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こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


このブログへのアクセスの急激な伸びは一体何なのであろうか。キツネにつままれた気分というのはこういうことか、ヒゲの総帥が仮想通貨についてネガティブなメッセージを飛ばしていたからなのか、理由は判然としないがとにかくアクセス数はえらいことになっている。このようなブログに来られても何も起こりはしないし、何もメリットは潜んでいないので読まないでいただきたい。あまり注目されると書きたいことが今までのように書けなくなってしまう。それでも書くよう努力はするが、文章に対して余計な気を使ってしまうのが面倒だ。つまり、面倒なことは嫌いなのだ。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は真っ白な全体主義の要塞を抜け出して、そのまま北濱のオフィスへ行ってはコーヒーを飲んでいる。そろそろブログでも書こうかという頃、学生起業家のダダヤマが神妙な顔をしてヒゲの総帥のデスクへ近づいてくる。「お前なんかが何の用だ?」とヒゲの総帥は早速若者に剣突を食らわせる、「実は阿守さんに相談があって」とダダヤマもひるまない。「くだらん恋愛相談とかはやめてくれ」とヒゲの男はいうが、「いやいやいや、全然違いますよ。事業の話しです」とダダヤマはいう。


話しは長かったのだが約分して伝えると、被雇用者が長続きしないので自分が現場で働かなくてはならないため、外に出て営業活動などができないとのこと。それを踏まえて人材派遣会社をあいだに入れて人員確保したほうがいいでしょうか。という相談であった。


「お前はアホか」とヒゲの総帥は笑いながらいう。
「えっ?なんで?いやいやいや・・・」とダダヤマはいう。
「スズメの涙を何人で分けるつもりなのだ」とヒゲの総帥は商売の根本をダダヤマにおさらいする。人が間に入れば入るほど減益になるのだと。


「結局のところ、お前が現場で働くのが嫌なだけだろう?自分は起業家なのにどうして現場で働かなくてはいけないのか、他のスタートアップの奴らみたいにパソコンひとつ持ってスタイリッシュに仕事しときたいっていう安易な気持ちがあるんじゃないか」とヒゲの総帥はいう、痛いところを突かれたダダヤマはうつむきながら「そのとおりです」という。才能もない、金もない、けれど自分で始めた事業がある。普通のレールを選ばなかったのはダダヤマ自身であるのだから、楽しようとせず死ぬほど働けとヒゲの総帥はいう。働きもせずに従業員に現場を任せきりで売り上げだけを見てるような人間に誰がついていくものかと、ダダヤマに追い打ちすらかける。


ダダヤマは目先の他の起業家の華やかさに囚われて足元が見えなくなっているのだ。ダダヤマはヒゲの総帥からボロクソに言われるが、ヒゲの総帥もエイリアンにボロクソ言われた、エイリアンも誰かにボロクソに言われたのだろうし、その人間も誰かにボロクソ言われたのだろう。つまり、ダダヤマも誰かにボロクソを言えばいいのである。


「お前は起業家でもなんでもない、ただの掃除屋の兄ちゃんだ。そして僕は飲み屋のおっさんだ。ただ、それだけだ。アラタメ堂はただのパソコンに詳しいおっさんで、ディエゴはフリーターだ。そういう価値観でいいのだ、とかく人間は収入が安定すると自己の尊厳を高めようと野暮くさいことをして悪臭を放つ。気をつけなさい」と出る釘を刺すようなことをいうが、ダダヤマはすんなりイエスという。


そこからやっぱりダダヤマの恋愛の悩みが始まりそうだったので、「はい、もう終わり。あっち行け」とヒゲの総帥は清掃業の学生起業家を追いやる。


他人に物を考えてもらうことと、自分でものを考えることでは数光年以上の差があるのだ。


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by amori-siberiana | 2018-01-31 19:16 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さっさとブログを書いて店に行こうと考えていたヒゲの総帥だが、さて書こうとキーボードを叩きだした瞬間、間の悪いことに学生起業家のダダヤマが神妙な顔をして「阿守さんに、事業のことで相談があるんです」とやってくる。面倒臭いなと思いながらもヒゲの総帥は相談に乗り、それで結局のところ90分ほどロスしてしまい今の時間になる。さすがは元サッカー選手である、ダダヤマにとって前後半あわせて90分というのは身に染みついた体内時計なのであろう。


さて、一昨日のこと。


ヒゲの総帥は店に行く。この日は名前みたいな名字の男が自身のバンドを率いてアコースティック・ライブをするというので、ヒゲの総帥は慣れない手つきながらも店にある音響機材をセッティングする。これまでの教訓において、機材が順調に動く状態のときにどこの配線に何を繋げばいいのか写真を撮っておいたので、ストレスなく店内に音が鳴り響くこととなる。


「ワン、ツー、ワン、ツー、ツー、ツー、ツー」とマイクテストをしてみる総帥であるが、そのワンツーが何を意味するのかも、その後のツーツーツーにどのような効果があるのかも知らない。知らないが、自身が音楽家だった頃に関わっていた専門家たちが一同にそうしていたので、それはそういうものなのだろうと何の疑いもなく慣例に従う。


「無批判に受け入れてきた先入観を排除し、真理に至るために、一旦全てのものを疑う」という哲学者デカルトの言葉を若い頃は題目のように唱えていたこのヒゲの男は今となってはそういうこともしなくなったのであろう。


阿呆のようにツーツーいってると演奏者たちがやってくる。三人編成のバンドで「Calmdown」という、段取りよく自分たちのセットを組んでいき、リハーサルは始まる。意外にもクントコロマンサにヒゲの総帥が関わるようになってから、初のロックのイベントなのだそうだ。それなのにメンバーとヒゲの男の話しは終始、ロックやメタルの話しばかりである。


店は定刻に開く、二種類のパスタと唐揚げを用意した万作の目の前には見慣れぬホットプレートがある。これはどうしたのかとヒゲの総帥が訊くと、「うーん、これはノッシー(※斥候の男)から借りとるんです」という。この店のほとんどが借り物と拾い物で成立していると思うと、どうにも世間の皆に頭が下がる思いである。


バンドのお客さんがやってくる、よく解らないが山の向こうからファラオもやってくる、この寒い中なのに自転車でブルーグラスの男もやってくる。常連のガルパンの男、不思議な女、ホットプレートの持ち主もやってきてロックのイベントを楽しむ。


ガルパンと斥候の男は、バンドのドラマーが使っていたスパイラルのシンバルに興味津々、ベースの男は自身の屯鶴峯(どんづるぼう)という場所での心霊体験を語る、ファラオはその心霊スポットを知っているという。比較的に家から近いのだという。ベースの男の話しではそこに防空壕がありその中は迷路のようになっていてカマドウマが沢山いるそうだ。カマドウマと聞いて悲鳴をあげるファラオであったが、ピラミッドの中のほうがもっと怖いのではないか、「ご謙遜を・・・」と密かに苦笑するヒゲの総帥であった。


全ての歌詞と曲をギターボーカルの男が書いているとのこと、自分が作った曲をバンドメンバーに投げると、些細なことを言わずともインスピレーションを汲みとって投げ返してくれるのだと誇らしそうに語っていた。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は夕方には北濱のオフィスでアラタメ堂のご主人と並んでいる。しばらくしてオフィスを後にして心斎橋にあるレンタルオフィスへお邪魔する。そもそもここへ何をしに行くのかヒゲの総帥はあまりよくわかっていない。何故ならば、アラタメ堂のご主人がイベントをした日にやってきたエンジニアの男とありがとうの女から、月曜日の夜にここへ顔を出すようにといわれたからだ。ヒゲにしたって顔を出さんこともないが、何故に自分が呼ばれたのか釈然とはしない。


到着すると経営者であるありがとうの女とスタッフの女が二人ぎりでいる。一階はコワーキング・スペースで二階はシェアオフィスになっている、小奇麗でさっぱりとした空間である。一階の部屋の片隅に神棚のようなものがあり、天照大御神を祀っていたであろうか。他の隅には白地に黒字で「ありがとう」と書かれた紙が木製の慰霊塔のミニチュアのようなものに貼りついている。不思議な空間であった。


そもそも変わった外観で有名な昆布屋のおっさんのビルなので、神棚のひとつやふたつあっても構わないのだろうが、それにしても目立つ位置にあったのが気になった。


コーヒーを二杯ほどいただき、四方話をありがとうの女としていたが、大した用件もないようなので失敬することにした。人狼のイベントをここでして欲しいといわれたが、ヒゲの総帥は「ゲームマスターに関しては自分より上手な人間が幾らでもいるので、そちらに頼んでみるのもいいでしょう」と自身はあまり関わりたくない体を示す。


君子危うきに近寄らずというが、今回の場合において君子があまりにもヴェールに包まれているので、小心者のヒゲの総帥は用心をしているのだ。


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by amori-siberiana | 2018-01-30 21:15 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、金曜日のこと。


ヒゲの総帥はハイパー全体主義のような要塞で仕事をしたのちに北濱のオフィスへ向かう。アラタメ堂のご主人がおり、そのテーブルにはどこかで見たようなデザインの海外版のボードゲームが置かれていた。「また、新しいのを仕入れたんですか」とヒゲの総帥はアラタメ堂に問う、アラタメ堂は何やらむにゃむにゃいっていたが、それを聞き流しながらコーヒーを淹れに行く。自分で話しを振っておいてなんとも不届きな男である。


二人は連れだってオフィスを出る、アラタメ堂は「寒い寒い」を連呼する。寒いを連呼すれば夏場の打ち水のように多少なりとも気温に効果があるような勢いで「寒い」を吐きだす。店に到着すると常連のガルパンの男がいつもの席でおり、やっぱりいつものようにスマホに視線を落としたまま戦車部隊を展開している。


しばらくするとブルーグラスの男が自分の経営するスタジオからマイクを持ってやってくる、さらには北濱で最強の男ことクモン提督もやってくる。それからドンドンドンと全体重を階段に塗り込めるように上がってくる音をさせながら、ハイタッチ冷泉が来る。そして目が乾くから酒を飲みたいとゲームセンス・ゼロの女も来る、その後を追うように斥候の男も来る。


クモン提督は皆にYouTubeの動画を見せる。クモン提督率いるラグビー選手連中がスリップして走れなくなった車を持ち上げるというものだ、肉団子のような男たちが故障した車を持ち上げながら路肩へ移動させる。山間のアスファルト舗装された道、見たところカーブの途中だということから故障車を避難させておかなければ、連鎖事故の恐れもあるので賢明な判断であろう。しかしながらラグビーの連中も力が有り余っているのか、故障車を路肩に寄せるだけではもの足らず、段差のある歩道に持ち上げようとする。車の下部は金属と縁石が大いにガリガリと擦れる音を出す。こういうのをありがた迷惑というのであろうか。動画を見ながら一同は笑う。


そして土曜日のこと。


この日は版画家の万作が執拗にストーキングしている対象者が夜にコンサートをするということで、万作は店では不在。そのため猫のひたいのような小さな店は休業をすることになった。ヒゲの総帥もこれ幸いと久しぶりにコンサートへ出掛けることにした。出かけた先は兵庫県立芸術文化センターの大ホール。出し物は何なのかといえば、ブルガリアン・ヴォイスである。


ヒゲの総帥はとにかくブルガリアン・ヴォイスが好きであるが、残念ながらこれまで実演に触れたことは一度もなかったので、ようやく念願が叶うというところで朝から妙にテンションは高い。ブルガリアン・ヴォイスというのはそのままブルガリア地方の女性合唱のことであり、そんな合唱がはたして面白いのかと言われるかも知れないが、これはそんじょそこいらの合唱ではないと断言せざるを得ない。


魔界だ。本人たちはどういうつもりで歌っているのかわからないが、これは悪魔が好む、または魅入られる音楽である。発声方法はエッジが利いていてプリミティブで野趣があり、ハーモニーは大胆な和声を使ってくる。大胆とはどういうことか。


「ド」という音にハーモニーを付けようとすれば一番簡単なのは「ミ」と「ソ」を付ける、そうするとハ長調になる。


ヒゲの総帥のような頭の鈍い人間は独自の解釈でこう考えていた。


「ド」は父親、「ミ」は子供、「ソ」は母親である。子供がグレだすと半音下がり「ミ♭」になる、こうなるとハ長調からハ短調になる。つまりメジャーからマイナーになるということだ。キン肉マンのようにたまに子供を取り違えて他人の子供とすり替わってしまうと「ミ」はいなくなり、「ド」「ファ」「ソ」となるがこれではどうにも安定しない。自然と実子の「ミ」を取り戻したいという気持ちにさせられるのだ。


ブルガリアの合唱となると、そんな単純な和声ではなく隣の家のおっさんやその愛人をも巻き込んでの自治体内で因縁がぶつかり合うような和声を使ってくるのである。拍子も平気で11拍子などを入れてくるので、3拍子や4拍子に慣れている耳には俳句の字余りや字足らずのような感覚があり容易でない面白さがある。


ヒゲの総帥はブルガリア・ボイスのなかで好きで好きでたまらない曲があるのだが、それはタイトルがわからないままであった。メロディーは知っているのだが、曲名は知らない。その曲をやってくれないだろうかと期待していたが、そこは幸運に恵まれた。耳慣れた曲が総勢20名のずらりと並んだブルガリアの女たちから始まった瞬間に身震いした、これまで待ち望んでいたその瞬間が来たからだ。


ヒゲの総帥は曲が終わったあとすぐにパンフレットに記載されているセットリストを見る、果たしてこれまでずっと追い求めていた曲はなんという曲なのだろうかと胸が高鳴る、対面の瞬間だ。


「老人博士」


と、書かれていた。そして説明書きも併記されている。


一人の老人学者が若者のような着こなしをしてダンスへ行く。一番若いアンゲリカ以外の女の子はみんな彼の側へ近寄ろうともしない。


よくわからないが、そういうことなのだそうだ。


1000人は入るという大ホールはほぼ満員。そしてこういった異国の民族音楽の音楽家たちが来日(または招聘)する際には決まってといいほど現場に関わる男が二人ほどいる。小巖と岡という男だ。


ヒゲの総帥からみて先輩にあたるこの男たちとの出会いは古い。


今から15年以上前のこと。ヒゲの総帥はスウェーデンのトラッドミュージシャンである「ガルマルナ」というバンドに熱を上げていた。ガルマルナから得たインスピレーションは絶大である。当時、ようやくインターネットというものが一般的にも使えるようになり、ガルマルナについて熱心にスウェーデン語を訳しながら情報収集をしていたとき、実はその前年に初来日していた事実を知り、ヒゲの総帥は大いに驚く。ガルマルナも悪魔の呪文のような曲を作る。


「一体誰が日本で認知度の低い、ガルマルナなどを日本に呼んだのだ」とヒゲの総帥は招聘したプロモーターを調べ上げる。招聘した会社がわかった時点でタッキーに連絡をしてその会社の人間を知っているかと聞く。タッキーは面識があると返答する、当時は今ほど個人情報がどうたらこうたらとか、コンプライアンス遵守がどうのこうのという風潮はなかったのでタッキーはすらすらとその会社の所在地を教えてくれる。「アモさん、興味あるんでしたらまた紹介しますよ」とタッキーは言ってくれたが、それを聞くや否やヒゲの総帥はその日のうちに電車へ乗り込み、その会社へ向かう。


別に何も用件はないのでアポイントを入れると断られる恐れがある、となれば残された手は突撃訪問しかないのだ。法人所在地に到着してインターホンを押す、ドアがガチャリと開き人間の顔が半分だけドアから出てくる、「どちらさまですか?」という。ヒゲの総帥は開いたドアの隙間へすかさず足を滑り込ませてドアを閉められないようにする。


「僕は阿守というものです。時は満ちた、ガルマルナと決闘させてください、自分たちのバンドのCDを持ってきました」とヒゲの総帥は素早く説明する。そのドアから見えた半分の顔こそ代表者の小巖という男であった。後日談になるが小巖は当時の模様を振りかえるたび「思いっきり不審者やから、絶対、変な壺とか押し売りされると思ったわ」と苦笑する。その出会いを通じて同社で音楽に関しては歯に衣着せぬ言動で知られ、音楽のウィキペディア的な岡という男とも知り合った。


数奇な縁である。いてもたってもいられない、足を前に踏み出さなければ息をすることもままならんという状況が誰しも人生に何度かあるのであろうが、ヒゲの総帥にしてもこの出会いはそういった類のものであった。行動しないと成果は出ない、本人が行動せずとも成果が出はじめたなら、それは他者が自分のことを聖者や乞食とみて、一般人から区別したときだ。それは厳密にいえば成果ではない。他人の倫理観や道徳観に寄生・依存しているだけだ。


二人からはいろんなことを教えてもらった。ヒゲの総帥にとって少ない師のうちの二人である。向こうがこの不肖な後輩のことをどう思っているのか知らないが。


ブルガリア・ヴォイスを堪能したあと会場にいた二人に久々の挨拶を済ませて大阪へ戻る。もう少しエッジが利いていてもっと土俗的な印象を持っていたのだが、今回の公演はソフトな感じがした。


そういえば「老人博士」という曲のメロディーを基にしたオリジナル曲をタッキーが歌っていたことがある。確か隠れトリスタンというバンドの「GALACTICA」という曲であったような気がする。タッキー以外のメンバーは知らないが、それはそれは酷いものであった。


それでは老人博士をどうぞ。




さらに老人博士の出来の悪い偽物もどうぞ。




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by amori-siberiana | 2018-01-28 01:52 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


北濱はこの冬一番の厳しい冷え込みに見舞われている。ちらほらと雪なのか雨なのか、またその間なのかというようなものが空から舞い降りてきて、道行く人たちに傘を持たせようかどうしようかと悩ませる。起きたとき、一面の銀世界であったとしたら幾ら冷え込まれても、目新しさのほうに気が向いて多少なりとも救われようというものだが、いかんせん大阪は雪が積もらない。ただ寒いだけで、つまらん。


さて、24日のこと。


ヒゲの総帥は要塞から抜けでて北濱のオフィスへ向かい、そのあと100年以上、中崎町で住みつく一族の男と一緒に店へ向かうことにした。店に到着してみると、常連の不思議な女とエイリアンとギャラリーの女がなにやら話し込んでいる。「阿守さん、あなた、こちらへ向かわれるときね、くしゃみをしませんでした?」と自称301才のギャラリーの女はイタズラっぽい顔でヒゲの総帥を見やる。「今ね、万作の悪口を言ってたのよ」とエイリアンが宣言書を読み上げるようにいう。不思議な女はその光景を見ながら「ククク・・・」と密かに笑う。


しばらくすると、全身黒ずくめの服に身を包んだ冷泉がやってくる。ママチャリ部隊を操る男と参謀長たち、さらには東京から冷泉を訪ねて割烹の女とガールズバーの経営者がやってくる。彼らは冷泉に内緒で大阪まで来たのだという。ここにいたって冷泉目線からいうところの西の行きつけの店の人間と、東の行きつけの人間が顔を合わせることとなった。「なんか、変な気持ちです。ぐふふ・・・」と冷泉はつぶやきながら二人をヒゲの総帥に紹介してくれる。


冷泉とママチャリ部隊の男は東京にて一緒の時間を過ごすことが比較的に多いそうだが、この二人の東京での話しは抱腹絶倒である。


店内では万作の創意工夫により卓球台が急造され、そこで東西の者たちが卓球をすることになる。


さらに昨日のこと。


ヒゲの総帥はやはり要塞から出ては北濱のオフィス「ザ・ジンクス」へ向かう。アラタメ堂のご主人が主催する「北浜人狼」があり、ヒゲの総帥はゲームマスター(司会進行)の大役を仰せつかっているのだ。ヒゲの総帥がメンバーが集まるまでオフィスで調べものをしていると、知人のエンジニアの男がやってくる。エンジニアの男はヒゲにありがとうの女を紹介する、このありがとうの女とヒゲの総帥は初対面であるので互いに名刺交換をして応接ソファで四方話をしている。アラタメ堂のご主人とディエゴはお菓子や酒の買い出しに多忙を極める。


そんな最中、総帥は唐突に暗くなっている外へ出る。頭上には予定時刻そのままに、スーッと大きな光が通り過ぎていく。そう、国際宇宙ステーションである。ほんの30秒くらいの出来事であったが、それは多幸感をもたらせてくれるものであった。そこにある動かぬ真実が冥界から顔を出してきたような耽美があった。


今回の北浜人狼はメンバーが多いが、なんとかなるだろうとヒゲの総帥は酒を飲みながら司会進行をして、どんどん気持ち良くなってくる。そして酔っぱらいの誰もが陥る状態となる。つまり、どうでもよくなるという明鏡止水の境地となり超然とする。初参加のなかには人狼に長けた人物たちもいる、ベラベラと達者に喋るのであるがヒゲの総帥はその冗舌にユーモアが含有されていないことを残念に思い野暮さを感じる。少しはファラオやマスマティックの女を見習っていただきたい。そう思うとアホらしくなってどんどん冷めてくる。この辺り、このヒゲの男は難しい性格をしている。


一回目のゲームが終わり、ヒゲの総帥はベラベラに「次はお前がゲームマスターをやれ」と唐突にいいだすが、ベラベラの子分が「あの人はゲームマスターができない」という。これだけ人狼ゲームに精通しているのにどうしてなのかとヒゲの総帥は疑問に思ったが、次の瞬間にその答えは判明した。


「彼はプロのゲームマスターだから、こういう場所ではゲームマスターができないのだ」と子分が不明なるヒゲの総帥に教えてくれる。そんな、場末の聞いたこともない音楽事務所に入って偉そうにしてるシンガーソングライターみたいなケチくさいことを言うのかと苦笑したが、本人たちはそれで自己顕示しているのであるから、そこは敢えて突くまい。人には人の価値観があるのだ、それが気に入る気に入らないは後世の歴史家の評を待とうではないか。


しかしながら「女性なので吊りたくない」とか「女性を疑ってしまうのはどうたらこうたら」とやけに女性に対しては優しい一面を醸し出しておられたのは、大いに大いに、後学となるところである。ヒゲの総帥はアホらしくなって、アラタメ堂のご主人に断りを入れて人狼ゲームから抜ける。


アラタメ堂主催の人狼ゲーム会が終わり、そのままアラタメ堂のご主人、ディエゴ、クモン提督、ゲームセンス・ゼロの女、フリーライターの男と連れだって猫のひたいのように小さな店へ移動する。店ではすでに常連のガルパンの男とヘルベンツが静かに飲んでいた。しばらくすると、大いに騒ぎ倒す電電公社の男たち、そこへ斥候の男も加わり店は賑やかなこととなる。


パン屋の女からもらった喜界島の焼酎を開けて飲むことになったが、なるほどウイスキー飲みでも好んでおかわりを頼むであろう芳醇な味わいがそこにはあった。



ゴッダムの賢い男が三人


お鍋に乗って海へ出た


お鍋がもう少し頑丈だったら


このお話も、もう少し長くできたのにな


寺山修司



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by amori-siberiana | 2018-01-26 19:43 | 雑記 | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、22日の月曜日のこと。


ヒゲの総帥は朝からフランツ・カフカが執筆した世界観のような場所で仕事をする。とにかく猛烈に入室と退室をチェックされ、さらには着衣以外の一切の私物の持ち込みも許されない。外見からすると白い壁でしかないところは、一旦入ると軍の機密機関のようである。


仕事を終えて夕方に北濱のオフィスへ行く。あれやこれをしていると冷泉から連絡がある、「阿守さんに、会いたい、いう人が、今、お店に来ています、代わりますか」というのでヒゲの総帥は代わってくれと頼む。すると受話器の向こうから聞こえてきた声はヒゲの総帥の短かった高校時代の友人のダーウー君であった。


彼の存在なくしてファイナル・ファンタジーもロマンシング・サガも三国志も信長の野望もなかったのである、彼の親父がゲーム好きで誰よりも早くそういった人気アイテムを入手していたので、そのお下がりのお下がりを金銭に余裕のない学生時代のヒゲの総帥は享受していたのである。孫請け会社のようなものだ。


「わかった、15分後に店に行く」と返事をして北濱のオフィスから出て、さっさと猫のひたいのように小さな店に向かうことにした。


店に到着すると全身が黒ずくめの男、ハイタッチ冷泉がいる。妖精の女とエロスを追及する女、そして常連のガルパンの男もやってくる。そんな空間のなかにぽつねんとダーウ―はビールを飲みながらたたずんでいる。しばらくするとグラフィックデザイナーの男もやってくる、ヒゲの総帥は旧友にむかって「ビールは原価率がよくないから、ウイスキーをストレートで飲んでくれないか」と早速容赦のない店側都合を押し付ける、さすがは旧友でありこれを快諾する。グラフィックデザイナーの男はそのやりとりを聞いて失笑している。


およそ10年ぶりくらいに会うのだが、別段、互いにおっさんになった以外は変わることはなかった。それが良いことなのか悪いことなのかさっぱり当人たちには解らないのであるが、とにかくこうして再会できることは生きてこそであるのだから、上出来の類であろう。


ダーウーは自身がシリコンバレーに行ったときの話しをしてくれようとしていたが、長話しになりそうだったので、さっさと彼の出張先の近場のホテルへ戻ってもらうことにした。


そして、昨日のこと。


フランツ・カフカ要塞を抜け出して、ヒゲの総帥は店に行く。ゴガッと締まりの悪いガラス戸を開いた瞬間、厨房のほうからパンッという音がする。共同経営者である柿坂万作がクラッカーを鳴らした音であったが、ヒゲの総帥は確実になんらかの改造銃で撃たれたのだとオペラ鑑賞中に暗殺されたリンカーン大統領の気持ちになった。店内からさらにクラッカーが鳴る音で、「ああ、そういうことか」と納得するにいたった次第だ。


不思議な女とパン屋の女そしてギタレレの女が店を占拠しており、ヒゲの総帥の誕生日を祝ってくれる。それぞれがプレゼントをヒゲの総帥に渡して、彼の40才の誕生日を祝ってくれるのであるが、嬉しいような気恥ずかしいような気持ちで妙に照れるのであった。


しばらくしてよさこいの女がやってくる、さらにアラタメ堂のご主人と寸借詐欺に遭ったディエゴ、そして全身が黒ずくめの冷泉、肋骨を損傷しているドマツ先輩、ウェブライダーの男、人事コンサルの男、ベージュの女、腹がたぷたぷの男、元パティシエの女がやってきて、店は賑やかになる。さらに世界の果て会計事務所に属する狂気の男も合流してくる。


そして北京からベン君もやってくる。やってくるというか、迷い込んでくる。迷い込んでくるというか、巻き込まれてしまう。


さて賑やかな御一行であるが、聞くところによるとドマツ先輩の会社のセミナールームにて、ウェブライダーの男の講演会があったとのこと。皆一様にその帰り北濱の魔窟へ立ち寄ったというわけである。ウェブライダーの男がピアノが達者なミュージシャンだということで、店の足踏みオルガンを使ってのヒゲの総帥のギターと一緒にセッションをしてみる。なかなか急造コンビにしては場を盛り上げられた方であろう。


英語が喋れるディエゴはこういった場合、とても役に立ってくれる。なんでもかんでもディエゴを通じて話せば楽なのだ。冷泉などは「難しいって、なんていうんやったっけ、ディフィカルトや、ディフィカルト、ディフィカルト」と北京の男に詰め寄るだけである。もしも自分が初めて行く国で「難しい」を連呼しながら近寄ってくる黒ずくめの男がいたら、どれだけ難しい国なんだろうと実感するのではなかろうか。


しかし、北京の男は随分とこの店が気に入ってしまったのか閉店まで帰ることはなかった。


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by amori-siberiana | 2018-01-24 19:50 | 雑記 | Comments(0)

タイトル:ダンジョン喫茶 ~そのカフェバーには時々ダンジョンから客が来ます~


なにわのウォール街こと大阪市中央区北浜。


関西随一のビジネス街にひっそりと佇む狭いカフェバーには、奇妙な常連客が集っている。そしてその店には、時々異世界のダンジョンから客が来るという。


現代日本を舞台に、クセのある店員や常連客とダンジョンから迷い込んでくるなにかと訳ありな異世界人たちとの交流を描く、ハートフルヒューマンドラマここに開幕!!


ncode.syosetu.com/n2563en/


奇天烈文学の金字塔となるか、焚書活動や禁教令が出る前にお読みください。ポップで不条理でそれなのにどこか熱い物語です。


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by amori-siberiana | 2018-01-24 18:47 | イベント | Comments(0)

こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


いよいよ待望の平尾正和先生の新作がこの水曜日から連載される運びとなった。舞台は大阪のウォール街こと北浜にある猫のひたいのように小さな喫茶店。売れない版画家と、どういう因果かその喫茶店の経営再建を託された主人公の二人が、異世界のダンジョンから迷い込んでくる異世界人と出会いトラブルに巻き込まれるという物語なのだそうだ。


小説家の平尾先生の手にかかれば、北浜はどのようになるのであろうか。ヒゲの総帥は先生自身からチラと概要を教えてもらったが楽しみでしかない。この連載は読めば読まれるほどに人気が上がり、最終的には書籍となり、映画となりオタクの聖地となり、モデルとなった店は巡礼者でひっきりなしになるという、壮大で綿密な計画に基づいた捕らぬタヌキの皮算用的な発想である。


さて、ここで平尾先生の作品発表と入れ替わるようで申し訳ないのだが、ヒゲの総帥からも報告しておかなくてはいけないことがある。


おかげさまでブログの読者数は右肩あがりに上るばかりで嬉しいのだが、ヒゲの総帥はそろそろまた潜伏をすることになるかも知れない。つまり新しい仕事を始めるのだ。何の仕事なのかも言えないし、どんな場所でしている仕事なのかもいえない。この世には誰にもいえずに忍んでする仕事というのが必ずあるのだ。衣服以外の私物を持って入れない要塞のようなところである。


朝から夕方まで新しい仕事をして、夕方から北濱のオフィスで仕事をしたりブログを書いたりして、夜にコロマンサに顔を出すということができればいいのだが自信はない。どちらにしても心身が摩耗しない程度で尽力できればと考えている。


が、もしもブログの更新が遅れたり滞ったりすることがあっても容赦していただきたい。ヒゲの総帥も身がひとつなのだ、あちらもこちらも出来るわけではない。といってクントコロマンサが滅びるわけでもない、皆さまにはこの半年間ほどブログにお付き合いいただき大いなる感謝をしている。


といって、明日からヒゲの総帥がのほほんとブログを書いていても心優しく迎え入れていただきたい。元来、このヒゲの総帥というのは気分屋なのだ。


今後ともクントコロマンサ、そして版画家の柿坂万作、さらには北濱のことを宜しくお願いする。




ヒゲの総帥 拝



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by amori-siberiana | 2018-01-22 19:49 | 雑記 | Comments(1)

日本という島国のさらにまた島国になる四国。そこの取りたてて何があるでもない地に引きこもり臥竜窟にて執筆活動を続ける鬼才、平尾正和先生の新連載がスタートするという情報が入ってきた。カドカワの刺客と呼ばれる平尾先生が文学界を動かす。


物語の舞台は大阪のウォール街と呼ばれる「北浜」。


その北浜で染みついたように存在する貧乏絵描きのはっさくさんが経営するおかしな喫茶店。その喫茶店と異世界のダンジョンがどういうわけか繫がり、店に集うやっぱりおかしな人たちと異世界の人たちとの交流が描かれるファンタジー絵巻である。


今年は平尾先生から目が離せない、連載スタートの水曜日まであと3日!!


※誰か平尾先生のホームページを何とかしてやれるスキルの人間はいませんか。今の時代に空冷式のスバル360に乗っているようなホームページをなんとかしてやりたいのです。


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平尾正和先生の情報:


◆『アラフォーおっさん異世界へ!! でも時々実家に帰ります』カドカワBOOKSより第1巻発売中!!


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by amori-siberiana | 2018-01-21 17:50 | イベント | Comments(0)

ヒゲの総帥はグランフロントを後にする。店へ行って来場者の席を確保しなくてはならないのである、到着すると店はすでに版画家の柿坂万作によってテーブルは三階に片付けられ、ボロボロのカーペットの上には比較的に新しいイシュトヴァンのカーペットが敷かれていた。このイシュトヴァンについてはまた機会があれば触れようと思う。


万作は風呂へ行く、ヒゲの総帥はジャミロクワイのような帽子を頭からかぶり込みカーペットの上で昼寝する。そういえば昨夜はえらく遅くまでアラタメ堂のご主人やディエゴと酒を飲んで語り合っていたのだ、しまいには入れる店がなくコンビニのイートインのベンチで宿り木に止まる鳥のように三人並んでカップ麺を食べていた。なので寝不足なのは当然で寝不足をここで解消しておく。


ドンドンドンと聞き慣れない階段を上ってくる音がする、アイルランド音楽を演奏する三人が京都から到着したことをヒゲの総帥はまず耳で知った。クントコロマンサでは夏以来の演奏となる、つい先ほどまで京都にあるパワーレコードでインストアライブをしていたそうだ。パワレコのインストアといえばヒゲの総帥にはシベリアンなんちゃらの時代に苦い思い出があるが、それは言わない。


リハが始まる、生音でやるというのでヒゲの総帥は何もしない。ココペリーナという名の三人組の段取りの良さと手のかからなさにホッとする思いで、流れてくるアイリッシュに聞き惚れている。サッとリハは終了する、店は開店する。


ライブ後にヒゲの総帥が客から言われたことであるが、この日の客層はある意味でオールスター勢揃いの様相となっていた。「総帥のブログに登場するなかでも強烈な人たちと出会えて嬉しいです」と感激される陣容であった。その感激のされかたたるやポケモンのプレミアムレアをやっと見つけたような感じであった。


プレミアム・レアは舞台を正面に見て右翼側に集結する。


アラタメ堂のご主人を皮切りに常連の不思議な女、エイリアン、ギャラリーの女、不動産デザイナーで乾いた笑いの忌部、斥候の男、寸借詐欺に遭ったディエゴ、電気工事士のヤマトコ、ミドリさん、時計を止める男。時間をおいてハイタッチ冷泉、世界の果て会計事務所の経営をするドマツ先輩、そしてこの日も芋けんぴを1Kgほど持ってきたチンピラの男と山の向こうからきたファラオである。


舞台を正面に見て中間部にはココペリーナの音楽を求めてやってきた音楽好きたち。そしてオルガン横の左翼側に陣取るのは、頭領のエスタ君とアルセアやシャーリーを含む旅団カーバンクルのメンツやギタレレの女たち、そしてドツボ博士と助手の女。これらは自由人ばかりなので悠々自適に舞台で繰り広げられるココペリーナの演奏を享受している。


ここでビジネスの話しをしたら多分、もっとも過激でポップな異業種交流会になるだろうなと考えながらニヤニヤしているのはヒゲの総帥である。ヒゲの総帥は寿司詰めの店内に入れないので締まりの悪いガラス戸の外から漏れてくる音を聴いて楽しんでいた。


一番最初に来店したアラタメ堂のご主人は悠々とソファに腰を掛けていたが、ツタの絡まる青山ビルにてギャラリーを経営する301歳の女が登場するや、「ここは敬老席ですから」と席を譲って舞台最前線の狭いスペースに閉じこもることとなった。時計を止める男も同様に最前線へ散っていき、終演後はエコノミー症候群のようになっていたという。ヒゲの総帥はそれを聞いて腹を抱えて笑う。


コンサートの中盤でヒゲの総帥は日本刀を片手に持って舞台に近づく、忌部が「おっ、なんやなんや、物騒やな」と楽しそうにヒゲの総帥を見上げる。ヒゲの総帥はミュージシャンにとってのCDの利益がどれくらい大事なのか、コロマンサにとってチップがどれだけ大事なのかを日本刀片手に市ヶ谷駐屯所屋上での三島由紀夫よろしく演説してまたガラス戸の外に消える。ここで割腹しないのがこのヒゲの総帥のズルいところである。


間に休憩を挟んだ前後半の演奏会は盛大なフィナーレを迎える。コンサート会場ならここがクライマックスなのだがここは単なる酒場である何らの興行でもない、クライマックスなどというのは自分が死ぬその日まで酒場にはやって来ないものなので、皆でギャーギャーと騒いでは飲み始める。


ちなみにドツボ博士はダマされてここに連れて来られた。ヒゲの総帥が「土曜日にアイリッシュ音楽を聴きに来いよ」と博士に声を掛けたが、博士からは「前向きに検討します」という良からぬ類の応答があった。なのでヒゲの総帥は「皆があなたの持っているアヴァロンというゲームをしたくてたまらないというのだ」と攻める手を変えると、「日程調整できました、行きます」と博士から素晴らしい返答があった。もちろん、博士オススメのアヴァロンというゲームをしたいという意見は今のところひとつもないのだが。


ところがこのドツボ博士、無類のアイリッシュ音楽好きで自身もずっとアイリッシュバンドをやっていた。ヒゲの総帥が三階から自分のギターを持ってきて博士に渡すと、博士はココペリーナのメンバーと一緒に合奏をしだす。これよりイベントの第三部が始まるのであった。


ヒゲの総帥はココペリーナにお願いをする。


「僕たちは今、船に乗っている。だが、この船はもうじきに沈むことが決まっている。我々はこれから人生最後の音楽を聴こうという乗船客だ。それを踏まえて何か弾いてくれないか」という願いである。エイリアンは「そう!我らはこれから皆、死ぬ!」と嬉しそうに鬨の声を上げる。


バイオリンの女、バンジョーの男、ギターの男、そしてドツボ博士は曲を相談する。


そして始まった演奏は、ヒゲの総帥がこれまで聴いたなかでも珠玉の音楽であり名演であった。ああ、このまま死んでもよかろうと素直に受け入れられるほどであった。


演奏が終わったあと拍手が鳴る、声があがる。その後の一旦の静寂のときエイリアンが絶妙の間で発言する「こんだけいうといて、結局は沈没しなくて死ななくて済んだやんって終わりそうやね」と。場内は笑いの渦に巻き込まれる。これは名言である。人生、そんなことの繰り返しであるのだから。


夜も更ける。


舞台では冷泉とチンピラの男が殴り合いをする、その殴り合いにあわせて楽器を弾ける者たちによる演奏が始まる。「最初の音はDマイナー7thのフラット5にして欲しいんですわ」とチンピラの男が演奏家に注文をつける。世の中がこんな多方面に博識なチンピラばかりだったとしたら、さぞや愉快であろう。世界の果て会計事務所のドマツ先輩はニタニタしながらその模様を見てウイスキーを飲む。


そのうちチンピラの男はメンタルの鍛え方を演奏家たちに伝授するために椅子を殴ろうという。冷泉は生卵を三つほど飲んでは厨房近くでドマツ先輩と腹の殴り合いをする。


パキッ。


聞いたことのない変な音が店内に響く。


ドマツ先輩が「痛っ、イタタタ・・・」といい冷泉に殴られた脇腹を押さえる。「あれ、ドマツさん、どないしたんですか?」と冷泉が様子を伺う。


「あ、肋骨が折れた」と間が抜けた声でドマツ先輩がいう。


「ええっ!?」と一同は驚く。しかしあの音はその事実を納得するのに足りえる確証であった。


「すごい、骨が折れる瞬間をはじめてみました」と感心したように述べるのはギターの山本と時計を止める男であった。チンピラの男はバスタオルを使ってドマツ先輩の脇腹をぎゅっと締めてサポーターの代わりにする。その光景が抱っこ紐をつけられたおっさんのように見えてヒゲの総帥は思わず苦笑する。


チンピラの男は息をどれだけ止められるかでメンタルの訓練になると、この期に及んでも冷泉に向けてメンタル推しをする。ヒゲの総帥もそれに加わることにした、時計を止める男も加わる。いざ、息止めを始めようとする寸前、脇腹を押さえながら座り込んでいたドマツ先輩が苦しそうに歩いてやってくる。どうしたのかと一同の視線がドマツに向けられる。


「・・・俺も、それ、する」


バスタオルでぐるぐる巻きになり脇腹を抱えて息を止めるドマツ先輩の姿は、足柄山の金太郎にしか見えなかった。


ココペリーナが嵐をもたらした日、ドマツの肋骨、折れる。


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by amori-siberiana | 2018-01-21 16:43 | 雑記 | Comments(0)

こんにちは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、昨日のこと。


ヒゲの総帥は捲土重来を図るといわんが勢いでグランフロントに乗り込む。昨日はアポイントの日程を失念しており一日早くグランフロントに来てしまったのだが、そのおかげでグランフロント北館内には多少なりとも詳しくなったので迷うことはなかった。いや、正直にいうと迷った。今、どうしてウソをついたのか自分でもわからない。多分、また迷ったと書くのが面倒臭かったのかも知れない。


そもそもどんな用件でヒゲの総帥がグランフロントに向かうのかといえば、数日前に電話がかかってくる、知らない番号である。「阿守さまの仕事のキャリアを見させてもらいまして、今後のご相談ができればと考えておりますので、一度面談をさせて欲しい」と受話器の向こうの男はいう。風采のあがらない男の声であり、一日に何百件も電話をかけているのであろうことはすぐわかる。ヒゲの総帥は「今、飛行機の中なのだ、着陸態勢の一番シビアな時間だ」と伝えると向こうの男は慌てて電話を切る。しかし、30分後にまた電話がかかってくる「着陸は無事にお済みになられましたでしょうか」と真剣に訊いてくるのには参ったので、思わずヒゲの総帥は笑ってしまう。


とにかくグランフロントで話しがあるのだという先方。「グランフロントで何の話しがあるものですかね」とヒゲの総帥が聞き返しても「私どもでは内容までは関知いたしませんので、あいすいません」という具合である。つまり、複数の会社からテレアポの依頼を受けている外注業者のスタッフが声の主ということで間違いはないだろう。個人情報も何もあったものではない、決まってそういうところはコンプライアンスがどうのこうのと対外的にはいいことを打ち出しており、自分たちは謙虚で顧客の情報は守りますというが、言うことと実践していることはまったく違うようだ。


底意地の悪いヒゲの総帥は外注業者に任せきりの営業をしている会社の人間の顔が見たくなったので、放っておけばいいものをそうはせずにグランフロントに向かったということである。向かったのは人材紹介会社という業種であった。


個室に通されたあと担当者が出てくる、「阿守さま、初めまして」とメガネの男がいう。「どうも初めまして、今日はどのようなご用件なのかを伺いに馳せ参じました」とヒゲの総帥も挨拶をする。「阿守さまのスキルに合ったお仕事をご紹介させていただければ・・・」と男はいう。ヒゲの総帥はヒゲをねじりながら応答する。


「ちなみに僕は御社に自己の仕事を見つけてくれと依頼した覚えはないのです。そもそもよく解らないところから電話が来て、グランフロントへ行けば何かある、阿守よ急げと言われて来たのです」

「そうなのですか、ここへ来られる人で身に覚えがないんだけれどなといわれる人はよくいます」

「よくいるんですか、なるほど。どんな用件なのかを聞いても内容に関しては一向に論じてくれないのです」

「それは、こちらが外注業者に頼んでいるからですね。申し訳ありません」

「まあいいですよ、何でもキッカケですから。それで僕にあったどんな仕事がありますか」

「ええとですね、前職の年収からいいますと・・・」

「待ってください、僕の前職の年収なんてどこで知ったんですか」

「それは・・・、当方ではわかりかねます、申し訳ありません」

「つまり、僕という労働者をグランフロントにまで呼んで、その労働力を必要とする企業に紹介する仕事なんですね。あなたの役目は」

「そういうことで間違いありません」


ヒゲの総帥はいよいよ世の中が嫌になってくる。誰かが何かを作らなければ、我々の目の前にあるものは組み立てられていない、それに肉を食べようにも誰かが屠畜をしているのだ。なんでもそうだ、誰かの労力の結果として我々の生活は成り立っているのに、今さら誰もそんなことはしたくない、情弱の誰かにさせておけという世の中になってきた。これは文明の進歩ではなく退化であり旧時代的な考え方ではないか。ITやビッグデータという名の向こう側に隠れた選民思想に鳥肌がたつ。


知っているものが知らないものに教える。そういった当たり前の精神的根本が今や崩壊してきており、知っているものが知らないものに何も知らせないまま労役をさせるというビジネスが横行しているようにしか思えない。データを持つ側が圧倒的に有利なこの社会において、寺山修司の「キャッチボール」と冷泉の「腹の殴り合い」はますます重要な意味を持つようになってくるだろうとヒゲの総帥は考える。


寺山と冷泉を並べて論じるのはこの気違いブログぐらいであろうが、そのどちらも表現方法は異なっているが根本的には繋がる。


寺山修司はこんなことを書いている。


友情というのは、いわば「魂のキャッチボール」である。一人だけ長くボールをあたためておくことは許されない。受け取ったら投げ返す。そのボールが空に描く弧が大きければ 大きいほど受けとるときの手ごたえもずっしりと重いというわけである。それは現在人が失い欠けている「対話」を回復するための精神のスポーツである。 恋愛は、結婚に形を変えたとたんに消えてしまうこともあるが、友情は決して何にも形をかえることができない。


それはどんなに素晴らしい会話よりももっともっと雄弁に見えたし、どんなに長い握手よりももっともっと手をしびれさせたものであった。


後編に続く


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by amori-siberiana | 2018-01-21 13:08 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。