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Tune the Steps


意味は「足並みを揃えよ」ということである。


北濱にある猫のひたいのような小さな店では、ヒゲの総帥と版画家の柿坂万作の足並みが微妙にズレ始めているのだが、ここはどういうことをしてでもテコ入れをしておかねばならない。どれだけコルビュジェが類まれな建築物を作ろうとも地盤が崩れては何にもならないのである。


どうすればいいのか、誰かいないかと鐘と太鼓を打ち鳴らして街中を探してやって来てくれたのがアイリッシュ・トラディショナルを演奏するCocopeliena(ココペリーナ)である。


2017年の夏、クントコロマンサを救うために駆けつけてくれたこのトリオが半年を経て、店の救助活動にやってきてくれるのである。酒と相性がいいのは肴とアイリッシュであることは歴史が物語っている。ウィリアム・イエーツを気どるもよし、ロイ・キーンのように上司を罵るもよし、マイケル・コリンズのように独立を語るもよし、フランシス・ベーコンのように狂気を語るもよし、この日のクントコロマンサはオスカー・ワイルドの描いた世界のようになるであろう。






ありふれた富は盗めるが本当の富は盗めない。人の心の中には誰にも奪えない途方もなく尊いものがある ― オスカー・ワイルド


1月20日(土)はケルト音楽を散々聴こうではないか。エイエイオー!


イベントは入場無料。音楽家さんの交通費をみんなで割れるぐらいの寄付があれば、それで十分です。


ご予約の受付は2018年1月13日(土)の正午12時00分より。


お問い合わせは takaoamori@yahoo.co.jp


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Cocopelienaさんに関する情報は以下のとおり。


◆cocopeliena.net/ (ホームページ)
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by amori-siberiana | 2017-12-31 16:03 | イベント | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は店に行く。北濱のオフィス「ザ・ジンクス」は29日で本年度の活動を終えたので年が明けて1月5日までは行くことはない。そうなるとヒゲの総帥の毎日のサイクルが変わってくるので、常に何かひとつできていないという喪失感をもたらすこととなる。店から道一本を隔てたタワーマンションはがらんとしている、いつもがらんとしているところだが、より一層がらんとしており、まるで家に人が骨ごと食われてしまったような気配すらする。北濱の年末はそういった感じだ。


店に行くと孤独を愛する男ユージがラーメンを食べ終えたあとだった。ヒゲの総帥はユージと宇宙のことについて話しをしながら舞台の上に並べられた音響機器を見つめる。先日、バイオリンの王子がやってきて壮絶なる演奏を終わらせたあと版画家の万作がすぐ片付けをしていたので、どこのどの部分にどのケーブルが繋がっていたのかなどメモする暇がなかった。そういえばあの夜は電気がショートして真っ暗闇の店内にローソクがぼうと並べられており、次の日にヤマトコが修理をしに来てくれたのだが機材が舞台にあったままでは不都合であったのだろう。これは致し方がない。


時間がきてユージは北の方角へ消える。ヒゲの総帥はなるようになれと浩司ばいから借りている音響機材を設置して繋いでみる。一応、自分本位なりに理路整然とケーブルは機材同士を繋いだであろうからこれで音が出るだろうとマイクテストをしてみるが、やはりこれがうんともすんともいわない。もうそろそろ女将軍たちもリハーサルにやってくるであろう時間なのにこれでは大いに弱る。浩司ばいに連絡をしてみるが、そういえば実家のある九州の帰路途中だということをSNSで知っていたので、ヒゲの総帥はさらに弱る。


ヒゲの総帥はスマホを取りだしてある男に連絡をとってみる。ヒゲの総帥がシベリアンなんちゃらという音楽隊をしていた時代、重要なライブやツアーに帯同していた音響屋、タカハシン・コルテスという男である。ただ、この一見するとヴァンパイアのような男も今となっては音楽関係の仕事をしておらず、それはそれは偉そうな会社で偉そうにしているのだと風の噂に聞いていたので、年末は忙しいかも知れない。


タカハシンが電話に出る、ヒゲの総帥は逼迫した状況に陥っていると伝える。機材は何を使ってるのかとタカハシンがいうので、ヒゲの総帥はそれぞれをすべて伝える。夕方から壮絶な飲み会があるがそれまで時間があるというので音の問題解決にむけてタカハシンはクントコロマンサへ来ることとなった。ヒゲの総帥はこれで万事が解決するだろうとウイスキーをチビチビやりだす。この男は自身の問題を他人になすりつけることに関しては超一流であるが、本人はそれを自覚して済ましているのか、それとも自覚しないままで済ましているのかは判然としない。


タカハシンがやって来る、血色の悪そうな顔で不機嫌極まりない表情が浮かぶ。ぐつぐつ言いながらヒゲの総帥がセッティングした機材を見て笑いだすタカハシン。「これで音が出るわけがないだろう」と呆れながら機材を繋ぐケーブルをあっちこっちと繋ぎかえるとすぐに音が出た。「今日はどういう楽器が来るのだ」というタカハシンにヒゲの総帥は歌のマイクは一本で、ギターが二本あれば事足りると伝える。伝えながら「そうだ、この男に何もかもしてもらえばいいではないか」という合理的な考えがヒゲの総帥に浮かぶ。


「まあ、コーヒーでも飲めよ」とタカハシンを落ち着かせてヒゲの総帥は弾き語りで井上陽水の少年時代を歌いだす。するとやはり元来が音職人のタカハシンは音のバランスが気になるようで、機材を色々と触りだしてボタンを押してはツマミを回し、フェーダーを上げたり下げたりして最適な音作りを開始する。ヒゲの総帥はしめしめと思う。タカハシンは音を作りあげたあと、まだ何かが気に食わないような顔をする。どうやら舞台上の機材の置き場所と配線の簡素化ができていないことが気にかかるという。ヒゲの総帥は舞台からおりてウイスキーをさらにチビチビやりだす、タカハシンは機材を持ちあげては運び持ち上げては運びして、自身の納得いくミニマムで効率的な配置にしていく。そして不要なケーブルをどんどん巻いて片付けていく。


そうこうしていると吟遊詩人の女がギターを担いでやってくる。ここでタカハシンの集中力を断念させてはもったいないと、ヒゲの総帥はすぐに吟遊詩人の女にギターを持たせて歌ってくれとお願いする。訳もわからないまま舞台の上に乗っけられた小柄な吟遊詩人はギターをかき鳴らして歌いだす、タカハシンは渡り鳥が本能的に海を渡るために飛ぶが如くに吟遊詩人の音作りを開始する。しばらくするとアハハの女もやってくるので、もちろんのことアハハの女の音作りもタカハシンがすることになる。「なんで、俺はこの年末に仕事させられとんやろ…」と訝しい顔をしながらも徹底的に音を作りあげるタカハシンはやっぱり音楽家であろう。やることを盛大にやってタカハシンは壮絶な飲みに繰り出して行く。


審査員のアラタメ堂と電気工事士のヤマトコがやってくる。ヒゲの総帥はアラタメ堂の口真似をしてハイボールを注文する、星師匠がハイボールを作ってアラタメ堂のところへ持って行く。出演者全員で10秒ほどのミーティングをして本番をダラダラ飲みながら待つことになる。


今回の「女将軍歌合戦」の特異なところは出演者の二人が交互に歌うということである。どうして交互に歌わせて個人の世界観を損なわせるようなことをするのかと言われるかも知れないが、それについては愚鈍蒙昧なる意見である。そもそも、歌う人間と聴く人間の今の関係性ができたのはどうしてであろうか。演奏する側と聴く側の今ある境界線を設けたのは誰であろうか。そこには何かしらのコンセプチュアルなものが存在してそうなっているのであろうが、それはいつの時代のどこのどういった場所を想定して成立したのものなのか、果たしてそれは理屈や現在のニーズに適したものなのだろうか。今一度、整理整頓させておく必要があるとヒゲの総帥は考えたのである。過去からやってきた現在進行形の当たり前が未来の当たり前であるという保証は一切ないのである。ならば、その境界線を曖昧にしてみることが重要であり、芸術家の仕事なのである。


芸術家の仕事というのは社会における新しい価値観の創出、簡単にいえばそれのみに帰結して然るものである。その芸術家がいつの間にか囲いの中に囚われて、舞台の上で教祖のように自己演説を終始して、聴き手に一時的な享楽を与えマヒしているのでは芸術の未来は暗い。芸術とアルコール依存症はまったく別のものなのである。


今回は三つのセクションを用意した。まず演奏をする者、そしてその価値を上げ下げして評論するもの、さらにはそれに巻き込まれる聴き手である。ヒゲの総帥はトリックスター的な立ち位置で司会ということにした。この三つ巴のアイデアは財産三分法を基に考えたものである。その全てをユーモアで包み込んだ壮大なる実験であるのだ。


が、演奏が始まるころには全員が酩酊しており、ただの愉快な宴会になった。既存の価値観の境界線を曖昧にせずとも勝手になろうとしていた。


アルセアが歌う、審査員が点数を出す。審査員には「10点」しか出せない縛りがあるので得点というのは無意味だ。芸術を点数化することのナンセンスだが、場を盛り上げるには即効性のある麻薬のようなもので有効なのだ。無意味化させることでそれは役目からユーモアへと変化して、この音楽会が演奏者以外にも役を演じる出演者がいる状態となる。そこに多様化が生じる。


演じる側と聴く側のあいだに介在する産業を生かすがためだけに、境界線は張られていたのだなとヒゲの総帥は知ることとなる。ところがいつの間にかそれがさも当然のように形式だけが内容を含まずに突き進むこととなり、今の未来の光が見えない音楽業界になる。更地にすることが必要な業界の最右翼にいるのが芸術関連の業界である。


もっと大量に学者を投入しなくてはならん、御用組合のような者ばかりが雁首を揃えるのではなく、ナンシー関のような切れ味鋭い脳みそを持つ学者が必要なのだ。日本人が世界の芸術産業に進出するにはニッチ産業から脱却して、アウトプットの仕方をシフトチェンジすることが早急に必要なのだ。「コンセプトアイデア」から「商品」へ移る過程の一歩手前でブリーフィングの精度をあげればモノづくりの下手くそな諸外国でも通用することになる。大量の人、一流の技術でしか実現できない世界はなんと味気のないパンのようであろうか。


ゴガッという締まりの悪いドアが開け放たれ、冷泉とその友人がやって来たとき、女将軍の演奏は終わる、素晴らしい二人の演奏であった。演奏後の舞台上でてんやわんやになっていたケーブルなどに静かなる秩序を取り戻させていたのは、昔は音響屋だったガルパンの男であった。


ハイタッチ冷泉が連れてきた男と女。男はパソコンを触りまくるという、女は人形の服を作りまくるという、ヒゲの総帥は人形を見るとそこに善悪不一致の呪詛を感じるのだと訳のわからないことをいいだす。三面鏡を自分がのぞき込んだとき、自分が幾人も映るのだが、そのなかの一人の自分が謀反を起こしそうな気がするのと似ている。静かな湖や海を見るとそこへ飛び込まなくてはいけない気がするのと似ている気がする。


いつしか夜は更け、人狼大会がはじまり、そののち「笑ってはいけないゲーム」がスタートされ、どどどドキンちゃんが静寂の北濱にこだまするのであった。この日、山の向こうからやってきた男ことファラオはとうとう近場にホテルを取ることになったとのこと。いつもながら皆さまの決死のお付き合いに感謝する。


ヒゲの総帥のいるオフィスではある男がオフィス内の人間にミカンを配って歩く。ヒゲの総帥も漏れなくミカンを受け取ったが、そのミカンを配る姿を見ると梶井基次郎の「檸檬」を思い出すのである。ゾクゾクする。人形の目の奥にもそれに通じる何かを感じるのである。


ビタミンDの不足であろうか。


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by amori-siberiana | 2017-12-31 15:10 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


昨日は二日酔いと寝不足と戦っていた。その戦いの勝敗は後世の歴史家のみが結末を知ることになろう。


さて、一昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱にあるオフィスでコーヒーを飲んでいる。右隣にはアラタメ堂のご主人がおり、オフィスの中ではこの二人が延々とぐだぐだ喋っている。ヒゲの総帥の左隣には最近同僚となった教育ビジネスの女がいるのだが、二人の会話を聞きたくもないのに入ってきて思わず吹き出して笑っている。


アラタメ:「阿守さんはイエスみたいですね」
阿守:「そうですか?イエスは旧約聖書では最後どうなるんでしたっけ」
アラタメ:「いや、僕が言ってるのはイエス・キリストじゃなくて、千石イエスのことですよ」
阿守:「それ、昭和のカルト集団の教祖じゃないですか」
アラタメ:「僕が阿守さんをイエス・キリストにたとえるわけがないじゃないですか」


このようなどうでもいい話しを何時間も聞かされる隣の女はたまったものではないだろうが、この二人は構わずに着地点のない話しを続ける。


ヒゲの総帥はオフィスを出て堺筋を横断しスコッチウイスキーを専門的に扱うバー「マギー」に向かう。ヒゲの総帥がクントコロマンサをどうしようかと悩んでいるときに、ここへ立ち寄ってマギーの女主人から発破をかけてもらったものだ。えらく昔のことのように感じるがほんのつい半年前のことである。マギーの女主人へ無事に年を終えられそうだということを年末の挨拶がてら伝えて、スコッチを一杯だけあおりマギーを出る。スコットランドのグレンリヴェット蒸留所にて12年間ほど眠っていた酒は今日一日が壮絶なることを予感させる薫りであった。


マギーを出て店へ行き経理を済ませるとすぐにシュリケンの男がやってくる。このシュリケンの男というのはヒゲの総帥の中学時代の朋友であり、天国よりもクソ退屈な学校生活を互いに切磋琢磨しながらユーモアを磨いていくことで乗り越えた仲なのだ。「この前、らっきょがこの店に来たよ」と口を開いたのはヒゲの総帥だった。らっきょというのも同窓の男である。ヒゲの総帥の話しは続く「らっきょの家の人間からうちの母親に向けて電話がかかってきて、うちの子供に関わらないで欲しいといわれたのを思い出したから、その件で随分とらっきょをイジってやったのだ」としょうもない昔のことをさも一大事のようにいう。シュリケンの男はそれを受けて「それをブログで読んで思い出した、実は俺のところにもらっきょの家の人間から電話がかかってきてたぜ。卓球部のみんなで観音寺のニチイに行へ遊びに行くという計画をしていたところ、らっきょの親から電話がかかってきた」という。ヒゲの総帥はふんふんと頷きながらニタニタして「それでなんと言われたね」と問う。シュリケンの男もニタニタしながら「受験の時期なのにそんなことさせて大丈夫なんですか!?」と随分剣突を食らわされたと話しをする。


二人はらっきょを是非とも呼ぼうということになったが、京都に住むらっきょからは丁重にお断りの連絡があった。なるほどさすがは賢明であるなと二人はまた笑う。もしも、らっきょがクントコロマンサに来ていれば、ヒゲの総帥とシュリケンの男の実家には色白のらっきょの母親からの鬼電が入っていたかも知れない。何もかもが懐かしい話しであり、愉快な思い出である。


「それにしても、お前は郷土愛がないな」と笑いながらシュリケンの男がいう。「果たしてそんなものが必要かね、生きていくのに邪魔なだけだ。とにかく自分には郷土愛なる服は似合いそうにない」とヒゲの総帥は澄まして酷いことをいう。ヒゲの総帥はウイスキーをストレートで飲み、シュリケン君はハイボールをひっきりなしに飲み、さらにはトリプルコロマンサを三度も注文することになる。常連の不思議な女と直属の部下の男、ガルパンの男、さらには斥候の男とゲームセンス・ゼロの女がやってくる。温泉マニアの男もやってきたが、そのまま通り過ぎるように帰った。


版画家の柿坂万作が用意した七輪を囲んで、ゲームセンス・ゼロの女が描いた一コマ漫画のセリフを不思議な女とヒゲの総帥がかわるがわる読んでみるが、作者であるゲームセンス・ゼロの女は勘弁してくれと顔を紅潮させる。シュリケンの男もヒゲの総帥が紅潮するような学生時代の旧悪をどんどん暴露していく。しまいには「お前、シベリアンなんちゃらをもう一度しろ」と脅迫してくる。それに対して煮えたか沸いたかわからないような生返事をするヒゲの総帥。シュリケンの男が黒いポシェットから何かを取りだす、取り出だされたのは今から25年前にヒゲの総帥が中学校で売りさばいていた当時のデモテープであった。


歌っているのはらっきょ、ギターをかき鳴らしているのはヒゲの総帥という具合でその内容は音楽なんてものではなく音楽以前である。いや、その言葉すらおこがましいほどの体たらくが詰まったものであり、ヒゲの総帥は「お前、どうしてそんなものをまだ持っているのか」と驚愕する。シュリケンの男はレイプ魔のような顔をして参ったかという態度に出る。らっきょが名付けたデモテープの作品の名前は「STAIN」。見事なものだ、四半世紀をまたいでも文字どおり「汚点」そのものである。そしてこのシュリケンの男の一連の行動は明らかにテロ行為である。


ヒゲの総帥とシュリケン君は酩酊状態で店を出て、すぐ裏にある年末にできたばかりのもんじゃ焼き屋へ入る。シュリケンはバカのひとつ覚えのようにハイボールを飲み、ヒゲの総帥は日本酒を冷やで飲みながらもんじゃをつつく。「全身黒ずくめの男、冷泉さんという人に会ってみたいぞ」とシュリケンがいうのでヒゲの総帥は冷泉に連絡をする。幸か不幸か冷泉とスケジュールの折り合いがつき、シュリケンを連れて冷泉が待ち構える店へ行く。


店に到着すると質の悪そうな木製の大きなテーブルにハイタッチ冷泉がおり、その正面には人妻を操る会社の社長ことミスター・ジャイアンツ、さらに社員の青鬼シュウと赤鬼ショウ、そしてドレス貸しのアドビが陣取っている。ヒゲの総帥はシュリケンを皆に紹介する、シュリケンは自分がここに来たのは与沢翼のようになったヒゲの総帥の心を取り戻すためだといい、場の笑いを誘う。ヒゲの総帥は訳のわからぬことを言うなとシュリケンの紹介を代わってする。さらにテーブル各人が自己紹介を終えて、そこから冷泉が殴り合いと同じくらいハマっている「笑ってはいけないゲーム」をすることとなった。


「今日は、みんなにひとつだけ、覚えて帰って、欲しい、ことがあるんです」と冷泉は神妙な顔をしていう。ヒゲの総帥がそれは何かと問うとゲームに負けた人間が酒を飲むときの掛け声を合わせたいのだとのこと。冷泉はその掛け声らしきものをまずは一人で振付つきで歌いだす。


アモさん、飲んでぇ、お願い、心込めてぇ、ド・ド・ド・ドキンちゃん、ド・ド・ド・ドキンちゃん、ド・ド・ド・ドキンちゃん、ド・ド・ド・ドキンちゃん


楽しそうに一人で歌う冷泉を横目にミスター・ジャイアンツは「どうしてドキンちゃんなのか合点がいかない」と冷静な意見を口にするが、常軌を逸している冷泉の耳には届かなかったであろう。


シュリケンも巻き込まれての壮絶なドキンちゃんがスタートする、目の前には猪口に注がれた麦焼酎だけが天井に睨みを利かせて憮然としているのだ。


ゲームのあと一向は解散せずにそのまま明け方まで、江戸堀のヘミングウェイがやっているバーで飲みだす。店内中央にある柱を中心にヒゲの総帥と冷泉とミスタージャイアンツは店の東側で何やら相談事を開始する。西側ではアドビとシュリケンと赤鬼と青鬼が何やら話しをしているのだが、それはほとんど聞き取ることができない。


夜更けを経験しないまま朝が来る。田舎だとニワトリの鳴き声がどこからともなく聞こえたり、えらく遠くで走る始発電車だか回送電車だかが線路を揺らす音が聴こえるのであるが、ここでは特にそういったことはない。


ヒゲの総帥は以前、アニメ版のアンパンマンの脚本家と話しをしたことがある。ヒゲの総帥自身がジョークの一環としてドキンちゃんというキャラクターの性格はこういった心理描写が根底にあるのではないかと極端な論を述べたところ、その脚本家は真剣に考えだして「そうかも知れない…」といった。後輩の中途半端な質問にも真摯に向き合ってくれる、よい先輩であった。インターネット上だけのお付き合いではあったが。


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by amori-siberiana | 2017-12-30 11:09 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱のオフィスを抜けて南船場にあるパン屋の「き多や」へ向かう。そもそもヒゲの総帥が北濱で商売をするとなったとき、最初に助言を求めにいったのがパン屋のオーナーであった。「喫茶店なんて、お金もった暇人がするもんやで」と素晴らしいアドバイスをいただいたが、まさに現実はそのとおりであった。この日はフレンチトースト用のバゲットを買いに行く。


バゲットを抱えて店に行く。すでに大学生の女が帝王のように椅子に腰をかけて、我が家のように振舞っている。女の目の前には見たことのないギターケースがあるので、ヒゲの総帥はこれをどうしたのかと女に訊ねると、どうやら実家にあったギターを持ってきたのだとのこと。ヒゲの総帥はケースを空けてみる、出てきたのはヤマハのクラシックギターである。これがなかなかご機嫌な鳴りをするので、そのまましばらく弾く。


それからニューヨークで高校生をしているスズマサがやってくる。スズマサは冬休みの課題を抱えており、その内容が「自分の近くにいる奇人変人からその人生に何があったのかを聞いてくる ※家族をのぞく。800文字以内」というものでインタビューをしたいのだという。ヒゲの総帥はそれなら版画家の万作などは格好の標的になろうと推薦するが、スズマサはすでに標的が決まっているようで、それは眼前のヒゲの総帥であった。


スズマサからインタビューを受けるヒゲの総帥、その途中に常連の不思議な女がやって来る。さらには全体重を階段に乗せて昇ってくる音がする、ゴガッという締まりの悪いガラス戸が開く、入ってきたのは全身が黒ずくめの男。華族のハイタッチ冷泉であった。大学生の女は念願叶い冷泉と初めて遭遇できたことでテンションが上がる。そこから水タバコの男もやってくる、この男とヒゲの総帥はチェ・ゲバラを愛する同志である。


「うーん、阿守さんの人生を800文字におさめるんとかは失礼になるんちゃうかな」と万作はモルモットとなったヒゲの総帥を気遣うが、ヒゲの総帥は「できるものなら、575の俳句くらいにまで短縮してくれていい」といたって平然としている。不思議な女はニヤニヤしながら白ワインを飲む。冷泉と水タバコの男はカウンター前の席で何やら意見交換をしている。


インタビューが終わる。書生のスズマサ君はヒゲの総帥の口から語られた人生をニューヨークに持ち帰るため、パソコンを駆使して記録を保存する。その最中、スズマサは自分は映像の仕事に興味があるといいだす。「ならば、この店のCMをi-PHONEだけですぐに製作してくれ。コンセプトはこの店に誰も来るなというものだ」とヒゲの総帥は支離滅裂なことをいう。「聞いたことのない依頼ですね、でも、クライアントの要望は絶対なので頑張ります」と返事をする書生君。早速、店のCMの撮影が開始された。今回ばかりは人を巻き込むのが得意な冷泉も巻き込まれた形になる。


「U2のボノだか共同制作者のブライアン・イーノだかが言っていた。レコーディングの現場に一台のテープレコーダーしかなかったとしても、我々は素晴らしいアルバムを作るだろうと。その言葉を僕はハッタリだとは思わず、本当にそうなるのだろうと感じる。つまり、大事なのはハードやソフトの進歩のように目立つところにあるようなものではなく、その根底にあるものなのだ、しっかり撮れ」とヒゲの総帥は講釈を垂れながらスズマサに放り投げる。しかし、その詭弁の裏側にあるのはスズマサが撮影に夢中になっているあいだ、ヒゲの総帥は静かにゆっくり酒が飲めるという明確な理由がある。


撮影が佳境を迎えた頃、アラタメ堂のご主人がやってくる。これ幸いと出来上がったCMの品評会が開始されることとなった、審査員はアラタメ堂のご主人とデザイナーである不思議な女。それぞれからこうしたほうがいいという意見をスズマサはうんうんと聞く。アラタメ堂のご主人が出した得点は「43点 特記:見るべきものはある」であった。まずまずであろう。


ヒゲの総帥はその模様を見ながら、自分が若い頃にこうした大人たちとの出会いがあれば良かったのにと思う。自分がアレをしたいコレをしたいと考えることを、その場で実践して評価をもらえてアドバイスをもらえるような環境が欲しかった。もしかすると出会っていてヒゲの総帥が気がつかなかっただけかも知れないが、気がつかないのであれば、それはなかったことと同じである。


世の中、地球のほんの少し先で地獄を見ている人間がいるのに助けに行かず、えらく遠くにいるらしい神に祈りを捧げたりする不器用さである。確かにそれが人間なのだ。2017年、世の中は仮想通貨だインバウンドだ、乗り遅れるな乗り遅れるなと皆が躍起になっている。考え方がどんどん投機的になってきている、最終的にはこの騒ぎの詰め腹を誰が切らされるのかと想像すると、どうにもいたたまれない気持ちになる。こんな日はバーバーの「弦楽のためのアダージョ」でも大音量で鳴り響いていただきたい。それなのにいつまでたってもベートーベンの第九をプログラムに詰め込んで、シラーの訳のわからない経文じみた説教を大威張りで歌っているようでは何も起こらない。


CMを撮り終えたあと、書生スズマサに自身の母親から電話がかかってくる。「阿守さん、代わってくれますか?うちの母です」という。ヒゲの総帥は大いに恐縮しながら電話を受け取り書生のご母堂さまとお話しをさせていただく。幾つになっても母親というものを話しをするときは背筋が伸びて緊張するものである。


母親が息子をこの店に送り込んだということは、息子の話しからヒゲの総帥やこの店にいる大人のことを信頼しているということである。これはとても名誉なことである。


インタビューに慣れていないスズマサのために、過去に音楽雑誌社でインタビュアーをうんざりするほど担当してきたアラタメ堂がインタビューのコツを教える。ちょっとした寸劇だ。アラタメ堂のご主人はインタビュアー、ヒゲの総帥は通訳、不思議な女は超有名な海外の大物歌手という設定で劇は開始される。これが面白くてたまらない、厨房で万作は「これはおもろいな」と笑いまくる。


できあがったCMをお見せしたかったのだが、アラタメ堂を経由してスズマサから転送されてきたデータには音声しか入ってなかったので、また今度。


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by amori-siberiana | 2017-12-28 17:09 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


本日は昨日よりも一層風が冷たく外を歩くだけでも財布の中から1000円ずつ無くなっていくような気がする。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱のオフィスでコーヒーを飲む。隣にはいつものようにアキラメ堂のご主人がおり、なにやらカタカタとパソコンを打っている。仕事をしているのだか、新たなボードゲームを購入しようとしているのかは判然としない。ヒゲの総帥も何をするでもなくパソコンを触ってると着信がある。かけてきたのはミスタープラムという男だ。


このミスター・エックスとヒゲの総帥は15年来の知人であり、ヒゲの総帥が音楽家として駆け出しのときにメディアの面で多大な尽力をしてくれた男である。当時、ミスタープラムはメディア部門のプロデューサーをしていたが、そこが他社に譲渡されたタイミングで野に下り、そして今は法曹界で多忙を極めているとのこと。


ミスタープラムは不動産関連での70億から80億の話しがあるので相談に乗って欲しいとヒゲの総帥に連絡をしてきた。久しぶりの億の間である。ヒゲの総帥の以前の仕事においては月曜日と木曜日は常に100億4700万の話しばかりであったが、そんな毎日にとことんウンザリしていたようだ。クントコロマンサという店の再建に乗り出してからは100円や200円の話しばかりなので逆に活気が出てきたものだ。ヒゲの総帥は電話で当該不動産要件の概要をプラムから聞き、電話でするような話しでもないのでよければ北濱のオフィスへ来ないかと誘う。ミスタープラムは14時と16時にアポイントがあるのでそれ以降なら大丈夫と返事をする、ならば17時頃にヒゲの総帥が滞在する北濱のオフィス「ザ・ジンクス」で会おうということになった。


ヒゲの総帥はミスタープラムからの電話を終えたあと、その足で特殊な不動産売買の知恵を借りるべくして船場ビルディングにある忌部の事務所へ向かう。忌部というのは人生で手痛い失恋を経験してからというもの、ニヒリズムの極致を地で行くような男であるが容姿は端麗で、頭脳明晰でもあるのでヒゲの総帥はそういった場面のときはいつも忌部のことをアテにしている。


この船場ビルディングは大正14年に建てられたもので、そのレトロモダンと総称される建築物だけを目当てに観光客もよくここを訪れる。ヒゲの総帥が船場ビルディングの門を開ける、静かな佇まいの中庭を歩く、左右にそれぞれ多種多様な事務所が軒を連ねており、この場所自体がなにかひとつのミニマム・アトラクションの会場のようである。ヒゲの総帥が中庭を散策していると門の向こうから忌部が都合よくやってきた。唐突な珍客だが別に驚く様相もなく忌部の事務所へ案内され、そこで先述のプラムからの話しをオブラートに包みながらもことの本質を忌部に問うヒゲの総帥。


忌部はこの辺りの不動産開発の状況や一般的な不動産売買の基礎をヒゲの総帥に教える。「なるほど…、やっぱりな」とヒゲの総帥は腑に落ちることがある。ネットで調べることは誰にでもできることだが、ヒゲの総帥は以前から必ず足をつかうことにしている。ネットで拾える情報などというのは、つまり誰でも拾えるものであり、そういった情報には常に発信者の利益が絡んでいるのである。その利益は何も金銭に限ったことではない。便利な世の中であるが、その簡便なることと物事の正しさや順序は比例するものではない。


自身の欲しい情報を得られたヒゲの総帥は忌部に礼をいい、そのままツタの絡まる青山ビルのギャラリー「遊気Q」へ向かう。こちらは大正10年に落成しており先述の船場ビルディングと並んで観光客には人気のスポットである。御年301才と吹聴するギャラリーの女はピンクを基調とした柄のニット帽をかぶっており、それはどこか新疆ウイグル自治区あたりの辺境の女を想起させるものであった。ヒゲの総帥は店に灰皿がひとつ足りないのだと伝えて、ギャラリーの女からアンティークの灰皿を購入する。「これはとてもいいものなんですよ」とギャラリーの女は灰皿を新聞紙とプチプチで梱包しようとするが途中で面倒臭くなったのだろう、ヒゲの総帥が紙袋を渡されて中を見ると、裸のままの灰皿がぽんと入っているのみになっていた。


ヒゲの総帥は北濱の「ザ・ジンクス」へ戻る。オフィスでは忘年会が開かれるのでその用意にザワついている。ミスタープラムがやって来るので応接ソファへ案内する、昨日までエストニアの日本料理屋の経営者の男が居座っていた場所である。偶然、通りがかったアラタメ堂のご主人にも同席してもらい、さらに宗教画のモデルの女、しまいに全身が黒ずくめの男も同席することになる。この黒ずくめの男こそかの有名なITコンサルタント冷泉彦彦である。ミスタープラムはそれぞれクセ者たちと談義をさせられる羽目になるが、本人はいたって楽しそうである。


ヒゲの総帥はさらにジンクスのオーナーの男とプロデューサーの男をミスタープラムに紹介する。ジンクスのオーナーの男の背筋の良さは芸術的であり、顔を西洋人にすれば地中海に眠るトルソのようで、このジンクスにおいてベストを常に着用しているのはオーナーの男かヒゲの総帥かというところである。ジンクスのプロデューサーの男は切れ味の鋭い男だ、物腰は柔らかいがそこがまた迫力に繋がっている。若くして起業しているので、同じく起業を目指す陸サーファーの上仲などは常に彼からの教示を仰いでいる。


いつの間にか忘年会は始まり、ミスタープラムは勝手に参加させられることとなった。


ヒゲの総帥はミスタープラムをジンクスへ置き去りにしたまま店へ行く。忘年会に参加せず先に店に到着していた冷泉から企業コンサルタントの男を紹介してもらい談笑をする。なかなか腕っぷしの強そうな男で何かしてるのかとヒゲの総帥が問うと、もっぱら釣りでジギングをしており鍛えられているのだろうと返事をする。ヒゲの総帥は釣りをする環境に恵まれていたにも関わらずまったく興味がなかった自分を戒めている。ヒゲの総帥の父親はクルーザーを所有していて、仁尾町のマリーナに停泊させていたがヒゲの総帥自身が乗船したことは一度しかない。父と一緒に過ごす時間が何故だかずっと苦痛だったのだ。船だけではない電車にしてもそうだ、ヒゲの総帥の父親は春夏秋冬それぞれの季節にはJRの電車を借り切って自身の好きな場所までノンストップで行っていたが、それにも一度しか参加したことがない。やっぱり、それは父と一緒に過ごす時間が苦痛だったからだ。


当時はそういう父親が普通だったが、今、冷静に考えてみると一番身近に狂人がいたものだと笑えてくる。自身の事業のために毎日毎日、朝の2時や3時に起きて仕事をしていた父に迷いや悩みはあったのだろうかと、この頃よく考えることがあるがすでに鬼籍に入っているのでインタビューできない。


亡き父は坂本竜馬と吉田松陰、そして勝海舟を愛していた。たまに右翼団体にも資金提供をしており日本刀を収集していた、若かかりし頃のヒゲの総帥はそういった旧時代的な趣味を持つ父を恥じていたが、それはヒゲの総帥自身が母方の田舎に行くことが多く、そちらが完璧な共産党員だったことも関係あるだろう。水と油の親戚はほとんど相まみえることはなかった、ノンポリの田舎の女たちだけが相互を行き交い親戚同士の出島的な役割を果たしていただけだ。女は鳩のように賢いのだ。そして蛇のように狡猾である。


オルガン横の奥の席にはコンサルの男と冷泉とヒゲの総帥。窓際の席には組長が座って酒を飲んでいる。正面の席には忌部とコピーライターの男、デベロッパー代理店の男、そしてデザイナーの女に宗教画のモデルの女。カウンター近くには常連のガルパンの男と東洋の魔術師が陣取る。それぞれが何らかの話しをしているかアルコールを体内に入れて精神を燃焼させている。


冷泉とデベロッパーの男が殴り合いを開始する。互いに格闘技出身であるので壮絶な打ち合いが開始される、組長は嬉しそうにそれを眺めながら酒を飲む。夜も更けたころアラタメ堂のご主人とゲームセンス・ゼロの女、さらには陸サーファーの上仲と学生起業家の男が酔っぱらってやって来る。


全員が揃ったところで酩酊していた冷泉がハッとした顔をする。「そしたら…、そろそろ…、笑ってはいけない、ゲームを…しましょか」と発する冷泉、学生起業家の男は冷泉に目をつけられないようにと風景になろうと店内で己の気配を消す。


笑ってはいけないゲームがスタートされる。


ヒゲの総帥は学生起業家の男に向かって黒ずくめの男ハイタッチ冷泉を指さしながらこういう。


ヒゲの総帥 「あなた、この人の名前を知ってますか?」
学生起業家 「か、加藤さん…」
ヒゲの総帥 「そうです」
学生起業家 「…」
ヒゲの総帥 「下の名前を知ってますか?」
学生起業家 「いえ…知らないです」
ヒゲの総帥 「カトウトシヒコといいます」
学生起業家 「トシヒコさん、トシヒコさん」
ヒゲの総帥 「この名字の最初の『カ』と名前の最初の『ト』をですね、入れ換えて声に出してみてください」
学生起業家 「トトゥ カシヒコ…」


「ギャハハハ」アラタメ堂のご主人がこらえきれずに爆笑する。「お前な!アカンわ、ちゃんと発音せえや!なんやねんトトゥって!」と学生起業家に恨み節を発しながらウイスキーを飲まされる。


ヒゲの総帥の好きな映画に「アメリ」というのがある。主演の女優はオドレィ・トトゥという。この映画はなんだか冬に見ると元気が出てくるのである。世の中、まだまだ捨てたものじゃないという気持ちになれる。


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by amori-siberiana | 2017-12-27 14:41 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


クリスマスを前後にして大阪の北濱は一気に冷え込んできた。御堂筋は南に向かう車で忙しく、堺筋は北へ向かう車で忙しく、本町通と土佐堀通は東奔西走の車で忙しい。この世間的な気ぜわしさと外気の寒さには、今が年末であるとの確信が込められているような気がする。それにしても北濱界隈にはクリスマスムードというものが見当たらない、それこそところどころの飲食店が申し訳なさ程度に喧伝しているだけで、ほとんどの人間がどうでもいいと思っているのだろう。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱のオフィスへ向かう。昨夜はエストニアの知人と二人でウォッカを空けたことにより起床してから随分経っても酔いが続いている状態であった。しばらくすると宿泊先のホテルからその知人が北濱のオフィスへやって来る、ヒゲの総帥はその知人のマークと日当たりのよい窓際の応接室で歓談する。商売のことやエストニアのことや宣伝のことや流通の難しさなどなんでもかんでも話しをする。


昼から夕方頃まで話し込み、そのまま店に向かうこととなる。寄り道などを繰り返しながら店に到着してもやはり話しは幾らでも続いていく。「他の国に展開するつもりはないのか?」とヒゲの総帥が訊くと「実はつい最近、その契約を結びました」とのことを話すマーク。エストニアの首都タリンの港に到着する食材などを通関させるときの苦労であったり、物品の発注から到着まで時間がかかる場合はどうやって対処するのかなどヒゲの総帥はどんどん質問する。マークはどんどん答える。港の近くにロシア人居住区があるのは、これはもちろん戦略上のことであろうとか、次は飛び地のカリーニングラードを狙うべきだなどと話しは留まるところがない。


しばらくすると、青いカーデガンの女、ギタレレの女、常連の不思議な女とグラフィックデザイナーの男、そしてガルパンの男がやって来る。アラタメ堂とウェブ責任者の男もやって来る。皆でエストニアの話しに耳を傾けては、それぞれ質問していく。不思議な女は子供の頃にタリンへ行ったことがあるという、しかしその頃はまだソビエト連邦の時代だったとのこと。マークが地元の人から聞いたところではソビエト支配下時代はとにかく街中がタバコ臭かったのだそうだ。


「阿守さん、フィンランドでおられたとき現地の人と飲みに行かれましたか?」とマークが問う、「あとにも先にも一度だけかな…、それでも飲みというよりはビジネスの打ち上げみたいな感じで最終的には向こうの社長さんは同席しなかったけどね」とヒゲの総帥は答える。マークがいうことにはフィンランド人はなかなか打ち解けてくれないのだそうだ、他に何かフィンランドで気づいたことはないかと訊ねるマーク。「楽器屋に行ったのだ、普通ならフェンダーとかギブソンとかどこかで見たことある形のギターが並んでるのが当然だけど、フィンランドの楽器屋ではやたらに変形ギターが多かったな…」と総帥は20年近く前のことを思い出す。「この前、フィンランドの音楽コンクールみたいなのに行ってきたんですけれど、出演バンドのすべてがメタル音楽でしたよ」と笑いだすマーク。


夜も更けてギャラリーの女と人形作家の女とその友人とがやって来る、オルガン横の奥の間でなにやら大盛り上がりである。とにかくヒゲの総帥の写真集を作ってどうのこうのという話しは薄っすらと聞こえてきていた。


そろそろマークが帰る時間になった。ほんの一日足らずの再会であったが、是非とも次はエストニアで会おうとヒゲの総帥は約束する。


このブログをお読みの誰か彼かエストニアへ立ち寄ることがあれば、ひょいと彼の店に顔を出していただきたい。ただ、彼がその頃もそこにいるのかどうか確証はないが。ヒゲの総帥が訊くところによると、マークは商売が安定してきたので面白くなくなってきたというのだ。また明日生きるか死ぬかというギリギリのところへ身を置いて自分を試したいのだという。


ヒゲの総帥も気がつけばクントコロマンサなる場所に関わることになった。何らかの縁があったといえば合点もいくのだろうが、ただの偶然であり突発的なことであった。意を決して音楽家になったのでもなければ、会社を独立させたのでもない、猫のひたいで北濱の独立を目指すことになったのでもない、流れでそうなったのだ。だから人と人の交流は愉快なのである。


ヒゲの総帥がフィンランド人のウルポという名の大工の老人から教えてもらった歌がある。記憶の奥のさらに奥の方にあったものがマークの問いかけのおかげで出てきたのだ。


フィンランディア、フィンランディア
(フィンランドよ、フィンランドよ)
シンネ、タース、マテカッラ、オリイヴァナ 
(イワン雷帝はまたやって来た)
クン、モロトフィ、ルパス、ユー、カイッキ、ハロシー
(モロトフがなんでもしていいと約束する)
フオメンナ、ヨー、ヘルシンギッサ、ショダーン、マロシー
(明日はヘルシンキでアイスを食べるだろう)
ニェット、モロトフ、ニェット、モロトフ
(モロトフの野郎はダメだ、モロトフの野郎はダメだ)
ヴァレフテリト、エネッマン、クイン、イツェ、ボブリコフ
(あの野郎はボブリコフより嘘つきだ)


※モロトフ=ヴャチェスラフ・モロトフ(1890-1986) ソ連の政治家・革命家。


1939年11月、カレリアの領有権をめぐってフィンランドとの冬戦争が勃発した。スターリンとモロトフは開戦に積極的であり、オットー・クーシネンを首班とするフィンランド民主共和国の樹立を目論んでいた。また、ソ連空軍はフィンランドの市街地を空爆した。フィンランド政府がこれに抗議すると、モロトフは「ソ連機は(民間人を攻撃しているのではなく)空からパンを投下しているのだ」と発言した。以後、フィンランド人はこれを皮肉って、焼夷弾のことを「モロトフのパン籠」と呼ぶようになった。さらにフィンランド軍は、対戦車兵器として用いた火炎瓶に「モロトフ・カクテル」とあだ名をつけ、「パン」への「返礼」とした。冬戦争ではモスクワ講和条約によってフィンランドに領土割譲要求を呑ませることに成功し勝利したが、小国フィンランド相手に多大な損害を出し苦戦したソ連の威信は大いに傷つき、国際連盟からも追放された。


※ボブリコフ=ニコライ・ボブリコフ(1839-1904) 帝政ロシアの軍人、政治家。


1898年、ニコライ2世によってフィンランド総督に任命される。ボブリコフはフィンランド国民から恐怖と憎悪をもって迎えられた。総督としてフィンランドのロシア化を推進するが、フィンランド民族主義者の若者によって暗殺された。


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by amori-siberiana | 2017-12-26 16:56 | 雑記 | Comments(2)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は朝からドマツ会計事務所に向かう。この日はスタートアップ・ウィークエンドの最終日であり、泣いても笑っても自分たちの起業アイデアに審判が下されるのである。といっても無所属のヒゲの総帥は何をするでもなく、いろんなチームの話しをふんふんと訊いている。他の参加者するとヒゲの総帥は一体何をしに来ているのだか解らないであろうが、それでいいのである。昨日とはチーム構成が変わっていたり、アイデアが変更されていたりと賑やかにやっている光景はレコーディング風景に似ているものがある。


昼前にヒゲの総帥は一旦、ドマツ会計事務所を出て八尾へ向かう。ヒゲの総帥が八尾で何をするのかといえば、星師匠の叔母から針を受けるのである。星師匠の叔母に体中を針で埋め尽くしてもらうために向かっているのだ。星師匠の叔母は生まれつき眼球が伴っておらず、生まれてこのかた全盲である。全盲であるのだが、服の色にはこだわりを持っており「緑色の服を買ったのだ」とかいう。本人がいうには目が見えないフリをしているとのこと。笛を吹けばホラも吹く、話しが尽きることのない女性なのだ。


元来、針などするものかと決めてかかっていたヒゲの総帥であるが、そうもいってられないほどに体がバキバキなので華道の剣山に乗った大根を決め込んでいる。針が終わり、そのまま店へ行く。店の前でウロウロしている男がいる、エストニアからヒゲの総帥を訪ねてやってきたマークである。


このエストニアの男とヒゲの総帥は10年来の知人であり、シベリアンなんちゃらという音楽団体をしていた頃、スタッフとしてイギリス公演やフジロックなど一緒に行った仲である。今はエストニアにおける日本料理のシェア一位を確立した実業家となってヒゲの総帥に会いに来たのである。ヒゲの総帥と会うのは7年ぶりなのだそうだ、エストニアに来い来いと幾ら誘ってもヒゲの総帥が頑として尻を日本から動かそうとしないので、ならばこちらからとやって来たとのこと。


「そもそも…」とヒゲの総帥はクントコロマンサ店内でウォトカをあおりながら口にする。「どうしてエストニアなんかに行くことになったんだい?」と言葉を続ける、マークは返答する「いや!なにいってるんですか!阿守さんがバルト三国は面白いぞって僕と一緒にいるときにそこの話しばかりするから僕が興味持ったんじゃないですか」と驚きの体である。無論、ヒゲの総帥は自身のそんな言葉における記憶も責任感もない。「エストニアに行きました、そして今は経営者です。この間に何があったのか大いに興味があるので語ってくれ」とヒゲの総帥は話しを強引に推し進めて自身への責任回避を敢行する。


「実は今はカザフスタンとかトルクメニスタンに興味があるんだ」とヒゲの総帥は口にするが危険を察知したのかマークは「いや、僕、そっちは全然興味ないですからね!先に言っておきますよ」と自他に対して釘を刺す。ヒゲの総帥はゲラゲラ笑う。


ヒゲの総帥はマークを近場のホテルへ半強制的にチェックインさせ、ウォトカが体内に残るその足でドマツ会計事務所へ再訪問する。すると陸サーファーの上仲もやってくる。「アモさんのブログを見て、これはと思って最終日だけ参加することにしたんです」という、ヒゲの総帥は「ウソつけ」と心の中で笑いながら隣に着席する。


会計事務所のセミナールームでは忙しそうにイベント発表の舞台設営が行われている、ドマツ先輩もえんやこらと設営に精を出す。


さて、このドマツという男、どうにもおかしな男である。そのドマツを頭領として成立している大きな会計事務所もどうにもおかしな連中の集まりである。そのおかしさというのはそんじょそこいらのおかしさではなく随分とおかしいのであり、そのおかしさはユーモアに満ちている。


まず、頭領のドマツ先輩。一般的な会計事務所のオーナーであればスーツ姿というのが相場であろうが、まったく違う。ホンジュランミルクスネークを彷彿とさせるボーダー柄のシャツに下はビリビリに破れ切ったジーンズである、一見すると経営者どころか社会人にすら見えない。本人はこの格好でメインバンクの本店などに行ってビジネスをするのだそうだが、受付の人はおろか担当者すら目を合わせてくれないという。ジーンズというのはそもそも蛇除けのために開発された生地であるが、ドマツという男を見ていると人間と蛇の戦いの歴史を一身に背負っているような、一種の心地よい軍記の絵巻物を眺めているような気になる。ドマツという男がギリシア神話のテミスであり、その片手に持つ天秤が人間側か蛇側のどちらに軍配が上がるのかのリトマス紙的な役割を果たしているのではないかと思えるほどだ。


さて、ナンバー2の専務も頭領に負けず劣らず随分とおかしい。サギノという男であり身の丈は185センチほどあろうかという大男である。ヒゲの総帥がスタートアップ・ウィークエンドの最終日、各チームのプレゼンテーションを聞こうと待っている。ヒゲの総帥以外にも参加者たちは会場の椅子に着席して壇上の準備が終わるのを待っていた、するとスタッフの一人が舞台の上手側(客席からみて右手)の照明をあやまって割ってしまう。サギノという男はマイクを手にとり落ち着いて会場を見渡しこういう「今、ここの照明が割れたとき、会場のどこかから『俺たちのアイデアのようだ』との声が聞こえましたが、なんならこっち側(下手側)も割ってみますか」と照明を割りに行こうとする。この狂気こそがドマツ会計事務所の魅力であり、ヒゲの総帥は笑いで腹が痛くて仕方がない。


プレゼンテーションは進む、審査員にはグルグルの本社で副社長をしていた好々爺などそうそうたるメンツが揃う。各チームごとに起業のアイデアを発表しては、審査員からの質疑応答に応えるという形式的には一般的なやり方で進む。


ヒゲの総帥はグルグルの好々爺の発言に鳥肌がたつ。構えた場所での演説ではなく臨機応変さが求められる質疑応答の場で、一人の人間からこれほどまでの見識を感じることはなかなかない。


「それがキャピタリズム(資本主義)だ、世の中はそんなにシンプルではない」


この名言そのものと発せられたシチュエーションをヒゲの総帥は当分は忘れることができないだろう。そしてそうした場を提供することのできる狂気のドマツ会計事務所に敬礼である。


ヒゲの総帥は全チームのプレゼンが終了したあと、すぐにセミナールームを出てホテルに放り込んでいたマークを迎えに行く。外はいつの間にか雨が降っていたが、星師匠がマークの分の傘も持ってドマツ会計事務所まで迎えにきてくれていた。ホテルのロビーではすでにマークが待っており、三人で店に向かう。店に行くと常連のガルパンの男とギャラリーの女が来ているのでマークを紹介する。


バニラ風味のウォトカを二人であおりながらこれまでの話しやビジネスの話しをしている、それを見てギャラリーの女もウォトカを舐めてみるのだといって舐める。ヤマトコと大酒飲みの女、冷泉と上仲、そしてヘルベンツもやってくる。入れ替わりはありながらもマークを囲んで飲みが開始される。エストニア産のウォトカの瓶はヒゲの総帥と送り主であるマークの二人でほぼ飲み切る。



―――。



イギリスでのある日。


ヒゲの総帥は何もすることがない。だが、先日のカジノでの大勝ちがあり金はある。タッキーに「旅に出よう」と声をかける、タッキーは参加する。二人で行こうとすると、宿の食堂で暇そうにしている男がいる、当時20才くらいのマークである。「旅に出るが一緒に来るか」とヒゲの総帥はマークを誘う。「どこ行くんですか?」とマークは返答する「知らん、考えてない。とにかく行けるとこまでだ」とヒゲの総帥はノープランを誇らしげに回答する。


マークは「行きます」とすぐ支度をする、そして三人は駅へ向かった。


あれから10年。多分、いい人生だ。ここまで。どうでもいいことだが。

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by amori-siberiana | 2017-12-25 16:55 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は二日酔いである。ところがこれまでの二日酔いとは違い、ウイスキーの二日酔いはビールなどのそれとは違ったもので随分と楽である。朝から動けることを確認したヒゲの総帥はそのまま支度をしてドマツ会計事務所のセミナールームへ向かう。今日はスタートアップ・ウィークエンドの二日目が開催されるのだ。今の自分より10才から20才ほど若い人間が何を考えており、どんなコミュニケーションを取り、どんな野望を持ち、どのような切り口で達成させようとしているのか知ることはヒゲの総帥にとっての至上命題であるのだ。


参加している面々は日本人もいれば外国人もいる、大学生もいれば社会人もいるという具合でそれぞれがチームに分かれて起業のアイデアと実現性を審査員に提出するというものである。ヒゲの総帥が二日間目の朝に到着したときには、すでに各チームがそれぞれの事業について目標を定めており、それを詰めていくという日である。イベントがあることを見越してアイデアを持ち込んできた人間もいれば、その場でアイデアを考える人間もいる。なんだか音楽のジャムセッションと似ているようだなとヒゲの総帥は自らの経験によってのみ例える。


ヒゲの総帥は耳をダンボのようにして、周囲の話しをいろいろ聞いている。そんなときヒゲの総帥に声を掛けてくるものがある、そのチームの起業アイデアはちょっぴり変わったレストランであるのだが、そのなかのメンバーがヒゲの総帥がカフェの経営をしているということで意見を訊きたいと声を掛けてくれたのだ。ヒゲの総帥は飲食の経営をしてまだ半年にも満たないのであるが、恐縮しながら彼ら彼女らのデスクへ案内されるのであった。するとガラス越しに全身が黒ずくめの男が見える、もちろん言わずもがなハイタッチ冷泉の登場である。冷泉は鬼コーチとして今回のイベントに参加している。


どんなレストランが面白いのだろうという助言を参加者から求められた冷泉は「SMの女王がずっとソファにおって…、そこらへんにおるおっさんらをシバキまくる…ぐふふ」といって一人で不敵に笑う。助言を求めた参加者はいう「失礼を承知でこんなこと言うんですけれど…、本当にカタギのかたですか?」、それを受けて冷泉はハッとした顔をして「めちゃくちゃ…、カタギ、です」と弁明をする。


しばらくしてヒゲの総帥はドマツ先輩に挨拶をして会計事務所を出て店に戻る。この夜はアラタメ堂のボードゲーム・イベントがあるので、その準備をしなくてはいけない。


店に戻るとアラタメ堂のご主人がやってくる、アラタメ堂は紙袋のなかに詰まったボードゲーム各種を店内のそれぞれのテーブルへ陳列する。陳列にはそれなりの法則性があるようなのだが、ヒゲの総帥にはまったくわからなかった。やたら目がキラキラした女と静かな男がやってくる、この二人もボードゲームが好きであり、そのきっかけは近所にあるボードゲーム・カフェなるものに足を運んでからというものだそうだ。いろんなカフェがあるものだ、案外SMの女王が常駐するレストランもアリかも知れんなとヒゲの総帥は考えたが、SMクラブとそのレストランの差別化がどうなるのかまでは謎であった。そしてその謎を冷泉に問う気もさらさらなかった。


ぞくぞくと来客がある、オルガン横の奥のテーブルでは山の向こうから来た男とブルーグラスの男とアラタメ堂たちが数字の書かれたカードに興じる。窓側のテーブルではヒゲの総帥と中年の星YUJIがガイスターというチェスのようなゲームに興じて、舞台正面のテーブルではアハハの女やゲームセンス・ゼロの女とその手下などが声を荒げて魚市場の競りのようなゲームをしている。入口付近の一番寒いカウンターのところでは常連のガルパンの男と斥候の男がビールを飲みながら星師匠と話しをしている。万作は厨房であれやこれやと創作料理に明け暮れる。


海賊の末裔もくればバイオリンを持つ女も雪崩れ込んでくる、しまいに冷泉までやって来る。来店の決着がそろそろついただろうという頃合いで人狼がスタートする。預言者である中年の星YUJIが初日の昼から飛ばし気味に発言をして、早速吊られる。屁のつっぱりにもならない預言者の死亡で人狼側が有利かと思われたが、人狼陣営を助けなくてはいけない裏切り者役のアラタメ堂が当てずっぽうにも各プレイヤーの白黒を正確につけてしまうことになったので人狼側は無残にも裏切り者の裏切りにより負けてしまうこととなる。


この日、アラタメ堂はトーナメント表を作ってきており、不朽の名作「バトルライン」なるゲームでトーナメント戦をするのだと意気込んでいた。


ところが本来なら10分程度で終わるこのゲームを40分にもわたる戦いをする女たちが現れたのでトーナメントは途中でポシャる。ヒゲの総帥はそれが愉快で愉快でたまらない。ゲームセンス・ゼロの女とバイオリンを抱えた女の100年戦争はギャラリーを含めての泥仕合を呈しており、どこかしら第三国の軍事介入でもない限りは終わりそうにないのであった。


夜も更けてゲームの盛況さが夢うつつに消え去ろうとした頃、ヒゲの総帥はゲームセンス・ゼロの女と平尾先生の名刺について打ち合わせをする。先日、ゲームセンス・ゼロの女が作成した陸サーファーの上仲の名刺。その出来ばえが良いものだったので、ヒゲの総帥はこの女に平尾先生が世の中へ出陣できるような名刺をデザインして欲しいのだという。ゼロの女は快諾してくれて商談はまとまる。


アラタメ堂は長年の友人であるドローンの男と二人で何やら高速道路を建設してどうのこうのするゲームをやっていた。


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by amori-siberiana | 2017-12-25 12:25 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


昨晩はしこたま飲んでしまった。冷泉が珍妙なるゲームをはじめたことにより、ヒゲの総帥とアラタメ堂のご主人はグダグダにされてしまった。腰を振りながらウイスキーの入ったショットグラスをあおるアラタメ堂のご主人はサーカスの道化のようであり、ピカソの描いたアルルカンの風情を持っていた。ヒゲの総帥も酷い二日酔いなので、読みにくい部分もあり明晰でない部分もあろうが許していただきたい。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥が昼過ぎに店へ行くと、万作と野球狂の男が薄暗い店内で何かしている。元来、何をせずとも薄暗い店内ではあるが今日にいたっては随分と暗い。よく見るとテーブルの上にプロジェクターが置かれて、そこから発せられる光線は万作の描いている壁画に像を結んでいた。そこに投影されていたのは今から半世紀ほど前のドラマ「赤影」であった。このプロジェクターそのものは店のものではなく、ハイタッチ冷泉が自社の東京オフィスから店に持ち込んでくれたものである。猫のひたいのような店にしては上等なものであるが、上等なものなればこそ使い道に困っていたわけだが、念願かなってプロジェクターにやっと火が入ったという具合であろう。野球狂の男も満足げにプロジェクターからの映像を見ながら「これでテレビを持って来なくてよくなった」と嬉しそうだ。


これまでクントコロマンサで開催されていた野球を語る会においては、この男がいつもわざわざテレビを店に持ち込んでDVDの映像を流していたのだそうだ。


ヒゲの総帥はそのまま店を出て北濱のオフィスへ向かう。そこで作業をしたあと北御堂にあるドマツ会計事務所へ向かう、凍えるほどではない冬の夜にずらりと並ぶ御堂筋のイルミネーションはどうにも間抜けに見えた。夜を無暗に飾り立てて何を隠そうとしているのかと考えながらヒゲの総帥は歩き、15分ほどでドマツ会計事務所へ到着する。


到着するとドマツ先輩がおり、ヒゲの総帥は挨拶をする。今日から三日間にわたってスタートアップ・ウィークエンドというイベントが会計事務所の広いセミナールームで開催されるのでヒゲの総帥も参加をするというのだ。このイベントは起業のシミュレーション・イベントであり、三日間でまとめあげた起業プランを最終的に審査員へ提出して意見をもらうというものである。ヒゲの総帥はイベント自体にも興味があり、さらにはドマツ先輩自慢のセミナールームを見たかったのと、冷泉をはじめとして見知った人間たちがゲストで何かを論じるのを見たかったのもあり参加することに決めた。太陽の照っている時間にシラフのドマツ先輩や冷泉を見てみたかったということだ。


都会的なセンスに溢れ、各部屋がガラス張りになり日光もふんだんに取り入れられるようにデザインされたセミナールームはなるほどドマツ先輩が自慢するのも納得である。御堂筋を走る政治結社の声さえ聞こえなければ、ここは日本ではないようである。


ぞろぞろとイベントに参加する人間たちが集まってくる、少し遅れて全身が黒ずくめの男がセミナールームに入ってきた、ハイタッチ冷泉の登場である。参加者全員でご飯を食べ、最初にこのイベントの主旨などが説明され、そこから日程とタイムスケジュールが発表される。この参加者たちがこれよりチーム分けされスタートアップのアイデアをまとめて発表するという一連の作業がはじまるのである。


ヒゲの総帥は2時間ほど参加させてもらい初日は途中退席することとなる。そのまま北濱のオフィスへ向かいアラタメ堂のご主人が主催する人狼大会に参加をする。ヒゲの総帥が到着したときにはすでに第一戦が始まっており、幾人かがうつむいて、幾人かが顔をあげていた。司会は人狼マイスターの男であり名調子の柔らかい声が会場に響いている。ヒゲの総帥は第二戦から参戦することとなった。早めに終わった人狼の会、その参加メンバーを連れてヒゲの総帥はクントコロマンサへ向かう。


アラタメ堂のご主人、リンクスのオーナー、ドローンを飛ばす男、レイヤーの女、ライターの男、酒が飲めない男、ヘルベンツ、ヘソピのOLなどがヒゲの総帥に続いて堺筋を西から東へ横断して店にやって来る。すでに店内には常連のガルパンの男、不思議な女、グラフィックデザイナーの男、そして大学講師の男、乾いた笑い声をあげる不動産デザイナーの男が佇んでいた。


店内の熱気はどんどん上がり、真夏のような温度と湿度になるので氷の入った酒がよく売れる。いつしか冷泉と斥候の男もやってきて大団円に加わり皆で七輪を囲む、「これじゃ、昨日と同じ光景ですね」とヒゲの総帥は苦笑する。そういえばこの者たちは昨夜は同じシチュエーションで連歌をしていたのではなかったか。


冷泉が口を開く「笑ったらアカンいう、ゲームしませんか」と。不動産デザイナーの男がスタートの号令を出す、これで七輪の周囲にいる人間は誰も笑ってはいけないのだ。ヒゲの総帥はレイヤーの女に質問する「斥候の男の趣味は何だと思いますか?」と「ブルマ集め」と即答するレイヤーの女の答えにヒゲの総帥は笑い転げてしまい自爆する。最初は一度か二度のつもりであったが、気がつけばウイスキーのボトル一本を空けるほどに遊んでしまった。


ちなみに一番飲んだのはアラタメ堂のご主人とヒゲの総帥である。不動産デザイナーの男はバイクで帰るので笑ってしまった場合は冷泉が代わりに飲むことになっていたのだが、酩酊している冷泉はそれを忘れて不動産デザイナーの男を笑わそうと必死になり、笑ったが最後自身で酒を飲むことになるのであった。


本日、アラタメ堂のイベントがクントコロマンサである日だ。そしてなにより亡き父の誕生日でもある。ヒゲの総帥の父親は日本刀のコレクターでもあったが、ジョークの切れ味は悪かった。年寄り受けは良かったのだが。


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by amori-siberiana | 2017-12-23 12:03 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサ(旧名:画廊喫茶フレイムハウス)を経営するヒゲの総帥、阿守のブログです。


冬至である。昼の時間がもっとも短い日である。ただし世界中でというわけではなく、北半球に限ってのことであるからして、地球のどこかはこの時期に酷暑が訪れているのであろう。そう想像するとなんとなく世界の広さを感じて豊かな気持ちになる。酸素の濃度が多少なりとも濃くなったような気がするのだ、多様な価値観とは人の好き好きの一面だけを捉えた単純なことではない。多様な価値観のという言葉の土台となっているのは、知らないことを知っているというソクラテスの原初的な哲学風景なのではなかろうか。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は北濱のオフィスでコーヒーを飲んでいる。客から返信されてくるアンケートの内容に爆笑したり考えさせられたりしながら遊んでいる。昼過ぎになりヒゲの総帥はデスクを立ってオフィスの近くにあるツタの絡まる青山ビルへ向かう。この男が青山ビルへ向かうということは、つまりギャラリー「遊気Q」に行くということとほぼ同意である。ヒゲの総帥は我が家のようにギャラリーへ入っていく、そこにいるのは今月26日までは大幅な値引きが行われている数々の商品と御年301才のギャラリーの女である。ギャラリーの女の隣には革ジャンのよい目つきをした口ヒゲをたくわえた男がいる。この男に会うのがヒゲの総帥が来廊の目的であるのだ。


この男は神戸の靴職人である。先日、ギャラリー「遊気Q」にて開催された彼の個展、そこにヒゲの総帥が訪れたときどうにも気になる靴があったのだ。馬の皮を使い渋い赤銅色に染まった靴はその質感や手触りといい、気品と緊張感を持っていたのでヒゲの総帥は気に入った。ところが試履してみると足のサイズが合わない、ギャラリーの女からの説明では一点ものなのでそれなら靴職人本人から採寸してもらうがよかろうと誘いを受けたのだ。まことに偶然であるが、総帥が狙っているのと同じ靴を狙うものが北濱界隈にあるという。ギャラリーの女がいうにはそれは人間ではないのだそうだ、そう、つまるところヒゲの総帥と同じ靴を愛でたのはエイリアン(10w Galleryのオーナー)なのである。


ヒゲの総帥は靴職人の男と靴のことについて話し込む、こうやって自分が詳しくない分野について話しを聞くのは自分の脳内の白地図にどんどんと文字や絵画が描き込まれていくようで愉快なのだ。このヒゲの男のこういうところは幼い頃より何も変わらない。


「今、お履きになっている靴のサイズを見せてください」と靴職人はいう、ヒゲの総帥は自分の靴のサイズを知らないので靴を脱ぐ。靴職人はその靴を受け取って文字を読みとる「7と1/2か」とフェデリコ・フェリーニの映画のタイトルのような言葉をつぶやく。「この靴は女性用に作っているので、阿守さんの足のサイズではこの靴は作れないのです」と靴職人はいう。足のサイズや足幅などを考えてみると、どうにもヒゲの総帥がお気に入りの靴のフォルムにはならないのだということを説明してくれた。


「阿守さん、ちなみにこれはどこの靴を履かれているのですか」と靴職人は問う、「はい、フェラガモです」とヒゲの総帥は訊かれたままを答える。「お幾らでした」とさらに問うてくるので「14万円くらいだったような気がします」と正直に答える。ギャラリーの女は「この人(ヒゲの総帥)はね、いいものを買って、それをずっと使う人なんですよ」とヒゲの総帥のファッションにおける思考を補足説明してくれる。「そうなんです、だから靴も二足しか持っていませんし、服も10着程度しかありません。こうなるとファッションというよりもユニフォームのようなものです」と自嘲気味に笑うヒゲの総帥。


「ちなみに靴の業界というのは明るくなってきているものでしょうか」とヒゲの総帥は問う。「材質については悪くなってきています。例えば阿守さんが履いておられるフェラガモも20年前と今では同じ牛革でも質が全然違います」「つまり、今は質が落ちていると…」とヒゲの総帥が聞き返すと静かにうなずく靴職人の男。「今の牛革というのは肥料に特別なものをいれて成長を異常に促進させて取っているのです」「ええっ、そんなブロイラーみたいなことが行われてるんですか」とヒゲの総帥は驚く。ブロイラーなどは人間の技術介入により成長促進と肥大化が極端に行われて、成長したまま放っておくと自分で歩行すらできなくなるのだ。靴職人の話しは続く、「さらには革というのは先物ですから、資本があるものが大量に買い占めます」「そうすると革の価格は自然と上がっていきますね」「そうです、高くても品質の悪い革が一般的になってしまうのです」という。これは技術の成長であろうか、それとも罪深き業なのであろうか、ヒゲの総帥はなんだか心が浮かない気持ちになる、割り切れない気持ちになる。牛たちのために般若心経でも読んでやらないといかんという気になる。


ヒゲの総帥と靴職人はそこから人生や仕事について話し込む。ヒゲの総帥が自身の数奇な人生を語り、靴職人も自身の数奇な人生を語る、ギャラリーの女は椅子に座って澄ましている。ヒゲの総帥はギャラリーを後にして一旦は北濱のオフィスに戻ったもののすぐに店へ行く。


ヒゲの総帥が到着してしばらくすると店で今月30日にイベントをする女将軍の二人がやってくる。アハハの女とアルセア・イズ・スリーピーである。ヒゲの総帥は女将軍たちとイベントの概要について3分くらいの説明をする、そこからは三人で七輪を囲んで解決することなきどうでもいい話しを延々とする。ヒゲの総帥がいうには歌合戦には以下のルールがあるという。


①歌合戦は互いがステージにいる状態で行われる。


②審査員が数名おり、一曲一曲について論評を述べて採点していく。


③オリジナルでもカバーでも良い。


審査員の人選もヒゲの総帥の厳正なる設置基準を超えたものだけがその任にあたれるという、ワルシャワで行われる5年に一度のショパンコンクールのようにしっかりしたものである。


ここで豪華審査員の陣容も紹介しておかなければならないだろう。※ところどころ伏字なのは女将軍たちの子飼いのファンたちが審査員を事前買収しないようにという懸念からと、審査員の安全上の理由から。


(審査員長) アラ●メ堂のご主人 ※某音楽雑誌社ライター


(審査員) ヤ●トコ ※某シベリアンなんちゃらのベーシスト


(審査員) NASAから超大物ゲスト来たる! ※現在、募集中


ヒゲの総帥が七輪を囲んで女将軍たちと話しをしていると、ギャラリーの女がやってくる。続いてエイリアンが仲間のエイリアンたちを連れてごっそりやってくる。オルガン横の奥の席とその手前の席にてギャラリーの女を含めたエイリアンの酒盛りがはじまる。店内で賑やかにやっていると全身黒ずくめの男が店に入ってくる、ハイタッチ冷泉だ。ハイタッチ冷泉は店に入って、オルガン方面を一瞥するとヒゲの総帥しか聞き取れないような声で「あそこ、ヤバイですね」という。奥の席ではエイリアンたちがAK-47のトリガーに指をかけたかのような言葉の弾丸を飛び交わせあっている。


常連の不思議な女とガルパンの男、斥候の男もやってきて、いつしか七輪を囲む。エイリアンの仲間の女が「やっぱり日本よね、こうして車座になっているとね」という、ヒゲの総帥は「こうなると連歌でもやりたくなりますね。季節もいいですし」と粋人めいたことをいう。それなら一丁やってみるかという流れになり、全員で歌を繋いでいき短歌とすることになった。


しらこなに~  (不思議な女)

わらべあしあと~  (ガルパンの男)

うたげあと~  (斥候の男)

ゆうかいされて~  (エイリアン)

はこづめになる~  (エイリアンの仲間)


まるで京極夏彦の世界である。


しばらくするとエイリアンの仲間の女が沖縄の出自だということで三味線を弾きながら沖縄の労働歌を歌ってくれることになった。ヒゲの総帥も不思議な女から一曲だけ沖縄の唄を教わったので最近はギターの伴奏をしているのだ。不思議な女が勧めてくれた沖縄の女性歌手の歌は魂そのものであり、優しさと鋭さを持ってヒゲの総帥に突き刺さってきた。不思議な女がその歌手のことを話しをするとどうやらエイリアンも知っているそうだ。話しを聞いていくと知っているどころか、不思議な女が持っているCDのジャケットデザインをしたのはなんとエイリアンその人だったのだ。この偶然に車座一同が驚くこととなった。


そして車座一同で「童神(わらびがみ)」を歌うこととなり、夜はどんどんと更けていった。店内には沖縄の言葉とさきほどあぶったスルメの匂いが漂っているのである。



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by amori-siberiana | 2017-12-22 17:07 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。