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フィリポ・ロマネスク探偵社がエグゼクティブ・プロデュースを務める北濱での狂喜の一夜をご紹介。


ビールを飲みながら、駆け足のように流れ、また故郷の風の便りのように柔らかいアイリッシュ音楽の生演奏を聴くというイベントがいよいよ青山ビルに登場。場所はご存知、ギャラリー遊気Qから歩いて徒歩7秒(※)のビアレストラン『キリンケラー ヤマト』。


※個人差があります


演奏はここいら辺りでアイルランド民謡といえばこの人、北濱が育てた井上(アウシュヴィッツの男)と山本(ピロシ君)と湯浅(車で寝起きする男)と姫野姫の四人(Silver Lilter Quitters)。さらにはこの四人に立ち向かう名もなき荒くれ者たちも楽器を持って参戦してくるというのだから、ビアレストランは白熱すること間違いなし。そして飲食した分以外での入場料や演奏料もないのです。チップはご自由。


ご来店の際には「このポスターが格好よくて、思わず店に入ってしまった」という定型文をしっかりとお店の人に伝えて、サブリミナル効果的に「ああ、このデザイナーさんはやっぱり凄いんだ・・・」とお店の人が感じてくれるように仕向けてください。そうすることで無報酬で大仕事をこなしたデザイナーの労力も報われるのです。




それではここで出演者とのインタビュー記事をご紹介。




インタビュアー(アラタメ堂):これは一体どういう集まりなんですか、皆さんの出会いは?


Silver Lilter Quitters:今年6月に結成した


アラタメ堂:どういった繋がりなんですか?


Silver Lilter Quitters:セッションで昔からの幼馴染み


アラタメ堂:みなさん、年齢や演奏経歴は?


Silver Lilter Quitters:年齢もアイルランド音楽歴も同じくらい


アラタメ堂:総勢何人のバンドなんですか?


Silver Lilter Quitters:4人のユニット


アラタメ堂:これは、そんじょそこいらのセッションじゃないぞ・・・!元音楽ライターでプロレスオタクの僕がオススメします!



詳細は→ https://www.facebook.com/events/249479535745670/


大阪府大阪市中央区伏見町2-2-6 青山ビル 1F ※国登録有形文化財のため、中途半端な破壊行為などは慎んでください。


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by amori-siberiana | 2018-11-27 00:50 | イベント | Comments(0)

ヒゲの総帥は今の時代に恥ずかしながら喫煙者である。以前の喫煙者であれば「旧国鉄時代の大赤字を補填したのは俺たちだぞ」と威張っていられたのかも知れないが、それも随分と昔のこと。今どきなかなか「汽車」という単語を耳にすることはない、ヒゲの父親などは死ぬまで電車のことを「気動車」と呼んでいた。


さて、喫煙者であるヒゲの総帥は公務中もたびたび役所内から行方をくらませ、いずこかでニコチンを体内に摂取する。森の獣道のように自分なりの通り道があり、毎日そこを往来する。


ちょうど先月くらいだったと思うがその通り道の途中、船場センタービル内に新しい店ができていたので、ちょいと覗いてみる。ギョロとした目をした愛嬌のある男と目が合う、ここの店のオーナーだろうという雰囲気ではあるが、それ以上に、どこかで見たことがある顔なのだ。


互いにジロジロ見る。


・・・。


「阿守さん?」と声を掛けてきたのはオーナーの方である、その声でヒゲの総帥の記憶もするするとジャックの豆の木を下りてくるように手元へ降りてくる。「あ!クルタニさんじゃないですか」とヒゲの総帥は声をあげる。


このクルタニという男はアメリカ村で「ギブ・ミー・アウト」というカフェをしており、この男の店で夕暮れから明け方までシベリアンにて演奏したことがある。その日、満員の客も最初はノリノリであったが、時刻が深夜未明になると音楽など聴いているのかどうかわからない状態でスライムのようにテーブルに突っ伏していた光景は忘れない。


まさかこんなところで出会うとは世間もそうそう広くはないのかも知れないと一瞬考えたが、実際にはヒゲの総帥自身が何年も大して動いていないだけで、世間の広さは自分の行動範囲と比例するものだ。船場センタービルで何をしているのかと問うと、アニメの原画展を任されているとのことだった。


さて、土曜日のことである。


ヒゲの総帥は星師匠の叔母がする会を見学に行くため北濱を発つ。何の会かといえば語り部の会であり、語り手各人がそれぞれ民話などを話してくれるのだ、星師匠の叔母は生まれつき両方の眼球がないのであるが、それはそれは目が見えないふりをしているのではないかというくらいに旅行に趣味に仕事にと東奔西走する叔母なのだ。さらに、民話というのは実によい、ロシアの文豪やロシアの音楽家からはいつも土臭い民話の香りがするのが好きだ。


会が終わり、北濱にあるギャラリーへ戻ると鳥取の倉吉市から国造焼の四代目の山本氏とガクレガ画伯がおり、そのまま談笑に混ざる。この若き作陶の匠は非常に控えめな男であり、謙虚で慎ましいのであるが、その作品は比類なき実験と大胆さによって構築されている。


これだけのものを作るのだからよほど手先が器用なのであろうと思うからして、このブログでは彼のことを手先のヤマちゃん、または世界のヤマちゃんと呼ぶことにする。ちょうど同時期にて阪急百貨店(梅田)で開催されている陶芸展にも自作を出品しており、そちらは日曜日に見てまわるつもりなのだと手先のヤマちゃんはいう。


「とにかく、遠路はるばる北濱まで来てくれたのだ、この居並ぶ焼き物をどんどん売っていこうではないか」とヒゲの総帥は自身が先日、焼き物を星にみたてて遊んでいたことをすでに忘れているような勢いである。


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「どうやって、じゃんじゃん売るつもりなんです?」とギャラリーの女はいう。


「簡単です、割らせるのです。何人かのサクラを用意してギャラリーを朝の満員電車みたいにぎゅうぎゅうにしておきます。その様子が気になって店に入ってきた本来の客をサクラたちが押したりして器を割らせるのです。その瞬間、手先のヤマちゃんが阿鼻叫喚、ヒステリーにキレだして、買い取りしなければ収拾がつかないように演じればいいのです」と世界で最悪の案を献策するヒゲの詐欺師。この案に一同は爆笑するも却下される。


「それは詐欺じゃないですか」とギャラリーの女も口に手を当ててクスクス笑いながら、視線で他のアイデアを示せとヒゲの総帥にプレッシャーをかけてくる。


「なるほど、先ほどのアイデアは確かに極端でありますので、ソフト路線にした第二案をお伝えしましょう。まず、客が来ます。そしてどうぞどうぞ振る舞い酒ですと国造焼に日本酒のいいのを汲んで客に飲ませます。ああ、これは美味しいお酒だなとなり客が帰ろうとすると、ヤマちゃんが阿鼻叫喚、ヒステリーにキレだして・・・」と身振り手振りを加えてここまで話していると、ギャラリーのドアが開き、談合チンコロクラブを主宰するファラオがやってきた。


ヒゲの総帥は鴨がネギを背負ってきたなと思う。そしてここにいるファラオ以外の皆も同じように実験台にのぼるべき被験者がやってきたなと感じる。


「ファラオ、日本酒でいいのがあるんだ、まずは一献、好きな器を選びなさい」とヒゲの総帥は先日の演奏会の折にツッチーからいただいた風の森をぽんと空ける。ファラオは聖杯のような器を選びそこへ日本酒を注ぐ。


「えっ、もしかしてこれ僕が買うんですか?」とファラオは起き抜けの猫のような細い目をこちらに向けるが時は既に遅しである。


ファラオ 国造焼 一点お買い上げ


すると醤油売りの女もやってくる。「さぁ、醤油売り、どの器で祝杯をあげるのかね」とヒゲの総帥の勢いはいよいよ止まらない。自身の策が当たったのだ、赤壁に東南の風がびゅーびゅーと吹いているのである。「ちょっと、選ぶ時間をください!」と醤油売りの女は自身がどういう状況に置かれているのかさすがに察して選ぶ。


醤油売りの女 国造焼 一点お買い上げ


自身の策がここまで的中するかと酔いしれていた総帥の耳にこんな声が聞こえる。「それで、阿守さんはどの器にするんですか?」とギャラリーの女が訳の分からないことを訊ねてくるのだ。ヒゲの総帥は「これは・・・、裏切られましたな」と心の中で思うものの、ここで器量が悪いと皆にいわれては甚だ北濱の諸葛孔明の今後に関わるので、よくよく吟味して国造焼をヤケになってぎゃーぎゃーわめきながら買う。鈍色をしたぐい吞みで、買うならこれしかなかろうと思うのだ。そしてこれしかなかろうに酒はなみなみと注がれる。


ヒゲの総帥 国造焼 一点お買い上げ


さて、それではみんなで乾杯しようじゃないかとなる矢先、「それでヤマちゃんは、どれで飲むのですか?」とヒゲの総帥は世界のヤマちゃんに問いかける。


「えっ?僕・・・ですか?」とヤマちゃんは自作の陶器をまじまじと見渡す。まさか自分で作ったものを自分が買わされるとは思ってなかったようだが、それは完全に油断である。ファラオは狂気の顔を浮かべヒゲの総帥はニヤニヤして「さっさと選べ」と目で促している。


「じゃあ・・・これで」と小さめの瑠璃色の背が高い猪口を選び、そこへ酒が注がれることとなる。


国造焼四代目 世界のヤマちゃん 国造焼 一点お買い上げ


「残るはガクレガ画伯ですな」と皆の視線が画伯に注がれる。画伯は「母親のために・・・」と一言を遺して花瓶を買う。


ガクレガ画伯 国造焼 一点お買い上げ


自称303才のギャラリーの女は自身の国造焼をすでに手中に持っていたので、これにて全員が手に国造焼を持ち乾杯となろうというタイミングで「今日もまた皆さんお揃いで、これは何の集まりなんですか」とブツブツ言いながらやってきたのは、アラタメ堂のご主人である。


もう言葉もいるまい。


アラタメ堂のご主人 国造焼 一点お買い上げ


ツッチーからいただいた日本酒はすぐに無くなり、追加でワインやハイボールを器へ放り込んでは、一旦、器に入れることによって柔らかくなった酒を味わい、夜は更けていくのであった。


世界のヤマちゃんは自身が四代目となり家業を継ぐまで、ずっと映画監督になりたかったのだと語った。映像の学校や脚本の学校にも通っていたのだという。以前は小さいながらも映画館ひとつを一人で切り盛りして、映写から何から何までこなしていたという。


「ニューシネマパラダイスみたいですね」とヒゲの総帥がいうと、まさにそのとおりでしたと照れ臭そうに肩をすくめるヤマちゃん。


この男の手から生まれた作品は飾られるだけではなく、人の用となるために生を受けたものばかりである。そしてそれらは土臭く神話のようで美しいのである。






近代風な大都市から遠く離れた地方に、


日本独特なものが


多く残っているのを見出します。


ある人はそういうものは時代に後れたもので、


単に昔の名残に過ぎなく、


未来の日本を切り開いてゆくには


役に立たないと考えるかも知れません。


しかしそれらのものは


皆それぞれに伝統を有つものでありますから、


もしそれらのものを失ったら、


日本は日本の特色を持たなくなるでありましょう。


「柳宗悦」


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国造焼き

https://www.pref.tottori.lg.jp/30752.htm

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by amori-siberiana | 2018-11-22 17:04 | 雑記 | Comments(0)

◆ギャラリー偏西風



枚方市伊加賀北町6-11 (京阪電車「枚方公園」駅から徒歩3分)



風は見えなくても風車は回っている

音楽は見えなくても心に響いてくる、ささやきかける



ヨハン・セバスティアン・バッハ



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デザイン:浦部亮

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by amori-siberiana | 2018-11-21 18:45 | イベント | Comments(0)

宅配ピザのチラシが落ちていた。特にすることもなかったのでそれを熟読するヒゲの総帥、だが凡庸なる彼の頭ではピザの値段が高いのか安いのか、さっぱりわからない。それというのも原因はそのチラシについているクーポンである。こんな話しを書いているとピザでも食べたくなるのだが、目の前には毒々しい色をしたコーヒーがプラスティックのカップに入っているばかりである。


ヒゲの総帥はピザといえばマルゲリータしか食べないといってもよい。この牡蠣の殻のように閉じこもった男は、マルゲリータこそ最高最上のものであり、それ以外は呪われた邪悪な食べ物くらいに思っている。要するに偏屈な男なのだ。偏屈ではあるのだが決して近視眼なわけではなく、いつもかけている眼鏡は伊達である。


ということは、まず最初にピザのチラシを見るときマルゲリータの値段を閲覧する。1800円と書かれている、ところがチラシについているクーポン①を使うと30%OFFの1260円になるのだ。さらにチラシについているクーポン②を使うとピザ一枚を頼めばさらにもう二枚が無料でついてきて2700円になるという。しかしながら、マルゲリータは1800円なのでこの無料といいながら強制的に二枚ついてきて2700円を払わせるというのは、ちょっと変ではないかしらんと首をかしげる。


さらにクーポン③を使うと、曜日限定で二枚目が無料になる。いよいよピザをフリスビーのように放り投げてきたなとヒゲの総帥は思いながらニヤニヤする。さらに店頭まで取りに行くと無条件で二枚目が無料になるそうなのだ。ヒゲの総帥はうんうんと頷きながらチラシを手元から離す。彼の頭ではどのクーポンを使うと自己の損得勘定を満たすためにベストな選択なのかがわからない。


普通に買うのが一番損をするのだろう、かといって、併用してはならぬと厳しくしたためられたクーポンの規約を読んで財布と胃袋のそろばんを弾いてみても解が出ない。一般人に向けられたピザのチラシがいよいよ外資系生命保険会社の「ライフプランナー」が組み立てた芸術的で複雑極まりないプランにも見えるし、サブプライム証券のように結局何か悪辣なものを華麗に見せかけているようにも見える。


「この値段設定を組み立てたのは、相当、数字に強い人間であろう。大数の法則を基礎として最新のデータを駆使して作り上げられた逸品だ」とヒゲを触りながら唸るが、最後には「つまらん」といって放り投げる。正確にはつまらんではなく、わからんなのであることは自分でも知っている。


さて、先日の金曜日のこと。


ヒゲの総帥は役所を終わらせたあと、青山ビルのギャラリーへ消える。ギャラリーの中にある机にパソコンを置いては、これよりフィリポ・ロマネスク探偵社の開業だと大いに威張っている。ギャラリーではいつものように女オーナーとガクレガ画伯が談笑している、大体はガクレガ画伯が女オーナーをからかうのであるが、この女オーナーは笑いが始まると止まらなく、顔を真っ赤にして笑うのである。


自称303才の女オーナーが中学生だった頃、同じ列に並ぶ自分の真後ろの男子生徒がいつも面白いことをいうので、振り返っては彼ではなく自分が教師から注意をされるのだと話してくれた。ヒゲの総帥はそのノスタルジーを傾聴しながら、大体で享保15年くらいの話しなのだろうと目算していた。


ヒゲの総帥は談笑している二人の部屋を抜けて、探偵執務室にてパソコンをにらみつける。にらめばにらむほどまるで仕事が入ってくるかのような勢いであるが、そんなこともなければ、そんなつもりもない、「人生ケセラセラさ」とはどこぞの出会い系サイトにはまったおっさんが初対面の人と挨拶があるごとに呟いていた名言である。


最近、内装を新たにしたギャラリー遊気Qの奥の院は「サロン・ド・バロンダール」と命名されるに至りて、さらには額のなかにサロンの看板すら貼られてある。デザインをしたのは誰なのかわからないが、紙の出力したのはカラカラ笑う男である。ここ最近、青山ビル内に提示される風変わりなチラシは全てこの男の仕事によるものである。青山ビルという国登録有形文化財をキャンパスにしてやりたいようにやっているデザイナーであり、ガクレガ画伯とは旧知の仲であるとのことであった。


サロンではギャラリー女からモデル役を請われた星師匠と天文台の女がインターネット販売用の写真を撮影している。この二人の星好きは相当なもので、前者は天文博士の鳴沢博士から取材の助力を請われ、後者はこれまでのキャリアワークを捨てて天文台に居座っているのだ。


いつしか、ギャラリーにはカラカラ笑うデザイナーの男とファラオもやって来る。ギャラリーの女が帰ったその瞬間からここは酒が飲めるギルドとなるのである。


酒を片手にファラオがいう、「オリオン座ってどれなんですか?」。


ヒゲの総帥は面倒くさそうに「なんだ、ゲームばっかりやってるから、そんなことも知らんのだ」とぶっきら棒に返答して、ファラオを夜空の見えるところへ連れ出すが、どうにも曇っているのか光害なのかオリオン座すら見えない。


二人はギャラリー内に戻る、ヒゲの総帥は何とかして無知蒙昧たるファラオにオリオン座を教えようと、ギャラリーにて展示されてある国造焼四代目の皿と杯を使ってオリオン座を配置する。


「いいかい、ここが一等星のベテルギウスだ。オレンジ色に輝くこの星はもしかするとすでに爆発してるかも知れんのだ。そしてその斜め反対側にあるのが同じく一等星のリゲルだ。このオリオン座が素敵なのは大星雲を隠し持ってるからなんだ」とヒゲの総帥は皿をガチャガチャやりながら説明する。


「なんですか?そのオリオン大星雲って」とはファラオ。


「オリオン座の三つ星がわかるかい?」とヒゲの総帥はやっぱり皿を動かす。


「ここですか?」とファラオは真ん中の三つ星を指で差すが、残念ながらそこではないと、新たに小さな器を三つほど中心より左下側へ並べる。


「ここに何があるんですか?」とファラオは淡々と聞く。


「ここに望遠鏡を向けてみたまえ、それはそれは見事なバラのような色彩の大星雲が広がっているのだよ」と得意げに語るヒゲの総帥であるが、ファラオやカラカラは未だにピンと来ていない。


「これです」と自身のスマホを取りだして、迷える彼らに大星雲の何たるかを示したのは天文台の女であった。一堂から「おお」という声があがる。「これが本当にここにあるんですか?」とファラオですら前のめりになる。


大体、ギザの三大ピラミッドはオリオン座の賜物だと言われているのに、オリオン座に無知な王など存在してはならないのだ。その無関心がそのうち「パンがなければ、ケーキを食べればいい」というような発言に結び付くのではないかと空恐ろしく思う。


「これは?」と星師匠が天文台の女に訊ねる、どうやら自身で撮影したものだと天文台の女は教えてくれる。カラカラ笑う忌部は興味あるのかないのかわからない目で遠くを見る目つきをする。


「いいかい、古来、星の動きを知るということは自分たちの生きてる世界を知るということだったのだ。つまるところ、全ての学問の基礎ですらある。星を読むということで人は繁栄してきたといっても過言ではない」とヒゲの総帥がファラオについてうんちくを語りだしたとき、遊気Qのドアがギイと開く。


知らない男である。随分と酔っぱらっているそうだが、聞くところによるとフィルムを現像できる暗室ラボを持つ写真家の男であり、ギャラリーの女とは懇意なのだそうだ。名前をマサ後藤という。


いつしかマサ後藤も話しに加わることとなり、話題は星空から写真に移転する。


酔っぱらったヒゲの総帥は「おお、貴殿こそ北濱のマン・レイであり、メイプルソープであり、北濱のグルスキーであるのだ」と滅茶苦茶なことをいう。マサ後藤もうやうやしく称賛を受けて、ギヒヒヒと笑う。


「こんな夜中なのに遊気Qの電気がついてるから、なにかあるぞと思って入ってきた」とマサ後藤は自身の行動原理が好奇心のみによるものだということを明らかにする。


天文台の女も以前の総帥のブログではカメラマンの女だったし、カラカラ笑う忌部も写真の腕は相当である、そして何より被写体としては他では得がたい資質を持ったファラオがネギを背負った鴨のように鎮座しているのであるから、これは皆でファラオの撮影コンテストをしようということになる。


その夜、青山ビルからは薄気味の悪い笑い声が絶えることがなかった。




君が、君のバラの花をとても大切に思ってるのはね、そのバラの花のために時間をいっぱい費やしたからだよ。

「星の王子さま」より



マサ後藤の写真工房

http://www.geocities.jp/qnrwd966/



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by amori-siberiana | 2018-11-20 20:19 | 雑記 | Comments(0)




―まず、読む前に気をつけていただきたい、ここからの文章には、洗脳の要素が含まれているからだ。―





ヒゲの総帥はよく悪夢を見る。そしてその夢は同じモティーフ(動機)を含んでいる。何を言っているのかよくわからないであろうから、わかるように例えるならばベルリオーズの「幻想交響曲」に出てくるイデー・フィクスのようなものである。イデー・フィクスとは固定概念という意味であり、幻想交響曲の全五楽章のすべてにあらゆる形で循環し登場してくるのである。


一度だけ自分の夢に出てくるイデーフィクスを捕まえて白日にさらけ出し、叩きのめしたことがあるのだが、久々にまた悪夢を叩きのめしたのだ。


その悪夢とは自分の口のなかに、退化していく犬の歯が連なっている夢である。夢のなかでハッと気がつき「また同じ夢を見ている!」とガバっと起き上がり、寝ぼけ眼に手元に何かないかとスマホを取り、そして無我夢中で夢を言葉に具現化して取り出しておく。獣が自分の獲物を取ってすぐには食わず、巣穴のなかへ隠して、のちのち身辺が落ち着いたらどのように料理しようかと企むのと似ている。


ヒゲの総帥の場合はそれがTwitterであった。11月11日の早朝、ヒゲの総帥は自身のツイートに「犬の歯」と打ち込む。本人は寝ぼけているので夢魔を捉えるのはなんでもいいのだ。しかし、後になりすっかりそのことを忘れてしまい、今になって思い出す。改めてツイートを見ると、確かに「犬の歯」とだけ書かれている。そして、小説家の平尾先生から「いいね」がついているのだ。


平尾先生の「いいね」についてどのような見解があるのか聞きたいのだが、巨匠の心中など雑兵木端のヒゲの総帥が聞いたところで理解は難しかろうと思う。


この自分の口の中に朽ち果てていく連なった犬の歯がある夢をこれまで何度見たことか、それはとてつもなく不安にさせる夢なのだが、今こうしてブログを書き連ねていても全く思い出せない。


さて、先日の水曜日であるがヒゲの総帥は役所を終えて探偵社に立ち寄るもすぐにどこかへ行く。東横堀川沿いにある「うらどかた」という店で冷泉と夕食を一緒にする約束があるのだ。


ヒゲの総帥の方が早く到着する、先に中へ入り日本酒をちびりちびりとやってると冷泉が鍼灸師の細君を連れてやって来る。普段でもまあまあ分厚い冷泉の唇はこの日、さらに腫れあがっており明太子のようになっている。L字のカウンターの向こう側ではゾロアスター教徒の祭典のように煌々と火の手があがっており、肉や山や海の産物がその火に見初められていくのであった。


人が喜悦する場には必ずその喜悦の犠牲となる、生き物の悲しき物語があるものだとヒゲの総帥は日本酒を飲みながら感じる。そんなことを考えてると柄にもなく手を合わせて「いただきます」と大声で叫びたい気になるのだ、旨い酒に旨い肴、これ皆、創意工夫と情のたまものである。


人だってたまには誰かに火の中へ投入されて料理されるのではというくらいの、生きることへの凄みと緊張感を持っておいたほうが良かろうと考える。夏目漱石も書いていたが、人間をこらしめてやる相手がいないから、人間はどんどん増長していくのだ。ほんの三年でよいのでスマホとパソコンから離れた生活をしてみたらどうであろうか、世界はそんなに速いスピードで動いてはいないのかも知れない。世界に速度感を求めるのはいつだって消費者という車を後ろからガンガンあおってくる黒塗りの霊柩車に乗った奴らなのだから。人のことなど考えちゃいない、とにかく消費させることばかりを考えている原理主義者たちなのだ。


冷泉と細君とヒゲの総帥は乾杯をして、いろんなことを話す。冷泉はヒゲの総帥と一緒にビジネスをしたいと伝える、「僕に出来んことを・・・、阿守さんに・・・してもらいたいんです。阿守さんが・・・できんことは・・・僕が・・・やります!!」といい豪快な笑い声をあげる冷泉のことをヒゲの総帥は頼もしく感じる。


目の前にはカンパチやタコなどの刺身が出てきて、炭火焼にされた枝豆や鶏肉があり、それらは沈黙したまま皿の上に乗っている。


冷泉が用を足しに机をたったとき細君がヒゲの総帥にこう訊ねる、「阿守さんは冷泉のどこが好きなのですか?」と、ヒゲの総帥は居住まいを正してゆっくりと答える。


「彼がどのようなビジネスをしているのか、僕にはまだ理解しかねる部分があります。彼がどうして殴り合いをするのか、僕にはまだ理解しかねる部分があります」とヒゲの総帥は前置きをする、細君は微笑みながら頷く。


「彼のことが好きなのは、彼のすることが信頼に値するからです。彼の根底にはとても厚い情が溢れています。彼が家族や親や兄弟に向ける情、周囲の人に向ける情、その全てにおいて血が通っています。大切にしています。結局のところ人間はそこだと思うのです、自分がどうなのかと言われればまったく足りていないことです」と答える。細君は笑顔のままである。


「それに、彼は最新のツールを使いながらもそのコミュニケーションの基幹にはアナログを踏襲していることも僕からすれば安心感があります。僕からすれば訳のわからないカタカナ語を沢山知ってるのに、状況を判断してそういう言葉を使わない臨機応変さなどは相手のことを考えることができる心の余裕と深さがうかがえます。だからたまにバカをしたとしても可愛げすらあるのです」


よく考えてみると最初に出会ったときの冷泉の評価たるや惨憺たるものであった。宗教画のモデルの女の紹介でコロマンサに来たのが、この黒ずくめの男とヒゲの総帥のファーストコンタクトであったが、すでに泥酔しており何かにつけてハイタッチを求めてくるので気色が悪かった。この気色が悪いというのはチンピラの男の名言であり、たびたび二人で冷泉の話しになると「アイツ、気色悪いでしょ」とチンピラの男が評するのが、ヒゲの総帥は好きなのだ。


いつしか気色悪くないように、生きようとしている自分が恥ずかしく思えてくるのだ。ヒゲの総帥だって気色悪い男なのだ、その気色悪さといったらとんでもないものであり、自分でもその事実を飲み込めないので十字架のように背負って生きているのだ。サンセバスティアンまでの道のりは遠い。


巷はオリンピックだ、万博だカジノだと騒ぐ。皆が走れ走れと誰かしらに言われ、走ってます走ってますと誰かしらに返答をする。社会はそれに興味があるものと、興味がないものの二極的選択を迫ってきて、一旦走りますと返答したが最後、足が折れても走らなければいけないような感がある。自分を探すことに必死なのもいれば、他人を探すことに必死なのもいる、常にスマートな回答が求められていくなかでその場しのぎの時代に沿った名答が言えたとしても、それに何らの価値もないことは誰もが知っている。


ネットを開けば「これだけは知っておきたい~」「これだけはしてはならない~」が巨人のように跋扈している。しかしながら、巨人のように聳え立たれてはハイタッチもできないではないか。


黒ずくめのIT参謀こと冷泉から学んだことは沢山あるのだが特筆することは二つ、まずひとつはハイタッチ。そして酒だ。


ヒゲの総帥はこの男と会うまでハイタッチという行為の選択肢をまったく持っていなかった。そういえばこういう表現方法もあったなと最初は感じるにとどまったし、バレーボールの試合などをテレビで見ていて選手たちが通過儀礼のようにハイタッチをしていくくらいにしか認識していなかった。ハイタッチの再確認をさせてくれた冷泉には礼を何度も述べたくらいだ。自分の人生において絶妙なスパイスを見つけた嬉しさである。


いつしか旧来の手法と新しい手法がハイタッチするときが来たとして、その仲介には黒ずくめの男がいて欲しいものだと思う。いわば彼のしている事業というのはそういうことなのだから。


1970年の万博と2025年の万博(※開催されるとすれば)、1964年の東京オリンピックと2020年の東京オリンピック。


1970年と2025年を足すと3995年となる。


3955年の数字をバラバラにして「3」「9」「9」「5」に解体する。


その数字の組み合わせで最大値のものを作ると「9953」になる。その数字の組み合わせで最小のものを作ると「3599」になる。最大のものから最小を引き算する。そこから得られた答えを同じように繰り返して蒸留する。


一回目:9953 - 3599 = 『6354』
二回目:6543 - 3456 = 『3087』
三回目:8730 - 0378 = 『8352』
四回目:8532 - 2358 = 【6174
五回目:7641 - 1467 = 【6174
六回目:7641 - 1467 = 【6174
七回目:7641 - 1467 = 【6174】...


1964年と2020年を足して同じ手法をやってみても、現れてくるのは必ず【6174】という数字なのである。


どのような数字であろうと避けて通ることができない【6174】を知っているか知らないかで、新しい者と古い者の関係性はぐっと変わってくるのである。だからコンサルタントという巷の人からは胡散臭く新しく思われがちの職業は必要とされる。つまるところ必要とされるから産出されるのである。


コンサルタントという仕事は、見落としがちな物事の根本を再確認させてくれる仕事である。


ヒゲの総帥にはこの【6174】がハイタッチに思われたのだ。そしてここから多種多様な数字が輩出されていく。そしてこれこそがグッドマネジメントの真髄であろうと感得している。



―まず、読む前に気をつけていただきたい、ここからの文章には、洗脳の要素が含まれているからだ。―



さて、最初に洗脳の要素があるので要注意と書いたが、そのようなものはここにはない。その序文が入ることと入らないことで、人の注意は随分と違う。今、当たり前にしていることだとしても、一歩一歩、注意して見てみればまた日常の見方も違ってみえる。そこに書かれた内容はまったく同じだとしても、読み手の取り掛かる意識が違うからだ。それは会社も同じであり、知らない間に歪みというものはいつしか気がつかないようにされるものだ。


誰も入りたがらないところへ、入っていく男。それがIT参謀の冷泉である。


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https://www.gmsouken.co.jp/blog/




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by amori-siberiana | 2018-11-19 20:15 | 雑記 | Comments(0)

寒くなってきた。旅行三昧だったのが夢幻だったかのごとく、とにかくどこへも行かない年であった。出社しては仕事など放ったらかしで週間天気予報を見て、グーグルマップを見て、じゃらんを見て、車と望遠鏡の手配をお願いしてというルーチンはどこかへ消え失せた。


自分はこのまま寒さと飢えで死んでしまうのであろうか、自分はこのまま人様からも愛想を尽かされて孤独に死んでしまうのであろうかと、考えるようになる。この骨と肉と皮をもってどこへ行こうかと、ふらりふらりと世間を漂うのである。そして豪華そうな扉を構える家をことごとくノックしながら歩くのでもある。


しかしながら、世の中を見渡してみると案外そういう人が多いことに気がつく。皆が生きることへの出尽くした感のある肯定を胸に、その日その日を往来するのであろうか。北濱にある緒方洪庵の銅像は寒々しそうに鎮座して、通りいく者たちにこういう。


「火をつけろ、火をつけろ」と。


さて、先週の月曜日のこと、フィリポ・ロマネスク探偵社に依頼の連絡が入る。依頼者はアイリッシュ音楽でギターを弾く男である。自分たちが飲みながら演奏できて、途中参加の演奏家たちがきても楽しくセッションできる場所はないか?との依頼であった。ヒゲの総帥はとにかく北濱へ来られよとギターの男に伝える。


明けて火曜日、ギター弾きの男ことピロシがツタの絡まる青山ビルへやってくる。探偵社があるギャラリー遊気Qにはギャラリーの女オーナーと、画家のガクレガ画伯、ギターを描く女、そしてファラオと星師匠がおり、なにやらコーヒーなどを飲みながら雑談している。


ピロシ君が所属するアイルランド音楽(ケルト)のバンド「ヤメタリーナ」のライブが12月15日の昼にあるが、そのあとが特に何もないのでライブの余韻のままに北濱あたりで演奏したいとのことを相談する。ヒゲの総帥はその話しを聞きながら「それなら無論、遊気Qでライブをするのが得策であろう」と提言する。


「でも、ここってお酒はダメなんですよね?」とピロシはいう。


「基本的にはダメだね」とヒゲの総帥は答える。ギャラリー内でお酒を飲んではいけませんよと自称303才のギャラリーの女から戒厳令を布かれており、チラリと女オーナーのほうを見る。女オーナーもうんうんと首をたてに振る。


しかしながら、どうして基本的にと付け足したのかといえば、先日「アモリのつもり」を開催した際に全身黒ずくめの冷泉がウイスキーと梅酒とソーダを大量に買ってきて来場者全員に振る舞うという粋なことをした。ヒゲの総帥はギャラリーオーナーが冷泉のことを𠮟りつけるのではないかと心配していたが、そんなことはどこ吹く風。率先してコップを両手に「これを皆さんに回していってくださいな」と皆に酒を配っていたのはギャラリーオーナーその人であった。


またこんなこともあった、「阿守さん、ギターを演奏しに来てください」とギャラリーオーナーに言われてヒゲの総帥が最初に遊気Qでの演奏をした日。共演するのはよく解らない音楽家たちであったので、これは正直しんどいなとヒゲの総帥がげんなりしていると、「お酒でもどうですか」とオーナーに勧められ散々に飲まされて、訳がわからないままご機嫌に演奏させられたのを覚えている。


上記の二つの経験律から導かれた、堂々たる総括が「基本的に」という言葉へ集約されている。つまり、結局のところ何がオッケーで何がノーかなのは、ギャラリーオーナーの胸ひとつというところなのだ。しかしながら、感動したり圧倒される何かを見たときに「人の胸を打つ」というではないか、人の胸を打つことができる人間はそう多くない。


ピロシ君よ、見事、ギャラリーオーナーの胸を打って飲酒の栄誉を勝ち取れよ!とヒゲの総帥は士気高揚のために軍歌を頭のなかで歌うが、ピロシ君はいたって冷静であり、「でも、ここで演奏となるとガヤガヤはできないんじゃないですか?」と困り顔でいう。


「なにをいうのだ、ここなど壊してくれて結構なのだ。目の前にある国造焼きだって全部割ってしまうほどの熱量で演奏するのだ」とヒゲの総帥はギャラリーを自分の所有物のように勝手なことをいう。


「いやぁ、なんか想像と違うな」とピロシ君。


「そんな予想がつくような演奏会などやめろやめろ、いっそ奇想天外なことをしよう!」と他人事だと思ってルシファー的な誘惑をする名探偵ヒゲの総帥。周囲はその嚙み合わない二人のやり取りをニヤニヤしながら見ている。


「ちなみになんですけれどね、アイルランドの音楽ってどんなのですか?」とギャラリーの女がいう。


「それでは御覧にいれましょう、ピロシ君、すぐに相方にバイオリンを持って来て欲しいと伝えるのだ」とヒゲの総帥の自己満足はいよいよ熱気を帯びてくる。


しばらくして、バイオリンケースを携えてアウシュビッツの男がやって来る。到着早々に言葉を交わす暇すら与えられずに遊気Qで演奏させられる二人、バイオリンの4本の弦とギターの6本の弦、総勢10本の弦から奏でられるアイルランドのメロディーは夜の冷え込みを「幸せ」に変換してくれる、これぞ音楽の魔力である。


静かにそれを聞いていたギャラリーの女は「お隣なんかいいんじゃないですか?」という。お隣というのはギャラリーの隣、青山ビルの正門入って左手すぐにあるビアレストランのことである。店の説明を簡単にするギャラリーの女に呼応してピロシたちは「そんなところがあるんですか?」という顔をする。


「いや、君たちはここで演奏をするのだ!さぁ、イメージするんだ、12月15日、君たちはここで名演を繰り広げる!伝説の一夜になるぞ!」とヒゲの総帥は周囲の邪念を取り払うかのごとく洗脳にかかる。


「いえね、ここじゃ彼らの求める場所にならないでしょう。お隣ならビールもじゃんじゃん飲めるんですから」とギャラリーの女はいう。


「ビールなんてのはバカの飲みものですよ!いや、ビールを飲むからバカになるのか。どちらにしても彼らに相応しくない!君たちは遊気Qで以外、演奏はしないのだ」と外れかけた魔術を丹念にかけなおすヒゲの総帥。


「今からちょっとお隣の店長を呼びに行きましょう」と半ば強引にギャラリーの女に連れられてヒゲの総帥はお隣へ放り込まれる。


ビアレストランらしい佇まい、どこか南ドイツ風な印象を受ける店が「ヘレンケラー ヤマト」というレストランである。ウェイトレスに店長はいるかと問うと店長が厨房から出てくる。とくに説明のないままに店長を遊気Qまで連れてきて、彼らのケルト音楽を聴いてもらう。店長はふんふんと聴きながら、また一旦店に戻り、すぐさま坂本竜馬のような頭髪をしたスタッフを連れてきて、やはり二人でふんふんと聴きいる。


ヒゲの総帥は「彼らの演奏会を是非とも御レストランでさせていただきたい。ビールにケルト音楽、これは最高ですよ。ノーギャラで演奏もしてくれますし、自身で飲食したお金すらお店に払ってくれるのです、どこに断る理由がありましょうか。北濱からアイリッシュとビールのマリアージュが全世界に発信されるのです。ビールほど美味いものはない!ブロージット(乾杯)」と自身の発言に七不思議ならぬ七変化を見せる。


ギャラリーの女も「彼らは飲めて演奏できるところを探しているんですよ」とヘレンケラーの店長たちに説明する。セッションコンサートとはどういうものかをピロシ君たちが店長に説明する。店長は「そもそも土曜日なんて客足がなかったもんで、賑やかにしてくれるなら願ったり叶ったりですよ」と手を打つ。


あっさりと話しはまとまることとなった。ギャラリーの女は「なんとかロマネスク探偵社の最初の仕事でしたわね」とクスクス笑う。ヒゲの総帥は自身が何の役にも立っていないことを認めながらも「無事、一件落着、できましたな」と堂々と胸を張り、遠い目をする。


そのあと、皆でヘレンケラーの店内を下見がてら夕食を摂ることになる。


「ここは自分たちが想像してたよりもセッションに適した環境ですね」とピロシ君とアウシュビッツの男は顔に花が咲いたようになる。


それぞれにビールが配られて乾杯をしようとしたとき、のそりのそりと両肩を揺らしながら「一体これはなんの集まりなんですか」とアラタメ堂のご主人がヘレンケラーへやってくる。


三度にわたってジョッキに注がれるビールの味、泡はシルクのようでホップの効いた通好みのするビールは大麦がこの世に作り上げた王国をぐるりと旅行するかのようであった。


「つまり、僕たちの右手は何のためにあるのかというと、振り上げるためにあるのだ」


ヒゲの総帥やアラタメ堂やガクレガ画伯、ピロシ君やアウシュビッツの男のテーブルはガヤガヤとやかましく、それに比べるとギャラリーの女たちのテーブルはまるでカタリ派の集会のように厳かにビールをいただくのであった。


女子のテーブルの中に一名、探偵助手のファラオがいるのだが、特に何も違和感がなかったことに、驚いた。


12月15日(土) 19:00より、皆さまのご来場を青山ビルでお待ちしております。



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by amori-siberiana | 2018-11-19 15:01 | 雑記 | Comments(0)

チケット本日より発売です。 


※ローソンチケットは売り切れてます。


【会場】すばるホール 3F プラネタリウム室 (大阪府富田林市桜ケ丘町2-8)

【料金】全席自由

【一般】前売 2,500円 / 当日 3,000円

【ペア】4,500円(前売のみ)

【チケット】

・すばるホール 0721-26-2060 http://subaruhall.org/

ローソンチケット (Lコード=53363) ※SOLD OUT



ある昔の映画でこんなシーンがある。男が自分のコーヒーに映った月(衛星)を女へプレゼントするというものだ。月をプレゼントされたその女が男のことをステキだなと思ったのか、それともちょっと変な人だなと思ったのか、それはわからないのだが。


「地球を抜けて宇宙へ行ってみたいか?」とヒゲの総帥が誰かに質問されたとしよう。


私は行きたくない。だって、空気がない。水もない。友だちも今のところはいない。仕事もないし、多分とても苦労すると思う。いや、苦労どころか死んでしまう。


したがって美しい。容易に触れられないものだから、まだまだ美しさを携えている。いつだって世の中も世の外もアイロニーが支配しているのだ。


だから私にとってプラネタリウムという場所は、美と死の両方を都合よく体験できる、シェルターのようなものだ。こんなに余裕の星空見物もなかなかない、凍えることもなければ虫に刺されることだってないのだ。。


プラネタリウムとシベリアンの競演、どうぞお楽しみいただきたい。奇跡の夜を。


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by amori-siberiana | 2018-11-16 19:03 | イベント | Comments(0)

ギャラリー遊気Qのオーナーとヒゲの総帥が細々とやっていた「アモリのつもり」なる演奏会を今度、新設されたギャラリー「偏西風」でやってくれと依頼がきた。


さすがは偏西風と名付けるだけあって、風変りなギャラリー代表であるが、これまでにも何度かアモリのつもりに足を運んでくれているので、どのようなことが行われるのかは重々承知のうえでの選択なのは安心だ。


演奏内容といっても、本当にギターしか弾かないのだから。


ギャラリー偏西風の主宰は人形作家の女である。人形という言葉からヒゲの総帥がイメージするのは和歌山の加太にある淡嶋神社である。この神社には相当数の人形がいる、その様はなかなかに畏怖たりえる。あとはイプセンの書いた「人形の家」であろうか、とても雑な説明をすると弁護士の嫁さんが家出するといった内容の戯曲であるが、その内容たるや衝撃的で煽情的なものであり、これは当時の社会的な背景から考えても爆薬である。


人形は多くを語らぬが、その視線は声なき声であり、その佇まいは見る側の心の持ちようを如実に映しこむ鏡なのである。


ヒゲの総帥、出張、行って参ります。



「私は自分というものと外の世間とを正しく知るために、自分一人になる必要があるのです」


イプセン



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by amori-siberiana | 2018-11-13 18:48 | 雑記 | Comments(0)

ヒゲの総帥が居を構えるフィリポ・ロマネスク探偵社は北濱の一角のそのまた一角の青山ビルにある。その青山ビルの一角にあるギャラリー遊気Qのさらに一角を間借りして細々と心意気だけは大いに活躍している体である。


そもそもギャラリー遊気Qというギャラリーはその平米数に似合わず、いろんな業種が詰め込まれている。ギャラリー、教室、占い、探偵、演奏会、そして宝の販売などであり、ここに通い詰めているヒゲの総帥ですら頭が混乱してくることがある。その旨をギャラリーのオーナーに伝えたところ、「私もよくわからないんですよ」と上品な笑いを浮かべる。


さて、つまるところヒゲの総帥は居候させてもらっているのであるからして、こうして空いた時間などはせっせとギャラリーの宣伝をするのが賢明であろう。魚は瀬につき、人は情けにつくというではないか、頭を下げて皆にお願いをすれば大体のことはそれなりに応援や解決ができるものである。世間というのは愚鈍ではあるが、世間ほど厳しく正直な奴らもいない。


生きていくということは食う寝る遊ぶのことではない、どうやって世間と付き合っていくかという一種の自己哲学でもある。自分がどうして生まれたのかもわからない、宇宙は誰がどのような意志で運行させているのかもわからない。死んだらどうなるのかわからない、「一度、死んでみたんだけどあっちも退屈だったよ」という冒険譚を聞いたこともない。ヒゲの総帥たちはもれなく、神羅万象の始終を知らないままである。これは言い換えれば一本の線の迷路でも迷えるということを示唆しているのではなかろうか。


さて、グズグズと前置きをしても仕方がないので、さっさと遊気Qの宣伝に移らせていただく。







YYY作品展】 ◆2018年11月12日(月)~18日(日)まで


「YYY」と言われて何を思い起こすだろうか。まず、似たような三つのアルファベットをピックアップして予想してみよう。


『YKK』(吉田工業株式会社の略) いわずと知れたズボンのファスナーに書かれている三文字である。


『KKK』(クークラックスクランの略) いわずと知れた三角巾で正体を隠したアメリカの秘密結社である。


『YYZ』 いわずと知れたラッシュの名曲である。


『YYC』 いわずと知れた、日本最大級のマッチングサイトYYCはおかげさまで18周年、累計会員数1000万人以上の方にご利用いただいているオンラインマッチングサービスです。


上記のアルファベットから「YYY展」を予想することは、年賀状の切手と消印の角度から日経株価を読み解くほど難しい。まだ靴を放り投げてそれによって天気を占うほうが簡単かも知れない。


これは三人の作家の展覧会である。


amamoto Yoshiharu


山本 佳靖 (焼きもの)


asui Youichi


安井 洋一 (アクリル画)


oshikawa Hitomi


吉川 仁美 (油絵・アクリル画)


これら三者の名前の頭文字をとってつけられた展覧会が、その名も『YYY展』という今回の展である。


今回は焼きものの山本氏についてご紹介をさせていただこう。



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◆お皿 「寒々しくたたずむ環」 ¥3240-
 

彼が焼いているものは、天体である。それは土を焼いてできるものであるので、地球型惑星といっても過言ではあるまい。もちろん氏自身が天体を焼いているのだという発言を記事などで見かけたことはない。これはヒゲの総帥の勝手な主観である。例え話しが上手な男がただ好きなように言っているだけである。


そしてここに並ぶのは出来上がったばかりの天体たちである。


言葉でこの焼きものの魅力を伝えることは可能であるが、言葉の積み重ねによって器が割れることを考慮して控えさせていただく。是非とも遊気Qへお越しいただき、その質感や色合いなどを手に取って感じていただきたい。また、作者が在廊している期間に来て、いろんなことを質問してみることも一興である。※作家の在廊は17日~18日。





『山本佳晴』のご紹介


明治に曽祖父が鳥取県不入岡(ふにおか)、上神一帯の陶土が焼物に適していることに着目、この地に移り住み、明治23年に創業。


不入岡の近くには伯耆のみやつこをまつった大将塚があり、「こくぞうさん」と呼び親しまれていたことから、初代秀治が「国造焼」を創始。


朝夕に伯耆大山を仰ぎ見る環境にいて、曽祖父の代から土と共に生き、土に取り組むことのできる喜びをこれからの作陶に活かして、皆に「こくぞうさん」の愛称で親しまれる窯元を目指す。


2017年 第24回日本陶芸展 入選



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by amori-siberiana | 2018-11-13 16:51 | 雑記 | Comments(0)

好評だったアモリのつもりの後継イベントがいよいよ北濱に上陸。


その名も『北濱アーモリーショー』という。


何が起こるのか、そして何を得られるのか、それは皆さまの想像の範囲内を超えない!


そこにあるのはエアコンとギターと


ギャラリーの展示物とパイプ椅子だけ、


食べものどころか飲みものも出ない。


マイクもなければ


メロディーすらない。


あるのは完全和音と


不完全和音の響きと、ヒゲだけ。


ヒゲの総帥こと


阿守孝夫という男は、


果たしてミュージシャン兼探偵、そして宮仕え人


といってよいのだろうか。



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by amori-siberiana | 2018-11-11 16:06 | イベント | Comments(0)


北浜というビジネス街を独立させようと企む、ヒゲの総帥のブログです。