2018年08月05日、北浜の『THE LINKS』において開催される、アラタメ堂エキスポ「哲楽」。そのイベントで主賓となり場を盛り上げてくれるであろう、三郷サイコロクラブの名誉会長のファラオ稲垣会長と仕掛け人でもあるヒゲの総帥こと阿守さんに来ていただきました。三郷サイコロクラブは常々、ヒゲの総帥のブログで「談合チンコロクラブ」として登場する人気クラブです。


今回はファラオ会長がアナログゲームに賭ける想い、またトップクラブを経営運営していくうえでの苦労や発想の原点、人材の育成やマネージメント面での戦略、さらには今後の三郷サイコロクラブの展開などをお聞きできればと思います。


ーまだ、何も話してないじゃないですか!!ー



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ヒゲの総帥:酷暑のなか足をお運びいただきまして、ありがとうございます。ただの稲垣会長からファラオ会長という名前を付けられて、その後のクラブの躍進たるや凄いものがありますね。


ファラオ会長:おかげさまで、自分でもこんなにしっくりくると思ってもいませんでした。それこそワールドカップやってたでしょ、いつの間にかエジプト代表が自分の祖国の代表のように感じられて、頑張れ頑張れと真剣に応援する自分にハッと気がつくときがありますねえ。無意識にですよ、名前って怖いですねえ。


ヒゲの総帥:名は体を表すといいますからね。栴檀は双葉にして芳しく、蛇は寸にしてその気を表すといいます。稲垣というただのゲームマニアの男を捉えて、とっさに「ファラオ」と命名した冷泉さんはなかなかの慧眼の持ち主だったというわけですね。


ファラオ:そもそも皆で集まって、笑ったらウイスキーを一気しなくちゃいけないってゲームのときに冷泉さんがふと、「ファラオさん」と僕のことを呼んだのが起点ですからねえ。人と人の交流から何かが出来上がるっていうのは、こういうことかも知れませんねえ。


ヒゲの総帥:どうしてゲームの会をいろんなところでしようと思ったんですか?


ファラオ:好きだったからですかねえ。


ヒゲの総帥:そりゃそうでしょう(笑)、好きでもないことモチベーション保って継続的にできるもんじゃありません。懲役や労役じゃないんですから。


ファラオ:確かに質問の答えとしては、安易かも知れないですけれど、「好きだから」という理由以上のものをくっつけても、それは周囲は「そうなのか」という納得が得やすくなるだけで、実際のところ蛇足になりますねぇ。だって、ゲームが好きなんですから仕方がありませんねぇ。


ヒゲの総帥:なるほど、それは仕方がありませんね。放っておいても自分を自分が突き動かすのですから、それに抗うことは難しいものです。自分がそうすることによって、クラブに足を運んでくれた人たちが「楽しかった」とか「悔しかった」、一喜一憂している姿はファラオさんにとっての財産になりますね。


ファラオ:そうですねぇ。本当のところ自分が一番楽しいのかも知れませんねぇ。


ヒゲの総帥:じゃあ、ファラオにとってゲームとは何ですか?


ファラオ:ゲームですか・・・(しばらく考える)。ゲームは、ゲームですねぇ。


ヒゲの総帥:(爆笑)そのとおりです。これは質問がよくなかったですね、失礼いたしました。


ファラオ:阿守さん、こんな話しを知ってますか?


ヒゲの総帥:いえ、初耳です。


ファラオ:まだ、何も話してないじゃないですか!!


ヒゲの総帥:すいません(爆笑)。



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ー「在る」けど「有る」ではないー



ファラオ:渡り鳥いるじゃないですか、何千キロも移動する鳥、海へ山へ、まるで国境なんて人が勝手に作ったバカバカしいものだってあざ笑うかのような鳥たち。


ヒゲの総帥:はい、以前にフランスのドキュメンタリー映画だったかで観たことがあります。つまり、ファラオは渡り鳥だということですか?それは初耳です。人間だとばかり思ってました。


ファラオ:人ですよ!人!そんな話しはしてないじゃないですか!!確かに鳥目ですけど、僕は人ですよ。口が悪い!


ヒゲの総帥:すいません(爆笑)。


ファラオ:ひどいことをする人がいてですね、渡り鳥の羽根を切ってみたんですよ、そしたら渡り鳥はどうすると思いますか?


ヒゲの総帥:どうするんだろう。


ファラオ:その羽根を失った渡り鳥はですね、歩いて行くんです。歩く地面がなくなったら、そのまま泳いで行くんです。残酷な話しになりますけれど、それならと渡り鳥の足をちょん切ったら、くちばしを地面に突き立てて、そして前へ前へと進んで行くんです。自分が行かなければいけない何千キロも向こうにある場所へ。


ヒゲの総帥:そこまでして、何が渡り鳥を突き動かすんですか。


ファラオ:本能です。代々、彼らが進化の過程で何億、何兆羽もの犠牲を払って生き延びてきて獲得した本能です。抗うことのできない本能ですねぇ。


ヒゲの総帥:本能ですか、本能って自分自身で感じることができませんよね。


ファラオ:ですから、抗えないんですねぇ。本能を感じようとしているとき人は本能を失ってます。あるのに失っていることになりますねぇ。それって「在る」けど「有る」ではないことなのかも知れませんねぇ。ですけど確実に、本能は常に生きるものすべてに備わっていて作用しています。


ヒゲの総帥:たとえばお腹が空いたとか、眠たくなったとかいう一般的にそれが本能だと言われるようなものの話しではないということですね。


ファラオ:それは本能とはどういうものかを、あくまで極端な喩えを出して広く理解させようとした言いかたですよねぇ。


ヒゲの総帥:毎日そんなことを考えながら、ゲームしてるんですか?大切なことですけれど度が過ぎるとノイローゼになりますよ。


ファラオ:ゲームはそれこそ誰かが編み出した、「工夫」の美しさがあるんですねぇ。誰か顔も知らない人が作ったロジックに基づいた場だけが用意されて、そこへ放り込まれてさて、自分がどうするのかというのが面白いですねぇ。


ヒゲの総帥:その他人が作成したロジックに従うことへの、なんとなくやらされてる感っていうのに拒否反応とか起きないものなんですか?


ファラオ:そこ否定してしまったら、ゲームはゲームから逸脱してお勉強になってしまいますからねぇ。大体、阿守さんにしても僕にしても気がつけばこの世のなかに放り込まれていて、どうにもならない原則に従って生きているじゃないですか。


ヒゲの総帥:なるほど、そういわれれば確かにそうです。僕らは初期設定なんかなくまったくもって選択できずに、ただ運の向くまま風の吹くままにこの肉体と環境に登場していますからね。僕なんてプレイヤーの名前も最初から「阿守孝夫」と決められているわけですから。


ファラオ:ですから、人間の持つ自由意志というのは尊重されて然るべきなんでしょうねぇ。


ヒゲの総帥:ファラオさん、ゲームの醍醐味ってなにですか?


ファラオ:そりゃ、勝敗が決するところでしょう。ゲームから勝敗を取り除いたらただの暇つぶしになってしまいますねぇ。


ヒゲの総帥:インスタントに勝敗がつくということが醍醐味だということですか。


ファラオ:人は誰しも勝ちたいし負けたいんじゃないですかねぇ。勝つことによって味わう快楽もあれば、負けることによって得られる屈辱もあります。勝った側の気持ちになること、負けた側の気持ちになること、これがとても大事なんですねぇ。これを大きな規模でしちゃうと戦争になってしまいますけれど、結局のところ・・・。


ヒゲの総帥:結局のところ?


ファラオ:ゲームには戦争の要素が詰め込まれているんですねぇ。


ヒゲの総帥:えっ?



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ー35という数字ー



ファラオ:でも、三郷チンコロクラブが大切にしているのはゲームに勝つことではなくて、勝った人、負けた人の両者の気持ちが理解できるところです。だって、戦争では負けちゃうと実際に命を落としてしまうけれど、ゲームでは自分の心のなかで作り上げた、その場だけの自分というプレイヤーが敗北するだけですから。


ヒゲの総帥:ゲームで実際に人が死ぬなんてナンセンス極まりないですし考えられないことです。確かシュワルツェネッガー主演の「バトルランナー」というB級映画ではそんなナンセンスが主題になってましたね。


ファラオ:さすが映画通の阿守さん、バトルランナーご存知なんですね。あれ、映画の時代設定は2017年だそうですよ。


ヒゲの総帥:えっ?去年じゃないですか。


ファラオ:そうなんです。僕が主宰している三郷サイコロクラブでは【35】という数字をモチーフにしているんですけど、これが何か阿守さんにわかりますか。


ヒゲの総帥:34でもなく、36でもなく、35・・・。なんだろう、体温にしてはちょっと低い感じがするし、元素記号での35番目は臭素だけどゲームとは結び付かないし、コーランの35番目の章は確かに重要な内容だけれど、遠い気がするし・・・。


ファラオ:わからないですか。


ヒゲの総帥:うーん、降参。「35」という数字にはどういう意味があるんですか?


ファラオ:三郷(さんごう)を35と数字にしてるんですねぇ。


ヒゲの総帥:ええっ、それだけ!!?






つづく

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by amori-siberiana | 2018-07-14 23:18 | イベント | Comments(0)


親愛なる、牛を追う者たちへ



私の名前はエドモント福田。そう、人呼んで「アラタメ堂」。あるときはアキラメ堂、そしてまたあるときはデタラメ堂、お前たちの好きなように呼べばいい。ただし、俺はお前たちが呼びかけたくらいでは振り向かない。元来、親が呼んだって振り向かないのが俺の性分なんでね。


いいか愚か者たち、今回、俺はとんでもない博打をうつぞ。アラタメ堂の挑戦状の最上級版だ。お前たちが「かくかくしかじか、なんたらかんたら」と、もぞもぞして他人に自分の気持ちを打ち明けようとするとき、俺はLCCに乗りまくってLCCならではの空の旅をする。お前たちが日本の敗退によりサッカー・ワールドカップの寝不足から解放されたとき、俺は自宅のパソコンで最初期の一太郎(ジャストシステム)を起動して、ただただ笑う。なにも出来やしないじゃないかと、ただただパソコンの画面に向かって笑うのだ。


卑屈かね?なんとでも言うがいい。今回はお前たちを叩きのめすために十の関門を用意した。そして十人の俺の指揮下の将軍を用意した。ひとりひとりに挨拶をさせよう。




>ファラオさん、他9名が入室しました。




>よろしく




>ファラオさん、他9名が退出しました。


以上だ。


いいか、よく聞けよ。一度しか言わないからな、これが俺からイノベーションへのインビテーションで、今度はアイソレーションでのソリューションだ!

ビジネス街キタハマにアナログゲームが大集結!
本気で遊べ! 全身で楽しめ!

定番のテーブルゲームから本格的なボードゲームまで、あらゆるジャンルのアナログゲームを用意して、個性豊かなエージェントたちが君を待っている。さあ、賽は投げられた。熱く戦い、そして友情を分かち合おうじゃないか。

【開催情報】

2018年8月5日(日) 13:00~19:00

会場:THE LINKS KITAHAMA

アクセス:地下鉄・京阪「北浜」駅から徒歩5分/地下鉄「淀屋橋」駅から徒歩7分

参加費:おとな2,000円 こども500円

募集人数:50名

ラインナップ:カードゲーム(ごきぶりポーカー、ラブレター、ナンジャモンジャ、HANABI、コヨーテ、ハゲタカのえじき、ワードバスケットなど)/ボードゲーム(コードネーム、サイズ大鎌戦役、シヴィライゼーション、カタン、パンデミック、スコットランドヤード東京、ドラスレ、ディクシット、モノポリー、TOKYO HIGHWAYなど)/テーブルゲーム(麻雀、テキサス・ホールデムなど)/会話型ゲーム(人狼、レジスタンス:アヴァロン、ワンナイトマンション、アンロック!、ギャングスターパラダイスなど)ほか多数

【企画の背景】
●THE LINKSというコワーキングスペースは、ビジネスユーザーからの評価が高い。もっと多くの人に知ってもらい、この場所の魅力を感じてもらうために、長時間滞在できるイベントを開催したい。

●テレビ番組などで「ボードゲーム」が最近取り上げられるケースが増え、ボードゲーム専門のカフェも出店が続いている。「機会があれば遊んでみたい」という潜在層が多いはず。

●ボードゲームは会話によるコミュニケーションで楽しむツールであり、さまざまなシーンで最適な人的交流を図ることができる。

●名刺交換だけのビジネス交流より、遊びを通じてお互いを知り、かつ頭脳戦、協力戦などビジネスの能力育成にもつながるボードゲームのイベントのほうが交流が図れる。

【内容】
開催時間中は会場内の好きな場所で、好きなゲームを楽しむことができます。エージェントが受け持つテーブルに行き、参加を申し出てください。
受付で参加費と引き換えに会場内通貨「ファラオ」を渡しますので、ゲームへの参加費やドリンク、軽食の購入に利用してください。ファラオがなくなったときは追加購入できますが、事務局で無料補充のチャンスを得ることもできます。

<会場スペース>
◎尋牛/見跡/見牛/得牛の卓
ビギナーでも安心して参加できるゲームを、4つのテーブルで楽しむことができます。

◎騎牛帰家の卓
アメリカのカジノでおなじみのテキサス・ホールデムをプレイできます。

◎忘牛存人の卓
メインテーブルでは広いスペースを必要とするゲームを専門に楽しめます。

◎牧牛の卓
謎を解き明かして脱出を図るゲームや、重量級ゲームをじっくり楽しむ場所。

◎返本還源の卓
雀士たちがしのぎを削る、麻雀に特化した専用スペースです。

◎入鄽垂手の卓
人狼をはじめとする正体隠匿系ゲームで遊べる部屋です。


■主催:ARATAMEDO
※本イベントのお申し込みは、下記の主催者宛にお申し込みください。

下のURLにアクセスし、お申込みをお願いします。
http://aratamedo.jp/analog_expo


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by amori-siberiana | 2018-07-08 09:50 | イベント | Comments(0)

北濱にあるジンクスにて、吟遊詩人のウォルセア・アスカと久しぶりに会った。彼女の心配事はふたつある、まずひとつは同居しているフェレットの容態、そしてもうひとつはこの日曜日に控えているライファンにおける天候模様である。ライファンというのは「LIFE is FANTASIA」の略称でRPGの世界を体感するイベントだ。


ピアノ工房の軍人もジンクスへやってきて、ヒゲの総帥を交えて三人でソファ席にてなにやら相談をしている。何ができあがるのやら。


話しは少し時間が巻き戻る。ヒゲの総帥は役所を定時に退庁後、ツタの絡まる青山ビルにあるギャラリー「遊気Q」へ向かう、ギャラリーには自称302才の女がおりヒゲの総帥によく冷えた麦茶を出してくれる。ヒゲの総帥はギャラリーにて売っているクッキーを勝手にとり、袋を開けてはソファにもたれてガリガリと容赦なくかじりだす。ギャラリーの女はその様子を見ながら「あなた、それ、売り物なんですよ」と手で口を押さえながら笑うのであるが、ヒゲの総帥はやっぱり容赦なくガリガリやってる。


そういえば、とヒゲの総帥が話しをしだす。


「そういえば、ここへ来る途中なんですけれど万作さんとお会いしました」と。万作というのは淡路町にあるクント・コロマンサというカフェを経営している、ちょんまげ頭の版画家、その名を柿坂万作という男である。雨降りしきる堺筋をヒゲの総帥が歩きながら北上していると、何者かの視線とぶつかる。ヒゲの総帥が視線をあげるとそこには首をすくめた格好の万作がこちらを見ているではないか。


「万作さん、傘が歪んでますよ」、「あ、阿守さん、へえ、歪んでしもうとりますな」というだけの会話であったが、どうして堺筋の西側に万作がいるのかは容易に想像がつく。万作の日課といえば近くのコンビニでの漫画の立ち読みであったのだが、そのコンビニが本棚の陳列スタイルを変えて漫画を置かなくなった。自然と万作は立ち読みができるコンビニへ移動するわけで、それで「遊気Q」の斜め向かいにあるコンビニへ来るようになったのだ。


さて、ヒゲの総帥は本題だとばかりにギャラリーの女に自分の脳みその中にあることを告げる。それは【アモリのつもり】という名称をつけた何らかなのだ、名称の発案はソファの隣に座るギャラリーの女なのだ。


しかしながら、ヒゲの総帥の話しを聞くや否や「いやですよ、いやですよ」とギャラリーの女は手で制していうのだが、ヒゲの総帥は説得を続ける。


「それならあくまでお手伝いという形であれば、いいですわよ」とギャラリーの女が仕方なく譲歩してくれる、ヒゲの総帥はその言葉を聞くや否や手を打って喜ぶ。その模様は子供が嬉しそうにはしゃぎまわる姿と一緒である。


「では、話しを進めてまいります」と帽子を手にとりギャラリーの女に向かってぺこりとお辞儀をしてヒゲの総帥は青山ビルの裏口から出て行く、そしてジンクスへ到着するという足取りであった。


吟遊詩人の女との打ち合わせも終わり、そのままピアノ軍人と一緒にヒゲの総帥は以前から気になっていたお好み焼き屋へ入る。予約で満席なのだが雨の影響による列車のなんたらかんたらで予約客が来ないので入って構わんといわれ、そのまま入る。この軍人とはおよそ25年の付き合いであるが、びっくりするほど考え方や感じ方が噛み合わない場面が多い。しかしながらお好み焼きはきちんと鉄板の上で切り分けて二人で食べているのだ。その切り分けること入念であり、絶対にどちらが大きいとか小さいで喧嘩をしないよう巧みに専用のコテで半々に切り分ける。


「以前、ブライアン・イーノとダニエル・ラノワにインタビューした奴がいて、こんなことを彼らに訊いてたんだ」と日本酒を飲みながらヒゲの総帥は軍人にいう。


「ふん」とだけ言い、軍人はその切れ長の目で話しを前に進めてくれと促す。


「インタビュアーがあなたたちはレコーディングの環境も優れた場所を自由自在に使える。最先端の機器も持っている、それだけ恵まれた環境があることについてどう思うのか?みたいなことを訊いたんだ。その質問への彼らの回答が素晴らしかった」


「どんなん?(訳:どういうふうなの?)」


「確かに私たちは環境に恵まれていることは確かだ。ただ、これからU2のレコーディングをするんだけれど現場には古いテープレコーダーしかないんだよと言われれば、私たちはそのテープレコーダーだけで傑作のアルバムを作るだろう。もちろん作る自信はある、創意工夫してね。そのためのチームなんだから。と言ったんだ」とヒゲの総帥はいう。


軍人は追加注文した焼きそばを食べながら、頭のなかで逡巡して、そして納得したのか焼きそばを胃の中へ放り込んでいく。


「僕はそのインタビューを読んで、なんだか世界が明るくなった気がした。救われた気がした、なるほど機会は常に平等なんだと思った。これは僕もなんかできるぞと感じたのだ。そのインタビューを読んだ当時、自分の将棋盤のマス目が9×9だったのが、90×90くらいに感じられるくらい素敵な言葉だったのだ」とヒゲの総帥は手振りを交えながら軍人に向かっていう。


話しはいいところなのだが、ヒゲの総帥は次にゲームセンス・ゼロの女ことアシムと打ち合わせがあるので、店を出てジンクスの前へ軍人と移動する。しかしながら話しは尽きないのでジンクス前でヒゲの総帥と軍人はあれやこれやを話し出してしまう。アラタメ堂のご主人、ファラオ、そしてアシムがジンクスから出てきても二人の立ち話しは続くのである。


アシムは打ち合わせよりも餃子を焼きたいのだ、餃子を持ってきているのだ、餃子を焼かせろとやかましい。アラタメ堂はコロマンサへ行き、ファラオも山の向こうへ今日は帰るという。30分だけと時間を区切って打ち合わせをして、後は餃子でもなんでも焼くがいいとアシムを「マギー」へ連れて行く。軍人は帰る。


30分もあれば十分だとヒゲの総帥はアシムと打ち合わせをする。「あなたはアシムだ、髪の毛がなくなってもアシムである。右手がなくてもアシム、下半身がなかったとしてもアシムだ。ならば、どこまで切り刻めばアシムはアシムではなくなるのか。つまりアシムの最小単位はどこになるのか」とヒゲの総帥はアシムに問いかける。


「んなの、心っすよ」とアシムはいう。「そういや、この前、阿守さんに言われたことほんのちょっとわかってきたんっすよ。自分の器は自分で決められないってことです」とアシム、確かサラリーマン金太郎かなにかに書かれていたセリフをヒゲの総帥がそのまま転用したのではなかったか。そしてアシムはカウンターでそわそわしだす、グラスに注がれていたウイスキーのロックはロックだけを残して阿呆のようになっている。いよいよそわそわも限界だ「すんません、おかわり!」と右手のひとさし指を一本あげて女オーナーにアシムは自身のアルコール欲求を伝える。すっかり30分は過ぎている。


どんどんとマギーの階段を下りてくる足音がする、振り向くとカラカラと笑う不動産広告デザイナーの忌部がやってくる。飄然たること柳の如し、湿気で髪の跳ねること「π」の如しという感じでバーカウンターに座る。座るというより、とまる。そして忌部がマギーに持ち込んできたものに一同は爆笑する、「こいつはいいな」とヒゲの総帥は腹を抱えて笑い転げて、アシムは「5秒、見てられないっすね」とケタケタ声をあげる。その模様を見ながら「お前ら、実は世界はすでに終わってるんだぞ」と平気で言いだしそうな顔をする忌部。


さらにどんどんと階段を下りてくる足音がする、やってきてのは新たにパンチパーマを巻きなおした黒ずくめの男こと冷泉であった。そして無法松先輩とアラタメ堂のご主人もやって来る。「やっぱ、バーカウンターがあるっていいっすよね」と無法松先輩は子供のようにバーカウンターの横についている、馬の紐を引っ掛けておくための鉄製のバーを押したり引いたりする。


押したり引いたり、その振動がバーの一番端にいるヒゲの総帥にも伝わってきて、まるで海だなと思う。


外に出ると雨は俄かになっており、信号機の光が黒くつるっとした路面に映り込んでいる。なんだか気持ちが晴れるよい週末であった。都会へ出て来て22年、ヒゲの総帥はまだ都会人にはなれていない。都会人か何かもわからない。


すべてはファラオの名のもとに


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by amori-siberiana | 2018-07-07 11:23 | 雑記 | Comments(0)

オタヴァ・ヨのワークショップのあと、冷泉と一緒に阪急電車へ乗り込み揺られる。慣れないダンスのレッスンであったが、最後の最後に登場したグルグル回るやつは三半規管に自信のないヒゲの総帥にとって酷な仕打ちであった。


目が回るのがなかなか元に戻らないまま、電車にガタゴトと揺れているとなんだかとても疲れてくるのであったが、伊丹からの阪急電車はそれなりに空いていたし北濱へ帰るにも乗り換えが幾度かあるので最悪の事態は免れた。


冷泉と一緒にコロマンサへギターを取りに行く、冷泉は壮絶な二日酔いだったにもかかわらずそろそろ一周回って気持ち良くなってきたそうで、コロマンサでお馴染みのセット(ウイスキーのストレートをハイボールをチェイサーにするというもの)を頼む。店には醤油売りの女が来ており、つい先ほどまでアリスという女が来店していたのだと教えてくれる。


コロマンサまで来る道中、珍しくも不動産デザイナーの忌部からヒゲの総帥のところへメールが届いていた。内容は「麻雀したいなー」というものであったが、ご存知のようにヒゲの総帥はグロッキー状態なので、その様子を見かねた冷泉からも「阿守さん、僕を理由にお誘いを断ったらどうですか」と心配される始末であった。


しかしながらヒゲの総帥は麻雀に参加するためにコロマンサで冷泉と別れて、堺筋を横断して未明の船場へ向かう。向かうのはもちろん大正ロマンの名残りを醸し出す船場ビルディング、忌部の会社のあるところだ。


到着するとビルディング全体を統括する玄関口は閉まっており、忌部がトボトボと奥から玄関口へ歩いてきながら内側から自動ドアを開けてくれる。「待ってましたぜ」とカラカラ笑う忌部、合流した二人は吹き抜けになっている船場ビルディングの中庭を歩きながら奥へ奥へ行く。昔ながらの引き戸を開くと、見たことのある顔がすでに応接ソファを陣取っている。


ゲームセンス・ゼロの女ことアシムである。「アモさん、遅いっすよ」と一声を発するアシム、最近はファラオの名刺、ディエゴの名刺、平尾先生の名刺などをデザインしてアラタメ堂の挑戦状のリーフレットなどもずっと手掛けてきたことにより、この界隈ではちょっとした著名人である。名刺といえばアッシーという相場があと一息で出来るのではなかろうかという感じである。ただし、ファラオの名刺はパラオになっているのだが。


聞くところによればヒゲの総帥が来るまで、二人で麻雀を特訓していたのだというではないか。BGMには延々とB'zが流れている、ヒゲの総帥は頼むからとBGMをB'zから長渕剛の「Captain Ship」に変更してもらう。


長い曲である、徐々にテンションが上がっていく剛の声はラヴェルのボレロやラ・ヴァルスを連想させる。


「生きて!生きて!生きて!」


「生きて!生きてぇl生きてぇ!い・き・ま・く・れぇえーー!!!」


この部分はボレロでいうところの転調部分であろう。ボレロ初演のとき、ある音楽評論家がコンサートに遅れて会場に駆けつけると知人がコンサート中にもかかわらず会場の外でいることに驚いた。どうして演奏を聴かずに外にいるのだと問うたところ、「コードが変わるのを待ってるんだよ」と答えたという話しが残っている。


エスプリに富んだ言葉ではあるが、ちょっと出来過ぎているようにも思うも、それだけラヴェルが愛されていたという証拠でもあろう。


もちろん、麻雀はヒゲの総帥の一人勝ちである。アシムは「うわー」と悔しがり、忌部はやっぱり水気のない笑いでカラカラという。とっくに日にちは次の日となる、シェヘラザードの蠱惑的な話しも終わっておとぎ話のなかでも終電が無くなっているだろう頃、麻雀の会は終わる。


先日、サッカーを観終わったあとにタッキーと歌ったニルヴァーナはなかなか良かった。試合が終わったあと、ビッチの姐さんが何と言葉を発するべきか迷っている二人に対して「こんな感じ?」とテレビにカート・コバーンの顔を映してくれた。


そのあとタッキーはジョニー・キャッシュが歌うナイン・インチ・ネイルズの「HURT」を皆で聴かないかと提案する。皆、了承。


静かに聴く三人の周囲にジョニーの優しくしわがれた声が通りすぎる、洋服を貫かない声なのにどこを経由してかわからないが胸に入ってくる。この声が出るまでにどれほど酒を飲めばいいのだろうと恐ろしい想像をする。


これは、多分、美しい。


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by amori-siberiana | 2018-07-04 20:55 | 雑記 | Comments(0)

2018年8月05日(日)は多分、大雨となるであろう。それはつまり、これまでアラタメ堂のご主人がボードゲームのイベントをするときは空模様が台風とか嵐となるのが恒例になっているからという経験律から導き出された予感である。


古代エジプト、それこそファラオがいる時代。ナイル川は氾濫する。その氾濫の予兆のようなものがないかと人々は空を仰ぎ見る。そんななかで誰かは知らないが賢い人があることに気づく、川の氾濫は太陽とある強烈な閃光を放つ星が同時に昇ってくる頃に起きるということを。この発明が一体どれだけの人を救ったことであろうか、発明とはそういうことなのだ。


その星の名を人々は「シリウス」と呼ぶ。


「焼き焦がすもの」という意味なのだそうだ。何もかも焼き尽くしながら核融合を繰り返す太陽と、同じく自身を焼き焦がすシリウスとが一緒になったとき、ナイルは氾濫してそこから肥沃な土を生み出し豊穣をもたらすのである。この二つの星の熱さでパンを焼くのは、人間の知恵以外のなにものでもないのである。


さて、レジデンシャル・プレミアム対談も最終回を迎えることになる。語るのはヒゲの総帥とグッドマネジメント総合研究所の加藤利彦さんである。加藤社長はこのブログでは冷泉(れいぜい)さんという名前で有名なので、今回もそれに倣って冷泉さんと呼ばせていただくことにする。



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ー全員、飲ませまくって、ぶっ倒しますー



ヒゲの総帥:今回も東京と大阪の行ったり来たりなのに、対談どころかロシアのフォークダンス講習会へも付き合っていただきありがとうございます。


冷泉:いや、全然構わないです。僕のほうこそ・・・、二日酔いで使いもんにならんくてごめんなさい。


ヒゲの総帥:冷泉さんでも、二日酔いすることあるんですね。


冷泉:前の日の夜から朝の8時まで13時間くらい飲み続けてたんで、完全に死んでましたね。


ヒゲの総帥:さて、冷泉さん。8月の5日の日曜なんですけれど、「リンクス日曜、趣味のじかん」の第二弾が開催されることになりました。今回はワインとは打って変わって、アラタメ堂エキスポ、名付けて【哲楽】というものになります。


冷泉:なんか、ごつい感じ、ばんばん伝わります。


ヒゲの総帥:はい、今回はごついですよ。リンクスの中を10個の関門に分けることにしたんです。その10セクションのそれぞれで違う種類のゲームが行われるという感じです。


冷泉:阿守さん、ごめんなさい。僕・・・、あんまり何いうてはるんかわかってないかもです(苦笑)。


ヒゲの総帥:ああ、全然構いません。冷泉さんにもその関門の中の一つを担当してもらいたいんです。


冷泉:あ、なんでもやります。何したらええんですか?


ヒゲの総帥:はい、リンクスの中枢部にある小さなバーカウンターを「喜楽BAR」というものにするので、そこで来場者に延々と酒を放り込んで欲しいのです。


冷泉:それおもろそう、是非、やります。全員、飲ませまくって、ぶっ倒します。


ヒゲの総帥:よろしくお願いします。心強いです。


冷泉:他の関門はどないなっとるんですか・・・、全部、酒が出るんですか?それ、誰か死ぬんちゃいますか。


ヒゲの総帥:お酒は冷泉さんのところだけなので、ご安心ください。


冷泉:ぐふふ・・・。




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何語しゃべってはるんですか?



ヒゲの総帥:今回、10の関門にはそれぞれ名前が付けられています。まず、この日も例によって裏口から来場者の皆さんに入ってもらいます。


冷泉:あの裏口から入る感じ、好きです。怪しさ!


ヒゲの総帥:そのまま右回りにリンクスの回廊を歩いてもらい受付まで来てもらいます。そこで参加費の2000円(※予定)を払います。するとその参加費と引き換えに「ファラオ」というその場でしか使えないこども銀行のような紙幣を渡されます。


冷泉:人生ゲームのお金みたいなもんですか?


ヒゲの総帥:あ、そうそう。つまりそういうことです。最終的に誰がこのファラオを一番持つのかで優勝者が決まります。もちろんファラオを使って、「喜楽BAR」で酒を飲むこともできます。


冷泉:ファラオさん、自分の顔が紙幣になること知っとるんですか?


ヒゲの総帥:ええ、「光栄ですねえ」と本人は言ってましたよ。


冷泉:(笑)ヤバイじゃないですか、狂ってますねえ。


ヒゲの総帥:前置きが長くなりましたけれど、それぞれ10の関門を紹介しておきます。


①【尋牛 /じんぎゅう】


②【見跡 /けんぜき】


③【見牛 /けんぎゅう】


④【得牛 /とくぎゅう】


⑤【牧牛 /ぼくぎゅう】


⑥【騎牛帰家 /きぎゅうきか】


⑦【忘牛存人 /ぼうぎゅうぞんじん】


⑧【人牛倶忘 /じんぎゅうぐぼう】


⑨【返本還源 /へんぽんかんげん】


⑩【入鄽垂手 /にってんすいしゅ】






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以上の10の関門です。


冷泉:阿守さん、何語しゃべってはるんですか?


ヒゲの総帥:ああ、これは禅では有名で、悟りにいたる10の段階を牛を捕まえるに例えて図に示した「十牛図」から拝借した言葉なんです。以前、永平寺で洒落た座布団を尻に敷き、薄暗いなか座禅してるときにねいきなりですよ「そういうことだったのか!」と豁然大悟しました。つまり悟ったのです。


しかしながら、悟ってからが大事なので、こうしてリンクスの坂井さん(マンホー)からのご厚意やアラタメ堂のご主人からの「もう、好きにやってください」という言葉をもらい、やっと機会を得たということです。


冷泉:皆さん、ええ人ばっかりですね。ほんで、僕はこれでいうたら、どこになるんですか?


ヒゲの総帥:了解、それではひとつひとつ順番に説明しますね。



【尋牛の卓】、【見跡の卓】、【見牛の卓】、【得牛の卓】 ※通称:ファラオの回廊




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まず、受付でファラオを受け取った人たちの目に入ってくるのは、この4つの卓です。ここの担当(ゲームマスター)はファラオとナンバーワンソムリエのタッキーたちです。4~5人プレイが最適なボードゲームをする場所となります、タッキーの卓なら「スコットランドヤード・ゲーム」でしょうし、もし僕が入るとしたら「モノポリー」とかですね。


冷泉:あっ、むっちゃいい。ファラオをつこてゲームして、勝ったらその回の参加費全員分とかを勝者がもらえたりするいうことちゃいます?


ヒゲの総帥:さすが冷泉さん、察しがいいですね。



【牧牛の卓】、【騎牛帰家の卓】



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牧牛では税官吏の男が仕切る「アンロック」などの脱出系ゲーム、さらに騎牛帰家では国際大会への参加でも勇名をはせる大坪博士による「テキサス・ホールデム(7枚ポーカー)」が盛大に行われることとなります。ここでは大量なファラオが行き交うこととなるでしょう、リンクスのウォール街です。


冷泉:ファラオがなくなった人はどないしたらええんですか?


ヒゲの総帥:ファラオがなくなった人もまったく気にせずゲームに興じていただきたいのです。「ファラオ・マイニング」なる特設スペースを設けますので、そこでファラオを受け取ることができるように考えています。


冷泉:なんか、現代への痛烈な風刺を感じますね(笑)。





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ヒゲの総帥:ここがメイン会場になります、ここでは主催者であるアラタメ堂やオーナーの坂井さん(マンホー)やヒゲの総帥、さらには名カメラマンの女がおり、いろんな各種ゲームを楽しめるようになっています。窓際のテーブルにはノートパソコンがそれぞれ設置されており、外部へ向けて情報発信がなされます。もちろんのことながら、本来ここはコワーキング・スペースなのでWi-Fi環境は素晴らしいものがあります。存分に普段は最先端ビジネスに使われるパフォーマンスを堪能していただきます。


冷泉:窓際の記者クラブみたいなとこで、戦歴とか中の様子とか「#リンクス」つけて発信したら、おもろそうですね。


ヒゲの総帥:さすが、冷泉、Googleから認められた男ですな。


冷泉:ガルパンさんとか来たら、ここでずっとガルパンのアプリゲームばっかりしてそうですね。



【人牛倶忘の卓】




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ヒゲの総帥:いよいよ、冷泉の登場です。さっきの写真の右端に見えてる小ぶりなバーカウンターでは冷泉が仕切る「喜楽BAR」というものがあり、そこでアルコールを含めてのドリンクが提供されることになります。最初にいったようにファラオでの支払いも有効にしようと考えています。


冷泉:「人牛倶忘」ってどないな意味があるんですか?


ヒゲの総帥:牛を捉まえようとした理由を忘れ、捉まえた牛を忘れ、捉まえたことも忘れる。さらには忘れるということもなくなる世界のことです。この図だけには他の十牛図とは違って絵が描かれてなくてね・・・。



冷泉:丸い円はエンドレスハイボールの意味ですね。僕の卓も、ある意味ゲームですね。ケガをするかもしれないリアルリスクのあるやつ。人牛俱忘の意味、好きです。




【返本還源の卓】




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ヒゲの総帥:次にそのまま回廊沿いに最初にいた受付の方へ流れていくと、二つのミーティングルームがあります。最初にあるのが小さいほうのミーティングルームで、ここを返本還源の卓とします。


冷泉:なんか住民税の還付金みたいなイメージありますね。


ヒゲの総帥:(笑)確かに。ここでは乾いた笑い声で有名な不動産広告デザイナーの浦部さんが担当して、「麻雀」を楽しむ場所になります。


冷泉:浦部さん、体力もつんですか?


ヒゲの総帥:長時間労働が日常茶飯事の売れっ子デザイナーさんですから、そこは楽観的に考えていますよ。


冷泉:鬼ですねえ。



【入鄽垂手】




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ヒゲの総帥:最後になりましたけれど、リンクスの人狼ではおなじみのミーティングルームAです。もちろんここで行われるのは延々とずっと「人狼」です。ゲームマスターを担当してくれるのは、小説家の平尾先生とゲームセンス・ゼロの女ことアッシー。さらには朝夕の投票先を数える役目としてディエゴも招聘しようと考えています。


冷泉:人狼や麻雀で夢中になって、酒を飲みたくても部屋から出て行けんから飲まれへんみたいな人にはどないしはるんですか?


ヒゲの総帥:そういうときのために、イイデヤンスの代表取締役にウェイター役をお願いしてます。


冷泉:リンクス知ってる人も知らん人も、驚くでしょうね。ほんでそもそも、阿守さんは何がしたいんですか?


ヒゲの総帥:僕がしようとしていることは、作曲です。




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冷泉:さっきょく・・・、ですか。


ヒゲの総帥:はい、それは音楽ではないかも知れませんが、まさに曲です。そうだ、冷泉さんがいつも言ってる「喜楽」ってあるじゃないですか、あれってどういうことなんですか?


冷泉:喜楽は人に喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい、そういう気持ちを相手に投げかけるいうことです。阿守さん、花咲か爺さんの話しを知ってはりますか。枯れ木に花を咲かせよういうて、灰をまき散らすでしょ。僕はその花が咲くかどうか知らんけど、あちこちに灰を撒きまわる、狂った花咲か爺さんになりたいんです。


ヒゲの総帥:つまり、僕も喜楽で狂った花咲か爺さんというわけですよ。リンクス、喜楽、作曲、言葉は違えど一緒なのかも知れませんね。


冷泉:阿守さん!僕・・・ダーツの矢を買ったんですよ。ダーツ行きませんか?





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by amori-siberiana | 2018-07-04 02:46 | イベント | Comments(0)



2018年10月7日に再活動するシベリアン・ニュースペーパー(SIBERIAN NEWSPAPER)。これからヒゲの総帥が所属することになる団体である。


しかしながら、シベリアン・ニュースペーパーというバンドが盛んに活動していた頃のことを知る人はそんなに多くない。そうなると改めてシベリアンなんちゃらについて、皆でおさらいしておく必要がある。知識というものはそれが社会的に貢献するのであれば共有されるべきものであるし、結局のところ知らないことには人は興味を持たないものなのだ。


今回、シベリアンニュースペーパーについて答えてくれるのは、チェコのデザイナー、ジョセフ氏が描いてくれた「シベリやん」。このシベリやんが君たちの疑問質問なんかを良識あるコンプライアンス内で全て答えてくれる。※感じかたには個性があります。




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それではいってみよう。


◆質問

シベリやん、つまり、シベリアンなんちゃらって何なの?

◇回答

いい質問だね。今の時代、ググればなんでも出てくるけれど時系列を追って頭で整理整頓するのも面倒だもんね。シベリアンニュースペーパーっていうのは


「SIBERIAN NEWSPAPER'(シベリアン・ニュースペーパー)は日本の7人組のインストバンドである。2005年に大阪府にて結成。」 引用:Wikipedia


2005年から2014年まで活動してたんだ。出したCDは5枚(+αもあり)だね。




◆質問

メンバーが7人組って書いてあるけれど、あれ?一人足りないんじゃないかな。

◇回答

自分探しの旅に出たまま帰って来なくなった人がいるんだよ!




◆質問

インストバンドって何なのかな?迷える人たちに救いの道を教えてくれるってこと?

◇回答

笑、確かにゲーム会なんかではそのゲームに詳しい人が詳しくない人に教えることをインストっていうよね。でも、それとは全然違うんだ。インストというのは歌がないバンドのことだよ。

インストゥルメンタル=楽器のみという解釈でいいんだよ。





◆質問

そっか!歌う人がいないバンドなんだ。でも、そんなバンドしてたらせっかく有名になってもカラオケで歌えないんじゃない?

◇回答

確かにそうだね。でも、カラオケ受けを考えて作られたバンドじゃないからそこは仕方がないんだ。歌がない分のメリットだって多いんだよ。




◆質問

歌がないことでの・・・メリット?

◇回答

そうそう、それはこのシベリアンというバンドが最初から海外志向の強いバンドだったということにも起因してるんだよ。英語の発音を練習するより、音だけで勝負したほうが手っ取り早かったからね。




◆質問

それでシベリアンは実際に海外へ行ったりしたの?

◇回答

もちろんだよ、結成した次の年には早速イギリスで公演してるんだよ。周囲にも優秀な人間が沢山いたからね。




◆質問

イギリスで公演といったって、ただ演奏して帰って来ただけなのに、成功したってことをそれらしく言ってるだけなんじゃないのかな。そういうミュージシャン、多いよ?

◇回答

多いね。一度、学者に統計を取ってもらいたいぐらいだね。ここが面白いところでシベリアン本人たちも自分たちに注目が集まるなんて思ってもなかったんだ。ところが、イギリスに到着して現地の新聞を見てみると、自分たちの写真が大きくクローズアップされてるんだよ。




◆質問

ええ?どうして?日本でなんの実績も積んでいない人たちが、どうして取り上げられたの?おかしいよ・・・、そこにお金を使ったの?それともイギリスの新聞社に知人がいたとか?


◇回答

ははは、ビジネス的にはそう思えるよね。でも、違うんだ。彼らはお金もなかったし知人も少なかった、少数精鋭といえば格好がいいけれど、関わる人たちはそんなに多くなかった。彼らが使った宣材用のアーティスト写真はアイコラなんだよ。軍人が7人並んでて、全員の顔を入れ換えてるだけのシュールなものだったんだ。インパクトは凄かったね。費用もかかっていないしね。




◆質問

それはアイコラ職人さんが作ってくれたの?

◇回答

残念、当時のマネージャーのタッキーだよ。




◆質問

それでイギリスでの公演はどうなったの?写真だけの出オチってことが一番格好悪いんだよ。大丈夫?

◇回答

もちろんアーテスト写真だけでシベリアンに注目した人は多くはなかったんだけれど、彼らには運もあった。彼らの後に演奏するバンドがまあまあ噂されてたバンドだったから、それを目的で会場には予想以上に沢山の人が来てたんだ。




◆質問

うんうん、それで!

◇回答

彼らは恵まれた機材もなかったけれど、頑張ったね。無我夢中で演奏したんだ、演奏が終わると場内がシーンとしてね、「ああ、やってしまった。じゃ、帰ろっか」と思った瞬間、いきなり雷のような拍手とスタンディング・オベーションでイギリス人たちに迎えられたのさ。




◆質問

うわっ!すごいねー!メディアの人とかも来てたのかな?

◇回答

それも運が良くてBBCの人や音楽評論家(ライター)の人たちも来てたり、その夜の噂を聞きつけてくれて、そこからBBCでシベリアンの曲が世界中に向けてオンエアされたんだ。

「彼らの音楽には世界中のすべてが詰まってる」って紹介してね。上手だよね、やっぱり海外の人たちの宣伝方法は。




◆質問

じゃあ、そっから一気に人気が爆発して有名になったんじゃないの?

◇回答

そこが難しいところでね、イギリスで受けてホームページへのアクセス数が劇的に増えたんだけれど、そんなの実際には予想外のことだからどう対応していいのかわからなくて、恥ずかしながら為す術がなかったんだね。自分たちの投じた奇跡的な一手への反響に対しての、それに見合う次の一手を持っていなかったってことかな。




◆質問

それは惜しいことをしたね!そうなると自然と噂と注目は沈静化していっちゃうよね。

◇回答

そのとおりだね、まだまだバンドとしても人間としても期待されることに足るだけの成熟も準備もなかったということだね。レコード会社にも属してなかったし、投資家もいなかったから資本力もなくて、大きなことをしたくても出来ない状況だったんだ。




◆質問

それで次の一手はどうしたの?

◇回答

彼ら、やっぱり海外に行きたいっていうことがあったから、フランスのカンヌで行われた国際見本市に行ったり、あとは国内で一番格好いいステージで演奏しようってことでフジ・ロックフェスティバルに出演したりしたんだよ。




◆質問

全然、調子よくやってるじゃない!

◇回答

確かにそういう一面だけを見ればそうかも知れないけれど、実際には彼らも音楽だけで生活していけるわけでもなく、日々の仕事をしながらということだから、精神的にも肉体的にも勢いだけでやって行くには無理が出てくるんだよ。





つづく



当時のライブ・レポ


http://smashingmag.com/tour/07tr/070202sbn_miyo.html

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by amori-siberiana | 2018-07-02 00:34 | メニュー | Comments(0)

Otava Yo (オタヴァ・ヨ)


日本語の韻に親しんでいる日本人からすると、どうにも力の入らない名前である。


その意味をギター弾きのアレクセイに問うたところ「草刈りのあとって意味さ」とタバコの灰を公演ホールの庭木に落としながら返答する。ヒゲの総帥が「おい、タバコの灰くらいはここへ入れろよ」とソフトタイプの携帯灰皿を取りだすと、「それはなんだ?どうなってるんだ」と興味深そうに灰皿を開ける。


すると一緒にタバコを吸っていたフィドル(それとボーカル、たまにダンス)のディミトリ―が会話に入ってくる。「これはどこで買えるんだい?キオスクかい?値段は幾らなんだい?」とギョロとした目をさらにギョロとさせて、ヒゲの総帥に問うてくる。


そんなことお構いなしにアレクセイは話す、というより論ずる。「そもそも、ロシアの森を育てたのは灰である。森林を燃やして灰にする、そしてその灰の下から新しい森がスタートするのだ、灰は再生の象徴である」と。つまるところ自身の悪癖について自己肯定をしているのだが、どうにもロシア人がそういうことを話し出すとこちらとしては信じたくなるものである。彼らほどユーモアに満ちた国民性もないであろう。それはお国柄というよりも、お国の特異な歴史柄といっても過言ではない。


ヒゲの総帥にオタヴァ・ヨを紹介してくれたのは、皆さんご存知、カコフォニー・フィールズのドイワ会長である。最初はランニングシャツを着ただけの小汚いロシア人を連れてくるんだなくらいに考えていたが、彼らがリアレンジしてYouTubeにて発表したロシア民謡はその再生回数が1500万回を超えている。(これは凄いことなのだ、やってみろといわれて出来るものではない)


その音楽の切り口への洞察力、さらには動画やアーティスト写真から伝わるユーモア、そしてどこかしら斜に構えている風来坊な魅力にいつしかヒゲの総帥は夢中になった。少し前にナンバーワン・ソムリエのタッキーと北濱のピンク&ガンというバーでオタヴァ・ヨについて論じ合った。「アモさん、オタヴァ・ヨのセンスは飛び抜けてますね」とタッキーの口から出たのは意外でもなんでもなく、ヒゲの総帥も同感であった。こいつらはどう転んでも素敵なロシア人だなと感じたのだ。


好奇心の塊であり、その好奇心によって人生の計画が立たないヒゲの総帥はオタヴァ・ヨのことを知りたくなる。金曜日であったがオタヴァ・ヨが伊丹でダンスのワークショップを開くというので行くことにした。ただ、行って踊りを教えてもらうだけでは全くつまらない。どうせならゴンゾ(ジャーナリズムのスタイル)で行くかとヒゲの総帥は役所を休んで会場に乗り込む。


雲の模様はいつ嵐が来てもおかしくないようで、ただただ不安だけを下界に投げかけているようであった。


会場に到着すると、まだ誰も来ていない。多目的ホールは足元全面が板張りであり、なるほどダンスをするには持ってこいであった。ホールの人間がやってくる、大学院でイタリア中世の美術を勉強していたというサラダ君である。ヒゲの総帥とサラダ君が美術史や人生の目的について論じ合っていると、音響チームがやってきて機材の搬入と設置、さらには音作りに精を出す。サラダ君も気がついたように「ずっとお話ししときたいんですけど、仕事に戻らなくちゃ」と事務所に戻る。


ヒゲの総帥は会場で横になる。ワックスで磨き上げられた板がひんやりして気持ちいい。サラダ君がいうにはオタヴァ・ヨ御一行はラジオ生出演のためまだ到着しないという。


「FM COCOLOかい」とヒゲの総帥が問うと、サラダ君はそうだという。「カミさんの番組かい」とさらにヒゲの総帥が問うと、サラダ君は「はい、よくご存知で」という。ロシアのカラシニコフ銃のように勢いと熱さに溢れたおっさんなのだ、カミさんという人は。この時間にオタヴァ・ヨを呼んで紹介するなど、あのおっさんくらいしか出来ない芸当である。電波における良心を見た気がしてヒゲの総帥は世の中捨てたもんじゃないなと横になりながら考えていた。


音響さんが「すいません、音出します」とヒゲの総帥に問う。「もちろん、気にせずお願いします」とヒゲの総帥は答える。素性も知れず訳のわからないボケっと横に転がってるヒゲの男に一声かけてくれるなど、なかなかない気遣いであるので恐縮する。


気持ちのいい音楽が流れてくる。聴いたことがあるような、でも、やっぱり聴いたことのない音楽である。


「これはどこの国の音楽ですか」とヒゲの総帥は音響さんに聴く、「これはスコットランドですね」という。イギリスですと言わずにスコットランドというところで、この音響さんの音楽的(歴史的)知識の一般ならざることを知る。「これはゲール語ですか」とヒゲの総帥はさらに問う、「そうです、ゲール語ですね」と音響さんはニンマリして答えてくれる。


音のチェックが会場全体の響き方などの調査で本格的になってきたので、ヒゲの総帥は会場の隅に移動して、やっぱり横になったままオタヴァ・ヨのメンバーを待つ。そして本人の自覚症状がないまま、ヒゲの総帥はいつしか大の字になって熟睡していた。


ザワザワしている、ハッと気がつくとカコフォニー・フィールズのゴッドテール君がゾンビのような顔をして起き上がったヒゲの総帥を見て笑いながら会場にいるではないか。ドイワ会長、さらにロシア語をしゃべる男、そして映像クリエーターの男、そしてオタヴァ・ヨのメンバーとスタッフたちも続々とやって来る。


オタヴァ・ヨにてリーダーシップを取るのはバグパイプやロシアの琴を演奏する背の高い怪僧ラスプーチンのような男、彼の名をアレクセイという。このバンドにはアレクセイが二人いるので、どちらかを苗字かフルネームか愛称で呼ばないと混乱しやすい。それは日本代表の「サカイ選手」をどう対応して視聴者へ伝達するのかと同じである。


ヒゲの総帥はゴッドテール君に訊く、このバンドの動画とかそういうアイデアを発信しているのは誰なのかと。ゴッドテール君は「基本的にこのバンドにリーダーというのはいないんですけれど、演奏やYouTubeなんかのアイデアはアレクセイ(ラスプーチン)から出てきますね」と教えてくれる。


伊丹といえば造り酒屋が多いところであり、ヒゲの総帥は日本酒を大量に持ってきてワークショップの前に大宴会をしないかとドイワ会長をそそのかすが、「それがね、彼らお酒をあんまり飲まないんですよ。飲んでもビールを一杯とかなんで」という。ヒゲの総帥は壮絶な飲みになることを見越してわざわざ東京から召喚獣で黒ずくめの冷泉に駆けつけてくれないかとお願いしていたのだが、冷泉はこの時点でお役御免となった。


ところが不幸中の幸いであろうか、東京から伊丹へ到着してタクシーでやってきた冷泉は悪魔的な二日酔いですでに使い物にならなくなっていたのだ。


「あ、阿守さん・・・、僕、踊ったら・・・、多分、全部、出ます・・・」と途切れ途切れに繋がれた日本語からは、彼の体内で行われている「分解」という名の戦いの凄惨さを感じ取れるものであった。皆がダンスができる格好で来ているところへ、ダークスーツで身を堅固に守った冷泉がぽつんと座っている光景は、異国の赤鬼たちを前にして、天界と地獄をひとまとめにしたような緊張感と滑稽さが場に溢れていた。ヒゲの総帥にはそれが面白くてたまらない。


ロシアの踊りのレクチャーをしてくれるのは、ラスプーチンである。「これをこうするのだ」と懇切丁寧に教えてくれる、しかしながらしばらくすると「好きに踊れ、それが最善だ」という指示になる。会場には老若男女が集まり、オタヴァ・ヨの生演奏に乗せて踊る。酒を飲んでこんな踊りかたをしてたら、確実に死ぬぞと思うのだが、そこにロシアの素敵などうしようもなさを感じる。


「亡命ロシア料理」という秀逸な本がある。洒落た名前の女がヒゲの総帥に貸してくれたものだが、そこに書かれてある「ロシアとは」という気品と汚れに満ちたロシアのセンスの特異性は、実際そうなのだと腑に落ちた一日であった。


踊って踊って踊りまくって、ずたずたになった地面からは、次こそはと相当な覚悟と決意を持った新しい芽が吹き出すのであろう。オタヴァ・ヨはそれを体現しているだけである。そしてそれを当たり前のことだとやってのける軽やかさに、とてつもない凄味を感じるのである。


フィドルのディミトリ―とギターのアレクセイは時折、タバコを吸いに外へ出る。これまで植物のプランターの中へ当然のごとくタバコの灰を落としていた彼らの手にはヒゲの総帥からの贈り物が握られていた。


赤と黒という二色の携帯灰皿である。


見えないものを見ようとするならば、それが見えるところまで自分で行くのが最善の方法だ。


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https://youtu.be/0JQ0xnJyb0A


次の日、カコフォニー・フィールズのゴッドテール君より一枚の写真が届いた。


なるほど、これは確かにオタヴァ・ヨの到来を待望していたヒゲの総帥の姿である。


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by amori-siberiana | 2018-07-01 14:55 | 雑記 | Comments(0)

ここ数日はいろいろなことがある。ここ数日でなくともいろいろなことは誰にでもあり、取り立てて自分だけが「忙しい、忙しい」と言って世界に愛されているというような印象で物事を捉えるのは非常に驕った態度であり、打擲を入れられるべきであろう。ピカソは「美よりも早くなくてはならん」と言っていたが、ヒゲの総帥も書くべきことが公私を別にして沢山あるので、今は小説家の平尾先生よろしくなほど文字に埋もれている。


ケルト音楽のギター弾きとガハハの女、アウシュビッツにいそうな奴、そして遅れてミカ・アイアヒという名前のミュージシャンが来た日のこと。そこへ多角経営のギバタも紛れ込んできて、自作の歌を歌ってくれたのだが、延々とその歌をミュージシャン連中に繰り返し演奏されて大盛り上がりされるという、栄誉なのか単なるいじりなのか解らない夜もあった。とにかくギバタの歌のサビの歌詞、「ここにおいでよ~♪」はそこから数日、ヒゲの総帥の耳に残るのであった。


かと思えば、ギター弾きの男の兄貴でメンヘラのブルーグラスの男がやってきて、ピクセルさんというパフェ作りの名人を連れてきた夜。(このピクセルさんは歌もうたう、皆、黙っているだけで大体の奴らは歌えるのであろう)。


かと思えば、ジーサンという名の爺さんが来て、ヒゲの総帥は彼の前で井上陽水の「少年時代」を弾く。彼はハッと驚いたした顔をして、「どうして、このタイミングで少年時代を?自分はこの曲を随分と練習しているのだ。こんな偶然があるのだろうか!?」という。この偶然もこれで通算5回目であり、いつしか偶然から必然になっているのだが、酩酊者や記憶喪失者には同じことでもこれほどまでに新鮮に映るものだと知った夜。ジーサンは映画への熱烈な情熱があり、映画のためなら幾らでも出資するというのでヒゲの総帥はすぐにぴあフィルムフェスティバルやトロント映画祭やなんやかんやで名を馳せる、新進気鋭の映画監督と合わせようとセッティングを試みる。


かと思えば、ジンクスに到着早々に偶然にも冷泉につかまり、そのままステーキ屋へ向かい、冷泉が猛烈に心酔傾倒しているダーツを夜中までするという夜もあった。やっぱりどうせするのなら上手な人を巻き込まないといかんということで、隣のダーツボックスにいた茶釜のアニキという初対面の上級者を仲間に加えて競技をするといった夜。


これら細かいディティールにまで組み上げれば、毎夜毎夜が一冊の本になるくらいの質量を持つものであるが、悲しいかな形あるものは壊れ、形ないものは忘れ去られという世の必定に逆らうこと適わず、いつしかその出来事の具体性はヒゲの総帥の頭のなかから蒸発して、心に焼き付く印象のみが記憶という都合よく日々改竄されていく箱のなかに収納されている。


さて、本題であるが、ヒゲの総帥は北濱のクント・コロマンサから去るときが来たのである。この日本の辺境から発信されているようなブログをお読みの諸君ならば「いきなりなんだ」とも今さら思わないであろう。あまりボサボサとする時間も無くなってきているということだ、つまるところ今の北濱の建設ラッシュを体感してもらえばわかるように、我々が考えるよりも遥かに早いスピードでキャピタリズムというモンスターが襲い掛かってきているのである。


この一年、関西ローカルの雄フレイムハウスという店の隣にある入りにくい階段の先にあるフレイムハウス(現:北濱クントコロマンサ)の経営破綻を回避させようというところからスタートして、いろんな人に協力してもらい予想を遥かに超えて随分と遠くへやってきた感じがある。自分にしては珍しく間違っていない選択をしたように自負もしたいのだが、実際のところ長期的なスパンで見ればわからない。売れない版画家の経営者としての寿命を単に先延ばししただけなのかも知れないが、そこに責任を負うても仕方がない。彼は彼、実際のところヒゲの総帥とは相容れなくなっているのだ。


昨日であったか、宗教画のモデルの女にその話しをした。「ラムちゃん、僕、コロマンサから今月で完全に手を引くわ」、「へえ~、そうなんや~、おつかれ~」で会話の始終は完了。離れたデスクで仕事をしているにも係わらずその模様を見ていたイイデヤンスのダダヤマ社長が「ええっ!?そのやりとり、めちゃくちゃ、あっさりしすぎてませんか!?言うほうも、言われるほうも!アンタらどうなってるんや!」と驚愕していた。が、そんなもんであってくれてありがたい。


ヒゲの総帥は次の段階でやりたいことがあるのだ。もちろん北濱とシベリアンなんちゃらに関係している。ヒゲの総帥が手を引いたのはコロマンサであって、北濱ではない。不思議なくらいここにぞっこんなのだ。


それが世のためになるのか他人のためになるのかはわからない。宗教家でも啓蒙家でもないので、そういったところを自身の行動の根幹に持っていないので、その感覚は全く解らないことはないが、素直にそんなことはできない。しかしながら、自分がやりたいと思うことを思うままにやって、最終的に世のため人のためになればいいと漠然と考えている。そもそも気の小さい男なので、やりたいようにさせてみたところで核兵器のようにはならないであろう。


ヒゲの総帥本人が気持ちよくやっているのだから、周囲に害とならなければやらせておけばいいのだ。それくらいの自由はこのヘンテコな東洋の辺境の国にもあって然る器である。


これからもどうかヒゲの総帥とのお付き合いを宜しく願うものである。誠に勝手な決断であるが、ここらでよかろう。


ブログはこれからも続く。ここからが面白いのだから。


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by amori-siberiana | 2018-07-01 00:48 | 雑記 | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。
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