こんばんは、北濱にある猫のひたいのように小さな店。クントコロマンサを経営するヒゲの総帥こと、阿守のブログです。


さて、22日の月曜日のこと。


ヒゲの総帥は朝からフランツ・カフカが執筆した世界観のような場所で仕事をする。とにかく猛烈に入室と退室をチェックされ、さらには着衣以外の一切の私物の持ち込みも許されない。外見からすると白い壁でしかないところは、一旦入ると軍の機密機関のようである。


仕事を終えて夕方に北濱のオフィスへ行く。あれやこれをしていると冷泉から連絡がある、「阿守さんに、会いたい、いう人が、今、お店に来ています、代わりますか」というのでヒゲの総帥は代わってくれと頼む。すると受話器の向こうから聞こえてきた声はヒゲの総帥の短かった高校時代の友人のダーウー君であった。


彼の存在なくしてファイナル・ファンタジーもロマンシング・サガも三国志も信長の野望もなかったのである、彼の親父がゲーム好きで誰よりも早くそういった人気アイテムを入手していたので、そのお下がりのお下がりを金銭に余裕のない学生時代のヒゲの総帥は享受していたのである。孫請け会社のようなものだ。


「わかった、15分後に店に行く」と返事をして北濱のオフィスから出て、さっさと猫のひたいのように小さな店に向かうことにした。


店に到着すると全身が黒ずくめの男、ハイタッチ冷泉がいる。妖精の女とエロスを追及する女、そして常連のガルパンの男もやってくる。そんな空間のなかにぽつねんとダーウ―はビールを飲みながらたたずんでいる。しばらくするとグラフィックデザイナーの男もやってくる、ヒゲの総帥は旧友にむかって「ビールは原価率がよくないから、ウイスキーをストレートで飲んでくれないか」と早速容赦のない店側都合を押し付ける、さすがは旧友でありこれを快諾する。グラフィックデザイナーの男はそのやりとりを聞いて失笑している。


およそ10年ぶりくらいに会うのだが、別段、互いにおっさんになった以外は変わることはなかった。それが良いことなのか悪いことなのかさっぱり当人たちには解らないのであるが、とにかくこうして再会できることは生きてこそであるのだから、上出来の類であろう。


ダーウーは自身がシリコンバレーに行ったときの話しをしてくれようとしていたが、長話しになりそうだったので、さっさと彼の出張先の近場のホテルへ戻ってもらうことにした。


そして、昨日のこと。


フランツ・カフカ要塞を抜け出して、ヒゲの総帥は店に行く。ゴガッと締まりの悪いガラス戸を開いた瞬間、厨房のほうからパンッという音がする。共同経営者である柿坂万作がクラッカーを鳴らした音であったが、ヒゲの総帥は確実になんらかの改造銃で撃たれたのだとオペラ鑑賞中に暗殺されたリンカーン大統領の気持ちになった。店内からさらにクラッカーが鳴る音で、「ああ、そういうことか」と納得するにいたった次第だ。


不思議な女とパン屋の女そしてギタレレの女が店を占拠しており、ヒゲの総帥の誕生日を祝ってくれる。それぞれがプレゼントをヒゲの総帥に渡して、彼の40才の誕生日を祝ってくれるのであるが、嬉しいような気恥ずかしいような気持ちで妙に照れるのであった。


しばらくしてよさこいの女がやってくる、さらにアラタメ堂のご主人と寸借詐欺に遭ったディエゴ、そして全身が黒ずくめの冷泉、肋骨を損傷しているドマツ先輩、ウェブライダーの男、人事コンサルの男、ベージュの女、腹がたぷたぷの男、元パティシエの女がやってきて、店は賑やかになる。さらに世界の果て会計事務所に属する狂気の男も合流してくる。


そして北京からベン君もやってくる。やってくるというか、迷い込んでくる。迷い込んでくるというか、巻き込まれてしまう。


さて賑やかな御一行であるが、聞くところによるとドマツ先輩の会社のセミナールームにて、ウェブライダーの男の講演会があったとのこと。皆一様にその帰り北濱の魔窟へ立ち寄ったというわけである。ウェブライダーの男がピアノが達者なミュージシャンだということで、店の足踏みオルガンを使ってのヒゲの総帥のギターと一緒にセッションをしてみる。なかなか急造コンビにしては場を盛り上げられた方であろう。


英語が喋れるディエゴはこういった場合、とても役に立ってくれる。なんでもかんでもディエゴを通じて話せば楽なのだ。冷泉などは「難しいって、なんていうんやったっけ、ディフィカルトや、ディフィカルト、ディフィカルト」と北京の男に詰め寄るだけである。もしも自分が初めて行く国で「難しい」を連呼しながら近寄ってくる黒ずくめの男がいたら、どれだけ難しい国なんだろうと実感するのではなかろうか。


しかし、北京の男は随分とこの店が気に入ってしまったのか閉店まで帰ることはなかった。


d0372815_19493268.jpg

[PR]
# by amori-siberiana | 2018-01-24 19:50 | 雑記 | Comments(0)


北浜のビジネス街にある、昭和レトロなカフェのブログです。            大阪市中央区淡路町1丁目6の4 2階上ル
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30