格が混在して、それでいてそれらが絶妙な塩梅で調和をとっているという、不思議な現象を起こしています。その多様性は、まるでひとつの銀河系を見ているよう。


右目では望遠鏡をのぞきこみ、新しい彗星の到来を待ちながら、左目では顕微鏡をのぞきこみ、石英の結晶の文様を執着偏愛するというような、音楽性です。


全然、わからないですよね。


だからこそ、一聴の価値アリと拝み倒して彼女に猫のひたいへ来てくださいとオファーをしたのです。


ベネズエラの弦楽器、アイリッシュフルート、ギター、歌などなど。風や植物のように生きていきたいと願う彼女の紡ぐ魔法の音楽を是非、お楽しみください。


前半は彼女のオリジナル曲から、後半は店に常駐するヒゲの男もギターで加わっての突発的なオシャレ音楽です。


入場はもちろん無料。ムラカミマイさんの交通費と食費をみんなで割れるぐらいの寄付があれば、それで十分です。

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お問い合わせは 


◆takaoamori@yahoo.co.jp


ムラカミマイさんの情報


◆https://murakamimai.wixsite.com/nido (ホームページ)

◆http://murakamimai.blog.jp/ (ブログ)

◆https://twitter.com/murakamimai (Twitter)


※ちなみに彼女のブログのタイトルは「イマミカラム」。お名前のアナグラムですね。


ついでに柿坂万作(カキサカマンサク)をアナグラムにしてみると、「カカサマ キンサク」とかになります。


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by amori-siberiana | 2017-09-15 18:24 | イベント | Comments(0)

こんにちは、北浜にて猫のひたいのような小さな店。画廊喫茶フレイムハウスを共同経営しているかも知れない阿守です。


北浜、北浜といっても、どのへんの北浜の話しがメインかといえば、堺筋という大通りの東側のお話し。もしかすれば、あと何年かあとには北浜全土についてお話しをすることになるのかも知れないが、今のところは猫のひたいのように小さな店だけの話し。


昨日の昼、ヒゲの男はエイリアンの居城へお邪魔して、ギャラリー経営とは何か?そのためのノウハウはどうすればいいのか?を訊きに行く。


「あのね!ギャラリーっていうのはね!オーナー、それぞれにやり方があってね!勉強になんてなりゃしないのよ!ギャラリーなんてしてるのは、変人ばかりなのよ!変人!あそこも変人、ここも変人、頑固な変人ばかりなのね!」とエイリアンはまくしたてる。


皆から、エイリアンと呼ばれるくらい変人の彼女のビュー・ポイントからみる「変人」というのは、究極、普通の人なのではないだろうか?とヒゲの男は腹のなかで思ったが、禅問答になりそうだったので口には出さなかった。


「フレイムハウスも雰囲気が変わったね!阿守さんが出てくるまでは、ゆったりした空間があったのに、今じゃ、以前のお客さんなんて来てないんじゃないですか?」とエイリアンは言いたいことをいう。


「そうなのかも知れません、自分が入ったことによって良かれ悪かれ変わった部分はあるでしょう」


「金だけ出して、お店のやりかたに口を出さなけりゃよかったのよ。そうしたら、北浜の連中から、阿守はよくやった!とでも言われたかも知れないですけどね!今、私の耳にはね、アンタがよくやってるなんて噂、ぜんっぜん!聞かへんわ」とエイリアンは鬼の首を取ったような勢いでヒゲの男に突っかかってくる。


「そうですね、差し出がましいことをしてしまったのかも知れません。まだまだ、粋と野暮がどんなものかわからないようで」


「アンタの世代ってそういう世代なの!?」


「いや、僕個人の考え方を同世代全体に投影して、その様式のなんたるかを論じるのは、一切の参考にならないと思います」


「フレイムハウスに、出来そこないのオーナーがやってきたのよ!」


「そうです、期待外れの、ボンクラというところでしょう」


エイリアンの言いたい放題はまだまだ続くが、ヒゲの男はなかなかこれは面白いなと得心しながら、エイリアンの話しをうなずいて訊いている。この女から語られる話しは、ほぼ雑音ばかりであるが、その雑音をかき分けてみると、誰も話してくれない真実が隠れていることをヒゲの男は直感で知っているからだ。


カール・セーガン博士が情熱を傾けた、SETI(地球外知的生命探査)もノイズをかき分けて、宇宙の向こうにいるエイリアンとの交信をその拠り所とするではないか。


エイリアンは「本当ならね、こういう話しは金を取るのよ、コンサルよ!あるのかないのかわからないようなことを書いて、文章一本でマンションを買ったんですからね!私は!」と言いながら、自己のギャラリー経営のことについて、ほんの少し語ってくれた。


ヒゲの男はギャラリー経営のことなど、さっぱり無知蒙昧であるので、これはとても参考になった。


ただ、やっぱりヒゲの男でもひどく凹んだ。


一緒にギャラリーへ連れていったプランナーの女も、「あそこまで主観だけでモノ言わんでもええのに…、口は出すけど、金は出さんような何もせん人に比べたら、阿守さんはマシ違う?」と慰めてくれた。互いの言い分があって世の中が成立しているのだ、何も言えない世の中に比べれば、それはひどく恵まれたことなのである。


意見の好き嫌いはあるが、だからといって意見を封殺してしまっては、人間は成長しない。


そのまま店へ行くと、大学生の女が来ていた。ファイナンシャル・プランナーの試験に合格したとのこと、合格発表はまだであるが、今の段階で合格したと公言できるのは、とんでもない自信だなとヒゲの男は思った。


ふと、店のカウンターに目をやると、見たことのないレンブラントの絵が飾ってある。


「ん?…」


レンブラントのようだが、よく見るとどうも違う。ヒゲの男は近寄ってみる、絵じゃなく写真だ!そして、そこに写っているのは女子たちに囲まれた、版画家の柿坂万作であった。


「あれ!レンブラントか何かかと思ったら、これ、鼻の下を伸ばした万作さんじゃないですか。この写真をどうしたんですか?」


「うーん、それ、最近ヒゲを剃った男のお客さんからいただきましてん」と、照れ笑いしながら説明するのは、被写体の主役である万作本人。


光のあたり具合、人物像の浮きでる感じなど、遠目に見ればレンブラントの絵画のようである。ヒゲの男はこの写真を気に入った。写真がレンブラントのように見えるのは、つまるところ、暗がりの店内での撮影のため、絶妙にピンボケしており、さらに解像度が低いからである。


ゴガッ!と音がして、締まりの悪いガラス戸が開く。


入ってきたのは、今月の30日、この場所で歌をうたう予定の吟遊詩人の女だった。吟遊詩人の女はヒゲの男と「竜と人間が生きていた時代」の音楽について、なにやら打ち合わせをしている。吟遊詩人の女がギターを弾き、ヒゲの男はその手の位置をメモする。


ヒゲの男は融通が利かない音楽家なので、テスト前の受験生のように音のひとつひとつを入念に調査する。


そのあと、カフェ経営のコンサルをする男がラジオ局広報の男を連れて来店してくる。ヒゲの男は自分に収入があるとき、ある有名FM局の番組枠を買いとって、自分の理想のラジオ番組を作ろうと考えていた時期がある。


ヒゲの男の理想のラジオ番組とは…。


それはヒゲの男の母親のフトしたひとことに起因している。そう、自分の息子が生まれた時間について一切の記憶のない女である。


その女がいうには、ひとりでドライブをして夕焼けを見に行く、自分のお気に入りの懐かしい曲がラジオでかかる。なかなかいい曲をかけるもんだと感心していると、曲が終わらぬうちに、おしゃべりなDJなる役目を負った人間が口を挟んでくる。まったくもってけしからん。先ほどの一瞬の感心を返上して欲しい。というワケである。


映画「ゼロ・グラビティ」。この映画の主人公の女(サンドラ・ブロック)が自分の娘を亡くしたときのことを、地球を遠望しながら相手の男(ジョージ・クルーニ)に話すシーンがある。そのやりとりのなかで、こういったセリフがある。


【娘を亡くしたとき】


「私はただ車で走っていた」、「馬鹿な死にかた」。


【娘が亡くなってからの彼女は】


「朝起きて、仕事に行ってドライブしている、ただ、それだけ」。


ヒゲの男はこの映画をみたとき、自分の母親と同じ境遇だと考えた。ヒゲの男の母親もとても若い娘を亡くしている。馬鹿な死にかただった。拒食と過食を繰り返し、必死に戦ったあと、自らの吐瀉物に埋もれたなかで内臓はその機能を停止した。最後は医療ミスによって、16年という短い期間で、彼女の心臓の鼓動は止まった。


最期のことばは、「水を飲ませて欲しい、酸素が欲しい」だった。


水!酸素!


幾らでもある。そこいらじゅうに幾らでもある!なのに、なんで死ぬんだ、バカ野郎!


ヒゲの男は、ラジオを使って母親を救いたかったのである。常々、ずっとずっとそうしたいと考えている。その場しのぎのバカ話しなどなく、ただただ、延々と音楽を繋いでいくというラジオ番組を持ちたかった。宣伝が入らないようにするには、自分が買いとるのが手っ取り早いと考えていたのだ。


しかし、その番組の実現は今のところしていない。


先日、名古屋でラジオのディレクターをする男が夜中に画廊喫茶フレイムハウスでラジオの意義について熱弁するのを、万作もヒゲの男も、来場者もしっかり聞いた。人と人の繋がりは、それだけで人をしっかりと救えるものだということを改めて知った。


人が人を救うこと。それが慈善であろうが偽善であろうが、そのようなことはどうでもいい。行為に先立って評価など気にしていては、何もできやしないのである。


ラジオについて話しをしていると、常連のガルパンの男と、この土曜日にフレイムハウスでイベントをするアラタメ堂の主人、不思議な女、そして、いちげんさんであろう山中湖の男がやってくる。一人がお腹が空いたというと、感染症のように空腹は訪れるもので、皆が「何か食わせろ」と一揆も辞さぬという表明をしだすので、万作は厨房でひっきりなしに料理を作る。


そういえば、30日、吟遊詩人の女はマイクを通して歌うのだろうか。ヒゲの男は吟遊詩人の女に確認をしてみるが、どちらでもいいとのこと。ありがたい返答である、この店にはマイクというものがないのだ。そろそろ、マイクくらい置いておいたほうがいいのだろうかと悩んでいたとき、ヒゲの男の電話が着信する。


相手は音響屋の浩司ばいである。用件はこれから店にくるとのことだった。


なんともタイミングのいいことだ、鴨がネギを背負って北浜へやって来るとの朗報に、ヒゲの男の胸は高鳴った。


浩司ばいは、ヒゲの男が音楽家をしていたときに、無理難題ばかりをヒゲの男から押し付けられては、それを実現させてきたという男である。ヒゲの男にとっては救急救命士のようなものだ。


まもなく浩司ばいと、イベント統括の男、プランナーの男、アンビエント音楽家が店にやってくる。店内は混雑している。


逃げ遅れた吟遊詩人の女は、そこでやっぱりカントリー・ロードを歌うことになってしまうのであったが、最後は拍手喝采に包まれた。彼女をキッカケにして、店内ではあちらこちらでギターが響き、取り留めもない音楽というジャンルの作曲合戦が行われるのであった。


遅れてやってきた斥候の男が万作にいう。内容はさすがは斥候という感じだ。


「ここ税務署、来た!?近辺、入られてるみたいやで」


まだ、税務調査官が来ていないことを万作は斥候の男に伝えた。


税務署で働く人間に、多少の想像力と判断能力があるのであれば、こんなところへ来るはずはなかろうとヒゲの男は考えている。


予想外かも知れないが、ヒゲの男、実は税務処理は完璧であるのだから。石から血は絞れないのであることは、子供でもわかる。

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by amori-siberiana | 2017-09-15 14:22 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北浜にて猫のひたいのような小さな店。画廊喫茶フレイムハウスを版画家の柿坂万作さんと共同経営している、阿守のブログです。


お店は、先週までの喧噪はどこへ行ったのか?というような、静かな一週間が続いている。こういうときは読書でもすればいいのかも知れないなと、ヒゲの男は唇にかかってくるヒゲを抜きながら考えたが、図書館へ行くよりもハローワークへ行ったほうが、身のためになるのではないかとも考える。


北浜をこれまでに散々と喧伝されてきた、ステレオタイプな大阪のイメージから独立させ、この一帯を稀代の英雄が跋扈するマンハッタンのようにしたい。我こそは北浜のラスプーチンになるのだと、おこがましくも差し出がましい理想を持っているヒゲの男であったが、店で一週間も暇が続くと、明日をどうやって生きようかという現実的で初歩的な問題の解決に全精力を傾けることになっている。


溺れている人間が、溺れている最中に「自身の泳ぎかたをもっと工夫しようかな?」などと考えたりはしないものだ。


とはいいつつも、秋の万作祭にむけて、やっておかなければいけないことは山ほどある。取りあえずはそれをこなしながら、ジタバタしても仕方なかろうと開き直っているのである。


画廊喫茶フレイムハウスという屋号は、秋の万作祭(9月30日~10月10日)の終了をもって新しい屋号に変更することとする。それとなく知らぬ間に変わっているようにしたいものだ。暖簾も新しいものを作り、名刺も新しいものを作り、店判も刷新しなくてはならない、古い酒を新しい瓶に詰め替えるだけのような作業だが、なかなか骨が折れそうだとヒゲの男は店でコーラを飲みながら考えていた。


「最大多数の最大幸福とは…」と、ベンサムのことばを頭のなかで繰り返しながら、ベンサムの遺体の頭部が、学生のいたずらの標的になっていたことを思い出し、皮肉なものだと笑ってしまうのであった。


さて、今日は書くべきことがない。雄弁の銀、沈黙の金というではないか。といっても、よく喋ったほうであろう。


新たな発見といえば、昨日、店にやってきた京都の女にカポタストの装着のしかたを教わったくらいのものであろうか。


これはまさにヒゲの男にとっては、青天の霹靂であった。今の今までカポタストを逆につけていて、弾きにくい弾きにくいと周囲に不平を漏らしていたのである。ところが正しい装着をしてみると、そのような弾きにくさは一気に解消された。10年の悩みが10秒で解決に導かれたのだ。


自分だけで考えるから、こういうことになるのだ。これを知ってれば、ヴィヴァルディの「四季」のとき、どれだけ楽だったであろうか。バカ野郎。

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by amori-siberiana | 2017-09-14 11:52 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北浜にある猫のひたいのように小さい店。画廊喫茶フレイムハウスにて漂流する阿守です。自らの意志なきペットボトルでも、漂流すれば海の反対側へ到達することもあります。目指せ、堀江健一。


さて、昨日のこと。


雨が降ったり止んだりと安定しない曇天模様のなか、画廊喫茶フレイムハウスの中では版画家の柿坂万作と、総帥と呼ばれるヒゲの男がなにやら話し込んでいる。他人の話しを聞くのは、野暮なことではあるが、この際だから聞いてみるのもいいだろう。


「万作さん、19日のイベントなんですけれど、お客さんも結構来られるので食事は出せないことにしてもいいですか」


「ああ、そら構いませんけど、それやったら…、前の土屋さんときみたいに、おにぎりでも握りましょか」


「そうしましょう、よろしくお願いします。それと、その日はテーブルも撤去しようと考えているので、ジンジャーエールとかコーラなどのソフトドリンクをお渡しするとき、グラスが必要だよという人だけに、別途のグラスをお渡しするのはどうでしょうか?」


「うーん、どういうことやろか?」


「つまり、ソフトドリンクの瓶とグラスの二つを渡されても、置くところがないからということです」


「ふうん…」


来るべき日に備えて、二人は、ああでもないこうでもないと話し合いをしている。一応、話し合いのメドはついたようなので、ヒゲの男は店をでて、近くの青山ビルのギャラリー「遊気Q」へ向かう。毎週、火曜日はそこに占い師がいるのだ。たまに…、いないときもあるそうだ。


ヒゲの男はツタが絡まるスパニッシュ建築のビルに入っていく、赤紫の印象的な羽織をまとったギャラリー・オーナーの女と、黒を基調にした格好の占い師の女が、テーブルを挟んで斜めに向かい合って椅子に座る。


ヒゲの男は、画廊喫茶フレイムハウスへ立ち寄るよる前に、青山ビルへ入ってみて、占い師はいるかどうかを確認しに来ていたのだ。そのとき、占い師はいなかったがどうやら北浜まで出向いてくれた模様。


「あなたのブログを読んでね、今日あたり来るんじゃないかと思ってたんですよ。まあ、大変にご苦労されていらっしゃるんですね」とギャラリーの女は品のいい声でいう。


「苦労しかないので、いつしかその苦労すら感じなくなってきましたがね」とヒゲの男は自嘲しながら占い専用のテーブルに移動する。


「それでは、阿守さんのお名前(フルネーム)と生年月日をここに書いてください」と占い師の女はヒゲの男に紙を差し出す。


その出された紙にヒゲの男は「阿守孝夫」と書き込む。


占い師の女は「阿守孝夫」と書かれた紙をメガネ越しに凝視しながら、口を開こうとする。早くもお告げがやってくるのかと、ヒゲの男は心構えをする。


「阿守さん…、達筆でいらっしゃるのね」


ありがとうございます、とヒゲの男は答えて、続きの自分の生年月日を占い師に伝えてみる。


「何時ごろにお生まれになられたかわかりますか?」


「えっ?時間ですか?自分のことなんですけど…、何時ころに生まれたのか記憶にないもので…、時間によって違いますか?」


「午前なのか、午後なのかによって違うのです」


お分かりの人もいるだろうが、ヒゲの男がやるのは四柱推命である。ヒゲの男は困った顔をするが、思い出そうにも自己の未生以前から、この世界に登場した幕開けの瞬間など思い出せるわけもなく、そのとき、もう一人の当事者であったであろう母親に連絡をする。

「もしもし、孝夫ですけれど。お母さん、僕が生まれたのは何時くらいでしたか?」と随分と前略して、本題を母親に突きつける。


「急になにをいよんかと思たら…、そなんなぁ、40年も昔のこと覚えとらへんがな!」と電話の向こうには快活な歯切れよい初老の女の声がする。


「今、占い師さんのところに来てて、何時ころに生まれたかが重要だといわれてる」


「おう、おう、占うてもろたらええんじゃが。なにからなにまで見てもろたらええきんな、いつんなったら春がくるんか見てもらえ、見てもらえ」


「いや、それで僕が生まれたのは午前なのか、はたまた午後なのかどっち?」


「どうやったかな…。朝か…」


「朝だったら、午前だね」


「いや、朝やったら先生(医者)が来んきん…。昼か…」


「だったら、正午かな」


「昼ではなかったな…、夜か…」


「午後ってこと?」


「多分なぁ…、朝か、昼か、夜…、やったような気がするわ…」


「…多分じゃなくて、絶対そのうちのどれかだと思うよ。世界中の誰もがその範囲内で生まれてると思う。お母さん、確実に正解に近づいて来てる、もう少し頑張ろう」


「知らん、知らん、自分で思い出せ!」と電話の向こうの初老の女は電話をぶった切る。これでは禅問答である。


世の中、誰しも母親がいるはずであり、誰しも自分が生まれた瞬間のことなど思い出せないものであるが、自分がここにいるということは、必ず、他人の力を借りて生きてきたということである。感謝することは大切なこと。ヒゲの男の母親は、陣痛がひどくなってきても産道が開かずに、最終的に腹を切り開くこととなったのだ。


「忘れたみたいなので、午前でお願いします」とヒゲの男も早速、適当に開き直る。


わかりましたと占い師はいいながら、何やら怪しげな書物を片手に、怪しげな数字を羅列していく。


「これは…、特殊ですね。阿守さん、あなたを構成しているのは全てが『陰』です」と神妙な顔つきになった占い師はいいだす。


「陰…?」とヒゲの男は釈然としない様子。


「非常に美しいです。とても厳しく、そして美しいです。雪が一面に降り積もる景色、そこに燈籠があります。凛とした椿(ツバキ)の花がひとつ咲いています。それがあなたです」と占い師はイメージを伝えてくれる。


「まるで日本画ですわね、あらぁ、いいじゃないですか」と声を発したのは、いつの間にか占いテーブルをのぞきこんでいたギャラリーの女。


「なにがどういいのか、わからないんですが…。その美しさというのは、報われるのでしょうか」と、ヒゲの男は慎重に訊いてみる。


「あなたは冬のままでいるのがいいいでしょう。太陽の光や夏の暖かさがあると、阿守さんは醜く朽ち果てていってしまいますから」


「つまり、厳しい環境だからこそ、美しさが際立つ。苦労するからそこに絶妙たる美のたたずまいがある…、ということでしょうか」


「そうです。阿守さん自身が太陽や夏になろうとしてはいけません。そうではなく、太陽や夏と組んで、影から操るのです」


「隠れて生きよ、というわけですか」とヒゲの男は、古代ギリシアの哲学者エピクロスのことばを思い出す。


「隠れても隠れても表舞台に呼び出されてしまう特性がありますが、それでも巧みに隠れるのです」と占い師はアドバイスをくれる。


ヒゲの男は少しのあいだ、ぼんやりと自分のことを考える。そして、どうしても訊いておきたいことを思い出して、占い師に向けてことばを発する。


「午後なら…、どうなりますか?」


「おぼろげにながら、山が見えるようになります」


「山…、ですか」


「山です」


ヒゲの男は自分の故郷から見える、そんなに高くはない山、それが雪に染まっている風景を思い出す。朝日山という山であっただろうか、その山では過去に小さい動物園をしていたが、管理が行き届かず放逐されたニワトリなどが野生化して狂暴になっていると噂に聞いたことがある。


それとも大麻山だろうか。以前、沖縄の人間が地図にある「大麻」という名前だけに引き寄せられて、この辺まで迷い込んできたことがあったと、友人から聞いたことがある。その沖縄県人が野生化して、狂暴になっているかどうかまでは知らない。


占い師とギャラリーの女、そしてヒゲの男は占いテーブルを囲んで、そこから店の名前についての話しをすることとなった。


その夜、シタール奏者の男が絨毯を貸して欲しいとやってきた。


ヒゲの男はこのシタール奏者がビールをあおる、その横顔を見ながら「陰陽」どちらなのか考えてみる。服装だけみれば明らかに「陽」な感じはする、しかしながら素人目には、全然わからない。もし「陽」なのであれば操らなければならない。


よし、それなら操ってみようと考えてみる。


ビール一杯だけのつもりで来ているシタール奏者に向けて、それとなく心のなかで念を送る。


「もう一杯飲め、もう一杯飲め、もう一杯飲め…」


雨の音が窓ガラス越しに強くなってきた。絨毯を持って帰るには不都合な天気である。


「局地的な雨やから、もうすぐ止むん違うかな」とシタール奏者はスマホの天気アプリを見ながら言い、そして版画家の万作と、どこそこで金を拾った話しなどをしている。


「雨、まだ止めへんなぁ。グラスこのままでええんで、もう一杯、ビール」とシタールの男はグラスを万作へ差し出す。


そそがれるビール、満足そうにビールを飲むシタール奏者。そのグラスの向こう側で湾曲に歪んで見えるのは、わずかに微笑む、ヒゲの男。


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by amori-siberiana | 2017-09-13 12:39 | 雑記 | Comments(0)

画廊喫茶フレイムハウスにて開催される9月19日(火)のイベントの予約定員が満了となりましたので、受付を締め切らせていただきました。


予約が取れなかった皆さまには、まことに遺憾ではありますが、どうかお許し願えますよう心よりお願い申し上げます。



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【画廊喫茶フレイムハウスの今後の予定】


◆9月15日(金) ジプシー・スウィング・ジャズ・ギター演奏会 /※予約不要


◆9月16日(土) てつやの挑戦状 アラタメ堂の主人が仕掛けるカードゲーム大会 /※予約不要


◆9月19日(火) ガエル・ガルシア・ベルナル四重奏団 /※ご予約満了


◆9月30日(土) 吟遊詩人 Alcea is Sleepyの歌声とは /※9月23日の正午より予約受付開始(先着20名~25名) ◇女将軍トリロジー 第一部


◆10月01日(日) 【〓SECRET〓】 /予告:ガハハハの女の天才を聴く ◇女将軍トリロジー 第二部

◆10月07日(土) 【〓SECRET〓】 /予告:アハハハの女の北浜サバト ◇女将軍トリロジー 第三部

◆10月08日(日) 【〓SECRET〓】 /予告:王子の帰還 我が名は、ミス・サイレンス(前編)

◆10月09日(月・祝) 【〓SECRET〓】 /予告:王子の帰還 我が名は、ミス・サイレンス(後編)

◆10月10日(火) 【〓SECRET〓】 /予告:悪魔に魂を売った小説家が、いよいよデビュー!


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by amori-siberiana | 2017-09-12 13:54 | イベント | Comments(0)

こんにちは、北浜にて猫のひたいのように小さな店。画廊喫茶フレイムハウスを切り盛りする阿守です。


今朝の北浜は朝からあいにくの雨模様。誰からともなく総帥と呼ばれているヒゲの男は、雨を満喫するためのアイテムとして、お気に入りの傘を二本ほど持っている。しかし、今日に限ってはその傘のどちらもない。


傘の骨が24本ある「mabu」というメーカーの傘は画廊喫茶フレイムハウスの傘立てに忘れてきた。傘の形状がユニークな鳥かご調の「Fulton」というメーカーの傘は、お店の常連である冷泉さんに貸しているので、二本とも手元にないのだ。ただ、傘を冷泉に貸した日、彼は朝の5時までどこかで飲んでいたらしいので、傘の行方を誰も知らないのではないだろうか。


昨日の夜のこと。


画廊喫茶フレイムハウスには足踏みオルガンがあり、そのオルガンの上にはバイオリンの弓が無造作に立てかけられてある。他にはサザエさんの漫画、寺山修司のエッセー、洒落た名前の女が置いていった本などが並べられていて、それはそれなりにうまくホコリをかぶって調和している。


ヒゲの男はおもむろにバイオリンの弓をギターの弦にあてながら、なんともいえない音を奏でる。常連の不思議な女がもう一本のギターで音をかぶせてくる。グラフィックデザイナーの男はチェロの弦をつまみながら、低音をあわせてくる。


ガルパンの男は、目をスマホに落としてゲームをしながら、片手でシェイカーを振る。奇妙なアンサンブルができあがった、版画家の柿坂万作はカウンターのなかへ入り、片肘をついてその様子を眺めている。


北浜音響派と名付けられた急造楽団の演奏は、これより1時間半ほど続くことになる。


全員が演奏に飽きた頃、不思議な女きっかけで新しい屋号の話しとなった。


万作がカウンターの中から、そのぎょろりとした目で話しだす。


「ワシが考えたんは、銀壺(ぎんつぼ)っちゅう名前なんですわ」


不思議な女がそれを受け、「画数が多いと、女子は来ないですよ」と落ち着いた声でいう。


グラフィックデザイナーの男は「それは(銀壺のこと)、ないな」と一蹴する。


その夜、皆でいろいろと屋号について意見を交換してみる。ヒゲの男も三階建ての二階(中空)であり、階段が急だということを考慮して、ギリシアの断崖絶壁の上に建つ修道院にちなみ「北濱メテオラ」という名前を提案したが、1秒もかからずにスルーされた。


「万作んとこでええん違う?」と誰かがいう。


「ワシの店のことを、みんな、そないにいうて呼んどりますから、なんら差支えはないですわな」と、万作は異存なしの模様。


「北濱アトリエ マンサクントコ」とヒゲの男はホワイトボードに書きつけて、字面を吟味してみる。


「僕は果たして、この店のことをなんと呼んでいたでしょうか?」とヒゲの男は万作に訊いてみる。


「あぁ、阿守さんは、ワシんとこいうて呼んでどりましたよ」と万作の博覧強記がここで顔をのぞかせる。


「北濱アトリエ ワシントコ」とヒゲの男はさらにホワイトボードに付け足す。


ワシントコときたら、どうにも何かを付け足さないと収まりが悪い気がする。そんなときガルパンの男とヒゲの男が目を合わせて、一斉に声を出す。


「ワシントコDC!」


店内にはケタケタした乾いた笑い声が響く、「北濱アトリエ ワシントコDC」とホワイトボードに改めて書いてみると、また面白い。


「DCには…、どないな意味があることにしたらええですやろ?」と万作は笑いながらガルパン男とヒゲ男に訊ねる。


ヒゲの男はDCと略される、事柄についてまとめてみた。


◆【ダ・カーポ】=音楽記号で最初に戻ること

◆【ダイヤモンド・クロッシング】=鉄道の分岐器

◆【防空指令所】=自衛隊の防空施設

◆【男子中学生】=読んで字のごとし

◆【デートクラブ】=恋人を紹介するという建前の風俗営業


なかなか、どれも特異な感じである。そして、そのどれもがしっくりこないので、DCの意味は特に気にしないようにすることにした。


今日は「紅茶のブルゴーニュ酒」といわれるキーマン紅茶を買って店に持っていこうと考えている。ヒゲの男は「世界三大」ということばに滅法弱いのである。

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by amori-siberiana | 2017-09-12 12:42 | 雑記 | Comments(0)

2017年9月19日(火)の19時ころからのイベントにおける、予約受付を12日(火)の正午12:00より開始させていただきます。


問い合わせ先は、takaoamori@yahoo.co.jp


ガエル・ガルシア・ベルナル四重奏団はその名のとおり、メンバーが4名おりますので、いつものイベントよりは若干ながら店内が窮屈になるかも知れませんが、その点をご留意のうえお申込みください。過ごしやすい環境を作れるよう、版画家の万作さんと阿守で尽力させていただきます。



どうぞ、よろしくお願いいたします。



~Gael García Bernal Quartet~


【ACOUSTIC GUITAR】:amori takao

【CLASSIC GUITAR】 :manabe takayuki

【BASS】 :yamamoto shusaku

【PERCUSSION】 :hilao masakazu

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by amori-siberiana | 2017-09-11 12:16 | イベント | Comments(2)

こんにちは、北浜にある猫のひたいのような小さな店。片足を奈落へ突っ込んでいた、画廊喫茶フレイムハウスをどうにかする阿守のブログです。


さて、土曜日のこと。


ヒゲの男は北浜のオフィスで考えごとをしていた。自身が心斎橋にて会社勤めしていたとき、その休日にはよく北浜へ出掛けていたのだが、まさかこの北浜で商売をしだすとは夢にも思っていなかった。いや、正確にいうと一度チャレンジしかけたのだ。


堺筋という大通りに面した立地的には70点くらいのレトロな建物が一棟あった。そこにはイングリッシュ・パブが入っていて、ヒゲの男もよく通っていた。お店で酔っぱらってお気に入りの帽子を忘れてきたのも、この店である。


ヒゲの男が帽子を取りに行くと、そのパブは店を閉めており、テナント募集の貼り札がされてあった。ヒゲの男は唖然とした、お気に入りの帽子とお気に入りのパブの両方を失ったのだから。


しかし…、と、ヒゲの男は考えた。


「これは不幸中の幸いなのではないか、自分がこのパブを経営していくのはどうだろうか?だが、果たして上手くいくだろうか。飲食の経験はあれど、経営の経験はない」と、ヒゲの男は悩んでいたが、思い切ってそのテナントを管理している不動産屋にコンタクトを取ってみた。


初回の保証金、7,000,000円が必要といわれた。


「さいなら!」と言い残して、ヒゲの男は電話を切った。


しかし、今、そのパブの裏手で猫のひたいのような店を切り盛りすることになるとは、どういった因果があるのかと、ヒゲの男は考えていた。


画廊喫茶フレイムハウスはヒゲの男が飲み歩いて、最後に行きつく場所だった。体内にアルコールが回るとどうしても歌いたくなったり、ギターを弾きたくなってくる。自由気ままに歌えて、ギターが弾ける場所というのは、版画家の柿坂万作のところくらいしかなかったのだ。


土曜の人もまばらの閑散とした街を歩いて、牙城フレイムハウスへ向かう。店で星師匠とも合流をして、月次収支の計算をはじめる。


客足に恵まれたことにより、ヒゲの男の月給は先月の3000円から70000円にあがったが、結局ここから光熱費、そして来月の家賃を支払うことになれば、ないのと同じである。ただ、少なくともヒゲの男の耳くそのような貯金を切り崩さなくてもいいようにはなってきた。


版画家の柿坂万作が口を開く。


「阿守さん、そろそろ店の名前を決定せんとあかんのと違いますやろか?」


「同感です、隣のお店からもいち早く改名して欲しいと念押しされてますから」


「銀壺(ぎんつぼ)でよろしいでしょ、ワシ、もう考えるんも面倒くさいんで、これで決定でええんやないですか」


「万作さん、ちょっと待ってください、まだリサーチの途中なのでこういうことは早まらないほうがいいですよ」


「もう、ワシが決めたんやから、それで決定やな!誰がなんと言おうと銀壺(ぎんつぼ)で決定!はよ、看板つくらんとあきませんな」


版画家はそういいながら、遠慮と勝ち誇りが混ざった、微妙な表情をする。


「銀壺(ぎんつぼ)では、いちげんさんが入りにくいのではありませんか」と、ヒゲの男は自身の胸のなかで釈然としない思いを述べる。


「阿守さん、ワシの店が銀壺やったとしても店に入っとったんやないですか?店の名前やいうて、そないに意味ありませんやろ」


「いや、どうでしょうか。一応、画廊喫茶フレイムハウスという名前を見て、入ったと思いますよ。銀壺だったら、入らなかったかも知れません。もしもこうだったらの話しは無意味ですが」


「もう悩むだけ無駄やないですか?ワシが銀壺でいくというんやから、それはもう決定ということでよろしいやろ」と、版画家は同じことを繰り返して強硬しようとする。


ヒゲの男はどうにも、そのアイデアが浮かばないことを棚にあげての権威主義的な強硬策が気に入らない。


「わかりました、それではお好きなようになさってください。阿守は経営から手を退かせていただきます」


「ええっ!?そないに店の名前って重要やろか!?」


店の名前も重要であるが、もっと重要なのはそこへ至るプロセスである。共同経営である以上は両者が納得した合意のうえでこそ前に進むべきだ。それができていない場合は、必ずどこかのタイミングでこういう些末な部分が、あとになって人間不信などのトラブルの発端になるであろうことは予想するに容易である。


「ワシ、案外、自分でネーミングセンスあるなと思たんは、自分のこと万作と名乗ってからは、これ、不思議なことに運がどんどん向いてきよるんですわ」


どこのどのへんを掻い摘んで、運が向いてきたといってるのかヒゲの男にはさっぱりわからない。名前なんて重要ではないと気焔を吐いていた版画家が、次の瞬間にはネーミングセンスに自負があるといいだす。論理破綻であるが、ヒゲの男もいちいちそこを突っ込みはしない。詮無いアラ捜しをしても、それは徒労と停滞を呼ぶだけであるからだ。


とはいっても、ヒゲの男も頭の動きが鈍く、これといった店名における対案もないので、版画家ともう一週間の猶予を持つことにした。版画家はみずからのアイデアを出してくれているのだ、ヒゲの男もそれなりの名前を考えて、選択肢を豊かなものにしなくてはいけない。


これが問題の先延ばしなのか、それとも賢明な再考慮なのかは、まだ誰にもわからない。


銀壺画塾 「時忘庵」。


今のところは、これが暫定的ではあるが、互いの折衷点である。


そして、日曜日を迎えることとなる。


タッキー国王のモノポリー大会、国王自身が病欠であったために「打倒!国王」で来店された人たちには肩透かしを食わらせてしまったが、理解のある参加者たちで救われた思いだった。結果としては、ヒゲの男がマップ上の土地の半分を手中に治めることで快勝をして、第二回のモノポリー大会は終わった。


参加者がそぞろに帰宅をして、店内には万作と阿守だけになる。


「阿守さん、やっぱり銀壺にしませんか?店のなかをこないして見渡したら、これは銀壺って感じでしょ?」と、万作は同意を求めてくるが、「…」と、ヒゲの男はうんともすんとも言わずにやり過ごす。


ヒゲの男は、タロット占い(他に四柱推命も)の女は、毎週の火曜日に青山ビルのギャラリーに顔を出すと、ギャラリーオーナーの女から聞いていたことを考えていた。自分のなかで案外、自然にタロットという新しい選択肢ができたことにヒゲの男は苦笑していた。


悩める時間がまだあるのだから、時間は十分に使って、悩むがいいだろう。今日にでも決めないと腹を召されよといわれるわけでもない。


そして悩んでいるような時間こそ、将棋やチェスの世界でもビジネスの世界でも、「即決英断」と同じくらいの効力を持つものである。悩んでいるということは、前進について考えている証拠でもある。


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「一方はこれで十分だと考えるが、もう一方はまだ足りないかもしれないと考える。そうしたいわば紙一枚の差が、大きな成果の違いを生む」


松下幸之助





by amori-siberiana | 2017-09-11 11:54 | 雑記 | Comments(0)

今回の画廊喫茶フレイムハウスのイベントは、女将軍三部作(トリロジー)。


第一部:【吟遊詩人 Alcea is Sleepy】


ギターを弾き、ハープ(竪琴)を弾き、自作の歌をうたえば、平気な顔をして昭和歌謡をうたう。


そのボキャブラリーの及ぶ範囲は秋の空のように広大で、まさに歌謡Wikipediaである。


真夏の最中、ふらりと画廊喫茶フレイムハウスに現れた彼女の名は、「Alcea is Sleepy(アルセア・イズ・スリーピー)」という。


一杯のコーヒー代しか持たずにやってきた彼女は、その歌声で酒と多少の食事を手に入れて、そして忽然と消えた。あとに残されたのは、彼女の歌声の残響を追い求める酩酊者ばかりであった。


彼女が暗い曲を歌えば、聴衆はソドムとゴモラの壊滅を知り、彼女が明るい曲を歌えば、聴衆はそこにエウテルベーの存在を知る。


彼女がカントリー・ロードを歌えば、聴衆は狂熱して、自らのなかに生きる喜びを見い出す。狂乱と静寂の両方を持ち合わせて簡単に時間や場所を操る彼女は、まさに吟遊詩人である。


画廊喫茶フレイムハウスが太鼓判を押して、拝み倒してようやくイベントへの出演に漕ぎつけた「Alcea is Sleepy」の船出。


彼女の描く壮大で緻密なファンタジアを是非、ご堪能ください。


入場料などの別途料金はありません。吟遊詩人さんの交通費と食費をみんなで割れるぐらいの寄付があれば、それで十分です。


お問い合わせは 


◆takaoamori@yahoo.co.jp


Alcea is sleepy


◆https://alceaissleepy.bandcamp.com/album/l-bverum-initus-et-exitus-saeculi


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【画廊喫茶フレイムハウスの今後の予定】


◆9月10日(日) タッキー国王杯 第二回モノポリー大会 /※予約不要


◆9月15日(金) ジプシー・スウィング・ジャズ・ギター演奏会 /※予約不要


◆9月16日(土) てつやの挑戦状 アラタメ堂の主人が仕掛けるカードゲーム大会 /※予約不要


◆9月19日(火) ガエル・ガルシア・ベルナル四重奏団 /※9月12日の正午より予約受付開始(先着20名~25名)


◆9月30日(土) 吟遊詩人 Alcea is Sleepyの歌声とは /※9月23日の正午より予約受付開始(先着20名~25名)


◆10月01日(日) 【〓SECRET〓】 /予告:ガハハハ

◆10月07日(土) 【〓SECRET〓】 /予告:アハハハ

◆10月08日(日) 【〓SECRET〓】 /予告:王子の帰還 アヴァロンの秘法(前編)

◆10月09日(月・祝) 【〓SECRET〓】 /予告:王子の帰還 アヴァロンの秘法(後編)

◆10月10日(火) 【〓SECRET〓】 /予告:新進気鋭の小説家とマジに会える!触れる!恋の予感。ぎっくり腰のアイツにびっくり大作戦。ミスマッチ・デスマッチ・近藤マッチ。


by amori-siberiana | 2017-09-09 22:53 | イベント | Comments(0)

こんにちは、北浜は画廊喫茶フレイムハウスにて、猫のひたいのように小さな店を経営する阿守です。秋風が涼しく吹き抜けて、土曜日の北浜は人もまばらで静か。道端にはどこへ行けばいいのかわからない外国人観光客がウロウロしており、普段の大勢の会社員がいないことで、外国人の数は増えていないのですが、ウロウロがひときわ目立っている状態。


金曜日のこと、つまり、昨日のこと。


ヒゲの男は南船場のパン屋「き多や」へ立ち寄りバゲットを抱えて北浜のオフィスへ行く。ちゃっちゃかちゃっちゃかと仕事を適当に切り上げて、版画家の柿坂万作の居城、「画廊喫茶フレイムハウス」へ向かう。


店に行ってみると、青いカーデガンの女と7~8年給料の出ていない女がお茶をしていた。7~8年とはなかなかのものである、ウイスキーもそれくらい寝かせれば、いっぱしのものになるであろうと、ヒゲの男はぼんやりと考える。


彼女たちは一旦、青山ビルにあるギャラリーへ行くため店を出る。すると宗教画のモデルの女がやってきて、短時間の滞在であるのに常人の一週間分の酒をひとりで飲みだす。


しばらくして、先述の二人が店に戻ってくる。ヒゲの男は今月の19日の演奏に備えて、お客がいようがいまいが関係なく一心不乱にギターの練習をする。万作は壁画に取りかかる、まったくもって喫茶というよりはアトリエである。


すると、締まりの悪いガラス戸が開かれ、吟遊詩人の女が友人のベレー帽をかぶった異国風の女を連れてやってくる。吟遊詩人の女は大きなグリーンのバッグを抱えている。


バッグを開け放つと、そこには小型のハープ(竪琴)が入っていた。万作とヒゲの男は珍しそうに楽器を見入っている、「ちょっと弾いてみてもらえませんか」とヒゲの男が彼女へことばを発したが、これは何もヒゲの男固有の意見ではなく、その場にいた誰もが考えていたことを代弁しただけである。


吟遊詩人の女はハープを特徴ある指運びで演奏しながら、物語を紡ぎだす。


竜と人間が争っていた時代の話しが、ハープの音色とともに聴衆の耳へ運ばれてくる。ナイロンの弦が空気を震わせ、それが水面の波紋のように拡散しながら店内に響く。インターネットと違うところは、それが炎上しないところだ。


地底人のような声の男、常連のガルパンの男がやってきて、ハープに興味津々であるところを示す。


「あの手がいいですねぇ」とはガルパンの男の感想。静かにうなずくのはいつの間にか来店されていたグラフィックデザイナーの男。


聞くところによると吟遊詩人の女の友人も歌をやるとのこと、是非、一聴させていただけないかとヒゲの男はベレー帽の異国風の女に頼み込む。


異国風の女はギターを片手にイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」を歌いだす。これはまた見事な歌声、吟遊詩人の知り合いにはこの高いレベルの音楽家がゴロゴロいるのかと思うと、随分と恐ろしくなってくる。


この異国風の女はヒゲの男よりも一回り年齢が下であるが、ヒゲの男が知らない一回り上の世代の外国の曲をよく知っている。つまるところ、彼女からすれば二回り上の曲をレパートリーとして持っているのだ。クイーン、ディープ・パープル、TOTO、クラプトンなどなど。


吟遊詩人の女と異国風の女は、地底人のような声の男より、音楽への貢物としてビールをそれぞれ一杯ずつおごられる。


一曲だけで終わるわけはなく、そこから終電まで二人は歌うこととなった。常連の不思議な女と、そのボスが二人の歌い手と入れ替わるようにやってきた、冥途の土産ということで異国風の女は帰り際に、本日、三度目の「ホテル・カリフォルニア」を歌うこととなった。


異国風の女がその気風のよさで頑張ってくれたことにより、吟遊詩人の女は「カントリー・ロード」を一度口ずさむだけでよかった。持つべきものは友である。


彼女たちのテーブルには、シェフ兼版画家の柿坂万作が腕をふるった、風の谷のナウシカのオウムみたいな外観の料理が運ばれてきていたが、どのような味だったのか二人に感想を訊くのを忘れてしまった。


吟遊詩人の女は「竜と人間が争っていた時代の物語」を組曲(4曲)として持っている。


ハープとギターによって紡がれるストーリーの一部始終を聴いてみたいものだ。


そして、万作の描くドラゴンなる生き物も壁画で見てみたいものだが、いかがなものだろうか。


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by amori-siberiana | 2017-09-09 12:47 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。